「チーズカバオ」さんのページ

総レビュー数: 75レビュー(全て表示) 最終投稿: 2017年07月23日

[ネタバレあり]

ガンアクションとしては秀作。アクション、台詞回し、雰囲気作り、キャラや設定と、どれも好きな人には堪らない魅力がある。
でもなんだろう、これだけの素材が揃っているならもうちょっとシンプルに痛快なプロットで読ませてほしいと思う時もある。
Greenback Janeのようなシナリオを増やしてもらいたいが、そもそも安定した連載がされないので、気楽に読めるエピソードが増えなさそうなのが残念。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2021-10-03 23:11:48] [修正:2021-10-03 23:11:48] [このレビューのURL]

魅せ方のセンスがある。熱い。
長期連載の少年漫画の例に漏れずキャラが増えるに連れてテンポが悪くなってきている場面も散見されるが、増やしたキャラにもちゃんと物語上必要な役割を与えられることが多く、作者が綿密な作品創りをしていることがうかがえる。
計算されたプロットと、ここぞという時のセンス任せの爆発力のバランスがとても良いと思う。

ちなみに、個人的にはこの作者のセンスは内藤泰弘に通ずるものがあると感じている。彼の作品が好きな人は、なんとなくハマる気がする。

(追記)戦争編以降面白くなる一方で、着地次第ではジャンプ史に名を残す大傑作となる可能性を感じる。点数は暫定で8点だが、まだ伸びるかもしれない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-01-18 14:59:15] [修正:2021-10-03 22:50:51] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

るろ剣大好きだし、作者のあとがきで昔言及していたシリーズを執筆してくれたことは嬉しい。懐かしのキャラ総出演の同窓会的な雰囲気で、得体の知れない新たな敵と最北の地でぶつかり合うシチュエーションも燃える。
でも流石にテンポがおかしい。月間且つページ少なめ且つ休載多いため掲載ペースがありえないほど遅い上に、1話あたりの密度も薄い。昔のるろ剣と比べると泣けてくるほど話が進まない。正直完結させる気迫を感じない。
いっそSQライズあたりで季刊連載にし、内藤泰弘とセット運用した方が、作者のモチベーション的にも雑誌の盛り上がり的にもプラスになるような気がする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2021-10-03 19:29:50] [修正:2021-10-03 19:29:50] [このレビューのURL]

作品を構成する専門用語の多さやビジュアルも相まって、そこらへんのSF映画より説得力のある「本格派SF」。リアルさとハッタリを超高レベルで両立している。
作者の拘りや哲学が明らかに意識高い系なのが若干引っかかるところだが、そうでなければこの作品は成り立たなかっただろう。
続編に繋げられるよう結末を改変したバージョンが主流となっているが、本作のみで完結する初期プロットのストーリーがベストだと思う。というか、これほど完璧な物語を捻じ曲げてまで描くほどの続編だとは言い難い気がする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2021-01-07 22:19:12] [修正:2021-01-07 22:19:12] [このレビューのURL]

夏目義徳の個性を活かしつつ、サンデーの読者層にもウケそうな作品を創ろうとしたのだと思う。
低年齢層向け雑誌になっていた当時のサンデーでは藤田や皆川がニーズに合わなくなりつつあったので、ワンチャン狙いで夏目にニッチ且つポップな作品を描かせた結果、どっち付かずの煮え切らない感じで終わってしまった感は否めない。

連載前半はセンターカラーが多かったり、読者プレゼント企画も頻繁に行われていたり、単行本のカバーが当時は特別感のあったサラサラ仕様だったりと、編集部も精力的にプッシュしていたことがうかがえる。
このことから考えると、恐らくニッチ系枠復権の起点に成り得た、割と重要な作品だったと思う。
実際、そのジャンルにおける名作の定石に能力者バトル要素を足した手堅い作りで、そこそこいけそうな雰囲気はあったのだが…

もう少し夏目の持ち味を開放していれば、トガリに匹敵する佳作にはなっていたはず。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-12-17 08:40:00] [修正:2020-12-17 08:51:39] [このレビューのURL]

何度でも、一生読める漫画。
ふとした時に、自然に手に取って一話読んでしまう。
「生きること」そのものが漫画という形になっていて、根源的な本能にすっと寄り添ってくれる感じ。
文字でこの感覚は伝えられない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-11-13 08:09:24] [修正:2020-11-18 12:07:51] [このレビューのURL]

7点 D-LIVE!!

皆川亮二の超画力を極めてシンプルなコンセプトで楽しめる。
バトルを描ける漫画家はたくさんいるが、リアルなアクションをこんなに格好良く描ける漫画家はそうはいない。
「漫画の面白さに重要なのは画力でなくストーリー」という人をたまに見かけるが、ストーリーがいかに優れていても画力(コマ割り等の演出技術含む)が高くなければ描けない面白さも確実に存在することを、本作を読めばお分かり頂けるのではないだろうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-11-17 23:32:42] [修正:2020-11-18 11:54:17] [このレビューのURL]

7点 トガリ

出す時代が早すぎた、又は遅すぎた不運な名作。

本作は藤田和日郎や師匠である皆川亮二の作品に通じる、90年代前半のサンデーの名作アクション漫画に近い趣きがあった。そして、そういった作品を好む読者からは一定以上に評価された、硬派な王道ピカレスクアクション作品だった。
特に魅せゴマの作り方や、主人公の葛藤の描写は秀逸で、ところによっては師匠以上のセンスを発揮していた。

だが、不運にも発表された時代が悪かった。
当時はサンデー誌面のカラーが低年齢層化する過渡期であり(固定ファンの多い藤田や皆川作品の読者も年齢層が高まり単行本派にシフトしていった時期で、本誌では基本的に後ろの方に掲載されていた。本誌のメイン読者層にはバイオレンスアクションより、ガッシュやうえきの法則等の、低年齢層向けのポップなバトル漫画がウケていく時期だった)、本作の優れた部分が当時のサンデー読者にイマイチ評価されないまま打ち切りという憂き目を見ることとなった。

もし発表される時期が、進撃の巨人等のヒットを受け漫画のアプローチが多様化した現在であれば、もしくは藤田や皆川等が最前線でブイブイいわせていた90年代前半から中頃であれば、世間での評価は大きく異なったのではないかと思ってしまう。

なお、打ち切りの約10年後にフラッパーに連載の場を移し無事に完結しているのだが、その頃には夏目義徳が漫画界の荒波にもまれてセンスが衰えてしまったように思える。
個人的にはやはり打ち切られずに、当時の勢いのまま完結させてほしかったという無念が残った(それでもラストは非の打ち所のない、完璧なものだったが)。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-11-13 09:56:38] [修正:2020-11-17 13:00:36] [このレビューのURL]

キャラ萌えの到達点と呼べる傑作。
登場キャラクターの造形や設定の魅力が、漫画創りにおいてどれほど高いアドバンテージを持つかということを実感させられる。
長編バトル回のストーリー構成や迫力はイマイチだったが、それでも良牙やムース等が活躍してるというシチュエーションだけでそれなりに成り立っているのも、キャラの魅力の高さ故だろう。


それと、作品の評価とは直接は関係無いが、高橋留美子作品の議論でたまに見られる、「特定のヒロインを執拗にディスる読者」はどうなんだろうか。

「○○が嫌いだから楽しめない」とか、「○○が出たら△△だから面白くなくなる」とかならレビューとしてありなのだろうが、
「○○が嫌いだから、メインヒロインを代えればもっと面白くなる」的な素っ頓狂な意見を述べたり、グッズの話を持ち出してまで必死に特定のキャラを下げる人が、作品を真っ当に評価できるとは思えない。

ましてやラブコメなど主人公とヒロインの関係性が作品の魅力の礎であり、人気を博している作品はこの要素がしっかりしていて、多数の読者はその部分も楽しめているという証明でもあるのだ。
この礎の部分が合わないのであれば、それは作品の本質を楽しめていないとも言えるだろう。(逆に言えば、本質を楽しめていなくても、一部のキャラの魅力でファンを獲得できる作品であるとも言えるが。)

ここで触れているメインヒロインはあかねのことだが、あかねが好きだから読み続けて、あかねのメイン回ばかり何度も読み直す人もたくさんいる。
少なくとも自分は、仮に許嫁がシャンプーとかだったとして、これ以上面白くなったとは思わん。
らんまとあかねの物語だから、これほどまでに愛しいのだと思う。

あかねをディスるレビューを見かけたからムキになって長々述べたが、これも本作のキャラの魅力の高さを物語っているということだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-09-23 07:53:13] [修正:2020-09-23 16:04:19] [このレビューのURL]

この作者の気難しさや妙なこだわり、多岐に渡るオタクとしての知識と教養、そしてナチュラルに中二な感性が見事に作品に反映されている。

テーマや描写はかなり陰鬱としていて当時のジャンプ漫画らしからぬ要素が多数見られたが、それでもやはり作者のこだわりや少年漫画家としての意地で、最後までジャンプ作品らしさを保っていたことが素晴らしい。
また、剣心が見いだした「答」は他のジャンプ漫画の主人公の先を行ったと思う。

ちなみに、この作品で個人的に一番すごいと思うポイントは、「情景の描き方」だと思う。なんというか、この漫画の中の人々は確実に生きていて、意思をもって生活を営んでいるような空気感があるような気がする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2019-08-22 20:52:30] [修正:2019-08-22 20:53:46] [このレビューのURL]