「souldriver」さんのページ

総レビュー数: 110レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月21日

薦めてくれた知人には悪いけど、これは…全く肌に合わなかった。

なるほど、確かに敵にも主人公たちにもそれなりの主義や主張はあるらしい。ただそれが総じて薄っぺらい。
主人公たちの向かう方向性があまりにもぼやけてはっきりとしておらず、それなのに当の本人たちは出どころ不明の信念と腕力だけで問題を解決していってしまう。そしてそれをやんわり肯定してしまう周囲の空気。
そんな戦後の混乱期というシビアな情勢には場違いすぎる、ある意味「天然」な世界に完全に置いてけぼりをくらってしまったという感じ。このノリがどうも理解できない。

まあこれはこれで、絵柄が好みに合いさえすれば意外と楽しめるのかも…。

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[投稿:2008-01-16 23:24:13] [修正:2008-01-16 23:24:13] [このレビューのURL]

得点は保留。
まだまだ地道な展開。でもつの丸先生ならきっと何かやってくれるはず…!
期待大。

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[投稿:2008-01-16 23:00:47] [修正:2008-01-16 23:00:47] [このレビューのURL]

「デカスロン」以来の山田芳裕。まず絵柄が全くと言っていいほど変わってないのに驚いた。
正確に言うと少し紙面はスッキリしたのだけど、この作者の最大の持ち味だった「勢いだけ」な突っ走り感が衰えてないのがすごい。

そして何と言っても着眼点がおもしろい。今まで様々なメディアでさんざん取り上げられ、いささか食傷気味だった戦国時代も、数寄という文化的な面から見ることでこれほど新鮮に映るものなのか。
武士道らしい禁私的な精神は隅に置かれ、欲望と野心に忠実な好き者:数寄者たちが幅を利かす。それが格好悪いことでも何でもなくて、ただただ粋!
そんな中で主人公・古田左助は茶の湯を通じ「侘び」の精神に惹かれていくことになるのだが…その顛末がまた実に黒くて、でもどこか滑稽に描かれるのがおもしろい。

改めてうちの国にかつてこんなにも素晴らしい時代があったんだなーと感心させられる。
かなりオススメ。

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[投稿:2008-01-12 00:54:15] [修正:2008-01-12 00:54:15] [このレビューのURL]

もう細かいことは全部放り投げて、出たとこ勝負!っていう投げやり感が全開。月下の棋士とは別の意味でハイテンションな将棋漫画。
それでいて譜面はけっこう練り込んであったりするからニクイ。

至るところに突っ込みどころがあるのに、出てくる変人たちが勝手にバカ騒ぎの大立ち回りを始め、終わると休む間もなく次の展開に引っ張り回されるため最終的には強引に最後まで読まされてしまう。将棋が分かってようが分かってなかろうが関係なく巻き込まれる。
結果的に将棋初心者から経験者まで幅広く楽しめる作品ではないかと思いますハイ。

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[投稿:2007-12-26 19:54:37] [修正:2007-12-26 19:54:37] [このレビューのURL]

ひたすら足掻く主人公に共感できるか否か。他の方の言うようにこの点において大きく評価が分かれそう。

漫画というメディアで物語を描くにあたって、「理想」と「現実」の線引きはとても難しい。こと現代を舞台とした作品ではご都合展開が過ぎてもダメ、堅苦しすぎてもダメになってしまうところがあると思う。
その点、この作者は主人公が両者の間で悩む姿を適度に描いた上で、最後の結論を放っぽり出して全部うやむやにしてしまう(主人公の勢いに任せてしまう)。
無責任といえばそれまでだが、流れに身を任せようとする自分がいかに現実に納得の行かないもう一人の自分と上手く付き合って行くか、というのが社会で立ち回っていく上で大事なことなんだと言ってるように思う。これは個人的な解釈だけど。

小難しい話になってしまったけど、エンターテイメントとして良作なのは間違いなしです。

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[投稿:2007-12-26 19:39:44] [修正:2007-12-26 19:39:44] [このレビューのURL]

ちゃんと略奪したり黒い政治に関わったりする海賊漫画。
内容自体はごく王道でありふれてるものの、それを力技で熱さに変えてしまうのがすごいところ。不器用そうな作者だけど、キャラの魅力と真っ直ぐさで見事に長編を描き切ってる。

中盤で張った大きな伏線をあっさり放棄して終わっちゃうあたり少し拍子抜けしたけど、ココの成長物語としては最高の締め方。海賊ファンタジーとして十分な読み応えがあります。
いや、いー作品だわ。

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[投稿:2007-12-26 19:23:09] [修正:2007-12-26 19:23:09] [このレビューのURL]

8点 ARMS

画・設定ともにハイレベルにまとまっている。
特に設定の大胆さが素晴らしく、作中最大の「謎」が最後まで読めないため、それを知りたいがためについつい次の巻に手が伸びてしまう。

惜しむらくは、人物描写や物語の展開がやや甘いこと。
主人公サイドの成長を描いたり、動機付けをしっかりさせるためとはいえ、戦闘=殺し合いを安易に「善vs悪」の構図で扱いすぎる傾向が気になった。また敵サイドに信念の弱い使い捨てキャラが多すぎることが物語の盛り上がりに水を差しているように思える。
第五部に蛇足感が否めないのも残念。

しかしこの作品の持つエネルギーは同じサンデーの名作「うしおととら」にも全く引けを取らない。設定の秀逸さにこの熱さが加わり、王道展開でありながら読む者を新鮮な気持ちをもって迎えてくれる。
最終話の締め方は見事。個人的にもっと評価されてもいいと思う作品。

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[投稿:2007-11-21 22:59:19] [修正:2007-11-21 22:59:19] [このレビューのURL]

9点 三国志

名作の名に恥じないおもしろさ。脱帽。
今まで三国志の世界は正史でしか知らなかったけど、これほど魅力あるものだったとは。
できればもっとはやくこの作品に出会いたかった。

他の方々の指摘の通り、登場人物が多すぎて顔とキャラを描き分けられてないのは難点。
ただ同じ中国古代ファンタジーを原作とした「封神演義」と違い、こちらは律儀なまでに原本に忠実な様子。堅実な作りで分かりやすく、もともとの話がおもしろいせいでどんどん読めてしまう。無駄が一切なく、必要な部分のみしっかり描いている。
多くの故事に触れることもできるので、そういった面でもいろいろとためになる。

万人にお奨めしたい作品。60巻なんてあっという間です。

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[投稿:2007-11-15 23:03:35] [修正:2007-11-15 23:03:35] [このレビューのURL]

それほど画力がすごい訳ではないと思う。
ただ、演出が抜群に上手い。気の利いたセリフ回しや立居振る舞い、奇妙な武器やファッション、背景の細かな描き込みに至るまで、構成要素の一つ一つが全く違和感無く統一されている。
一見デタラメな世界観に見えるが、しかしそこには完璧な「エセ江戸時代」が完成されているのだ。

もう一つ特筆すべきが、キャラクターの魅力。特に女性の描き方が素晴らしい。
ファンタジーものに必ず一人は出てくるような、問答無用に強い女性というのは出てこない。
が、戦いの場における女性の絶対的な劣位性(力の弱さや精神的なもの、全て含めて)という現実を踏まえた上で、それでも「儚くも強い」。ある意味理想的な戦う女性像を見事に描いている。

加賀編まではストーリーの組み立ても最高だった。ダルーい監禁編がようやく終わったここから、どんな結末に向かっていくのか楽しみ。注目。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-11-06 23:44:40] [修正:2007-11-06 23:44:40] [このレビューのURL]

態度・言葉遣いは最悪、金に汚く、ついでにスケベでデリカシーもない嫌味たらしいオヤジ。こんな世間のイメージからはかけ離れたひねくれ弁護士を中心にしたヒューマンドラマ。主人公はもろビートたけしがモデル。

この漫画では法における「正義」や「道徳」というのが徹底的に滑稽なものとして描かれる。それらに巧妙に隠された事件の裏の裏を、常に本音で巧みに掘り起こしていく九頭の調査や弁論が見もの。
ドラマの中に主人公が組み込まれているのではなく、九頭はそこで起こっている事件に関わりつつも常に斜め上から物事を俯瞰し、的確に真理を突いていくのだ。この作者さん、現実描写が恐ろしく鋭い。
絵はかなりデフォルメされており、はっきり言って画力は低い。しかし登場人物が時折見せる裏の顔の描写が秀逸で、絵の上手い下手では測れない表現力の高さが感じられる。

決して感動があったり、なるほど!というような内容ではない。
しかし読めば読むほどうーむと唸らされる良作。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-05 19:42:53] [修正:2007-11-05 19:42:53] [このレビューのURL]