「チーズカバオ」さんのページ

総レビュー数: 75レビュー(全て表示) 最終投稿: 2017年07月23日

2点 ONE PIECE

アラバスタまでなら面白いが、その後はどうしたという感じ。
ストーリーも作画もキャラクターもセリフも兎に角グチャグチャに盛り込んだ、ヘンテコで煩雑な漫画になり果てた。
喩えるなら、ヤシの実をくり抜いた器に、オムライスとカレーとラーメンとシチューとハンバーグと唐揚げとアイスクリームとチョコを入れて、その上にマヨネーズをぶちまけて、ポッキーを突き刺して海賊旗を付けたような感じ。


【追記】
最近のワンピースの醜態は目に余るものがある。
もはやつまらないとかそういうレベルではなく、作品としての品性まで失いつつある。

バスターコールプロジェクトや、尾田栄一郎に忖度したであろう鬼滅最終巻の発行部数の件(初版発売前に重版手配済みという、意味不明な状況。仮に印刷のキャパの関係があるとしても、初版分でもう少し刷ることは出来るだろう。)など、
手段を選ばずワンピースをNo.1にしようとするムーブは明らかに異常で醜悪である。

もちろんこれらの件に作者が直接的に関与しているわけではないだろうが、尾田栄一郎が自身の漫画家としての格を勘違いして異常に高いプライドを持っていることも、この状況を生んだ一因と言えるだろう(今のワノ国編を自画自賛しているあたり、作者の感覚は完全に狂っている)。

そしてこのような状況はそもそも、国民的少年漫画が存在しなかったジャンプ暗黒期においてその素質を備えたワンピースが、幸か不幸かポストドラゴンボールとして祭り上げられ、成功してしまった結果だろう。
「売上と発行部数」というある種の絶対的な指標において、鬼滅が大流行するまでは完全な一人勝ち状態が20年近くも続いたのだから、
当然作者は自分の作品に疑問を持つこともなく、誰も尾田栄一郎の作品創りに意見はできなかっただろう。
事実20巻そこそこくらいまでは斬新で高レベルな作品であり、少なくともあの時代の少年漫画界においてはポストドラゴンボールに着くポテンシャルはあったと思う。

だからこそ、終盤に差し掛かってこれほどまでに醜態をさらしまくる現状は、非常にキツイものがある。
発表された時代と、作者の能力や運(アニメが失速した時期ににドラゴンボール改がワンピースとセットで放送され持ち直したり)、編集部のマーケティング、読者層などが奇跡的に噛み合ってしまい、
皆がある種の催眠状態のような感じで本作をNo.1少年漫画に押し上げてしまったために起きた悲劇と言えるだろう。

いずれにしても、日本の漫画史上においてこれほど売上と作品の質や品格が釣り合わない作品は、今後現れることはないと思う。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2017-07-28 10:43:08] [修正:2020-12-06 00:52:10] [このレビューのURL]

完結の告知を大々的に出していたのに、(掲載紙の事情もあるとは言え)しれっと連載を続けていたり、その割に数年間にわたり支離滅裂な展開でグダグダやっていたり、もはや全盛期の面白さが嘘のような駄作に成り下がってしまった。
せっかくの登場人物の魅力も、作者自ら潰していっているので、キャラ萌え要素すら薄れてしまっている。
もはや魅力的な要素が絵柄しかない。
10年くらい前は大好きな作品だったため、非常に残念である。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2017-08-11 23:18:22] [修正:2017-08-11 23:18:22] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

スタートダッシュは文句無しの面白さだった。
画力も演出力も高く、そういった面での技術やセンスは特出していると思う。
しかしその一方で、作劇上の引き出しの狭さが既に露見し始めている気がする。各章の構成パターンが似たりよったりなので、個人的には既に食傷気味。
常にクライマックスなのは良いことだが、アプローチを変えないと逆に早く飽きられるとっかかりになりかねないので、編集はあの手この手で作者の能力を発揮させるよう導いてほしい。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2021-10-03 22:10:54] [修正:2021-10-03 22:10:54] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

漫画史に残るような爆発的ヒットとなった本作だが、それも納得してしまう程に、近年のジャンプ作品には無い魅力がこの作品には凝縮されている。


評価点としてよく挙がるのは、殆ど引き伸ばさずに面白さを維持したまま完結した圧倒的勢いだ。これは確かに、近年のジャンプ漫画のヒット作としては異例である。

恐らくこの作者は、物語のプロットは早い段階で決めていて、概ねそれに沿って最後まで駆け抜けることが出来たのだろう。
だからこそ、味方の実力者や敵の幹部を出し惜しみなく登場・退場させることで、クライマックスを連続させるという、物語作りにおいて究極の手法を実行できた。
これは作者が自らの力量を把握した上で、作者や編集等が欲をかかずに着地点を見極めることが絶対条件であり、これを満たせる漫画はごく稀だと言える。
特に本作のようなメガヒット作品でこれを成せたのだから、作者もジャンプ編集部も見事だとしか言いようがない。


だが、これほど幅広い層が本作にハマっている理由は、もっと根源的なところにあると思う。
それは、読者が本能的にアクション漫画に求める「バイオレンス表現」の要素と、それと相反する「愛」の要素が、極めて効果的に描かれているという点である。

まず「バイオレンス表現」についてだが、
近年の少年漫画においての暴力表現はマイルドだったり、スタイリッシュだったりすることが多く、いまいち緊張感を引き出せていない作品が多いように感じる。
もちろん、それが必ずしも悪いとは思わないが、少なくとも昔の名作アクション漫画にはそれなりの暴力表現は切り離せないものであり、それにより生まれるゾクゾク感というのは結構大事なものだったと思う。
かと言って、進撃の巨人みたいにバイオレンス描写に振り切った作品造りは、読者にとってのハードルを上げかねない。
その点で言えば、鬼滅の刃のバイオレンス描写は、古き良き名作群に近いバランスを持っているように思える。
重症を負った者は戦力が低下し、四肢を欠損したものは戦線を離脱し、致命傷を負った者は死ぬ。
こういった当たり前のバイオレンス要素が作品に程よい緊張感やゾクゾク感を与え、直感的に読者の心を掴んでいるように思える。

次に「愛」の要素である。
はっきり言って、これこそが鬼滅の刃最大の魅力ではないだろうか。
読めば誰しも分かることだが、本作の物語は人間愛に基づいている。
そして更に言うならば、「家族愛」を偏執的に、これでもかというほど描きまくっている。その執拗さは常軌を逸していると言っても過言ではないが、だらこそ他の追随を許さない唯一無二の魅力となっている。
それにより、人間であれば誰しもが持つ感覚や感情をダイレクトに刺激してくるため、子どもから大人まで多くの読者が魅せられてしまう。
ジョジョが人間讃歌を謳ったように人間愛をテーマにしている名作少年漫画は過去にも多々あるが、本作ほどド直球で終始それに徹した作品は過去に類を見ないだろう。

総括すると、暴力と愛という、一見では二律背反の要素を物語にガンガンぶち込んで本能を揺さぶってくるのが、鬼滅の刃の魅力であると考える。


長々とレビューを書いたが、社会現象を起こした事もうなずけてしまう、とても良い作品だと思う。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2020-09-01 14:04:50] [修正:2020-09-10 11:45:46] [このレビューのURL]

8点 聲の形

ここまで大きな出来事でなくても、きっと多くの人がこの作品で描かれているものに類する場面は通過していると思う。
だが、当事者達でもない限りはその出来事を気に留める人は少ないし、傷付ける側の人間達ですら大抵はその意味に気付かず、向き合わないまま記憶と気持ちを忘却していくだろう。

しかし、この作品は、そういった多くの人が忘れ去るであろう記憶と気持ちをテーマとして据えている。
それも、傷付けられた側と、傷付けた側の双方の立場や思いを痛いほどに描ききっているのだ。
その辺に溢れる、中途半端にいじめをテーマにした作品とは、その根幹が全く異なる、とても心に響く名作だと思う。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2019-02-04 23:00:51] [修正:2019-02-04 23:06:04] [このレビューのURL]

自分は別に藤本タツキの信者ではないが、敢えて言う。

この作品には完全に心が呑まれたし、読後もしばらくの間は、他の漫画を読む時の感覚にまで影響が及ぶくらいには尾を引いた。
創り手受け手関係なく、人生の一部を創作に捧げている人種からすると、それ程の体験だった。

漫画という媒体で表現されているものの、実際はメディアの概念を超える創作そのものへの情念が可視化されたような、途轍もない作品だった。

しかし、実際に多くのプロの業界人が本作に対して言及し、称賛し、脱帽している現状を受け止めず、
それらの評価を軽率にトンデモと断じたり、信者呼ばわりできる漫画読みがいることにちょっとびっくり。
根源的なセンスや表現の次元の違いがわからない人には、それこそ向いてない作品じゃないかと思う。

ちなみに、最初に発表されたのがジャンププラスだったためか、いくつかの見開きは電子版の読み方でこそ威力が発揮される演出になっていたので、初見は電子書籍で読むことをお勧めしたい。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2021-10-03 12:30:21] [修正:2021-10-03 12:36:39] [このレビューのURL]

漫画というメディアを超えたという概念が最もしっくりくる漫画である。

藤子・F・不二雄が語ったSFの意味合いは最近になって広く知れ渡り、多くの人が「なるほど」と思っただろう。
しかし、「なるほど」という感想が軽く出てくるのは、ドラえもんという作品に対する感覚が日本人の心に深く根を張っている現代だからである。
少なくとも、ドラえもんが発表された当初では、ドラえもんの作風は明らかに異質であったと思われる。


ドラえもんが発表されたのは1969年だが、実際に国民的作品として定着し出したのは1979年のアニメ版がヒットしてからである。
そして、ドラえもんが国民に定着する以前のSFの意味は当然「サイエンスフィクション」であり、日本でも漫画やアニメにおいて数多の歴史的な名作が生み出されている。

そういった名作は、手塚治虫を筆頭に松本零士や石ノ森章太郎、永井豪や石川賢など数多の偉人によって生み出され、日本におけるSF漫画の型を創り上げた。
しかし、それらの作品にはある意味で共通した性質があると思う。
それは「作者の(オタク的な意味での)学や教養の高さにより描かれた、ケレン味重視の高度な妄想である。」ということだ。
当然、サイエンスフィクションの概念としてはそれが正解であるし、そこを高めることがSFの本懐と言える。

たがしかし、多くの漫画家がその方向性の中で、より高みを目指す時代の中で、藤子・F・不二雄は敢えてその流れから外れ、自分だけのSF=「少し不思議」の道を行った。
無論、藤子・F・不二雄も他の漫画家のような王道SFも描けるのだが、敢えてサイエンスフィクションの概念に捕われず、
誰しもに通ずる普遍的な感覚を作品の核として、独自のSFに落とし込んでいったのである。
そしてその代表作がドラえもんだ。


今でこそ国民の精神に浸透しきっている本作であるが、先述の通り、ドラえもんが今のポジションを確立するまでには10年以上の時間を要した。発表当初は、あくまでサイエンスフィクション全盛の時代であり、ドラえもんは数ある児童漫画の1つとしての扱いだった。
だが、「少し不思議」なSFの概念は、見る者の心に確実に根付いていき、長い時間をかけて国民の感覚の中に当然のように居着いていったのである。

そして一度根ざした普遍的な「藤子・F・不二雄のSF」は、時代が変わっても、ドラえもんを通して新たな世代にも受け継がれていく。
漫画やアニメにおける和製サイエンスフィクションの存在感が弱くなってしまった現在でも、それは変わらない。


決して変わることのない普遍の「少し不思議」な感覚そのものがドラえもんであり、漫画というメディアを超えて概念そのものとなった本作には、10点以外の点数など有り得ない。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2020-05-13 17:38:52] [修正:2020-05-13 18:02:11] [このレビューのURL]

パッと見ヤバそうな感じを出していないが、確実にヤバい漫画。
日常系漫画の中では別次元の完成度ではないだろうか。

惜しむらくは、さすがに前半のクオリティを維持することが難しかったのか、中盤以降は(割りと早い段階で)面白さにムラが出てしまったことか。
ある意味、それも含めてリアルな日常とも言えるが、石黒先生もそれを狙っていたとは考えづらいし、漫画なのだから面白味のあるオチをつけるに越したことはないはずである。

とは言え、それを差し引いてもやはり唯一無二の作風と完成度だと思う。

ちなみに、全巻読破した人には、副読本の公式ガイドブック、「廻覧板」の購入を強くお薦めする。
これを読むことで、より深く「それ町」を楽しめるし、間違いなく再読したくなるはずである。
ヤングキングアワーズ作品でここまで情報量の多いガイドブックが作られているのは現状「それ町」だけであり、それほどまでに本作がよく練られていることがお分かり頂けるだろう。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2018-10-18 07:58:55] [修正:2018-10-19 18:40:48] [このレビューのURL]

浅い浅い浅い、薄い薄い薄い、イタイイタイイタイの大不快漫画。
この作者は多分、若い頃に吸収した創作物が漫画とアニメに偏り過ぎていたんだろうなと思う。まあ、作者と同じような感性を持つ読者のツボはピンポイントで突きまくってる気はするし、ハマる人にとってはたまらんのだろうけど。
とは言え、好き嫌いは置いておくにしても客観的に考えて、そんなに出来の良い漫画とは思えないなー。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2018-10-03 21:20:38] [修正:2018-10-03 21:20:38] [このレビューのURL]

7点 BLEACH

[ネタバレあり]

この漫画に対して世間的に下されがちなネガティブな評価は、ほとんど間違っていないと思う。
ただしそれを踏まえても、いや、むしろそれらの批判されているポイントが一周廻ってこの作品を途轍もなくおもしろおかしくしている。
まぁ、これはもはやギャグに対しての感性の問題なので、一読して笑えなければ必然的に低評価を下してしまうのかもしれないが。

ただ一つ、ネタ抜きで評価点を挙げるとすれば、この作者のキャラデザやここぞという時の演出のセンスは飛び抜けていると思う。
最近のジャンプの読み切り作家達のインタビューからもわかるように、結構後続の若手漫画家に影響を与えていたり、漫画家やアニメーターの間でも「格好良い魅せ方」の話題では、本作の名がよく挙がるらしい。

やはりプロ目線でも一級品らしいそれらの点は、素直に評価されるべきであると思う。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2017-11-19 19:53:28] [修正:2017-11-19 19:58:33] [このレビューのURL]

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