「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

何度もテレビドラマ化され、非常に有名なタイトルの作品。
ドラマも漫画も未見でしたが、先日、漫画版(というか原作)を初めて読みました。
うん、何だこれ?

事前のイメージから、「ほのぼのピュアなラブコメディ」を勝手に想像していましたが、そうきたか。
掲載誌が少女漫画雑誌ではなくガロの時点で気付くべきでした。
と言いつつこういうちょっとダークな方が個人的には好みだったりしますけど。

人間が小さくなる話なんて山ほどあると思います。 この作品もそのうちの1つ。
付き合っている彼女が突然10分の1のサイズになってしまった。 原因は不明。
ただ、ファンタジー溢れる設定ながら、この作品で主に描かれているのは現実じみた生活の様子です。
トイレの用意、風呂の世話、食事の残り物をいかにして調達するか、衣服や下着の作成。
そのうちに、南くんも彼女を恋人ではなくペットと同じように扱っていることに気付き、反省したりします。
性的な描写も多数あり、どぎつい表現も多数あり、ラストがまた衝撃的。

巻末の解説に納得。 確かにちよみではなく南くんが小さくなっていたら、小さくなった原因を
究明しようとしたり元に戻ろうとジタバタしたりして、こんな話にはならなかったと思います。
ちよみは小さくなった時点で他の選択肢は全て捨ててしまっています。 もう南くんしか残っていません。
小さくなったのがちよみだったから、「小さくなっても南くんと一緒にいられるのなら構わない」と
受け入れることができてしまったのかな。

ちよみの一途な想いと、それを受け止める南くんの優しさ、愛情。
受け止めざるを得ない南くんの葛藤。

考えようによってはものすごく深い作品です。 最後の小鳥との対比なんかは特に。
「ママ、ピーコはどうして……?」 「小さいからよ」

ちよみは幸せだっただろうか。
 

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[投稿:2010-12-28 00:54:05] [修正:2010-12-28 01:23:33] [このレビューのURL]

仰々しいタイトル、不敵で尊大な主人公、そして独特の絵柄のおかげで、
何だかよくわからないようなオーラを発している作品。
ただし中身は単なるラブコメですけどね。

この作品の特徴は、ゲームのように女の子を「攻略」すること。
ということで、ヒロインたちはあくまで「記号」としてのみ扱われ、
主人公もヒロインを落とすという「目的」のためだけに恋愛感情なしで擬似ラブコメが展開されます。
ここまで開き直って徹底的にやられると、何だか斬新に思えてしまいます。
この作品が人気出たのもある意味時代を反映しているのかもしれないですね。 それは深読みしすぎ?

確かに面白いと言えば面白いです。 話作りも作品のテンポも良いと思います。
ただし、飽きます。 基本的にワンパターンなので。
このまま続けていっても、よっぽどパターンを変えない限りはグダグダになりそうな気がします。
もしこの作品がジャンプで連載されていたら、もう今ぐらい(10巻まで)には
とっくに死神との能力バトル展開に突入している頃かもしれませんね。

現在本誌では、過去に使い捨てたヒロインたちを再登場させて新展開みたいなことやっていますが、
そもそもが長期連載に向いている題材ではないので、適当なところでうまく作品を締められれば。
でも無理だろなー。
あんまり頑張りすぎないでほしいです。 この作品は程々に脱力している方がきっと面白いです。

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[投稿:2010-12-09 01:07:00] [修正:2010-12-09 01:08:48] [このレビューのURL]

5点 海月姫

いま笑いの神が降りていると評判の東村アキコ氏の話題作。
講談社漫画賞を受賞した作品ということで、全く前情報を仕入れずに読んでみました。

話の根幹は典型的な少女漫画。
冴えない女の子がイケメン男子に見初められ、ちょっとメイクアップ、ドレスアップされると、
あらまぁ美しい女性に大変身、しかもそのイケメン男子は金持ちの名家で性格も良好、なんていう、
典型的どころか絶滅寸前かもしれないシンデレラストーリーです。

ただ、東村氏の作品は、ストーリーというよりはキャラの濃さが特徴的。
この作品も濃いーキャラが暴れまわるドタバタコメディで面白いですよ。 ですが……。
またこれ系の話ですか。 本当に最近増えましたね、おたくネタを前面に押し出した作品。
個人的には食傷気味なのですが、漫画賞を受賞していることから考えても、もうこのジャンルが
立派な市民権を得たということなのかも。
この手の話が苦手な人でなければ、十分に楽しめる良質のコメディだと思います。

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[投稿:2010-11-19 01:35:03] [修正:2010-11-19 01:38:36] [このレビューのURL]

5点 ES

ESと名付けられたその存在は、他人の脳と容易に同調し、瞬時に記憶を書き換えることが可能。
その能力を駆使すれば造作もなく人の心を操ることができてしまう。
しかし、ESが同調できない人間(=空気の読めない人?)も少しながらいて、その人たちが
ESの暴走を食い止めるために奮闘する、というお話。

作者の持ち味である、乾燥してサバサバした空気感、冷たく淡々とした中での控えめな温かさ、
こういうものが遺憾なく発揮されていて、雰囲気がとても好きな作品です。
ただテーマが大きすぎて上手くまとまらず、無理やり力技で押さえ込んだよう印象も受けました。

もともと話作りはうまい作者なのですが、初の青年誌ということで力みすぎたのでしょうか。
大きなテーマの割にどこか小ぢんまりとした話になってしまったような気がします。
期待しすぎたのかもしれないですが、設定が良かっただけに、面白くなりそうな要素を秘めながら
今か今かと待っているうちに不完全燃焼で終わってしまった感じです。
この辺は読む人によって随分感じ方が違ってくるでしょうね。
あと、そこまでグロい描写はなかったと思いますが、人がバタバタ殺されるので苦手な方はご注意。

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[投稿:2010-11-19 01:23:27] [修正:2010-11-19 01:23:27] [このレビューのURL]

全体を通して考えると、面白かったです。
雰囲気も良いですし、島の全体像を図示してくれるので、わかりやすく読めます。

ただ確かにオチは弱いと思います。
このパターンのオチは小説で使う分にはいいと思いますが、漫画にはそぐわない気がします。
というのも、文字だけで状況や感情等を全て判断する小説と異なり、漫画は絵でも判断するわけです。
特に漫画はちょっと表情を誇張して描いた方がインパクトが出ますし。

そういうことで、登場人物の目の描写や細かい表情などから感情を推察しながら読み進めていくと、
途中までのあの展開は何だったのか、ということになってしまいます。
拍子抜けというか、脱力感が生じてしまった感じ。

それ以外は十分に楽しめるサスペンスアクションです。 短くまとまっているのも好印象。

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[投稿:2010-11-04 01:26:57] [修正:2010-11-04 01:28:14] [このレビューのURL]

手放しで絶賛できるような作品ではないけれど、悪い作品でもない、
まぁそういう意味で可もなく不可もない作品。

よくありがちなタイプの話ですが、主人公が弱い人間なのがいいですね。
子育てと自分の時間との比重に対する苦悩が自然な感じで描けています。

叶ちゃんが本当にいい娘です。
お父さん大好きっ子なのはいいんですが、最初っからほぼ盲目的に大好き状態なのがちょっと残念。
できればフラットな状態から大好きになるところも描いてほしかったです。

こういうおたくネタを前面に押し出したもの、多くなってきましたね。 どうも食傷気味です。
例えばその発端とも言うべきげんしけんなどは、オタクと非オタクとの相互理解が
テーマの1つだったためか、ディープな部分がよくわからなくても楽しめました。
この作品も、もちろんストーリーが楽しめないということはないんですが、
作品の空気というかノリみたいなものが完全に内輪向けな気がします。
こういう世界に詳しい人でないとちょっと厳しいかもしれません。 というか自分は厳しかったです。

画力はかなり残念ですが、ある種の愛嬌はあるので、作品のハートフルコメディーな雰囲気に
うまくマッチしているように思います。

めぞん一刻のオマージュっぷりが好きですね。
管理人さんが「PIYO PIYO」のエプロンとかつけてたんで、確かに最初から気にはなっていましたが、
ここまで開き直ってできれば凄いです。

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[投稿:2010-10-18 01:48:08] [修正:2010-10-18 01:49:31] [このレビューのURL]

富江さん、何度も殺されたり分裂したり増殖したり再生したりして、大忙しです。

好意的に表現すれば、不条理で意外性のあるストーリー展開。
しかしてその実体は、理解の範疇を遥かに超越した意味不明な展開。
話の論理的な展開とか常識的な発想などとはもはや違う次元で繰り広げられる潤二ワールド。

もともとは作者が「死んだはずだよ、お富さん♪」と鼻唄を歌いながら構想を練った、とかいう、
何だかもうよくわからない話 (この歌を知らない人は初期のこち亀でも読んでみましょう)。
ホラーなのかギャグなのか、ネタなのかマジなのか、全てが紙一重。

ただ、この人の繊細な絵柄や独特な作品の雰囲気、気味の悪さはやっぱり凄いです。
この作者のホラーは、夜にトイレに行けなくなるような部類の怖さではないですが、
生理的な嫌悪感、不快感といったものをビシバシ刺激してきます。
作品にしても、読めば読むほどはまっていくような魅力や中毒性、面白さを備えていて、
さすが幾度となく映像化されただけのことはありますね。
現代におけるホラー漫画の第一人者、ここにあり、といった感じです。

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[投稿:2010-09-21 01:25:04] [修正:2010-09-21 01:31:11] [このレビューのURL]

迷走。 一言でいうとそんな感じ。
しかもワザと迷走を楽しんでいる感があります。

まぁ悪い作品ではなく、面白いところもあり、話作りは上手いな、という印象ですが、
読んでいて、この作品は何がしたいんだろうというのがさっぱりわからない作品。
そこがある意味この作品の売りかもしれないですね。
作品の雰囲気は良い感じなので、ギャグ系で進めていった方が楽しめそうです。
所々でちょこちょこ入るシリアスパートが若干邪魔に感じてしまいます。

随分連載が止まっちゃってます。無事再開するといいですね。
続きを読むかどうかは正直わかりませんが、未決終了にはなってほしくないなーと思います。

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[投稿:2010-08-27 16:21:26] [修正:2010-08-27 16:21:26] [このレビューのURL]

5点 咲-Saki-

能力バトル漫画の新たな可能性を示した作品。
麻雀+能力バトル。しかもそれを全員女性でやろうとしたのがまたある意味斬新。
登場人物に男も1人ぐらいいたような気がしますが、完全に空気ですね。
麻雀を知らなくても読めるよう、ツモごとの細かい描写や心理戦は控えめ(ただし心理描写は丁寧)に、
特殊能力重視でテンポの良い大技連発なバトルを描いています。

この作品の特徴は、麻雀のイメージと絵やキャラとのギャップだと思いますが、
読んでいて途中で思いました。 何てことはない、坊や哲の女版じゃないですか。麻雀の展開が。
もちろんオヒキも積み込みもないですけど。
単なる模倣ではなく、うまく消化して自分の雰囲気で表現できているのが強みです。
麻雀漫画に付き物のイカサマができない分、能力による大技連発でフォローしてるんですね。

こういうの嫌いじゃないです。
でもキャラは苦手。好きな人は好きなんでしょうが、ちょっと狙いすぎな気がして鼻につきました。
ということで、キャラが濃すぎてストーリーがちっとも頭に残らないのが弱点です。

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[投稿:2010-08-24 10:17:27] [修正:2010-08-24 10:18:24] [このレビューのURL]

5点 BLACK BIRD

16歳のヒロインが妖怪に血を吸われたり食べられたり花嫁にされたりしないように、
思いを寄せ合う幼馴染みで王子様なお兄ちゃん(でも実は天狗)が身体を張って守る、そんなお話。

かなり売れているらしいですし、漫画賞も受賞したりして、読者にとって魅力のある作品であるのは
間違いないのでしょうが、残念ながら自分が感情移入できる場面はあまりなかったですね…。
あるとすれば、葛葉の弟くんを斬った場面かな。
ストーリー展開も伏線とかがあまりなく、行き当たりばったり感が漂っているように思えます。
なんか全体の1/3ぐらい(体感比)は2人がイチャイチャしている場面のような気がして、
ある意味スゲーって思ったり。

この漫画を紹介してくれた女性方にこの作品の売りを聞いたら、みんな口を揃えて
「だって匡(=天狗の兄ちゃん)がかっこいいじゃないですか!」。
なるほど…。 そういう読み方を要求されるなら、そりゃ自分には厳しいかも…。
別に自分が男性代表なんて気取るつもりも全くないですし、あくまで個人的な感想ではありますが、
でもやっぱり男女で好みや見るべきポイントって多少なりとも違うのかもしれませんね。
「少女漫画」が少女向けなことを今さらながら痛感。

ちなみに、ところどころ入る下ネタはかなり直球です。しかも豪速球の部類。

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[投稿:2010-08-05 19:58:21] [修正:2010-08-05 20:05:38] [このレビューのURL]