「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

何だかものすごいメディアミックスぶりらしいですが、原作ライトノベル、アニメ等すべて未読、未見。
ということで他メディアとの比較論はできないです。 漫画版のみ。

舞台は19世紀のイギリス。 産業革命によって経済と科学技術が発達し、神話が駆逐されていった頃。
主人公は妖精が見える少女・リディア(頭の中がお花畑というわけではなく、本当らしい)。
亡き祖母の仕事を受け継ぎ「妖精博士」として開業するも、周りの人に理解されない日々でしたが、
妖精国伯爵の末裔だと名乗る人物から依頼を受けたことで物語が大きく動き出します。

漫画版は原作にかなり忠実に描かれているようです。
もともと漫画向けの設定なのかもしれないですが、作品の世界観、設定、人物等、とても丁寧で綺麗に
描かれていて、むしろ原作小説の表紙の絵柄よりこちらの方が世界観に合っていると思います。
なので漫画は小説を読んだ人向けの補完版ではなく、漫画版だけでも十分に作品世界を堪能でき、
漫画版自体が一つの良質な作品になっています。たぶん。

漫画版の1-2巻は原作小説の1巻「あいつは優雅な大悪党」を、漫画版の3-4巻は原作小説の2巻
「あまい罠には気をつけて」を描いています。
2巻ごとに内容がきっちりまとまっているので、読むなら2巻ごとのセットの方が良いです。
話としては1-2巻の方が面白かったですが、漫画としては3-4巻の方が上手く描けていると思います。
作画担当が漫画家としてレベルアップしたということかも。
内容では、最初の話で妖精博士(主人公)が伯爵に協力する理由がかなり弱く感じられ、
そこがかなり気になったものの、これは恐らく原作的な問題。

漫画としての難点は、上記のとおりかなり丁寧に描かれているので、進みが非常に遅いこと。
原作はまだ20巻以上あるのに。
完結とはなっているものの、恐らくはこの後のシリーズも漫画化されていくとは思いますが、
終わるのはいつのことになるやら。
ちなみに男性の自分が言うのもなんですが、この作品はよっぽど少女漫画に耐性のある人でないと
男性には向かないと思います。

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[投稿:2011-09-16 01:03:40] [修正:2011-09-16 01:04:07] [このレビューのURL]

老眼鏡紳士におもてなしされる作品。

他の方のレビューにもあるとおり、ストーリー的には特筆すべきものはないです。
出てくるのも基本的にいい人ばかりで波乱なし。
リストランテの従業員はみんな老眼鏡紳士なので。途中までは誰が誰だかわかりづらかったのが難点。

人物の気持ちの描写がとても上手く丁寧なので、途中からは作品にスッと入っていけます。
他の老紳士からすると主人公なんて小娘ぐらいの年齢だと思いますが、誰も彼女を子供扱いせず
1人の女性として誠実に対応しているのがさすが紳士だなあという感じ。
雰囲気で酔わせてくれる作品。
読後感が非常に良く、眼鏡萌えでも紳士萌えでもない自分でも楽しく読めました。
続編の「GENTE」と合わせてどうぞ。

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[投稿:2011-09-16 01:00:04] [修正:2011-09-16 01:00:04] [このレビューのURL]

6点 LOST MAN

ピッチ外での陰謀、裏取引などにもスポットを当てた新感覚のサッカー漫画。

主人公のマツモトはクラブこそルーマニア→ブラジル→イングランドとステップアップしていくものの、
もともと全てのポジションで超一流のプレーができる凄い人。
なので主人公の成長物語ではなく、代理人のサカザキがマツモトの能力を活かしたビジネスを
展開し、マツモトがその条件をクリアしていくストーリーとなっています。

現実のサッカー界でも代理人ビジネスが横行しているため、そういうところに着目したのは
新しい試みだと思いますが、如何せんサカザキの目論見が壮大すぎてしかも上手くいきすぎるため、
ピッチの外でのリアリティの無さがとても気になります。
ただしピッチの中での描写はさすがファンタジスタを描いた作者だけあって非常に秀逸で、
リアリティがあって本格的なサッカー漫画になっています。

サスペンス的な要素もあり、今後ストーリーの大局がどうなっていくかが大きな見どころだと思います。
が、そもそもこれ普通のサッカー漫画でも良かったんじゃないか、という気もします。
特にイングランド編になってサッカー描写やそれに伴う選手描写が面白くなってきただけに。
この話は今後どこに向かっていくのか。 落としどころが難しそう。

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[投稿:2011-09-08 02:28:20] [修正:2011-09-08 02:28:20] [このレビューのURL]

周囲の評判がなかなか良かったので読んでみました。
何だか最近こういう設定の作品をよく目にするようになりましたね。
独身男性の主人公のところに女の子が転がり込んできて一緒に暮らすお話です。

久留里が「もふー」とか「はむー」とか言っちゃうので、まずはそういうのが苦手ではない人向け。
で、内容に関して言えば、話が進みそうでなかなか進まないです。
裏を返せば、このぬるま湯のような日常風景にこそこの作品の良さが込められているのでしょう。

この作品のポイントとなるのが、タイトルにもある「お弁当」。
簡単にパパッと素晴らしいものを作ってしまう一般の料理漫画とは違って、2人が頭を捻って工夫して、
時には豪華だったり、時には失敗したり、できた結果いかにも普通の弁当だったり。
基本は一話完結の話なので、当然ながらちゃんとその回のテーマ(食材)も盛り込まれています。

また、もう一つの特徴が「地理学」。 これがなかなか詳しく描かれていて結構面白いです。
研究の一環としてちょくちょく各地にフィールドワークに出かけ、研究がてらローカルな食材を楽しみ、
余った分を持ち帰って次の日の弁当のおかずにするなど、漫画としてもうまく連動しています。

弁当や日々の食事を介した家族の結びつきを描いた作品。
他の方のレビューにもあるように、無口で人見知りの激しい久留里がたどたどしいながらも
主人公に徐々に懐いていく様が微笑ましいです。 最近はちょっと懐きすぎですが。
個人的には大当たりではないものの外れでもなく、あったら何気なく読んでしまうような作品です。
こういうの好きな人はものすごく好きなんじゃないかなーという気がします。 悪い意味じゃなくて。

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[投稿:2011-08-30 01:00:59] [修正:2011-08-30 01:00:59] [このレビューのURL]

王道まっしぐらの海洋ロマンファンタジー。
ジンクスと呼ばれる特殊能力を駆使して行われる能力バトルを繰り広げながら、
非常に大きなスケール感、可能性を感じさせるような設定、少年漫画のような勢いのある作品。

ただし、読んでいて妙に既視感を覚えるのも事実です。 とてもベタな雰囲気。
何だか他の作品の良いところをツギハギして作られたような感もある作品にも思えます。
言ってみれば、「ONE PIECE」のような世界観で、「HUNTER×HUNTER」のような能力を駆使して、
「ジョジョ」のようなバトルを繰り広げる作品。 でも全体的な雰囲気はなぜか「GetBackers」っぽい。

ジンクスとは、「極限まで強く思い込むことで実現させる」意志の力。
各登場人物がそれぞれ思い悩んでいたこと、トラウマになっていたこと、勘違いで思い込んでいたこと、
そういう「信念」が確固たるものとなって能力発動に至るので、それぞれのキャラの個性や背景と
強い関連性があって能力に結びつくという設定はなかなか面白いと思います。
まあ要するに念能力みたいなもんですけどね。 上手く使えばかなり面白く描けそうな設定です。

だからこそ見せ方がとても勿体無いです。
能力発動に至る経緯をもっと丁寧に深く掘り下げて描いていれば、さらに面白くなっていたでしょうに。
あと敵のジンクス能力が強すぎ。 読んでいてちょっと引くぐらいに強すぎです。
ネーミングセンスは何とかならないのでしょうか。 むしろわざと外しているのだと思いたい。

ストーリー展開としては、足場を固めつつゆっくりと世界観を明らかにしていき、
やっと大きく話が動き出したて面白くなってきたかな、と思った矢先にいきなりラストへまっしぐら。
終盤はかなり駆け足で打ち切りのにおいすら漂う感じですが、話自体は上手くまとめてあって、
なかなか綺麗な終わり方。 この辺りで終わらせた方が良いと作者が判断したのかもしれません。

個人的にはもうちょっと続けてほしかったですね。
作品のスケール感が大きかっただけに、惜しいなーという感じ。
こういうこと書くのもなんですが、作風的に週刊少年マガジンあたりで連載していれば
それなりにヒット作になったのではないでしょうか。 やっぱり惜しい。

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[投稿:2011-08-25 01:28:08] [修正:2011-08-25 01:28:08] [このレビューのURL]

ゆるくてぬるくて微笑ましい、まったりほのぼの脱力コメディ。
あるいは、何だかんだで純真無垢な天然娘をついつい見守りたくなる作品。ただしその娘がイカなだけ。
こういうの合わないかな、と事前に思っていましたが、読んだら案外いけました。

チャンピオンの読者年齢層よりも若干年下(12-13歳程度の設定らしい)の、ちょっと生意気だけど
でも憎めないような妹キャラに、どこまで愛着を持てるかがこの作品のポイントでしょう。

例えるなら、読めば読むほど味が出るスルメイカのような作品、と言うよりは、他の方も言うように
濃いーチャンピオンの中での箸休めというか刺身のツマ(もしくはイカ刺?)みたいな作品だと思います。
周りがドロドロに濃い中で、見つけるとふっと心が和む感じ。
いや、刺身のツマだって旨いですよ。 イカの刺身なんかもっと旨いですよ。
主役になれる作品とは言い難いですが、雑誌の中での自分のポジションをしっかり理解して
その中で自らが最も輝く方法をちゃんと実践している作品。

まあそういうことなので、この作品にあまり面白さを追求しすぎない方がいいと思います。
ギャグなんかはたまにクドいと思うこともあったりするものの、たまには頭の中を空っぽにして、
イカ娘のかわいさにほんかわするのもいいんじゃないでしょうか。

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[投稿:2011-08-24 01:25:51] [修正:2011-08-24 01:29:32] [このレビューのURL]

短編としてストーリーを楽しむというよりは、作者の紡ぎ出す世界観、雰囲気、温度、空気、
そういうものを楽しむ作品集。

デビュー前に同人作家として発表した作品も含まれていて、普通ならそういうのは今では読むに
堪えないようなものも多いのですが、この作者の場合は非常に質が高いです。
最初と最後の話がなかなか良かったと思います。
「仏頂面のバニー」は作者には珍しく日本を舞台にしたコメディ。

個人的にはそこまでベタ褒めではないものの、とても丁寧に描かれた、素敵な絵本のような短編集。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-20 21:34:03] [修正:2011-08-20 21:34:56] [このレビューのURL]

大好きな小説を、絵柄が好みである漫画家が描くとなれば、これはもう読まない訳には到底行くまい。

大筋を簡潔に述べると、酒を求めて夜の京都を巡り歩く「黒髪の乙女」の冒険譚と、彼女に想いを寄せて
ストーカーの如くに後を付け回す「先輩(私)」が珍妙な出来事にばかり巻き込まれる話である。
彼女は歩く。 灼熱の夏の古本市を。不毛な情熱溢れる秋の学園祭を。風邪の神が跋扈する冬の街を。
その度に彼女は意図せざるまま主役となるのだ。 尤も本人はそのことに未だ気づいてはいまいが。
路傍の石であり彼女の後ろ姿の世界的権威である私が、彼女の眼中に入るのはいつの日であろうか。

     ◇

さて、僭越ながら漫画版について説明させて頂きますと、原作のキュートでポップな部分を引き継ぎつつ
なんと全5巻のうちの半分以上がオリジナルエピソードなのです。
華やかで色彩豊かな世界が可愛らしさに溢れ、なんと素晴らしいのでしょう。
原作者も巻末のあとがきに於いて「可愛いことは良いことである」との至言を残しておられます。
まことに喜ばしいことです。

     ◇

付け加えるならば、キュートなポップさを強調しようと力み過ぎて総じて凡庸なラブコメに成り果てており、
原作のもう一つの特徴でもある妖しくも怪しい胡散臭さが再現できていないと言わざるを得ない。
恐らく漫画版は小説版とは違う読者層を狙っているのであろうし、その意味では妥当な出来なのだが、
原作を猛烈に愛して止まない諸賢の方々にはお薦めしかねる。
原作者も巻末コメントで「とりあえず小説読んでくれ」と暗に述べているではないか。

     ◇

けれども漫画版単体として見る分には、十分に合格点を与えられて然るべきだと思われます。
物語も後半に差し掛かってきますとそのような力みも抜けて自然体での面白さをむくむくと発揮し始め、
事務局長やパンツ総番長などはむしろこちらの方がずっと活き活きとしていることでありましょう。
原作と同様に愛すべき人々がこの華やかなる世界で痛快にご活躍する姿をごゆるりとお楽しみ下さい。
そうしてやはり「ビスコを食べれば良いのです!」が大好きなのです。 なむなむ。



すいません悪ノリが過ぎました。 原作ファンの方ごめんなさい。
ちなみに羽海野チカ版よりこちらの黒髪の乙女の方が個人的には良かったり。
まあそんなのどうでもいいですね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-22 15:59:21] [修正:2011-06-22 16:05:34] [このレビューのURL]

この世に未練を残して死んだ人を成仏させてあげるというコメディ路線の話。

設定がありきたりで、話の展開も最初のうちはどこか既視感があって、要するにとてもベタな感じです。
絵柄もテンポも雰囲気もいかにもな少女漫画。
ただこういう系統の作品だとどうしても「いい話」系の話に偏りがちになってしまうところですが、
ギャグやドタバタも過剰すぎない程度に盛り込んで、恋愛要素も無いように見えて後半はそうでもなく、
少女漫画らしくない話をいかにもな少女漫画として上手くまとめ上げているようにも思えます。

そしてそういうのに油断していると不意にいい話があったりして。
千里ちゃんの花火の話なんかかなり良かった。
軽く読みやすい感じなのでそこまで深みはないですが、思っていたよりずっと楽しめた作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-16 16:06:22] [修正:2011-06-16 16:07:57] [このレビューのURL]

互いに言葉の通じる様々な野生動物がトーナメントで最強を決める漫画。

作者が相原コージ氏だけにギャグ要素が強いものの、ちゃんとした真剣勝負を描いていますし、
動物に関する薀蓄なんかも細かく挙げられていて興味深いです。
「この動物とこの動物が戦ったらどっちが強いんだろ」なんていう妄想を現実に描いてしまった作品。
作者これ凄く楽しみながら描いているだろうなー。

難点を挙げると、薀蓄を入れたいがために無茶な展開になってしまったり、そもそも勝敗自体
作者の勝たせたい動物を勝たせるために強引とも思える勝負の付け方になってしまっていること。
説得力のある展開と言うよりは作者のさじ加減一つという感じ。

まあそうは言ってもこのおバカな雰囲気がやっぱり楽しいのです。
こういうネタ的な漫画は楽しんだ者勝ちだと思うので。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-12 16:31:35] [修正:2011-06-12 16:31:35] [このレビューのURL]