「souldriver」さんのページ

総レビュー数: 110レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月21日

人情味溢れるエピソードの数々に、酒にまつわる古今東西の小話が面白い。
野球がまだ純粋なエンターテイメントの地位を保っていた古き良き昭和の空気を感じることができた。主人公の位置が「代打」っていうところもまた渋くていいんだな。
のめりこむほど面白いという訳ではないけど、可はあって不可はない。安定して質の高い話が散りばめられている良作野球マンガ。

というのがホークスがダイエーになる前の、南海時代の分までしか読んでない僕の感想。そうか。あれ以上は知らなくて幸せだったのか。
というかとっくに完結してるもんだと思ってたよ…。

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[投稿:2007-08-20 12:26:59] [修正:2007-08-20 12:26:59] [このレビューのURL]

ブラックユーモアと時事ネタが小気味良く盛り込まれた風刺画的なマンガ。今回は登場人物多めで制限も少ないし、改蔵のときみたいにカオスなループに突入することはない…かな?

常に「今」を題材にしてる内容なため、電車の中なんかで暇つぶしに読んでニヤリとするのに最適。単行本でまとめて読むのには向かないと思うけど、作者もそれはよく分かってるみたいでファンサービスや加筆修正なんかも多く好感が持てる。
持ち前の軽い絵柄とノリがうまい具合に作用して黒いネタが多い割に悪意はあんまり感じないし、相変わらずいいマンガを描くなあ。この人。

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[投稿:2007-08-20 02:01:05] [修正:2007-08-20 02:01:05] [このレビューのURL]

「銃夢」や「灰者」と同じ作者による作品とは思えないほど明るい雰囲気に驚き。「世界名作劇場」のような作風と言えば分かってもらえるだろうか(特に「七つの海のティコ」っぽい。知ってる人いるかな?)。

地球がテーブル状で世界の果てに巨大な滝つぼがあったり、どう見ても潜水服な鎧をまとって戦う騎士がいたり、魔法の灯台の光を狙う異邦人と戦ったり、死神が出てきて魔の剣をもらったり…とにかく冒険心をかき立てられる絶妙な世界観にツボを刺激されっぱなし。
正義の味方は正義の味方として、悪役は悪役としてサラッと描かれているので、気軽に読めて読後感も良い。
クライマックスの展開次第でかなりの良作になることが期待できる。

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[投稿:2007-08-17 00:11:21] [修正:2007-08-17 00:11:21] [このレビューのURL]

7点 灰者

作者本人も認めている通り、フランスのベデや松本大洋などの影響を色濃く感じさせられる。

終始暗い空気が漂い、モチーフとなった「銃夢」とは舞台を同じくしながら、本編では描き切れなかったクズ鉄町の暗黒面が全面的に押し出されているため、全く違った印象を受ける。
自分の中に潜む魔性との葛藤、場末の喧騒の中の救いの無い未来像といった、それ自体は珍しいテーマではないが、SF世界ならではの独特の雰囲気を舞台としていることでこのテーマがより引き立っている。
またコントラストを意識した絵と断片的にストーリーを見せられる映画的な構成が非常にカッコイイ。

作品としての完成度は十分高いと思うが、予備知識なしに読むとただの模倣や雰囲気だけを重視したものだと取られるかもしれない。
他の作品群とは一線を画した木城先生の意外な一面が見れる作品。銃夢を読破した後に読むのがおすすめ。

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[投稿:2007-08-16 22:50:52] [修正:2007-08-16 22:50:52] [このレビューのURL]

なんというかまあ、いつもの画太郎。やりたい放題。
それ以上でもそれ以下でもない。

あえて見所を言うなら、表題作「ハデー・ヘンドリックス物語」での観客。明らかに画太郎先生の画風じゃない上、興奮してる顔から殴られて血を吐いてる顔に至るまで徹底的にコピーで同じ絵の使いまわし。ここまでされるともう笑うしかないっす。

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[投稿:2007-08-08 14:30:07] [修正:2007-08-08 14:30:07] [このレビューのURL]

面白かった。1巻完結ということで深い話にはなってないけど、広がりすぎずシンプルにまとまってるところが潔い。

やはりこの作者の持ち味である「異質感」は、歴史の舞台でこそ発揮されると思う。あの一見普通だけど隠しようもない狂気が滲み出る目の描き方を見てると、「ああ、戦争に明け暮れてた時代の人間ってこんな目をしてたんだろうな」というのが伝わってくる。
また連載時期を考えると、この作品からヒストリエへのつながりも見えて興味深い。
あまりに主人公が優等生なのと、小奇麗に終わりすぎてるところに物足りなさも感じた。欲を言えばもう少しこの舞台で話の続きが読みたかったかな。

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[投稿:2007-08-08 14:02:39] [修正:2007-08-08 14:02:39] [このレビューのURL]

あくまで「銃夢」の正統な続編になるので前作を読んでることが楽しむための前提になるけど、まさに期待を裏切らない出来。

まず格段に絵が上手くなった。デジタル加工のおかげで線がすごくすっきりしたのに昔と変わらない熱さが感じられるのはすごい。
やけに男ぎったキャラとか無駄に熱いノリも受け継がれててうれしい。この人間感溢れる描写と無機質なSFの世界観のミスマッチがたまらない。戦闘のスピード感も相変わらず抜群で、十分前作に匹敵するテンションの高さ。特にカエルラのカッコ良さは一見の価値あり。

難点をいえば、やたらSF用語が出てくるがゆえの説明文字の多さ。一回目は軽く読み飛ばしてストーリーだけを追って、二回目以降で噛み砕くのが吉。
また前作に比べて人物の心理描写や世界観の説明を丁寧に描こうという意図が見受けられる。それ自体は悪いことではないが、ややガリィの葛藤の描写がくどいのと、展開がスローなので月刊ペースの現状のまま最後まできちんと描ききれるかどうかちょっと不安。

ともかく今一番続きが楽しみな作品の一つ。
SF世界が好きな人は前作から通してドバッと読んじゃって下さい。
(07.07.18加筆)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-07-05 22:34:47] [修正:2007-07-19 04:47:08] [このレビューのURL]

8点 リアル

登場人物の発する言葉の一つ一つが読者の今までの人生に問いかけてくるようで、読んでるうちにだんだん沈んだ気持ちになっていくのは僕だけだろうか。
障害者スポーツにスポットを当ててはいるが、ただ「がんばってる様子」を描くだけの偽善や自己満足に終わることはなく、現実と直面する各人物の容赦ない心理描写が印象的。

障害をものともせず戦い続ける戸川、現実から逃げ続けながら自分の居場所を必死で探す高橋、そして健常者として彼らの生き様を目にしつつ自らも現実の中でもがき続ける野宮。
三歩進んで二歩下がり、少しずつ前に向かっていくそれぞれの様子はまさにリアルで、ご都合主義なドラマの表現の域を超えて心に訴えかけてくるものがある。

読むたびに暗くなってしまうが、最後には「自分もがんばろう」という気持ちにさせてくれる。スラムダンクの成功に満足することなく、とことんまで踏み込んだ絶望と希望の人間像を見せ続けてくれる井上先生に拍手!

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[投稿:2007-07-18 20:16:03] [修正:2007-07-18 20:16:03] [このレビューのURL]

6点 ねじ式

正直に言うと全くもって意味不明。
でも偶然の誤植がこれほど洗練された異世界観と謎めいた空気を生み出してるのは何かしら必然性のようなものがあったのか?

個人的にシュールレアリズムや頽廃主義的な表現は趣味じゃないのでよく分からないけど、この作品の放つ異臭(良い意味で)は感じ取ることができた。好きな人にはツボにはまるのではないかと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-07-18 19:44:39] [修正:2007-07-18 19:44:39] [このレビューのURL]

独自のSF世界を舞台に繰り広げられる、自分のルーツを探求するサイボーグの主人公、ガリィのあてどもない旅。

コロコロと主人公の置かれる立場が変わり、その都度違ったエンターテイメント性を見せながら徐々に物語の核心に近づけていく手法にはマンネリを感じなかった。
ときに繊細に、ときに大胆に描かれる絵には魂が宿っている感じがする。戦闘時のスピード感は抜群。
また人物描写がかなり濃いめで戸惑ったが、慣れるとサイボーグを含め実に人間味のあるキャラクターばかり。ただのアクションものに留まらない魅力を放っている。
少々無茶な設定や時代を感じさせる展開がところどころに見られたが、話も広がりすぎず結末に向けてきれいに収束しており、後味は良かった。

好みが分かれるだろうとは思うが、とにかく濃密な空気に満ちている作品。
絵がOKなら一読の価値あり。

07.07.16追記:
改めて読み返してみると、かなりの深読みができる内容だったことに気付く。エンターテイメントの本質を保ちながらここまで哲学的にも洗練された世界観が描けるのはすごいね。1点プラス。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-23 01:39:57] [修正:2007-07-16 14:59:30] [このレビューのURL]