「十歩神拳」さんのページ

総レビュー数: 76レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年11月30日

この作品は理屈抜きにして、エンターテイメントとしてそのスケールと迫力を楽しむべき作品だと思います。

よくストーリー性の低さを指摘される方もいますが、確かに近年のジャンプの看板漫画であるワンピースやその他の多くの重厚なストーリーを持つ作品と比較すれば、その面での完成度は劣っていると言えます。

しかしドラゴンボールは複雑な複線などを一切排除したからこそ、鳥山先生の能力をフルに生かした極上のエンターテイメントとして完成されているのではないでしょうか。

また、作者の価値観や思想、感動などを読者に押し付ける場面も皆無で、読者は自然に感じたままにワクワクしたり感動したりできることも魅力の一つだと思います。そこに物足りなさを覚える方も多いかと思いますが、少なくともドラゴンボールにおいてはその淡白さがストーリーのシンプルさと調和して、絶妙なバランスを保っているように思います。

もし他の漫画家がこのようにエンターテイメントに徹したシンプルなバトル漫画を作ろうとしても、おそらくドラゴンボールには及ばないはずです。


ドラゴンボールは単純にして唯一の、純粋なアクション漫画の金字塔なのです。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2009-11-28 12:33:07] [修正:2010-02-10 10:35:54] [このレビューのURL]

ストーリー自体は基本的には王道的な展開で、且つ綺麗にまとまっているため割と誰が読んでも楽しめると思います。スケールも大きく、最終巻が一番面白い数少ない名作です。
ストーリーだけの評価でも8点前後はつけられると思います。
それに加えてアクションシーンが素晴らしい。

多くのレビュアーの方々が言われているように、アクションシーンはかなり解り辛いと思います。
しかし、そのわかり辛さは、描かれている描写や構図が余りにも奇抜で凄まじすぎるために生じたものだと思います。
これほどまでに凄いアクションは他の作品では見ることはできないでしょう。

特に9巻以降のアクションは、漫画という媒体で表現できる描写の限界点に到達しているのではではないでしょうか。個人的にこの作品はアクション漫画の一つの完成形だと考えています。


また、奇抜なキャラクターやおバカウェポンの数々も大きな魅力だと言えるでしょう。星雲賞の名に恥じない傑作だと思います。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2009-11-28 12:47:24] [修正:2010-02-04 11:06:30] [このレビューのURL]

この作品が名作と呼ばれる理由として、漫画史的な価値やクオリティ、重厚なメッセージ性などは勿論、キャラクターのリアルな存在感が挙げられると思います。

例えば主人公であるブラック・ジャックには紙の上の人物とは思えない深みがあります。
彼の理念には作中通して一貫性があり、さらに彼の心理描写は非常に繊細に描かれているため、多くの読者は自分の中でのブラック・ジャックというキャラクター像をまるで知り合いのようにはっきりと確立しているはずです。

ところが、作中に登場する多くのキャラクターは彼の内面を知る機会などないので、彼の言動に不快感をあらわにする場面が目立ちます。
ここまで表面上と内面で相手に与える印象が異なる2次元のキャラクターというのもそうはいないでしょう。

またブラック・ジャックは、彼を深く理解していると思っている読者すら予想だにしない言動をとる場合もあります。なぜなら彼は非常に気まぐれ屋さんだからです。このイレギュラーな思考が、さらに彼の存在にリアルさを与えているように思えます。
240話以上のエピソードを重ねても、その片鱗しか掴めないほど彼の心は奥深く、未だ解明されていません。だからこそ漫画の登場人物という枠組みを超えた存在感を放ち続けているのでしょう。

そして、記憶に残る「名言」が多い本作ですが、そんな彼が放つからこそ、彼の言葉は読者の心の奥底まで響くのだと思います。

ここではブラック・ジャックについて語らせてもらいましたが、ピノコやドクター・キリコをはじめとする多くの骨太な登場人物からもまた、確かな存在感を感じます。
多くの読者がブラック・ジャックをはじめとする魅力的な登場人物に魅せられた、これが連載終了から20年以上たった今でもこの作品が多くの人に愛される一番の理由ではないでしょうか。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-12-24 12:12:24] [修正:2009-12-24 12:32:20] [このレビューのURL]

全体で見たら全く必要のない話やグダグダな展開も結構多いのですが、面白い時は10点でも足りないくらい面白いし、爆発力が桁違いです。
また、42巻にも及ぶ長いストーリーを通してこれほど重厚で壮大なドラマを練り上げたことは驚異的だと思います。

サハラ砂漠での熾烈極めるしろがねたちの死闘や壮絶な展開の連続には、それまで私がリアルタイムで読んでいたどの漫画より凄まじい興奮や衝撃を覚えて、毎週鳥肌が立ちっぱなしでした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-30 11:49:19] [修正:2011-04-13 10:50:52] [このレビューのURL]

1年に10週程度、それもネームのような状態で掲載しても許される、なんともわがままな作品。

もちろんその態度は多くの読者から批判のタネにされているのですが、それでも決して打ち切られることはなく、新刊が出ればジャンプコミックスの中でも最高クラスの売上をたたき出す規格外タイトル。

このような状況が持続している理由はもちろん「とにかく面白いから」の一言に尽きるのでしょう。


私の好きな漫画家さんが以前、「ネームだけ見ても面白い漫画だってある」というようなことを言っていましたが、ハンターハンターにおいて作画が云々という問題は、少なくとも作品を楽しむ上ではそれほど大きなことではないのです。
たとえそれが誠意の感じない、手を抜いて乱雑に描かれたもののように見えても、その演出や構図は他の漫画家が頭をひねってようやく創り上げたものより遥かに洗練されているのです。
ストーリーに関しても同様のことが言えると思います。


これでは毎週真面目に全力で連載している漫画家が馬鹿みたいに見えてしまいますが、残念ながら並の作者が1年かけて紡いだ物語より、富樫先生が数週掲載したぶつ切りのハンターハンターの方が読者たちの心を掴んでしまっているのです。

ジャンプにおいてこのスタンスが許される程圧倒的な能力を持つ富樫先生は、正しく「天才」と呼べる漫画家でしょう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-04-26 11:24:25] [修正:2010-04-26 11:24:25] [このレビューのURL]

9点 寄生獣

内容の素晴らしさは既に語りつくされていると思うので、ここはあえて本筋とは関係のないレビューをさせていただきます。

まず、本作はかの名作「デビルマン」をリスペクトし大きな影響を受けていることは、岩明先生が「ネオデビルマン」に一編を寄せていることからも間違いないかと思います。

もし本作が中途半端な作品であれば、「パクリ漫画」と叩かれた可能性も否定はできませんが、いまだ本作は名作と語り継がれています。
その理由は、多くのデビルマンファンが感じた「デビルマン」の本質や真髄を理解し、汲み取っているからではないでしょうか。

永井豪先生がもとより明確な理念を持った上で計算して「デビルマン」を創り上げたかどうかはわかりませんし、偶然により誕生した悪魔的な名作であったかもわかりません。

しかし岩明先生はその「デビルマン」から何かを感じ取り、それを滋養分として漫画家になり、他のクリエイターが成し得なかった「完全版デビルマン」とも言える作品を見事に完成させることで、「デビルマン」の凄さをデビルマンファンの代表として知らしめたのだと思います。

そしてそれと同時に人間の優しさや温かさ、冷酷さを独自の感性で奥深く描いたり、類まれな構成力を見せ付けることで自身の漫画家としての実力や存在感も明確なものにしました。

自分の好きな作品を礎としながらも、自分だけのセンスも100%発揮した作品なのだから、これは間違いなく名作とよべるのではないでしょうか。

ナイスレビュー: 11

[投稿:2010-01-30 11:12:01] [修正:2010-01-30 11:12:01] [このレビューのURL]

これといった欠点の見つからない、非常にバランスの良い少年漫画。
スートリーもよく練られていて、絵も綺麗でわかりやすいです。

結構えぐいシーンや、軍が中心の設定など一般的には受け入れられづらそうな要素もあるけど、抵抗感の少ないように描かれていると思います。
ただ、若干決め手に欠けるという印象があり、個人的に思う10点作品との間に壁を感じてしまいます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-30 15:18:23] [修正:2009-11-30 15:18:23] [このレビューのURL]

1話完結の日常系ギャグ漫画であることに加え、主人公や準主人公級のキャラクターが女子高生であること(老婆は黙殺)、ジョセフィーヌの存在などで、泥臭いヤングキングアワーズの中では貴重なオアシス的な作品となっています。

作品の随所に散りばめられた小ネタや、読み返すと気づくプチ複線の数々から作者の高度な遊び心が伺えます。真田やモリアーキーも良い味を出していると思います。
ギャグ漫画としては完成度はかなり高いのではないでしょうか。

とは言え、私個人としてはあくまで普通のギャグ漫画の域に留まっているという印象を持っていたので、レビューの多くが8点以上という現状には正直驚いてしまいました。
一介のギャグ漫画がこのサイトのランキングでいくつもの大作を押さえている光景には、なんとなく違和感を感じてしまいます。
点数基準の「何度も読み返してしまう」には該当するとは思うのですが。

正直、歩鳥の持つ例の「市松人形的可愛さ」が全体的に評価を少しだけ甘くしているのではないかと思わなくもないです。
もちろん、登場人物の魅力も作品の魅力の内なのですが、私はあえてキャラクター補正を省いた点数でレビューさせていただきます。

2016年10月追記
今月号のアワーズで遂に終了です。
後半は明らかに終わりに向かっているノリでしたが、日常系でそれが見て取れるというのは、存外に寂しいものですね。
こんな気持ちになるほどの漫画は、この年になると今後は出会えないかもしれないので、1点プラスします。

昔は「ただのギャグ漫画」と評していましたが、数年ぶりにレビューを投稿するくらいに愛着の湧く、名残惜しい作品にいつの間にかなっていました。
やはりキャラクターの魅力は、理屈抜きに作品の魅力ですね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-08 11:19:22] [修正:2016-10-28 17:39:43] [このレビューのURL]

この作品以上に面白い漫画や、凄みのある漫画はたくさんありますが、これ以上に「良い漫画」を私は読んだことがありません。

直球の王道的展開にして、努力・友情・愛・勝利・冒険などの少年漫画の重要要素をほとんど兼ね備えて、しかも全く押しつけがましくないという、少年漫画の教科書の様な作品。
個人的には小学生の内に読むべき漫画第1位と言っても過言ではないと思っています。

特にポップを通して描写された「勇気」は本当に奥深く描かれていて、今読み直しても感動できます。
まさに勇気をくれる漫画でした。


欠点を挙げるとすれば、作中での時間経過が余りにも短いことはが少し気になりました。
マァムの修行期間がたったの2週間だったり、ヒュンケルは5日間しか山にこもってなかったり、デルムリン島を旅立ってから最終決戦までの日数が3ヶ月足らずだったりする事を考えると萎えてしまうのが残念なところ。

それを差し引いても、まさしく名作といえる漫画でしょう。


余談ですが、「閃光のように」の陰に隠れがちであまり話題に挙がりませんが、個人的に「その瞬間、世界が輝いた」がこの漫画の最大の盛り上がりだと思っています。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-11-28 12:41:26] [修正:2011-06-15 04:30:19] [このレビューのURL]

少年漫画として充分すぎるほどの完成度です。

登場キャラクターも個性的だし、話のテンポも良いし、絵に迫力もある。そして何より読みやすい(少年漫画においてこのアドバンテージは大きい)。

多くの登場人物の過去や背景、必殺技の論理的な説明(かなりトンデモ理屈だけど)もうまく話に盛り込んであるし、作者コラムやファンブック等を読めばその他の様々な設定もとても作りこんであることが伺えます。

また、歴史物はヒットしづらいというジンクスをも破り、時代背景上、どうしても付きまとう様々な制約と非現実的な表現の兼ね合いも中盤までは絶妙なバランスで併せ持っているのも特筆すべき点でしょう。

割とよく言われるように人誅編は少しやりすぎな気もしますが、それでも剣心が導き出した「答」はこの作品を見事にまとめきっていますし、剣心というキャラクターを揺るぎない存在に完成させていると思いますので、個人的には嫌いじゃないです。

名作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-01-27 11:31:36] [修正:2011-01-27 11:50:21] [このレビューのURL]

<<前の10件
12345678