「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

現代日本の高校を舞台に、ごくごく普通の女子高生の日常を暖かく描く漫画。
10代の悩みや不安、友人への尊敬や配慮、異性への淡い関心.etc。
女子高生の青春ってこうですよねといった感じ。

この作者にしては平凡な出来といった印象。
同じテーマを扱った既存の作品とくらべて特に優れた点がない。
手抜きではないのだろうが、漫画として答えを出せていないと感じた。

主人公たちは年若く外から干渉されやすい。
年長者の愛情であれ何であれ、翻弄される事に無自覚に疲れている。
だから価値判断を自分の中に持ちたいし、自分を取り戻したいと思っている。
そして同じ疲れを共有する仲間を大事にしている。
それは「女子高生の青春」の描写としてはすごく頷ける。

ただ、漫画らしさという意味で物足りない。
年若いが故の苦しみをそう自覚できず、年長者に守られながら、
ただ仲間と励まし合い日々を過ごすのは現実的過ぎて味気ない。
やはり覚醒して世界への態度を自ら定める、という事であってほしかった。

漫画として何をどう描くかを明確にできる作者だと思うので、この作品はいささか残念。

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[投稿:2017-03-12 22:37:05] [修正:2017-03-12 22:37:05] [このレビューのURL]

魔法使いの嫁というタイトルが良いし、絵もキマっている。
人の社会からはじき出された主人公の少女が人ならざる者の社会でゆっくり成長していく物語。

事件の繰り返しでなく細々とした日常の積み重ねなので、
漫画らしいドラマチックさには欠ける。
漫画表現としてもただただ丁寧で地味な作風。

読者的にこれを楽しむには、ただページをめくるだけでなく、
描かれていないことを想像しなければいけない。
枠の外に何があるのか、あるいはセリフのないキャラクターの心情など、
読者側で補う必要があり、正直めんどうくさい。

作中、その生い立ちから心を閉ざしがちな主人公を、
周囲の人ならざる者たちが控えめに労わり、
時間をかけて心のわだかまりを解いていく場面が多い。

この主人公と周囲の関係は、なんだか作品自身と読者の相似形になっている。
読者の側でこの作品が何を伝えたいのかを考えさせるのはダメではないが、
この作品では作者の力不足のような印象で、もうちょっと頑張って伝えてきて欲しいと思う。

後日追記
序盤を過ぎて登場人物が出そろったあたりで恐ろしい敵があらわれ、
いよいよ話が動いて面白くなってきた。
ぎごちなく、どことなく浮ついていた主人公も自らの決断で行動するようになる。
漫画表現も上達し力強くなってくるので、ここでも主人公の成長を作者の成長として感じられる。
この先が楽しみ。

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[投稿:2015-09-25 13:53:06] [修正:2017-03-10 22:12:30] [このレビューのURL]