「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

ケンカする男たちの漫画。
潔さや正々堂々といったキレイごとを押しやり、
勝つために思いついた手段は全て使うのが当たり前の世界。

流血や怪我の描写も詳細で凄惨な印象が強い。
常軌を逸した戦いへの執着を表現するためか、
大体のキャラクターは精神的な歪さや悲劇的な過去を持っており、
作品の暗い印象を強めている。

力作ではあるが本当に楽しくない漫画でどうするつもりかと思っていたら、
「最強トーナメント」の開幕直前で第一部完となり、連載がとまった。

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[投稿:2013-03-27 14:50:46] [修正:2013-03-27 14:50:46] [このレビューのURL]

毎話ごとにキャラクターを使い捨てる短編連作。
思春期のおびえを視覚化したような漫画。
おびえは様々な形態で現れる。オカルト、人の本性、将来への不安。

漫画になりにくいネタを手間のかかる形式で漫画にしたのがすごい。
カワイイと気持ち悪いの際どいバランスが才能のあらわれか。

短編形式とページ数の都合で、ほとんどの話は一発ネタに留まっている。
もう少しまとまったページ数の話を読みたい気がする。


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[投稿:2013-03-19 15:00:05] [修正:2013-03-19 15:00:05] [このレビューのURL]

フットボールを多面的に描こうとする漫画。
選手、監督、サポーター、様々な立場と思いでフットボールに関わる人たちの
物語を丁寧に描写して、深みのある物語になっている。

作品のテーマは「統合的な視座」の重要性。
空間的、時間的な視野の広さというモチーフが繰り返し現れる。

試合中にフィールド全体を把握する。
フットボールに関わる多種多様な人たちがいる。
フィールドがあり、試合場があり、ホームタウンがある。
時間も流れていく。
スター選手は引退が近づき若手が成長してくる。
生活上の理由でフットボールから離れるサポーターがいて、ずっと地元チームを応援しつづけるサポーターがいる。

これほど複雑な作品をわかりやすく整理する構成力がすばらしい。
作画の上でも5W1Hが明快で申し分ない。

欠点を挙げると、いささか地味。これはおそらく長所の裏返し。
丁寧さは冗長さにつながり、多くの視点は感情移入の弱さでもある。
試合の勝敗をハラハラしながら読み進めるということがない。









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[投稿:2013-03-09 14:38:08] [修正:2013-03-09 14:38:08] [このレビューのURL]