「頭突き串の寿司」さんのページ

総レビュー数: 99レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年09月14日

姉「いかなる人も自分のつむじを生で見ることはできないの」
「あらっ!? ちょっと待って」
「ろくろ首なら見れるわね」
妹「見れないよー」

顔に憂いを浮かべるメーテル的な美人だけどアホ=残念な姉
姉の前ではしっかりしているように見えるでもやっぱりアホ=勿体ない妹
基本この2人がツッコミ不在でボケ倒し
そこはかとなく哀愁が漂うシュール系四コマギャグマンガ。

すでに表紙がこの作品のシュールさを物語っている
姉「待って 目にゴミを入れちゃった」
妹「入れたの!? わざわざ!?」
ともすれば言ってしまいそうなこんなセリフをネタにしてしかも表紙に持ってくる
表紙買いする人を狙っているとしか思えないw

妹が思いを寄せる同級生
姉妹に振り回される妹の担任
個性的な絵を描く画家
ちょっぴりシャイな姉のお見合い相手
姉に冗談を理解してもらえないバイト先の店員
と脇を固めるサブキャラも多彩。
(個人的にはサブキャラは狙いすぎていて姉妹ほど好きになれない)

絵柄もなんかギャグマンガとしては外しているし全てツボにハマった。
単行本は四コマだけでなく、
描き下ろしのマンガやフルカラーで楽しめる特別編などオマケも充実していてボリューミーな内容

表紙で笑った方、是非表紙買いしてください。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-05-02 18:49:28] [修正:2013-03-12 17:27:05] [このレビューのURL]

ほのぼのしててユーモラスでときにブラック
そんな石黒節を見開き2ページに落とし込む
まさに掌編マンガ。

尖った個性に振り回されるでもなくとんでもない事件に遭うわけでもなく
そんなお話は見渡せばたくさんあるんだろうけど
一話見開き2ページで読めちゃう手軽さは他にはない
ここが重要。

ふっとしたときに気兼ねなく読める作品。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-06-26 19:02:34] [修正:2013-03-12 17:19:24] [このレビューのURL]

王族間の派閥争いや煽動者によるデモなど戦争と平和の狭間で起こる国家の事件を描く、架空の歴史・戦記モノ
また少数部隊によるゲリラ戦術や騎兵でのデモ隊鎮圧など少し細かそうなお話も楽しく読めちゃうため
軍記漫画に深く傾倒していなくとも十分に楽しめるのではないかと思う。
もちろんこういうジャンルが好きな方だったら文句なしでオススメできる!


主人公のバルツァー少佐は「実戦時において人格を切り離して理に従うことができる理想的な軍人」である
彼はその強さに憧れ寄ってくる生徒たちの気持ちをむげにしたりしない。
「これは生徒という駒を手懐けているだけだ」と自分に言い聞かせながらも
次第に情を移していく様に親しみやすさを感じる。
このあたりバルツァーが好印象。軍人としてエリートな側面とのギャップ萌え。笑

実際にバルツァーが戦闘に巻き込まれる展開になってきてはいるが、いかんせん強キャラ(そしてお茶目)なので緊迫感は薄い。
その代わり、キレ者のバルツァーがどういう思考で、どういう戦術を用いて敵と戦っていくのか、という視点で見てしまう。(別にシリアスさが足りないからつまらないというわけではなく)

その他にも武器や軍服、背景の描き込み、巻末の設定紹介など
マンガの端々から作品の世界観へのこだわり、作者さんの作品愛が伝わってくる
‘自給自足的マンガ’ではあるみたいだがちゃんと読者も楽しめる。

ただ、軍の士官学校が舞台ということもあり女っ気が皆無(実はいたんだけど)
しかしそこでむさ苦しくならないのは絵柄のおかげか。
絵がうまいんだからかわいい女キャラも見てみたいなーとか思ったり…

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-05-03 18:38:15] [修正:2013-02-28 18:49:06] [このレビューのURL]

藤子F不二雄の「すこし・ふしぎ」をリスペクトした石黒正数をさらにリスペクトしたような感じ、
にちょっぴり百合要素があったり。

金やんと高木さんは近未来の世界で暮らす女子高生。
この2人のゆるゆる、ほのぼのとした掛け合いを楽しむSFファンタジーなんだけど
日常的に出てくるアイテムがどれも面白い。
それこそ四次元ポケッツから出てきそうな。

発想もときどきブラックだったりする。
死んだ人はみんなデジタル化され現実世界に映し出される「デジタル天国」
高校に入学すると同時に一人の友達が組み与えられる「友達選定」
(しかも通信簿には国語・数学などと並んで"友達"の評定が付けられる!)
金やんと高木さんの掛け合いの合間にも
作者の死生観、みたいなものがスッと入ってきてドキッとする。

オチのつけかた、小物の使い方、ちょっとした時系列シャッフルなど
細かいところがそれ町に似てきたかも。
日常にとけ込むSF、テキトーに見えて実は哲学的
そこがつばな先生の魅力だと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-21 16:44:09] [修正:2013-02-25 23:02:05] [このレビューのURL]

7点 外天楼

こういう物語の構成は大好きだがイマイチ拙い印象もする
それともこのB級感が「味がある」と言わしめているのか

それ町でもちょくちょく見かけることがあった、なんでもないような些細な伏線
エロ本を漁る少年たちも滅茶苦茶な刑事も
すべてはひとつの"人間の定義"へと繋がっていた。

3年以上に渡って連載していたなんて…
それだけかけただけのことはあるかも。


石黒先生が言うことにはこのマンガ、『全体的なテーマがエロスです。アガペの対極です。』
加えて『お子さんにもそれ町を読ませてるという親御さんは注意』なんて茶化してるけど
言わんとしてる本当の意味は欠けたものへの愛、ってことでしょう。
芹沢の愛、鬼口の愛、そしてエロ本への愛だって。

なるほどなーと思った。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-21 16:50:47] [修正:2012-07-21 16:50:47] [このレビューのURL]

他人を赦すことは解決になるのか?
いやそもそも"赦す"ことは放棄につながることなんだ、少なくともこの主人公のなかでは。

世の中のなにもかもを赦して生きてきた「わたし」の前に現れたのは
           . . .
もうひとりの「わたし」。
通称「守る会」の活動によって分身は殺されていくけど
この現象はどんどん広がり被害者も増えていく。
そのうちカバンも建物も国でさえも分身していって。
そのすべてをことごとく赦す「わたし」。
最終的には許容範囲を越えてしまったところでとんでもないオチ。
まったくもって許すまじ。


一切を赦すことは無償の愛である
なんてアガペ的な聞こえの良いものではなく「わたし」はとことん世界に向き合っていないだけ
赦すことで事なきを得る
現に「わたし」は生き延びている
生きていくには「赦し」が手っ取り早いということか。


表現はすごい
ギリギリマンガとして成り立ってるくらいのものだけど。
分身を表す記号が星々になってたのには驚いたし
オチでは文字通りマンガの枠をぶち壊した。
独白ばっかで多少ポエムポエムしているので嫌いな人はなかなか嫌うだろう
多分最後までたどり着けないんじゃないでしょうか。


読み終わったところで冒頭の警部の言葉が効いてくる
「想像を超える結末なんてない」
ここにあった。
それともこれはまだ想像の範囲内とでもいうのか。
なかなかメタ的な作品。
読後感なら「凹村」よりこっちのほうがスッキリ
まあぶっ飛んでて比べようがない気もするけど。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-18 18:36:12] [修正:2012-07-21 16:42:20] [このレビューのURL]

身体的コンプレックス、ひきこもり、いじめ、不倫
ダークなテーマを刺々しくときにふんわりと綴ってみせる

女性の繊細さとか大胆さとかを描くのがうまい
それでいてこの作者、男だっていうんだからちょっとびっくり。


女キャラのかわいいこと!
澄ましているときの顔とか良い。
なんで単純な絵なのにかわいく見えるのだろう。
黒丸の目?ちょっとした仕草?
結局のところよく分からないけど。


キャッチコピーにいわく、「ある種の天才あるいは変態」
いやいや、そこは「ある種の天才'かつ'変態」でいいんじゃないでしょうか。
天才はいつだって変態なんじゃないでしょうか。
そんな気がする。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-06-26 19:03:42] [修正:2012-06-26 19:03:42] [このレビューのURL]

農業高校に入りながらも自分には将来の夢がないとウジウジしたり
都会と違う大自然での生活に翻弄されたり
そんな中で生きることについて学んでいく八軒には清々しさを感じる
一歩ずつ止まって悩んで「それっぽくまとめられる」のでは満足できない
牛歩でもしっかりと進んでいく

フィクションではない分現実にもこんな生活を送っている同世代の学生がいるのだろうなと
八軒の目線で読むといろいろと思うところがある

ハガレンにおいてあいさつと感謝の言葉を入れるよう心がけた荒川先生
エドとアルは旅の途中で出会う人たちとのつながりを大切にしてきた
そしてこれからさまざまな形で生き物の命と出会い別れていくであろう八軒
そこには「いただきます」「ありがとう」という同じ命に対する感謝やあいさつを
変わらず大事にする主人公の姿が描かれるはずである
そう、前作が「人間賛歌」のマンガであったとすれば
今作は家畜を含む「生き物すべてへの賛歌」なのだろう


また(個人的に)気になるタイトルの「銀の匙」とは
silver spoonとは「裕福な家に生まれる」という慣用表現であるが
これは八軒の家庭を示唆するものなのか
それとももう一つの意味である「よい星の下に生まれる」として使われているのか
作品の中で詳しく語られることはまだないがこの先テーマとなっていくのかもしれない

「あの荒川弘の最新作」というネームバリューだけで評価される部分は多い
内容が評価されるにはまだまだだがきっとこの人ならまた素晴らしいマンガを描くだろう
と、やっぱり「あの荒川弘」だから期待してしまいます。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-01-20 17:46:44] [修正:2012-06-03 19:03:50] [このレビューのURL]

7点 ねじ式

この作品を初めて読んだのは或る大型中古本販売店で
何とは無しにつげ義春全集を手に取ったときだった
内容はとにかく不可解だがインパクトは絶大
それから少しして文庫版があるのを見つけたので思わず購入したのです

エンターテイメント性、メッセージ性 肩の力を抜いて読めるモノ続きが気になってつい何度も読み返すモノ
読んで感動したり自分も頑張ろうって思えたり
マンガというものには様々な面がある じゃあこれは?分類不能の理解不能どの面にも当てはまりそうにない
夢で見たことが元になっているという点では「夢十夜」のようであるし鉄路や機関車、狐のお面などからは「銀河鉄道の夜」が連想される
文学的といわれるのかもしれない

清水正氏の『つげ義春を読む』という本を一読したことがある
「ねじ式」についてのレビューはなんとも書くのが難しく以下氏の本からの受け売りになってしまいますがあしからず。
その本は「ねじ式」を1コマずつ考察していくもので主人公はオイディプス的野望の実現を図ろうとしているという論を中心として書かれていた(オイディプス的野望とは父を自らの手で殺し、実の母と交わろうとすることらしい)
つげに言わせればデタラメな思い付きの創作がほとんどらしいのだが清水氏の文には明らかに考えすぎな解釈だと思われるものも含まれていた
しかしひとつだけ面白いと思ったのはメメクラゲについての話だった
生原稿の段階では「××クラゲ」だったものを「メメクラゲ」に誤植したことで「女々」つまり女性的であることを象徴するものに変わったというのだ
ここで真相を明かしておくと実はつげは校正の段階でこのミスに気付いていたらしいのだ
編集者が××をメメだとした勘違いを「そっちの方が作品に合っている」と校正ミスを新しく作品の力にしてしまったという話だ

つげが心理的な分析を嫌うように
たしかにこの作品の前では「難解である」とか「これはこういうことを暗示していて」みたいなことを語るのはナンセンスなのだろう
このテの漫画はやったもん勝ちみたいなとこがあるのかもしれないがとにかく「ねじ式」が自分に与えた漫画としての印象は大きいと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-03-29 16:46:46] [修正:2012-03-29 16:51:24] [このレビューのURL]

東京で働く母と離れ田舎の祖母と二人で暮らすことになった小学生・のどかは
可愛くて勉強もできるけれど実はいじめられていた過去を持ち、
新しい学校でも友達ができない残念な子。
そこへ彼女にしか見えない妖怪"やまちち"が現れ友達つくりに協力するかわりに
自分の名前の「検索数」を上げろと要求してくる。
こうしてお互いの目的達成のためネガティブ少女とマイナー妖怪という奇妙なコンビ生活が始まる。

一話完結でサクッと進む
話は基本的に残念なのどかのクラスの子たちとの交流を中心に
やまちちの下ネタ、パロディ満載で進む
途中のコマで絵柄が変わったり細かいボケを挟むなど読んでいて飽きさせない。

どこまでも純粋なのどかによってやまちちの下ネタが変に作用したり、と
設定共々いろいろと斬新。
クラスに馴染めないのどかがやまちちの前でだけ見せる素顔がかわいい。

とにかく一巻でハマって、二巻を楽しみにしていたのだが
買ってびっくり連載が終わっていたとは。
打ち切りだったみたいでラストも微妙なのが何より'残念'。
ギャグも一巻のほうが笑えたかなー
一番好きなのは「ルパ●はとんでもナイものを盗んでいきました!!」のネタ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-12-27 23:02:44] [修正:2011-12-27 23:02:44] [このレビューのURL]