「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

高校の女子ナギナタ部を主人公にしたスポ根漫画。
設定やキャラクター、物語の展開はお約束の連続。
泥臭さと可愛らしさを両立しつつ、勝負を忠実に描くのが高評価。

スポーツ漫画は物語の序盤・中盤は素晴らしいが終盤が苦しい。
展開は繰り返しが多いし、キャラクターの因縁が掘り下げられてテンポが悪い。
新キャラを入れざるを得ない一方で割り込む余地が少ない。
この作品でも情熱は衰えていないにせよ、落とし穴にはまりつつある。

ダレる前に強引に終わるのでなければ、何がしかの工夫が必要であろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-05-06 08:54:00] [修正:2018-05-06 08:54:00] [このレビューのURL]

舞台は現代日本の京都。主な登場人物はミュージシャン。
青年ヨタカと少女コトが出会い、2人の音楽的大冒険人生が始まって、という漫画。

音楽と漫画は意外と相性が良い。
漫画には音や動きがないので、かえってどんな表現も可能になる。
思いがけないタイミングで聴いた音に全身が震えるほどに感動してしまう。
そんな衝撃を漫画に落とし込んだ作品。
音楽の凄さを視覚化するために作画上の工夫が盛り込まれている。

物語の主軸であるボーイミーツガールも良くできている。
音楽以外に何もいらないと未熟なヨタカとコトが、少しずつ成長して人と関わる事を学んでいく。

音楽をただ美しい芸術や他者との勝負にするのでなく、人の行為として描くのが最も優れた点。
人生の辛さ、不安や苦しみ、悦びや衝動を直接ぶつけられる形式。
それがこの漫画の音楽。

キャラクターの掘り下げや漫画への向き合い方が誠実な作家で次回作が楽しみ。

全4巻も手ごろな分量。ぜひ手に取っていただきたい。
読み始めは超不愛想なヨタカと狂ったコトに面食らうだろうが、
そのうちに判ってくる。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-03-23 08:50:17] [修正:2018-03-23 08:50:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

危険とお宝がいっぱいの大穴アビス。
深く踏み込めば生きて帰れないアビスに少年と少女が潜る冒険マンガ。
元気少女リコと記憶喪失のロボット少年レグ。2人はアビス最下層へたどり着けるか?
そしてアビスの底には何があるのか?という漫画。

着想と情熱はすばらしい。
描きたいものを描き切る気迫があって好感が持てる。
練り込んだ展開も読者を引き込む力がある。

ただ、やはり欠点も大きい。根本的に漫画の技術が不足している。
主人公たちにスポットが当たり過ぎて、アビス自体が描けていない。
アビスの歴史、アビスの広がりは詳細な設定がある事を匂わせつつ、ほぼ描かれない。
おそらくは物語がスピード感を失わないために、
主人公たちがまっしぐらに下層へ向かう事にしたのだろう。
だが、急ぎすぎた印象だし情報を盛り込む構成力に物足りなさを感じる。

その結果、展開のバリエーションが少なく、冒険譚でなく子どもが酷い目に会う話になっている。
下へ進む、上には戻れない、底まで突き進むという明快なルールのおかげで読者はついていきやすいが、
作者の狙いというよりは幸運だろう。

諸々の欠点はおそらく作者もわかっている。
それでもなおこの作品を描きたかった理由はなんだろうか。
アビスの底にその答えがあると期待している。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-09-16 21:35:55] [修正:2017-09-16 21:35:55] [このレビューのURL]

魔法使いの嫁というタイトルが良いし、絵もキマっている。
人の社会からはじき出された主人公の少女が人ならざる者の社会でゆっくり成長していく物語。

事件の繰り返しでなく細々とした日常の積み重ねなので、
漫画らしいドラマチックさには欠ける。
漫画表現としてもただただ丁寧で地味な作風。

読者的にこれを楽しむには、ただページをめくるだけでなく、
描かれていないことを想像しなければいけない。
枠の外に何があるのか、あるいはセリフのないキャラクターの心情など、
読者側で補う必要があり、正直めんどうくさい。

作中、その生い立ちから心を閉ざしがちな主人公を、
周囲の人ならざる者たちが控えめに労わり、
時間をかけて心のわだかまりを解いていく場面が多い。

この主人公と周囲の関係は、なんだか作品自身と読者の相似形になっている。
読者の側でこの作品が何を伝えたいのかを考えさせるのはダメではないが、
この作品では作者の力不足のような印象で、もうちょっと頑張って伝えてきて欲しいと思う。

後日追記
序盤を過ぎて登場人物が出そろったあたりで恐ろしい敵があらわれ、
いよいよ話が動いて面白くなってきた。
ぎごちなく、どことなく浮ついていた主人公も自らの決断で行動するようになる。
漫画表現も上達し力強くなってくるので、ここでも主人公の成長を作者の成長として感じられる。
この先が楽しみ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-09-25 13:53:06] [修正:2017-03-10 22:12:30] [このレビューのURL]

庶民とセレブが派閥にわかれて争う学園が舞台。
庶民のロミオはセレブのジュリエットと恋仲に。
二人はいつか庶民とセレブが仲良くなれる事を願いながらも
周囲に隠れて交際を続ける、というラブコメ。

設定や話はあまり面白くなる要素がないが漫画としては非常に丁寧でバランスが良い。
微笑ましかったり、ドキドキしたり、熱血要素もあったり、読みやすくて楽しい。
ダラダラと読んでいるとついつい読んでしまうタイプの漫画。
良い作品だが、作者の能力を考えるとコメディが逃げになってしまっている節もある。
言い訳のない漫画を読んでみたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-14 16:33:45] [修正:2017-02-14 16:33:45] [このレビューのURL]

宇宙を舞台にした未来の青春サバイバル漫画。
惑星キャンプに来た高校生の一団が、事故で宇宙船に取り残されてしまう。
彼らが力をあわせて生き抜く様を描く。
星々で水や食料を補給しながらの旅。次から次に起こるトラブル。
高校生は一人も欠ける事なく帰れるか?
そして彼らはなぜこのような状況に追い込まれたのだろうか?

非常に上手な少年漫画。
シリアスとギャグのバランスがよくテンポよく話が進む。
宇宙空間に放り出されて船に戻れない、多数が毒で瀕死になるといった
絶望的な状況をどうにかこうにか切り抜けつつギャグを織り交ぜてくる。
しょうもない漫才が緊張をうまく緩和しているし、
トラブルの解決も、正攻法、奇策、ラッキーをうまく使い分けているし、
各キャラクターの立て方もいい。
彼らの冒険を見ていると自然に彼らが好きになる。
宇宙船をホームにしながら星をめぐる設定も旅の面白さがある。
アニメ向きの作品だと思う。

順調に話が進んでいるが、この類の作品は冒険が軌道に乗ると難しくなる。
水、食料、墜落などの物理トラブルを使いつくすと敵との勝負になって、
大抵はそこから詰まらなくなる。
予想を超えるアイディアを期待している。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-12-11 11:02:27] [修正:2016-12-11 11:02:39] [このレビューのURL]

6点 ACMA:GAME

カッコイイ少年や少女が知恵比べゲームで戦う話。
絵ヅラや設定などはありきたりなものをそのまま使用し、
ゲームの独自性やプレイヤーの駆け引きに力を入れている。

あちこちのバランスが良い漫画という印象。
省力化できるところは思い切り省力化して、優先順位がはっきりしている。
その結果、展開がスピーディで読み進めやすい。

本編はゲーム描写がメインで各キャラクターの掘り下げやユーモラスな場面はほぼない。
その辺りは単行本のおまけ漫画でフォローされており、本編のシリアスさとのギャップで笑ってしまう。

良い意味での娯楽としてスッキリ読める。
さほど面白くないと思いながら読んでいるとすっかりハマるという感じ。
女の子がキレイなのもグッド。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-13 11:05:50] [修正:2016-11-13 11:19:29] [このレビューのURL]

12年ごとひつじ年のクリスマスに人が殺され臓器が奪われるサスペンス。
細かく設定を説明すると長くなるので省略。
要はツンデレ少年ユキムラが探偵で、トボけた大女フセギが助手になってひつじ殺しを追う漫画。

ストーリーの焦点はあくまでひつじ殺し。
なぜ12年ごとに人を殺すのか、何者か、そして次の事件は防げるのか。
間延びせず緊迫感を保っている。
それでいながら、ほがらかな日々の仕事や生活を丁寧に描いている。
ストーリーの前景と背景のバランスがよく、それ以外の不純物がない。

感心するのはオキナガの設定。
これも詳細はすっとばすが、要は不老長寿の特殊能力者。
オキナガは老いずに何百年も生きてしまう。
後悔や苦悩はいつまでも消えない。理解しあった人間とも死に別れる。
死なないからこそオキナガは強い執着を持つ。それがドラマの根源になっている。

単行本9巻現在、いよいよひつじ殺しの正体が見えてきた。
結末が気になる。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-01 11:09:35] [修正:2016-10-01 11:09:35] [このレビューのURL]

舞台は未来社会。
人間、ヒューマノイド、ロボットが共存している。

社会的に3者は違った扱いになっており、
人間は人間。
ヒューマノイドは機械とコンピュータでできた人間。
ロボットは機械。

主人公はヒューマノイドを治療する医者。
漫画としては手塚治虫のブラックジャックに近い。
さまざまな患者が怪我や病気で重大な選択を迫られる。
医者の立場からそれを見守る短編形式の漫画。
それぞれの患者の選択は客観的に良い悪いを判断できるものではない。
身勝手であろうと、その決断こそが「人間の証明」だというような話。

ジャッジしない、導かない、選択を尊重する。
この距離感が新鮮で押しつけがましくならず、読者にも想像や解釈の余地を与えてくれる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-07-24 20:19:05] [修正:2016-07-24 20:19:05] [このレビューのURL]

おそらく作者はちょっと変わった兄妹コメディとして描き始めたはずが、
あちこちが上手くハマりすぎて手に負えなくなってしまったので、
早く手じまいした漫画。

1?2巻では説明的な日常コメディからよりシリアスなテーマへ進みそうな印象を受けていた。
互いに依存する兄と妹、周囲の人間関係、化け物と人間の共存、などなど。

だが、物語はシリアスへもコメディへも進まない。
どうにもページを埋めるのに苦労している印象になり、
無意味なキャラクターを出したりしながら結局は最終回までほぼ何も変わらなかった。

深読みせずに妹がカワイイ漫画として読めばまぁそこそこ。
というか妹のカワイさは本当にスゴくて点数のほとんどがソコ。

作者はほかにショートコメディ漫画を手掛けていて、
そちらはスムーズでキレが良い。
今後はそちらで才能を発揮していくのだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-07-24 17:42:11] [修正:2016-07-24 17:42:11] [このレビューのURL]

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