「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

自分の中で史上最高のゲーム(の1つ)である同タイトルを見事にコミカライズした作品。

もともとゼルダの伝説というのは、どちらかと言うとストーリーを楽しむというよりは
プレイしている感覚を重視しているゲームではあるのですが、
この漫画はそのストーリー部分が全2巻に凝縮されていて、とても上手くまとまっています。
その分かなり展開が速いです。 まあ掲載誌(小学五年生、六年生)を考えれば、
このぐらいのテンポの方が子供たちも飽きずに読めて良いのかもしれません。

この作者はゼルダの伝説シリーズの漫画版を多く手掛けていて、後の方の作品だと
漫画オリジナルの設定やキャラなども結構(もちろんゲームの世界観を壊さない程度に)出てきますが、
この作品はコミカライズ第1弾ということもあってか、ゲームの内容に忠実に描かれています。
短いながらもゲームの世界観を十分に活かし、ドラマ性を存分に描いた作品。
ダンジョン等の冒険とか謎解きの描写がおざなりなのでそこが残念。

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[投稿:2011-06-08 16:36:53] [修正:2011-06-08 16:36:53] [このレビューのURL]

作者の変態的な自叙伝。
小学生のときに学校に一升瓶を持ち込んで日本酒を飲むとか滅茶苦茶すぎます。

「きのうのわたしはよっぱらいであって、わたしじゃないのよ」
「(昨日の記憶が無く、部屋の惨状を見て)きのうのわたしはきっと楽しく幸せだったにちがいない」
「これはウーロン茶よ。 ビールという名のウーロン茶なのよ」
「(二日酔いの朝、冷蔵庫にビールしか無く)しかたないから、むかえ酒にチャレンジー」
「あんまり期待されたりするとわたしはダメらしい。 ボルテージあがらない。 チン○と一緒だ」

作者とお友達になりたい。
 

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[投稿:2011-05-19 00:30:33] [修正:2011-05-19 00:30:33] [このレビューのURL]

8年7ヵ月の距離のすれ違い。

絵も雰囲気も極上なほどに綺麗な作品。
原作のアニメ未見。 というかアニメだったんですね。 自分はアニメに全く疎いので
タイトルすら聞いたことがなかったですが、かなり有名な作品のようです。

作品の設定はとても良いものの、ストーリー自体は至って普通。
ただそれが素直に面白かったです。
素直と言うのは読んで字のごとく、奇を衒ったりとか捻りに捻ったりとかではなく、
思いをストレートにぶつけてくる感じ。
直球でないと届かない思いもあるのだろうな。

他のレビュワーの方の評価がこのぐらいの点数になってしまう気持ちもわかります。
ストーリーも終わり方も淡々としすぎていて、さすがに高得点は付けづらいです。
でも、これは良い作品。 この切ない空気感と淡い思いが、頭ではなく心に直接届いてきます。

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[投稿:2011-05-13 01:01:00] [修正:2011-05-13 01:01:00] [このレビューのURL]

6点 C

“Message to Complex People”
どこかしら、何かしらにコンプレックスを抱えた人々が織り成すオムニバス形式の作品です。
それぞれの話がつながっているわけではなく、中編作品の集合体のような珍しい作品。


「男性失格」
確かに主人公の性格はいつものきたがわ漫画ですね。
展開もありきたりではあるものの、90年代初頭ラブコメとしては上手く描けていると思います。
作品全体の雰囲気は、当時のトレンディードラマ(死語)のような感じ。
ただしコンプレックスが全体のテーマならば、もっと前面に出していかないと。
コンプレックスうんぬんに関係なく、単なるヘタレの兄ちゃんのベタなラブコメと化してしまっています。

「マゼンタ・ハーレム」
狂ったような世界観と、鮮やかに彩られた情景描写。そして名画をモチーフにした数々のイメージカット。
全般的に絵画を意識して描かれたであろう絵柄が、ダークでポップな作品の雰囲気と見事に調和して、
週刊連載とは信じ難いぐらいのクオリティと凄みを感じさせる出来に仕上がっています。
才能がありながらもコンプレックスの塊のような歪んだ主人公と、真っ直ぐで快活なヒロイン。
絵画っぽく色で例えるなら、ダークグレーの主人公と、鮮やかなオレンジのヒロインか。
絵の具ならばこの2色が混ざっても汚い色にしかなりませんが、これは漫画。
2人の色が混ざり合い、溶け合って、読者に全く違う色を見せてくれます。
それがマゼンタなのかどうかは読む人次第。

「モンロー・ジョーク」
今度はうって変わってアメコミを彷彿とさせるような絵柄で、弾けた雰囲気のコメディ。
思えば自分がYJを読み始めたときに載っていたのがこれでした。
ただし作者がおまけページで書いているように、この手のジャンルはかなり不慣れな感じ。
常にハイテンションのノリや痛いギャグなど、無理やり感が作品全体に漂っています。
だいたい「C」はComplexのCだったはずなのに、この話のどこにコンプレックスが絡んでいるのか不明。

「ほんとうの行方」
青春もの。
内容がコテコテかつ綺麗にまとめすぎな気もしますが、ストレートで面白かったです。
作者によると紡木たくっぽさを取り入れたかったらしいですが、それについては明らかに失敗かと。


時代を色濃く切り出した作品は色褪せてくるのも早いです。
この作品でもモンロー・ジョークなんかはその傾向にあり、今だとかなり時代を感じてしまうかも。
ただそうは言っても、作者の脂が乗りきっている時期だけに全体的に作品の質は高いです。
あとこの頃の作者の絵柄はものすごく好きですね。
男性失格が一番人気だったそうですが、個人的にはマゼンタ・ハーレムが一番でした。

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[投稿:2011-04-28 00:46:38] [修正:2011-04-28 00:46:38] [このレビューのURL]

究極の名に恥じないような、ある意味伝説の作品。
この時期にリアルタイムで読んでいた世代限定、という狭い対象ながら、該当する人にとっては
いつまでも記憶の片隅に残り続けるような衝撃作です。

すごく大まかに言うと、真面目で内気な青年が仮面を被って変身し、悪を懲らしめる勧善懲悪もの。
でも被る仮面は女性のパンツ、そして変身後は超変態。
「おいなりさん」とかw
いつも同じような展開ですが、芸の数は少なくてもそれを極めれば何回見ても楽しめるという代表例。
ドリフとかダチョウ倶楽部みたいに。

この頃のジャンプは三本柱(ドラゴンボール、スラムダンク、幽☆遊☆白書)を筆頭に、
大半の作品がアニメ化等メディアミックスされるすごい時代でしたが、
そんな中、それらとは全く別の次元で光り輝いていた孤高の作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-26 21:35:53] [修正:2011-04-26 21:36:56] [このレビューのURL]

新たな解釈を交えた吸血鬼伝説。

吸血鬼の考察としては手垢のついたネタの感もありますが、宗教観、考古学、伝承、科学的知識など
様々な要素を綿密に絡めることで飽きの来ない作りに仕上がっています。

Quo Vadisとは「何処へ行くのか?」という意味。
作品全体のスケールがかなり大きい分、話の進みが遅々としているのか、8巻現在で話がどこに
向かっているのかさっぱりわかりません。 皮肉にもタイトルどおりの展開。
ただベテラン作家ならではの安定感を存分に感じますので、先行き不安にならずに安心して読めます。
まあその分、絵柄や会話に古臭さを感じるのはやむを得ないか。

新谷氏の絵で読んでみたかった気もしますが、このご夫妻は本当に絵柄が似てますね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-23 13:37:53] [修正:2011-04-23 13:38:25] [このレビューのURL]

映画がとても有名な作品の原作漫画。
自分も映画を機にこの作品の存在を知りました。

なぜ10年間も監禁されたのか。 なぜ殺さずに監禁という手段を選んだのか。
なぜ10年経ったらあっさりと解放したのか。 誰が、何のために。
サイコなのにハードボイルドなサスペンス・アクション。

そこらのサスペンスと一線を画しているのは、全体に漂う何とも言えない奇妙で不気味な感覚。
犯人の行動、目的、考え、そしてこの壮大な復讐ゲーム自体に、常に不可解さや不自然さ、
そして不毛さが意図的に付きまとってきます。
読者は物語解決のカタルシスを求めてどんどん読み進めていかざるを得ない、のですが、
出会った人々、辿り着いた解決への糸口、それら全てが敵の仕掛けたヒントや罠である可能性があり、
全貌が全くつかめません。 そしてそのまま敵の思惑通りに最終対決を迎える、というよく練られた構成。
緊張感が最後まで続きます。

それだけにラストのあっけなさには肩透かしを食らったような気分になってしまいました。
もっと上手く締めていれば。 傑作になり損ねた作品という印象。

そこまで昔の作品でもないはずですが、絵も展開も雰囲気も猛烈に古臭いのが難点。
作画担当の代表作「天牌」を読んだときにはそれほど感じなかったんですけどね。
最近の漫画の絵柄に慣れちゃった人だとキツいかも。
結局のところ、これは映画の方が面白かったなあ、というのが正直な感想です。

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[投稿:2011-03-28 00:53:50] [修正:2011-03-28 00:53:50] [このレビューのURL]

サバサバしているようでその実かなり甘ったるい王国ファンタジー。

生まれつき美しい赤髪の少女・白雪が、その髪色の珍しさゆえにアホで有名なラジ王子に気に入られ、
何とか隣国・クラリネス王国へ逃げ出し、そこでもいろいろな事が起こり…、というお話。
舞台をクラリネス王国に移してからは赤髪うんぬんはあまり話に関係なくなり、
白雪を取り巻く様々な状況や周囲の思惑等と、それに対処しつつ宮廷薬剤師を目指す白雪の成長、
そしてクラリネスの王子との恋愛模様がメインとして描かれるようになります。

作品としては、会話が回りくどくて若干わかりにくく、全般的にちょっと堅苦しい印象。
また、作中に表れていない部分の世界の構築が細やかになされているか、と言えば
あまりそうは感じられず、要するに、見える範囲しか作っていないようにも思えました。
狭い範囲での王宮物語を続けるにしても、世界の広がりが感じられないとすぐに飽きてしまうので、
せっかく魅力的なキャラと世界観が揃っているだけに、スケールの大きな作品に仕上げてほしいです。

それにしてもこの絵は良いです。 とても良いです。
動きのある描写がいま一つではありますが、絵だけで点をあげたくなる感じ。
作品全体に流れる緩やかで落ち着いた空気との相性も抜群です。
そして心優しきヒロイン・白雪も、凛として芯が強く、決して折れない強い意志を持っていて、
とても魅力的に描かれています。
作品として似たような雰囲気の「Landreaall」なんかが好きな人にはいいかも。
あれよりはもっとずっと少女漫画寄りですけどね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-03-19 00:36:41] [修正:2011-03-19 00:37:10] [このレビューのURL]

6点 暁星記

「明け(宵)の明星」「暁の星」と呼ばれる金星。
テラフォーミング(惑星改造)されて生物が住める環境になった未来の金星が舞台の、超骨太SF作品。

金星での独自の生態系と人々の原始的な生活の描写がとにかく秀逸。
それだけでも十分に面白かったのですが、途中から作品世界の裏側が少しずつ見えてくると、
世界観が一気に広がり、本格的なSFの様相を呈してくるという見事な構成。
練りに練られた非常に完成度の高い作品という感じがします。

ただ、昔のゆうきまさみを思わせるコミカルな絵柄は、原始生活を舞台とする骨太SFの本作品には
かなりミスマッチだった気がします。
後半になるとシリアスな展開と共に絵柄の方も締まってきて、まだ読めるようになりますけどね。

終わり方が非常にもったいないと思います。
結末を読者の想像に委ねる、というよりは、駆け足で終わってしまったために
単に十分な説明ができていないだけのように感じられました。
途中までは効果的に使われていた「祖霊」や「ヤドリタケ」も、最後の方は使いこなせずに持て余し、
むしろ作品を乱す存在のようになってしまったのが残念です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-03-16 22:14:22] [修正:2011-03-16 22:15:23] [このレビューのURL]

「ヘタレなイタリア」が主人公の風刺ギャグ漫画。

国を擬人化する、という発想の時点で既に勝ち。
さらに、かなり綿密で詳細な人物(国の性格)設定のため各々のキャラ(国)がすごく個性豊かになり、
漫画としても風刺ものとしても良くできているなと思います。
例えばウクライナは「ヨーロッパ最大の豊かな穀倉」と「豊富な地下資源」=「巨乳(豊乳)キャラ」で
周囲から狙われている、ベラルーシはロシアの妹だが嫌われ者(独裁国家のため国際的に孤立)で、
ロシアと結婚(国と国とが統合)したがっているけどロシアは嫌がっている(政治・経済的に)、等々。

歴史上の様々な出来事をキャラ同士のエピソードに上手く変換し、わかりやすく見せてくれます。
どこかほのぼのとしていながら、実にシニカルな視点のネタが多いのも好み。
一目でうっすらわかったような気になる世界情勢。 気になるだけですけどね。
もちろんこの作品で国際政治を学ぶのは不可能ですが、雑学程度としてなら十分に楽しめます。

問題は、漫画として純粋に面白いかどうか、ということ。
他の方のレビューにもありますが、構成やオチを楽しむよりはキャラの個性を楽しむ作品と言えますし。
みんな似たような顔しているから登場人物が誰が誰だかわからないのが欠点。 絵も雑すぎ。
あと、さすがに最近はネタ不足気味な感ありです。
良くできている部分と商業レベルに達していないような部分とが混在しているので、評価が難しいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-22 00:46:34] [修正:2011-02-22 00:53:39] [このレビューのURL]