「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

アキバへ自転車で通うおたく少年が高校入学をきっかけに自転車レースの魅力にとりつかれていくスポーツ漫画。

自転車競技に対して全く知識の無い素人が想定読者。
主人公と読者を重ねることで、新しいテクニックや道具が登場するたびに新鮮な驚きを与えている。
簡単に言うと、自転車ってすごい!自転車って楽しい!と繰り返し言う漫画。
そこへ、少年漫画的なライバル対決のカッコ良さを持ち込んでいる。

全体的に漫画が上手い。既存作品のから取り入れた要素の集合体だが、全体のまとまりの良さと勢いでグイグイと読ませる。
悪く言えば模倣、良く言えば過去に学んだ王道。

キャラクター造形も少年漫画らしく、能力や性格の立て方が上手い。
スポーツの勝負なのに選手同士がやたら会話していたり、
得手不得手が極端で非現実的なところは、少年漫画だからしょうがないというところか。

新しい道具、新しい技術の連発と、既存作品からの取り込みは、ウブな読者には効く。
しかし、自転車レースの漫画をよく読んでいる人ほど楽しみにくいかもしれない。
自分はこれが初めての漫画でラッキーだったと思う。

余談だが、タイトルの『弱虫ペダル』は内容にマッチしていない。
弱虫が自転車で強くなる漫画ではなく、基本的に誰も弱音を吐かない。

2013.12追記
インターハイが終わった後も悪い意味でテンションが下がらない。
全キャラが暑苦しくレースに賭ける思いを語り合い、順番に必殺技を繰り出して話の都合で負けていく。
敵と勝負してないのにこの苦しさでは、レースはどうするのか。
もはや自転車に乗ると楽しいとかいう次元ではなく、各キャラの設定と都合を延々並べているだけ。
絵的にも勢いを前面に押し出して、デフォルメ描写が強まり続けている。
少年漫画のフォーマットに寄り添いすぎて自転車レースを描いているように見えなくなってしまっている。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-06-18 12:50:16] [修正:2013-12-15 16:23:37] [このレビューのURL]