「頭突き串の寿司」さんのページ

総レビュー数: 99レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年09月14日

8点 魔女

ひたすら感覚で読むマンガ。
作者の魂とかなんかそういうものがひしひしと伝わってくるのを感じる。
圧倒的な筆致で描かれるのは魔を潜ませる女性という生き物
女性が持つ力というのはとても大きく、なんだか"生の源"的なものがあるのだと思う。
女性が魔の力を持っているということ
おそらくそこに意味があるのだろう。

「世界には光や熱だけではなく臭いもある。味も、音もある。 重さも、湿度も……」
このセリフはまさに作品自体を表している。
マンガからは視覚で視える以上のものを感じることもあると。
だから読む側としても「その全てを、あるがまま感じるために」裸でなければならない。
「視る準備はできている?」と語りかけられているように感じる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-03-29 16:56:56] [修正:2013-03-18 17:08:36] [このレビューのURL]

まさにこの世の縮図を描いたような。

ギャンブルは緊迫感に満ちていて
セリフには深みがあって。

ざわざわした妙なテンションや独特の絵柄もクセになる。

「人は仮になど生きていないし仮に死ぬこともできぬ」
名言だ…

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-03-29 17:48:56] [修正:2013-03-18 17:04:33] [このレビューのURL]

飛び方を忘れたペコ
ヒーローを見失ったスマイル
才能に悩むアクマ
勝ちを宿命付けられたドラゴン
報われないチャイナ
それぞれの心理が見事に伝わってくる。

チームスポーツの選手には分からないような個人スポーツとしての心理だ。

松本大洋の絵は独特。
普段は黒塗りの目がアップになるときとか鳥肌が立ってしまう。
試合のときのコマ割りや効果線、影の付け方だったり擬音にいたるまで
演出もすごい。
流れるようなコマの運びは映像を見ているよう。

ここに書くことじゃないけど、映画では窪塚洋介の演技がハマっていて
ペコの顔や特徴あるセリフもマッチしていた。
マンガ原作でも成功した作品のひとつだと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-03-29 18:34:32] [修正:2013-03-18 17:04:08] [このレビューのURL]

戦災復興をストーリーの中心に据えているのはなかなか珍しい。
戦争の終わり=誰もが望んだ平和 とはならない
貴族、軍人、その他の平民にはそれぞれの立場があり
その格差が招く不和をどうにかして乗り越えていく。

内容については登場人物それぞれの思惑や信念が描かれ交差する点では、
ハガレンに通じるものがあるかなと。
裏を返せば、登場人物が多いので
国や軍、敵組織などのストーリーを描かなくてはならなくなるため
話の全体が分かりにくくなることも。
それでも緻密でよく練られたストーリーを描き続けられるのはすごいと思う。


ただ、絵が残念。
顔のパーツがおかしかったり
マーチスの前髪がホラーになったり
背景がときどき白くなったり
序盤では下手さが顕著。
そして下ネタは読んでてしらけるのでいらないような気も…

各章ごとのテーマもはっきりしているのだが
やはり大きなテーマは「戦争復興とは?そしてその終わりとは?」といったところ。
大筋には数々の伏線も残し、終わりが見えない!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-04-17 18:41:43] [修正:2013-03-18 17:01:46] [このレビューのURL]

「ラクロス部に入りませんか?」
「ラクロスって何ですか?」
ガールミーツラクロスなマンガ。

昨今のマイナー競技ブームの中にあって若干埋もれているような本作。
マイナー競技ものの利点として見慣れないものを見るときの楽しさというものがあるので、変なヒネリは要らない
恥ずかしいくらい純粋で熱いセリフを吐く直球・王道のスポ根。
女の子が頑張る姿を描けば正解でそれが正義なのだ。


1チーム12人という大所帯のなかで味方チームにモブキャラはおらず、
ひとりひとり個性的である(少し古くさいキャラもいるけど)
そして何より魅力的なのが敵チーム。
一応九州が舞台ではあるが、全国レベルかと見紛うほどに強豪が多くまたそれぞれの戦いにドラマがある。
この先全国大会まで続けるのだとしたらこれ以上に個性的なキャラやチームを描いていけるのか心配。っていうぐらい今の試合展開はアツい。


ラクロスについては、最初は基本的なルール説明だけ。
試合のなかで順を追って説明が入るので分かりやすい、
のだが、マイナー競技なだけに試合のなかでの動きはなかなかイメージしにくい。
1コマ1コマ選手が動く度に状況説明が入ってしまうので「地上最速の格闘球技」と謳われている割には、ラクロスの魅力・スピード感を存分に伝えきれないのが残念。
ここは動き込みで観たいので是非アニメ化してほしい。アニメになったら絶対ブームが来る、と思う。
作者さんの「ラクロスをメジャーにしたい!」という気持ちも汲んで…。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-03-12 17:52:56] [修正:2013-03-12 17:52:56] [このレビューのURL]

今井哲也というマンガ家はすごい計算高いのだと思う。
ストーリーテリングが上手い、というとまたちょっと違うのだけど
断片的にある描きたいことを道筋立てて丁寧に組み立てていく。

この作品で描きたいことのひとつには高校に入って体験する"世界の広がり"っていうのがあるのかなと思って。

クラスや部活などの学校内にプラスしてOBや友達の家族など学校外でのつながりを描けるのは高校だけなんじゃないかな。
(舞台が例えば小中学校だったとしたら作者が次に描いた「ぼくらのよあけ」のように学区という狭い地域に縛られる)
高校を舞台とした物語は数えきれないほどあるけれど、その舞台設定を余すところなく使い切っているのがこのマンガ。
自分の周りの世界がパーッと開けていく様が丁寧に組み立てられていくのだ。

あとは肉付けとして、
より多面的に描くための2人の主人公。
作中で繰り返し出てくる小物。
登場人物たちのセリフ。
完璧ではないハッピーエンド。
そこらへんもたぶん計算して描いている。

ただ、「ぼくらのよあけ」のほうでも書いたけど
この作者の書く会話文は慣れるまでだとちょっと読みにくい。
普通ならカットしちゃうような話し始めの言葉とかを意図的に残している。
でもそれは文字として読むから違和感があるのであって、実際にはリアルな会話文だったりする。


主人公は2人いるので単なる部活ものではなく、もちろん日常を装ったキャラ萌えでもない、これはリアルな青春ストーリーだ。
もっと評価されていい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-03-12 17:49:33] [修正:2013-03-12 17:49:33] [このレビューのURL]

8点 予告犯

社会に潜む‘行き過ぎた行為で弱い立場の者から自尊心を奪う連中’に
正体不明の男が制裁を加えていく
それに同調するネットユーザーたち
かたや見えない相手を追う警察側

賛否両論を生む現代のテロリズム
あえて例えるならネット社会版デスノートといった感じか。
でもデスノのように追う側追われる側の頭脳戦という感じではないし、
やっぱり例えるのは少し違ったかも…


最初に絵についていうと、
連載環境が整っていなかったということもあり
雑誌掲載時にはやや淡白だった背景も
単行本だと加筆修正されているので問題なし。


一巻の最後にあたる7話を初めて読んだときの衝撃が忘れられない。
立場の弱い者は結束すれば力を発揮する
でもこの方法は正しいのか?
ほかのやり方はないのか?
‘正体不明のシンブンシ’を見ているとそんな疑問も浮かんでくる

何が正義で何が悪なのか?
たくさんの情報が錯綜し
取り上げられては捨てられていく今の情報消費社会
そのなかで答えを見つけることは叶わない。


普遍的なマンガって数あるわけではなく。
このマンガは社会で問題になってるあれやこれやをテーマにするような
これまた決してよくあるようなマンガではないわけだけど
そういうカウンター的な作品は、今、読むべき。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-05-24 19:11:31] [修正:2013-03-12 17:25:00] [このレビューのURL]

ドリフターズでヒラコーという人物を知った。

クロスオーバーというモチーフ自体はどこにでもあるもんなんですね。
小説映画ゲームから、あとアメコミには多いらしく。(アベンジャーズ大人気)
私としては某コーエーの某OROCHIを想起した。
歴史上の人物に加えてエルフゴブリンドラゴンまで出てくれば面白くないわけがない。

ヘルシングは身も蓋もない言い方をしてしまえば「勢い」だけ
一方本作には知将ハンニバルに陰陽師の安倍晴明、ワイルドバンチ強盗団が持ち込んだ銃に心を奪われる信長(結局ガンか)などなど
国も違えば時代も違うので戦いの幅が広がりそう。

あとはドイツ語もそうだったけど薩摩の方言はもっと仰々しくて、これまたアクセントになってて良いと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-11-05 00:45:23] [修正:2013-02-28 18:58:36] [このレビューのURL]

このひと長編(中編か)もいい!
伏線も張ってあり落としもしっかりしている
独特のコマ割りから生み出される間も健在

新しい演出にも手を出し
影絵とか面白いんだけど
ラスト数ページのミュージカルみたいにしたのは
ちょっとやり過ぎかなと思ったり。
でもオチとの落差は凄まじいのだった。


今巻のお話でもバイオレンスシーンがある
これがやっぱりどれもシュールで笑ってしまう。
この絵柄で確信犯なのか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-06-26 19:05:26] [修正:2012-07-18 18:42:24] [このレビューのURL]

シンプルなコマ割り、時々入る説明口調
でも決して受け身にならない、不思議と物語に入っていける。

日本語訳のない原書を読み解いていくという気の遠くなるような作業
不定期ながらも週刊でやろうという熱意が素晴らしい!

最初のほうこそ
アンジェロが物語を進めるためだけに動くドジっ子なところがあった
架空の人物としてしょうがないところではあるけど…

チェーザレも魅力的なんだけど
やっぱりこの時代だと他にも見知った名前も多い。
ダ・ヴィンチ、コロンブス、ミケランジェロらのキャラクターが面白い。
ここらへんも史実とフィクションのバランスをとってキャラを作っているのだろう。大変だな…

そしてカラーページが綺麗すぎる。
システィーナ礼拝堂を復元してしまうのと同じ手で描かれる青アザがすごい…w


サブタイトルの「破壊の創造者」なんて物騒な展開はまだ鳴りを潜めているが
物語としてはまだまだ序盤だろう。

お勉強にも最適。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-18 18:41:02] [修正:2012-07-18 18:41:02] [このレビューのURL]