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総レビュー数: 258レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月29日

この漫画を夜中に読んでいると、どうにもこうにもお腹がすいてきて困る。それくらい美味しそうってこと。

筧史朗は43歳、弁護士。生真面目で若々しい男性。
矢吹賢二は41歳、美容師。人当たりのいい少しなよっとした優しい男性。

2人は恋人…そう、彼らは共に暮らすゲイカップルなのだ!
「きのう何食べた?」は彼らが過ごす日々を、食生活を中心に描く漫画。

何といっても筧さんの料理がいい感じ。倹約家で、でも料理好きの筧さんは出来るだけお金をかけずに美味しい料理を作ろうとする。野菜やお肉などの底値を把握している所まで来るとつくづく徹底している。
でもただ生真面目じゃなくて可愛い所もあるのが憎めない。似たもの同士の佳代子さんと知り合った経緯とか笑。

で、何でこんなに美味しそうなのかなと考えた時に、やっぱり想像できるというのが大きいと思う。多くのグルメ漫画では派手で凄そうな料理が多く登場する一方で、奇抜すぎてどうにも味を想像できなかったりする。
この漫画で登場する料理は極めて一般的な料理に過ぎない。でも調理過程、筧さんの細かい工夫を詳しく描写することですっごく美味しそうに見えるのだ。知っている料理だけに食べたくなってとてもお腹がすいてくる。たまらない。
普段料理する人にとっては役に立つだろうなぁ。作りやすいだけに。

とはいえただの料理漫画ではない。調理シーンがメインとはいえ、あくまで食事は彼らの生活の一部である。彼らにも彼らの生活、悩みがあってそれらがうまく料理と関わってくる。
両親との対話や筧さんと賢二の将来についてなどゲイ関連の話から、2人の仕事や佳代子さんとの交流などの日常のエピソードまで色んな話が語られていく。あくまで理解してくれない両親や、一人の人間の前にゲイとして見られてしまう話など、現実を見据えているからストーリーが興味深い。

「きのう何食べた?」はどういう結末を迎えるのだろうか。正直さっぱり予想がつかない。
でもよしながふみはそれまでの細かい背景をつなげて最後に盛り上げるのは十八番。楽しみにしてます。

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[投稿:2011-10-13 19:28:21] [修正:2011-10-13 19:28:21] [このレビューのURL]

6点 少女椿

ひどく趣味が悪い。そして趣味が悪いものを好きな人はけっこう多い。

花売りだったみどりちゃんは、母親が亡くなってしまって独りぼっちに。困って親切だと思っていたおじさんを訪ねると、見世物小屋の芸人にされてしまう。異形のものを見世物とする尋常ならざる世界に足を踏み入れたみどりちゃんはどうなってしまうのか。

陵辱、エログロ、幻想、そして畸形畸形畸形畸形…。
兎にも角にも猟奇、そして猟奇は耽美に昇華されていく。

これぞ丸尾末広だよなぁ。もう完璧にやりきっちゃってるよこの人。
江戸川乱歩の怪奇小説の正当後継者とも言える猟奇漫画に仕上がっているわけだけど、思っていたほど読みにくくはない。それは私が乱歩の小説をそこそこ読んでいたり、事前に丸尾版の芋虫を読んでいたというのはあるかもしれない。
でも結局これは美少女が残酷な運命に翻弄される物語、薄幸の美少女の物語だ。そのように基本プロットは普遍的なものなのである程度猟奇系に耐性があれば楽しめると思う。薄幸ってレベルじゃないけどさ。

ただやっぱり存分に楽しめるのは丸尾末広の猟奇趣味が気に入っている人なのだろう。
私は乱歩の猟奇系の作品は嫌いではないけど好きでもなくて、性的倒錯を扱った人間椅子やひとでなしの恋が好みだったりする。ティム・バートンの映画にしても奇形への愛をもろに押し出したバットマン・リターンズはそれほど好きではなくて、シザーハンズやビッグフィッシュのような美しく奇形をリファインした作品の方が好きだ。
そういう人間だから私は少女椿が大好きというわけではないし、私はあなたと逆だよ、という人にこそ特に強くおすすめ出来る作品かもしれない。私だってその耽美を感じる部分が大いにあるのはもちろんだけど。

猟奇好きの人にはバイブルとなりうる作品だと思う。別に好きじゃないよという人も、もしかしたら自分の知らなかった嗜好を発見することになるかもしれない。

ああ、みどりちゃん…。

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[投稿:2011-10-07 23:15:12] [修正:2011-10-07 23:15:12] [このレビューのURL]

6点 JOKER

ジョーカー好きのジョーカー好きによるジョーカー好きのための…とにかくジョーカー尽くし!

ブライアン・アザレロによって一冊丸々使ってジョーカーが描かれるというファンにはこれ以上ない作品。逆に言うと何でこいつこんなにジョーカー連呼してんだなんて思った人には用はない作品でもある。
今までのバットマンコミックだったり映画「バットマン」、「ダークナイト」でジャック・ニコルソンや故ヒース・レジャーのジョーカーに魅せられた人はこのジョーカーに触れる価値が確実にある。そしてそんな人はけっこう多いはずだ。アメコミの数多いヴィラン(悪役)の中でも彼は間違いなく1番だから。

アーカム・アサイラムからジョーカーが出所する所から物語は始まる。ジョーカーがいない間に彼の縄張りはマフィア達によって山分けされていた。出所するや否やジョーカーはマフィアを次々に殺して縄張りを取り戻していく。
ビッグな大物に憧れジョーカーに付き従うチンピラ、ジョニー・フロストの視点で話は進む。ジョニーは、私達はジョーカーの何を見て何を思うのか。

ジョーカーを主題とした作品で避けては通れないのがアラン・ムーアのキリングジョークだろう。キリングジョークはムーアがジョーカーを徹底的に分解することで狂気の裏側、理屈に裏づけされた読者にも理解しうる狂気というものを見せてくれた。矛盾する言い回しのようだが、それをやってのけたのがムーアの離れ業というもの。

ではこのJOKERはどのようなジョーカーを見せてくれるのか。それは全くもって理解できないジョーカーだ。ある意味キリングジョークの真逆とも言えるジョーカー。
上で述べたようにJOKERは一介のチンピラ、ジョニーの視点で話は進む。ジョーカーはマフィアを殺す。金のためか?そうではない。権力のためか?そうでもない。ただ酒を得るために店の店員を殺したりもする。ジョニーと共に私も叫ぶ。「何で?何でよ?」

このブライアン・アザレロ版ジョーカー、引き裂けた口などビジュアル面でダークナイトとの類似点を指摘されているが全くの偶然ということ。しかし驚くほどに似ている。
でも似ているのは外見だけではなくて、その描かれ方も同様なのだ。ダークナイトにおいてバットマンへの執着を除いては彼の行動原理は語られないし、ジョーカーが語る彼の過去はその時々で全く異なる。何もかも理解できないジョーカー、そういう意味でも実に似ている。
だからJOKERはダークナイトからジョーカーだけを抽出してそのキャラクター性を楽しめるようにした作品とも言えるかもしれない。

リー・ベルメホのアートワークも見所の一つであり、またトゥーフェイスを始めとする他のヴィランの連中も独自のアレンジがなされているものが多くておもしろい。
個人的に気になったのはやっぱりハーレイ。だってハーレイ&アイビーで馬鹿かわいい感じだった彼女がこんな寡黙な美女になっちゃってんだもん笑。てかハーレイはアニメイテッドのオリジナルかと思いきや原作にも逆輸入されてたのね。今後も見れたらいいな。

ジョーカー好きには必須のバイブル。特にダークナイトが好きな人にはおすすめです。

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[投稿:2011-10-04 20:52:05] [修正:2011-10-04 20:56:23] [このレビューのURL]

6点 芋虫

これが私の初丸尾末広作品。
パノラマ島奇譚はそこまで好きな作品ではないので興味はありつつも未読。芋虫は人間椅子と並んで私のお気に入りの乱歩短編なのでこれは読むしかないと購入してみた。

確かに乱歩と丸尾末広のゴールデンコンビの魅力は存分に感じることが出来た。多分これ以上はないだろう。しかし、そもそも映像化する意義があるのかというと少し迷ってしまう所で…。
乱歩の文章というのはかなり映像的なので頭の中でイメージするのはわりと容易なわけです。ある程度自分の中でイメージがあるものを実際に漫画で見た時にそこまで衝撃があったかというとそうでもなくて、さらに自分の中にあったイメージが丸尾末広版芋虫に侵食されてしまったようで何となく悲しい。

漫画の方を読んで思ったのは、私は乱歩の作品に関しては自分の中でイメージすること自体に楽しみを感じているということ。漫画で読むとそのイメージが固定化されてしまうので、そういう意味では気に入っている芋虫よりそこまででもないパノラマ島奇譚を読んだ方が楽しめたのかな。

丸尾末広は乱歩作品を漫画化するにおいて最適ということは認める。しかし私にとって芋虫の漫画化は楽しめもしたが失ったしまったものも大きかったと言えるかもしれない。まあとりあえずパノラマ島奇譚も読みますわ。
原作未読の人が読んだらどう感じるんだろうね。ぜひ誰かレビューを書いて欲しいです。

友人にこれを見られてしまった時に、「お前大丈夫か?」、とまじな顔をされたのはいい思い出。皆さんもご注意を笑。

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[投稿:2011-09-25 17:21:07] [修正:2011-09-26 00:36:15] [このレビューのURL]

ムーア御大のアメリカデビュー作。イロもののように見えて実は…いや、やはりイロものキワものの類か?笑 
スーパーマンたちJLAのメンバーがちらっと出てくるもののヒーローものでは決してない。怪人もの。ホラーファンタジー。

元々スワンプシングというのは、爆弾の爆風で沼に吹っ飛ばされ死に瀕した科学者アレックスが化学薬品と爆発の衝撃で、沼の植物と融合し怪人スワンプシングになってしまうというもの。
設定聞いただけで何だか微妙だな、と思いません? 実際当初は人気は出なかったらしい。そこでテコ入れのためイギリスで評判の高かったアラン・ムーアに全面的にこのシリーズを任せることになった次第。

ということでムーアのアメリカデビューとなったこの作品、のっけからこれまでの設定をひっくり返してしまいます。スワンプシングとはアレクが植物と融合した姿ではない。アレクは爆発で既に死亡していて、沼の植物がアレクの意識と記憶を取り込んだ姿なのだと。

ふーんそうなんだとまあ思うわけです。しかしこの改変、物語が先に進めば進むほどムーアの才能を思い知らされることになる。
スワンプシングはアレクの記憶を持っているのでもちろん殺されかけた復讐心やその他の感情はある、でもそれは確かにあるのに自分のものじゃないのだ。何を考えてもそれが自分の考えなのかアレクの考えなのか、分からない。
痛ましいまでの悲哀。おぞましくも哀しき怪物。もはやアイデンティティの喪失なんて言葉が軽く感じてしまうほどの真実を”それ”は知ってしまう。

そこからスワンプシングが絶望の末にどこにたどり着くのか、というのがこの作品の前半のお話。これが傑作だった。この頃からムーアのライティングは知性を感じさせてくれる。紹介エピのはずなのにもうこれで完結でもかまわないくらいの出来なのだ。
もちろん連載なのでそこで完なんてできるはずもなく、後半はホラー色の強い作品が掲載されている。これが駄作とまでは言わないけど何とも微妙。話の進め方に迷いが感じられたりスワンプシングを話に絡める必然性が薄かったりで、前半で完成されている気がするだけに蛇足というか…。

これ以降も連載は続いたようですが、そこまで続編を見たいとは思わないし邦訳もされないだろうな。
後半も考慮に入れてこの点数です。しかしWATCHMENなどでムーアに興味を持った人は出色のできばえの前半をぜひ見て欲しいなと思う。
スワンプシングをムーア作品で最初に見るのは間違いなくおすすめできない。古くて癖が強い、まさに「怪作」なので。これがこの作品にとって最高の褒め言葉だよね。

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[投稿:2011-09-22 01:59:54] [修正:2011-09-23 00:24:01] [このレビューのURL]

6点 童夢

話は至極単純。超能力者二人のエスパーバトルがひたすら展開される。
ストーリーなんて余計なものは要らねぇ。ひたすらおれの絵を見やがれ、なんて大友先生の声が聞こえてきそうな作品。

映画的な表現を初めて明確に取り入れたエポックメイキング的な作品なので興味があれば読むべきでしょう。今でも十分に読める。
現在映画的手法を取り入れた漫画なんて珍しくもないというか当たり前に近いわけで、そういう意味では今読む人の衝撃は薄いかもしれない。実際私もそうだった。ただ、取り入れた漫画は珍しくなくてもここまで徹底しているのは珍しい。なかなか新鮮に読めた。

これを見て荒木飛呂彦が超能力を形にしたスタンドを発想してしまったのも納得できる。それほど何やっているのか分かりにくい。
一方分からないことの恐怖を改めて強く感じた。理屈が見えないというのはやはり怖い。いわゆる未知の恐怖ってやつ。ホラーやサスペンス辺りだとこちらの方が相性いいと思う。

AKIRAも同様だが、記念碑な作品というのはもちろん認めるし尊敬するべき作品。ただ普遍的な名作かというと少し違うと思う。
例えば2001年宇宙の旅やブレードランナーも同じく記念碑的な作品だけど、その衝撃は未だ古さは感じるものの衰えない。それはやはり「美の新しさ」に依る所が大きい。
森エンテスさんが挙げているマトリックスやアバターのような「手法的な新しさ」というのは「美の新しさ」と比べてどうしても薄れてしまうものだ。

そういう意味でもう風化は始まっているように感じられるものの日本の漫画史に残ることは確か。読むべき作品です。
申し訳ないけどそういう貢献を含まない単体としての評価は良作程度。

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[投稿:2011-09-17 04:12:00] [修正:2011-09-17 04:12:00] [このレビューのURL]

6点 AKIRA

高校生の時に初めて読んだ。有名な作品というのは知っていたけど、そこまで惹かれたわけではなく普通におもしろかったなというくらい。

あまり理解できてなかったのかなと思ったので久しぶりに読み返してみたわけだが、そんなに印象は変わらず。
絵は映画的で確かに緻密。でも今見るとそんなに飛びぬけているわけでもなく、好みでもない。
ストーリーは序盤いい感じに盛り上がったものの後は退屈な部分もあって、序盤に比べるとだるい。普通に楽しめはしたけど。分かりずらい所があまりおもしろさにつながっていない気がする。

当時読んでればまた違うんだろうな。エポックメイキング的な作品ってのはもちろん尊敬に値する。ただそれが普遍的な名作であるかはまた別の話なのかもしれない。

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[投稿:2011-09-17 03:32:20] [修正:2011-09-17 03:35:56] [このレビューのURL]

同作者のバラ色の明日に興味があったのと、とろっちさんのレビューが熱かったので読んでみた作品。

代替のない大切な人を失った時、それを埋めるのは時間と他の誰かとの絆しかない。
再びカンナの時が動き出すまでの物語。

要はトラウマを乗り越えるまでの話だ。携帯小説から漫画まであらゆるメディアでやりつくされている題材なのに、他と一線を画すのは確か。

いくえみ先生の物語のつづり方は非常に丁寧で好感が持てる。
時はゆるやかに、穏やかに進む。
カンナが主軸とはいっても、群像劇がカンナに纏まっていくというだけで当人にとってはやはり自分が主役なのだ。

話は常に一人称で語られる。少女漫画らしい独りよがりで自己完結的な物語(悪口じゃないよ)。
ただ、ここで群像劇というのが効いてくる。独りよがりもたくさん集まれば独りよがりではなくなってしまう。狙っての工夫かどうか分からないけど、おもしろい。

トラウマを描く作品としては古谷実作品のこちらの世界を侵食してくるような生々しさはなく、日常を描く作品としてもくらもちふさこ作品の境界をいつの間にか踏み越えてくるようなリアリティの追求と妄想は存在しない。
潔く柔くは良くも悪くも読み物の域を超えてはいない。軽く読めることはそれはそれで良いことだし、その独りよがりさも作品に乗れてしまえば最高に没入できるのだから悪くはないと思う。
軽く読めるにも関わらず、その独りよがりさは人を選ぶ。これまたおもしろい。

長々と書いておいて何だけど、結局私はこの作品を好きになれない。というのも登場人物にあまり興味が持てないから。興味がないというのはある意味嫌いより悪いかもしれない。
いくえみ先生の描くいい男はほぼ全員一緒に思えるのと、その男どもを全く魅力的に感じない。別に作者が女性だからとかではなくて単純に相性の問題。三千花の話に代表されるような軽薄さと変な爽やかさのせいか違う世界の生物のように感じたことがしばしば。
お前らの頭には恋愛しかないのか?って程、ほぼ最初から最後まで恋愛の話のみだったのも要因の一つだろうか。
この作品で描かれているのは少なくとも私が共感できる日常ではなかった。

要約すると、こういう一人称の心理描写に特化した作品は登場人物に共感できないと無理ってこと。外伝の「切切と」が一番好きだった辺りから私の好みがうかがえるなぁと自分で思う。惹かれた人物もいたにはいたけど少数だったので。
思えばくらもちふさこファンの私としてはこの手の作品のハードルが高い上に、いくえみ綾というペンネームがくらもち作品由来と知っていたので無意識に比べてしまった部分があるかもしれない。そういう意味では残念。

おもしろいというか色々と興味深かった漫画。はまればバイブルになりうるとは思います。

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[投稿:2011-09-06 03:25:10] [修正:2011-09-07 15:04:43] [このレビューのURL]

自分は仮面ライダーは平成に入ってからのしか知らないので、多少ストーリーについていけない部分もあるのだけど、そんなのはまったく関係なくおもしろい。必殺技の名前も全然ださくない。むしろこれ以外はない!昭和ライダー借りて見ようかなあ、と思うくらいおもしろかった。

昭和ライダー編の最終回後のオリジナルストーリーなのだけど、話を知っているにこしたことはないが、知らなくても十分楽しめる。村枝賢一のあふれんばかりの仮面ライダー愛と漫画越しに熱気が伝わってくる作品。ライダーファンはもちろんだが、そうじゃない人にこそ、これを見てライダーを好きになって欲しい。

あと、何度見ても思うんだけど見開きでの一号vsゼクロスのライダーキックの激突はかっこよすぎる!魂が震えるってこういうことなんだなあ・・・

追記 最近の展開と戦闘がどうも安直になってきているように感じるので一点減点。

【さらに追記】
8点から6点に変更。
どう考えても9人のライダーを紹介する第一部が飛びぬけておもしろかったという矛盾。主人公ゼクロス以外の旧ライダーを描く章なのに。
ライダーとしての苦悩を描くなど、アクセントもあるものの基本的には単純な勧善懲悪なのでやはりこうまで続くと辟易してくる。まあ仮面ライダーはそういうものだけどさ。
設定や過去作をうまく使って村枝賢一の仮面ライダー愛を感じる話の練り方をされてるのは確かなので、こうなるとそもそも仮面ライダーが大人の鑑賞に堪えうるかどうかの問題かもしれない。

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[投稿:2007-07-09 21:26:28] [修正:2011-09-01 16:03:31] [このレビューのURL]

太田垣康男原作、村田雄介作画って聞いたらもう読むしかないですよね。これはある意味ドリームタッグじゃね?と思った。

内容はといえば、王道な青春もの。思わず読んでるこっちが恥ずかしくなるほどの直球具合。
働きながら大学進学を目指す苦学生(学生ではないけど)が、何の苦労もない(ように思える)大学生たちと一悶着ありつつもソーラーカー作りを手伝うことになって…という太田垣先生らしからぬ内容なので当然といえば当然なのだが。

太田垣康男原作、しかも短期集中連載で2巻に纏まっているので破綻は全くなく、結末まで気持ちよく読めた。型どおりではあるんだけどその分安心して見れる。
起承転結がこれだけ明確な作品は他に記憶にないなぁ。どこまでが起でどこからが承かはっきり分かる。それだけにスムーズ過ぎる、小奇麗に纏まり過ぎているとも言えるわけだけど。

この2人だからこそのおもしろい漫画を作りたい、というよりお互い1人では出来ない内容を2人で組めばできるんじゃないかという気持ちが伝わってくる。漫画家としての幅を広げたいというような。
太田垣康男は青春ものが書きたかったし、村田雄介はアイシールドのような派手な作品以外もやってみたかったのだろう。この作品が成功したかはともかく、今後の作風に影響を与えうる作品ではあると思う。特に村田先生は一般人を魅力的に描けないといくら絵が上手くてもやばい気が…。

はっきり言うと、スケールは小さいけど完成度は高いという類の作品なので高い点数はつけ難い。しかしまっすぐで爽やかな作風と一定の質は保たれているということで誰でもそれなりに楽しめると思う。

方向性を持った熱い青春ものが好きな人におすすめしたい良作。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-08-30 22:23:33] [修正:2011-08-30 22:53:03] [このレビューのURL]