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女性の労働基準監督官、段田凛(ダンダリン)を主人公に、
現代日本での労働基準監督官の仕事を描く漫画。
タイトルのダンダリン一〇一とは、労働基準法第101条(労働基準監督官の権限)から。

作品のテーマが掘り下げられる前に連載が終了してしまった。終了の経緯は不明。
熱心に働いてきたダンダが、ある事で自信を失い無断欠勤して自宅の布団に包まり
悲鳴をあげるという最終回。
日本全国の労働基準監督官が厳しい条件で働いているデータ(人数の不足)が示された。

ダンダは過剰に仕事熱心だが、それは彼女自身の余裕のなさが原因。
不器用で融通の利かないダンダは職場でやや浮きがち。
そのズレを埋めることも開き直ることもできず、すべてを誤魔化すためにガムシャラに仕事に打ち込んでいる。
その勢いが仕事上の成果につながり、ダンダはさらに頑張ろうとするのだが、
蓄積する疲れを癒すことができない。

ダンダは疲弊した自分をいたわる事すらできず、働く意欲をなくした自身を無能者と断じて壊れた。
その職務において、人間を労働機械として扱う雇用者を誅してきたダンダがまさに自分自身をそのように扱ってしまった。
漫画版は言うなれば、ダンダリンの敗北というタイトルが相応しいだろう。

ここで漫画は終わり、唐突な終了がかえって強い印象を残した。
作品のテーマは竹内結子主演のドラマ版に受け継がれた。
「山のあなたの空遠く、『幸』住むと人のいふ。」(ブッセ)
ドラマ版ダンダは「遠くかもしれないが幸せは在る」という意味で使っており、
漫画版ダンダが抱える苦しみに答えを出していることが示唆されている。

漫画版とドラマ版を比較することで本作品のテーマがわかりやすくなるだろう。

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[投稿:2015-09-15 12:13:14] [修正:2015-09-15 12:14:39]