「ジブリ好き!」さんのページ

総レビュー数: 343レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年12月10日

ドラえもんやこち亀のノリやオチをベースに、あられちゃん的な笑いと下品さを調味料程度に散りばめ、ズッコケ3人組を彷彿させながらもどこかぶっ飛んでいて個性的なキャラで仕立てたギャグ漫画。
マイナーだけど、子供対象のギャグ漫画としてかなりのクオリティを誇る作品。

コロコロや別コロの他の子供騙しな(子供のころにしか笑えないような)ギャグ漫画とは明らかに一線を画していて、シュールながらも子供に受けるギャグ漫画だったと思う。
ギャグだけでなく、ドラマ性のあるちょっといい話も混ぜられ、後味の悪い話もない。

松本先生の真の魅力と秘められた才能がここにあると思う。このころがコロコロ・別コロ最盛期だったとも思うし。
今読むと、昔懐かしの良質なギャグ漫画といった郷愁感にかられてしまいます…

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-06-12 09:37:44] [修正:2010-07-08 00:23:15] [このレビューのURL]

9点 BASARA

(2010年7月、読了につき全改変)

名シーン・名台詞がこれでもかと詰まった作品であるから、感動シーンも当然多い。
四道・錵山の最期、朱里と更紗の対面、大仏内で朱里が更紗の手を引くシーン、晒される太郎、そして揚羽…
幾多とある感動場面の中でも、自分は朱里と柊の決闘のシーンでグッときた。
初めから引きこまれっ放しだったが、中盤少し敵が間抜けすぎかなぁと失速しかけていた時、この22巻の対決場面で猛烈に感動。些細なことはもうどうでも良くなった。

最強の暗殺者・柊との一瞬の斬り合い。
たった一太刀で決着がついたこの場面の、何が自分を熱くさせたのか?


スターウォーズという映画がある。
ご存じ、フォースやライトセイバーを利用した、男なら熱くならずにはいられないバトルが魅力の映画だ。個人的には、ネタが銀河鉄道999のパクリだという論に同調しているので、大好きとは言い難いのだが、それでも壮大なストーリーや世界観、そして何よりボス級の敵とのアクションシーンは心躍る。
ライトセイバーで何度も何度も斬り結び、長い時間たっぷりと手に汗握る決闘が繰り広げられる。そう、長い間…
少年漫画の多くもそうで、ラスボスともなれば1回や2回でバトルは終わらない。本当に長いこと激戦を繰り広げる。

それに対してどうだろう、最強の敵・柊とは、たったの一太刀で勝負がつく。バトルが主体ではないとは言え、例えばナウシカだって土鬼皇帝との対決で何度か切り結んでいる。それに比べてこちらはただの一瞬、はたしてスターウォーズ以上の魅力はあるのだろうか?

山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」という映画がある。
そのクライマックスシーンで、武士の二人が斬り合う場面がある。
斬り合うと言っても、何度も刀を交えるわけではない。お互い、張りつめた空気の中、間だけを測って動きあう。
そう何度も無意味に刀を振ったりしない。それが命取りになると知っているから。
派手な斬り合いのシーンなんて一つもない。一度でも切られれば致命傷になる。家の中をひたすら動き回り、相手と自分の間合いを測り合い、一瞬の隙を狙う。剣道の有段者の闘いが、動いた一瞬で決着がつくように、一度刀が振りかざされればどちらかが死ぬことを知っている。
その緊張感たるや、見ているこちらにとっても凄まじい。

北野武監督の「座頭市」で、終盤の用心棒とたけしの居合抜きでの決闘のシーン。
目の見えないたけしが構えたのを見て、凄腕の用心棒がより早く抜ける構えをとる。
そこで勝利を確信した用心棒は、思わず笑みを漏らしてしまい…結果、素早く構えを取り直し斬りかかったたけしに敗れる。
ここにも、構えから始まる一太刀の中に、命をかけたやり取りがある。熱い。この一瞬の刹那の中に、互いの想いが、人生が、輝いて消える。そんな様が、何よりも熱い。

西洋の騎士は盾と剣を持つ。盾は相手の攻撃を防ぐためにあり、更には鎧も着る。勝負が一瞬で、一撃で決するより、何度も討ち合う中で決着が付くのだろう。
しかし、日本の武士は、侍は防具一切なくただ刀だけを持つ。
彼らの闘いには、最初から2撃目などないのだ。

一瞬で決まる勝負。
そこにはなんの派手さも、何度も混じり合う剣が奏でる音もない。
沈黙の空気。そして内に秘められた静かで熱い闘志があるのみ。
自分はこんな戦いが好きだ。
スターウォーズのような派手さよりも、少年漫画のような長い長い決闘よりも、この一瞬で輝いて消えゆく戦いが好きだ。何よりも手に汗握り、何よりも熱くさせてくれる。

朱里は鎧を纏っていたからどんな戦いになるか心配だったが、田村由美先生が選んだラストバトルは、ジパング伝説の名にふさわしい、一撃決着の斬り合いだった。一太刀の中の、ほんのわずかな動きも漏らさず描かれていた。
心が燃えるようだった。
その斬り合いにも、その一瞬に込められた朱里の、柊の、今帰仁の想いにも、感動した。浅葱の叫びも心に染みわたり、目頭が熱くなるのを止められなかった…


この漫画は、少年漫画を超えたスケールで描かれた少女漫画として認識されている。別に宇宙どころか外国とも少ししか関わらないけれど、日本全国端から端まで一つ一つに地域にまで及んで描かれた作品はこの漫画以外に私は知らない。だから確かに、少年漫画以上のスケールを持っているのは確かだろう。
しかし、自分にとっては、少年漫画を越えた部分はスケールだけではない。
この熱さ、戦い、想い!
志半ばで散る者、生きて苦しみもがく者、その全てを包み込んでの大団円!
いつまでも色褪せない名作、ここにあり!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-25 01:46:51] [修正:2010-07-07 02:15:57] [このレビューのURL]

東京の闇、人の闇…あなたは「東京」がきらいですか?


「聖伝」「魔法騎士レイアース 」とこの「東京BABYLON」は、衝撃的なラストが印象的だとファンの間では言われている。
特にこの作品、確かに、漫画に救いを求めている人には向かないだろうが、最終話以外のエピソードが非常に出来が良いのでぜひお勧めしたい。
特にCLAMP嫌いの人に。

自分も最近のCLAMP作品は大っ嫌いで、あの狙いすましたキャラやら雰囲気やらが鼻についてしょうがなかった。長編化も辛い。
でもこの作品には、キャラからしてその嫌らしさがない。
星史郎には若干そんな感じがあるかもしれないが、(演技とはいえ)彼のゲイっぷりと裏表の顔のきっちりとした使い分けのおかげで気にならない。
巻数も少なく、コマ割りのためか見た目の分量よりサラッと読めるのも◎(それでいて決して無駄なコマ割りや大ゴマが連発しているわけではなく、非常に効果的なコマ割りをしていると思う)。
初期の頃の作品のため、キャラの動きがあまり感じられず未熟だが、ストーリー・キャラ・表現・演出どれをとっても高レベル。
よくある切り口から、多岐な展開・結末が描かれる。
ハッピーエンドとは程遠い話が多いのもCLAMPの持ち味だ。娘を殺された母親が復讐をしようとしてるのを諭すため、娘の霊を呼び寄せる話の結末とか良かったです。

この作品の魅力はやはり、東京に潜む闇をあぶり出し、解決はできないまでも妥協点をみつけて向き合っていくところだろう。3人の登場人物の彼らなりの考え方・向き合い方には共感できるものも多々。

毒のある話がオムニバス形式で詰まったこの作品、ぜひラストの猛毒まで読んでみてはいかが?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-01 01:48:55] [修正:2010-07-01 01:54:55] [このレビューのURL]

溢れんばかりのセンスに脱帽
子供にダメなことをどうダメだと教えるのか?
しかって怒って?優しくわかりやすく?
夢見る子供に現実ばかり教え込むよりも、こんなユーモア全開で想像力溢れる教えの方が、子供の心の発育を大きく促す

大人になってからだと、一種のギャグとして捉えてしまうだろう。
けれど児童書とは、子供の純粋で広大な想像力に向けて作られている。
きっと子供には、ギャグ以上のものを感じるはず。

ただ、これを漫画と言っていいのかいささか疑問に残るところはありますが…
一応「おまけ漫画」などと表した話もあるので、漫画と児童書の中間と言ったところか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-27 21:38:33] [修正:2010-06-27 21:38:33] [このレビューのURL]

7点 獣王星

復讐の一心で地獄の中をもがく主人公が知った真実とは…!?


権力者に両親を殺され、その子供の双子の主人公が死刑囚の集まる星・キマエラに落とされる。
身を削り、弟を失いながらも、兄・トールは復讐の炎を燃やしながら、キマエラのトップ、獣王になる。
そして明かされた真実…
何故両親は殺されたのか?キマエラとは何か?
そして、厳しい環境の中何故トールは生き伸びることができたのか…
伏線を余すことなく回収して伝えられた真実は、トールにとって余りにも残酷で、激動のラストへ加速していく…


序盤の展開が余りにも速く不自然さを感じました。多く漫画を読んだ方なら、構成や流れが上手くないなぁと思うはず。だから最初のうちはあまり期待が持てなかった。
しかし中盤以降は無理なく読みやすくなります。それでいてスピーディさを失わない。
そして終盤、一気に伏線を回収し、怒涛の展開へ。
ストーリーはしっかりとまとまっているし、終盤スケールアップもして、ミステリー要素や感動要素も良くできている。
難点はやはり序盤の残念さと、心理描写の甘さ。なんか短絡的というか一本調子すぎる心理変化に少し戸惑う場面も多々。
ただ、完成された世界観と抜かりない科学考察はお見事!

中編程度のSFストーリーを楽しみたい方にオススメ

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-27 02:29:49] [修正:2010-06-27 02:29:49] [このレビューのURL]

今では有名な原作者なので、知っている方も多いのでは?
原作を読んでいれば、わざわざこちらに手を出す必要もないと思います。
逆に普段小説を読まない人や伊坂さんを読まない人にオススメ。画力や演出も悪くはないので、とっつきやすいと思います。

伊坂さんの作品はライトノベルに近いものばかりなので、コミカライズされやすいんですねー

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-26 11:11:52] [修正:2010-06-26 11:11:52] [このレビューのURL]

寄生獣にエロ要素を詰め込んでグロもパワーアップさせた感じ…なんて言うと(岩明さんに)失礼かな?

エロ漫画として描いたはずなのに、なんかテーマ性をもっちゃって、気付いたら寄生獣的な結論に至ってたって言う方が正しいかも(でも実はこっちの方が先に結論出したので、寄生獣が元祖ではないんですね)。
別に環境問題に絡ませてるとかはないので、そういう意味で期待して買うのはやめた方が良いです。
じゃあエロ目的で買えばいいかというと、設定がひどい(笑)ので、どの角度から見てもマニアックな人向けの作品と言えるかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-23 13:51:28] [修正:2010-06-23 13:51:28] [このレビューのURL]

7点 永沢君

誰でも知ってるまるちゃんの
誰でも知ってるやな奴・永沢君のお話

この作者のギャグは本当に日常ベースであるあるで、単純なもの。
けれど物事を多角的に見ていて、かつなんでもかんでもはっきり言っちゃうから、シンプルイズベストと言わんばかりの面白さが出てきます!
基本的にちびまる子ちゃんと同じギャグテイストなので、好きな方にはぜひお勧めしたい。

序盤から暗ーい永沢節全開ですが、最初は笑えるほどでもなかったです。
…が、中盤以降はめっちゃ笑わせていただきましたw
永沢・藤木・小杉の3人のやりとりはそこらへんの芸人の漫才より遥かに面白いw自分でも他人でもとにかくおとしめますw
性格の語り合い、ラジオ…
そして城ヶ崎さん登場で更に加速
バレンタインの話は爆笑

後半は恋愛も入ってきて、なんか違和感がありました。まぁ、中学生に成長したってことか…でも最終話はしっかり出オチで安心w

カバー絵も秀逸
目線の方向が、各人の性格をよく表しています。
藤木は下を、ネガティブさ全開ですね。
小杉は斜め下を、ネガティブベースですが、どこか欲をもってます。
永沢は横を、毒舌ながらその言動はネガティブでもポジティブでもない、いや、否定的でありながら肯定的でもある永沢独特の考え方が象徴されている気がします。

オマケ漫画は本編とは違うツボが必要だと思います。個人的には笑えなかったなぁ。
結局ギャグ漫画の評価は笑いのツボや沸点の問題なのですが、ちびまる子好きなら間違いないですよ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-20 23:03:15] [修正:2010-06-20 23:03:15] [このレビューのURL]

こんなにも「完璧」な主人公が他にいたでしょうか?

普通、漫画の主人公はダメダメだったり一般人だったり、優れていても欠点をもつものです(例えば井上雄彦先生も、主人公には必ず一つ欠点をもたせて描くそうです)。そしてそうした主人公が、努力や修行をして強くなるのが、漫画のセオリーでありヒットの方程式なのだと思います。

ナウシカは、苦悩も葛藤もしますし、絶対的な強さをもっているわけではありませんが、間違いなく「完璧」という形容がふさわしいキャラクターです。1巻の果たしあいでは憎しみに支配されますが、それ以降は深い慈愛の精神・様々な道具を使いこなす知性・力・圧倒的なカリスマ性を備えた、モーセやジャンヌのような預言者的な才覚を発揮します。

この物語を読んで、もっと努力や修行のシーンが欲しいと思う読者はいないでしょう。それは、この物語が主人公の成長譚ではなく世界を知る冒険譚であるからであり、また、主人公の成長を楽しむものではなく主人公の完璧さを楽しむ漫画だからです。ナウシカの強さ・優しさ・思考は、僕らが一度は夢見る「完璧な人間」の理想像だと思います。特にその優しさには、癒され、心温まります。敵も蟲も動物も、腐海さえも愛するその包容力は、母性からくるのでしょう。青年誌には珍しい女性主人公なのもそのためで、全ての生物に対する母親としての優しさが、心地よい温かさを読者にくれるのです。
そもそも武力解決をしようとしないナウシカが、戦う力を求めて修行や努力をする必要がないですしね。

ナウシカの魅力を最大限に引き出している、緻密で完成された世界観も魅力です。国家関係、歴史、メーベを始めとした飛行機械、人間にとって毒ながら実は人類を救うための腐海、腐海を守る蟲…複雑ながら矛盾のない、リアリティとメルヘンとSFを含んだ世界。最近は作品の世界観を作中で全ては教えてくれない漫画が多いですが、この作品ではほぼ100%見せてくれているのも嬉しいところです。

ナウシカの最後の選択は、様々な経験に裏付けられたとはいえ独断であり、人間にとって正しいことだったのかわかりません。ハッピーエンドのように見えて、その後が描かれていないのが怖いです。ナウシカの選択が間違ったものであれば、人類は滅び、ナウシカの力は魔女のそれと変わらなくなります。圧倒的なカリスマ性が、人々を盲信的にさせたかのごとく。逆に正しければ、ナウシカは英雄として扱われます。独裁者と英雄は紙一重なんですね。
ただ、ナウシカの選択が善でも悪でも、ナウシカの人間性は紛れもなく善である。この作品の重要なところはそこなので、その後を描かないあのENDは秀逸だったと思います。

この作品を知らない人は、まず映画版を見ることを勧めます。漫画からだと、映画を楽しめなくなるかと。
映画を見た方は、原作であるこれをぜひ読んでみてください。画が苦手でも、紙質が嫌でも、内容についていけなくとも、シリアスさに耐えられなくとも、ただナウシカの優しさに触れるだけで、この作品を読む価値があると思います。

ナイスレビュー: 10

[投稿:2010-02-20 12:19:42] [修正:2010-06-20 13:50:46] [このレビューのURL]

少女漫画?いえいえ、大人向けですよね、田村先生…


表題は大人も子供も楽しめます。
落とし所は現実的で、子供心な冒険心と逃れられない現実が入り混じって儚い。

短編集は基本的に表題が一番面白く出来が良いものですが、この作品は結構分かれると思います。5作品中霧の家以外の4作品は「非日常」がテーマな気がする。

踊る教室
学校がテロに占拠されて…
心理的などんでん返しが素晴らしく、考え方も共感できて、かなり楽しめました!

王子くん
謎の転校生は実は…
オチが読めるようになったら、田村ワールドにどっぷりな証拠。

晴れ、ときどき闇。
趣味が天気予報な私は、自称スパイさんと出会って…
感覚にグッときました。男に同情はできなくとも、オチはベタでも、やっぱり見せ方がうまい。トリビア満載、楽しめる一品。

霧の家
ひっそりと霧の中に埋まる家…
ホラーですね、わかります。いたいけな少女が読むにはダークすぎるというか刺激が強すぎるというか…


短編でも田村節全開、決して甘い結末を期待してはいけません。
さすが田村先生、短編でもやってくれるな、って感じの一品。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-17 03:28:45] [修正:2010-06-17 03:28:45] [このレビューのURL]