「頭突き串の寿司」さんのページ

総レビュー数: 99レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年09月14日

まさにがらくたの山というような。

主人公(小学生)・姉(中学生)・兄(大学生)それぞれの友達関係を群像劇的に描く
田舎の田園風景のなかでの物語は基本一話完結型で、主人公リントの目線に立ち返ればジュブナイルとも言える
と、いうのが一応の体裁。

というのも、このマンガの真の魅力は
登場人物たち(に喋らせる作者)のオタクっぷり
にある。

小ネタという枠には収まりきらないようなキモオタ要素には目が眩むものの、
「これなんかに使えるんじゃないの」とか言ってがらくたをかき分けていくような
例えるならやったことのないゲームの攻略本とかを読む感じ。
「断片的に攻略法を辿っていくうちに楽しそうだなーって思うんだけど、でもプレイしないことにはその楽しさを味わえない!」みたいな。
小さいときに全く知らないゲームの攻略本をめくっていたような私にはこの作品もかなり楽しめました。

語られるネタとしては
アニメ、民俗学、自転車、野球からレコード、料理など
と書けば食らいつく人はいるでしょうが、この作品においてはそれぞれ
アニメーター(作画)、地方のお祭り、MTBのコーナリングの技術、変化球の理論、フォノイコライジングプリアンプ、完璧な炒飯の作り方
といった感じに一歩踏み込んだ(?)断片的なネタになってしまうので雑学ともまた違ってくる。


これがまた妙な中毒性を持っている。
いくら読んでも分からないものは分からないんだけど。
唐突に語りだす作者の暴走自己チューっぷりにうんざりするか、
もしくはマニアックさにツッコミを入れながらでも楽しめるか、
どちらか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-03-29 17:34:25] [修正:2013-02-28 18:57:20] [このレビューのURL]

王族間の派閥争いや煽動者によるデモなど戦争と平和の狭間で起こる国家の事件を描く、架空の歴史・戦記モノ
また少数部隊によるゲリラ戦術や騎兵でのデモ隊鎮圧など少し細かそうなお話も楽しく読めちゃうため
軍記漫画に深く傾倒していなくとも十分に楽しめるのではないかと思う。
もちろんこういうジャンルが好きな方だったら文句なしでオススメできる!


主人公のバルツァー少佐は「実戦時において人格を切り離して理に従うことができる理想的な軍人」である
彼はその強さに憧れ寄ってくる生徒たちの気持ちをむげにしたりしない。
「これは生徒という駒を手懐けているだけだ」と自分に言い聞かせながらも
次第に情を移していく様に親しみやすさを感じる。
このあたりバルツァーが好印象。軍人としてエリートな側面とのギャップ萌え。笑

実際にバルツァーが戦闘に巻き込まれる展開になってきてはいるが、いかんせん強キャラ(そしてお茶目)なので緊迫感は薄い。
その代わり、キレ者のバルツァーがどういう思考で、どういう戦術を用いて敵と戦っていくのか、という視点で見てしまう。(別にシリアスさが足りないからつまらないというわけではなく)

その他にも武器や軍服、背景の描き込み、巻末の設定紹介など
マンガの端々から作品の世界観へのこだわり、作者さんの作品愛が伝わってくる
‘自給自足的マンガ’ではあるみたいだがちゃんと読者も楽しめる。

ただ、軍の士官学校が舞台ということもあり女っ気が皆無(実はいたんだけど)
しかしそこでむさ苦しくならないのは絵柄のおかげか。
絵がうまいんだからかわいい女キャラも見てみたいなーとか思ったり…

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-05-03 18:38:15] [修正:2013-02-28 18:49:06] [このレビューのURL]

藤子F不二雄の「すこし・ふしぎ」をリスペクトした石黒正数をさらにリスペクトしたような感じ、
にちょっぴり百合要素があったり。

金やんと高木さんは近未来の世界で暮らす女子高生。
この2人のゆるゆる、ほのぼのとした掛け合いを楽しむSFファンタジーなんだけど
日常的に出てくるアイテムがどれも面白い。
それこそ四次元ポケッツから出てきそうな。

発想もときどきブラックだったりする。
死んだ人はみんなデジタル化され現実世界に映し出される「デジタル天国」
高校に入学すると同時に一人の友達が組み与えられる「友達選定」
(しかも通信簿には国語・数学などと並んで"友達"の評定が付けられる!)
金やんと高木さんの掛け合いの合間にも
作者の死生観、みたいなものがスッと入ってきてドキッとする。

オチのつけかた、小物の使い方、ちょっとした時系列シャッフルなど
細かいところがそれ町に似てきたかも。
日常にとけ込むSF、テキトーに見えて実は哲学的
そこがつばな先生の魅力だと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-21 16:44:09] [修正:2013-02-25 23:02:05] [このレビューのURL]

女子高生の綾子はある日、謎の天才科学者によって2人に分裂させられてしまう。
最初こそ戸惑うものの、この奇妙な状況を両親にだけ打ち明けるとあっさりと受け入れられる。
その後はうっかり学校に2人で行ってしまったり
片方が内緒で憧れの先輩とデートしたり
これまた2人に分裂した天才と元に戻る方法を探したり。
そうこうするうち次第に分身に対する疑問が生じてくる
どちらが本物で、どちらが偽物なのか…
物語全7話を前後に分けるならここまでが前半。

後半では、過去に戻ってしまった片割れの綾子が
起きた事実を変えることなく、死んでしまった姉を助けようとする。
分裂しても姉を思う気持ちは変わらなかったのだ。


綾子は姉の死を一度受け入れ、未来を変えようとする
そこには「過去の出来事は変えられない、パラドックスは起きない」という設定がある。
タイムリープモノとして珍しい設定にしたところが良かった。

逆に残念なのは2人の綾子についてはなんだかあっさりと決着がついてしまい、
最後の姉との再開も一瞬だったところ。
連載期間が長かったせいもあるのか、
後半のテンポが早くなってしまいさらにもったいない。


「普通は笑えないようなことも、フッて笑えてしまうように表現できたなら」。
作者の魅力全開の不思議で優しい物語。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-21 16:43:14] [修正:2012-07-21 17:52:08] [このレビューのURL]

7点 外天楼

こういう物語の構成は大好きだがイマイチ拙い印象もする
それともこのB級感が「味がある」と言わしめているのか

それ町でもちょくちょく見かけることがあった、なんでもないような些細な伏線
エロ本を漁る少年たちも滅茶苦茶な刑事も
すべてはひとつの"人間の定義"へと繋がっていた。

3年以上に渡って連載していたなんて…
それだけかけただけのことはあるかも。


石黒先生が言うことにはこのマンガ、『全体的なテーマがエロスです。アガペの対極です。』
加えて『お子さんにもそれ町を読ませてるという親御さんは注意』なんて茶化してるけど
言わんとしてる本当の意味は欠けたものへの愛、ってことでしょう。
芹沢の愛、鬼口の愛、そしてエロ本への愛だって。

なるほどなーと思った。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-21 16:50:47] [修正:2012-07-21 16:50:47] [このレビューのURL]

いろいろとうまくいかない、10代女子を中心としたオムニバスショート
基本的に
 ちょっと変わったコミュニケーションをとる女の子の日常が最後まで続く
のだけどなかには
 ちょっと変わったコミュニケーションをとる女の子の日常が続くと思いきや最後にどんでん返しをくらう
という爆弾が混じっている

とくに後者のパターンのオチがこの作品の魅力。
軽く笑い飛ばせるものだけでなくちょっとゾッとするものもあり、
こういうところは少年誌のレベルを超えているような印象。
そして作者が数ページでできることを心得てるというか。
最後のページを開くまで物語がどう転ぶか分からない。

圧倒的に後者のほうが面白いわけだけど
それは前者のような"べつに心がざわつくわけでもない"話があって初めてそのなかで光るから
週刊連載の結果かもしれないけど単に奇を衒ったような話ばっかりではなく
ありがちな話もこの人なりの描き方で挟んでくるのはアリ。

際立った我を持ついかにも人間的な登場人物たちは(萌え絵も相まって)
もれなく全員好きになってしまう。
ただ、"強がる女子"がワンパターンな気もする。
そういうキャラが作品の特徴でもあるんだろうけど。


新人だとか1巻は発売翌日に重版しただとかチャンピオンの懐の深さだとか
なんだか色々言われているけどまあ一度読まないことには。
一話ごと読みきりのはずなので本誌で試し読みするのが良いかも。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-21 16:49:36] [修正:2012-07-21 16:49:36] [このレビューのURL]

どこぞのラノベにありそうな目立つタイトル(もうこういうタイトルやめない?)
に違わぬイタイ女子が主人公
下を見て笑うのは実際シュミ悪いけど、
まあマンガということなら許されるでしょうか。
喪女がモテようと悪戦苦闘する姿はどこかで可愛く見えてしまうから不思議。

毒舌(主に脳内での)や下ネタが笑える。
絵は下手かな…
妄想してるときの笑い顔とか毒舌を吐く(ただし脳内で)ときの顔が不気味に見えるw

感情移入できたらもっと楽しめるだろうなと思うけど
そういう人は読んでて余計に辛くなるだけかも?


それにしてもこの作者、原作(男性)と作画(女性)の2人組だったとは。
ちょっと意外。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-21 16:46:21] [修正:2012-07-21 16:46:21] [このレビューのURL]

他人を赦すことは解決になるのか?
いやそもそも"赦す"ことは放棄につながることなんだ、少なくともこの主人公のなかでは。

世の中のなにもかもを赦して生きてきた「わたし」の前に現れたのは
           . . .
もうひとりの「わたし」。
通称「守る会」の活動によって分身は殺されていくけど
この現象はどんどん広がり被害者も増えていく。
そのうちカバンも建物も国でさえも分身していって。
そのすべてをことごとく赦す「わたし」。
最終的には許容範囲を越えてしまったところでとんでもないオチ。
まったくもって許すまじ。


一切を赦すことは無償の愛である
なんてアガペ的な聞こえの良いものではなく「わたし」はとことん世界に向き合っていないだけ
赦すことで事なきを得る
現に「わたし」は生き延びている
生きていくには「赦し」が手っ取り早いということか。


表現はすごい
ギリギリマンガとして成り立ってるくらいのものだけど。
分身を表す記号が星々になってたのには驚いたし
オチでは文字通りマンガの枠をぶち壊した。
独白ばっかで多少ポエムポエムしているので嫌いな人はなかなか嫌うだろう
多分最後までたどり着けないんじゃないでしょうか。


読み終わったところで冒頭の警部の言葉が効いてくる
「想像を超える結末なんてない」
ここにあった。
それともこれはまだ想像の範囲内とでもいうのか。
なかなかメタ的な作品。
読後感なら「凹村」よりこっちのほうがスッキリ
まあぶっ飛んでて比べようがない気もするけど。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-18 18:36:12] [修正:2012-07-21 16:42:20] [このレビューのURL]

このひと長編(中編か)もいい!
伏線も張ってあり落としもしっかりしている
独特のコマ割りから生み出される間も健在

新しい演出にも手を出し
影絵とか面白いんだけど
ラスト数ページのミュージカルみたいにしたのは
ちょっとやり過ぎかなと思ったり。
でもオチとの落差は凄まじいのだった。


今巻のお話でもバイオレンスシーンがある
これがやっぱりどれもシュールで笑ってしまう。
この絵柄で確信犯なのか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-06-26 19:05:26] [修正:2012-07-18 18:42:24] [このレビューのURL]

シンプルなコマ割り、時々入る説明口調
でも決して受け身にならない、不思議と物語に入っていける。

日本語訳のない原書を読み解いていくという気の遠くなるような作業
不定期ながらも週刊でやろうという熱意が素晴らしい!

最初のほうこそ
アンジェロが物語を進めるためだけに動くドジっ子なところがあった
架空の人物としてしょうがないところではあるけど…

チェーザレも魅力的なんだけど
やっぱりこの時代だと他にも見知った名前も多い。
ダ・ヴィンチ、コロンブス、ミケランジェロらのキャラクターが面白い。
ここらへんも史実とフィクションのバランスをとってキャラを作っているのだろう。大変だな…

そしてカラーページが綺麗すぎる。
システィーナ礼拝堂を復元してしまうのと同じ手で描かれる青アザがすごい…w


サブタイトルの「破壊の創造者」なんて物騒な展開はまだ鳴りを潜めているが
物語としてはまだまだ序盤だろう。

お勉強にも最適。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-18 18:41:02] [修正:2012-07-18 18:41:02] [このレビューのURL]