「Scrooge」さんのページ

魔法使いの嫁というタイトルが良いし、絵もキマっている。
人の社会からはじき出された主人公の少女が人ならざる者の社会でゆっくり成長していく物語。

事件の繰り返しでなく細々とした日常の積み重ねなので、
漫画らしいドラマチックさには欠ける。
漫画表現としてもただただ丁寧で地味な作風。

読者的にこれを楽しむには、ただページをめくるだけでなく、
描かれていないことを想像しなければいけない。
枠の外に何があるのか、あるいはセリフのないキャラクターの心情など、
読者側で補う必要があり、正直めんどうくさい。

作中、その生い立ちから心を閉ざしがちな主人公を、
周囲の人ならざる者たちが控えめに労わり、
時間をかけて心のわだかまりを解いていく場面が多い。

この主人公と周囲の関係は、なんだか作品自身と読者の相似形になっている。
読者の側でこの作品が何を伝えたいのかを考えさせるのはダメではないが、
この作品では作者の力不足のような印象で、もうちょっと頑張って伝えてきて欲しいと思う。

後日追記
序盤を過ぎて登場人物が出そろったあたりで恐ろしい敵があらわれ、
いよいよ話が動いて面白くなってきた。
ぎごちなく、どことなく浮ついていた主人公も自らの決断で行動するようになる。
漫画表現も上達し力強くなってくるので、ここでも主人公の成長を作者の成長として感じられる。
この先が楽しみ。

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[投稿:2015-09-25 13:53:06] [修正:2017-03-10 22:12:30]