「boo」さんのページ

総レビュー数: 258レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月29日

お嬢様なのに何故かアパートの大家である少女ジゼルはある日何でも屋を始めようと思い立つ。お嬢様ゆえか世間知らず、でも好奇心いっぱいでまっすぐなジゼルは家賃滞納を理由に仕事を手伝わされるエリックを始めとしたアパートの住人を巻き込みながら危なっかしくも活躍していくというストーリー。

序盤ではミステリアスな美少女という印象だったジゼルだが全くそんなことはなくて実はただの冒険好きのお転婆なお嬢様ということがすぐに明らかになっていく。お嬢様の遊びといった感じなので仕事にも関わらず平気で自分の感情で横道にそれたり依頼と異なった行動をしてしまうのですが、そのまっすぐな行動が意外にうまくいったりたまには失敗することだってあります。
何といってもジゼルのころころ変わる表情が魅力的です。ジゼルは何でも屋の仕事を通して色んな人に出会い、色んな体験をしていく。お嬢様のジゼルにとってはどんな仕事や体験でも新鮮な経験で、新しいことを得ていく彼女の喜怒哀楽を見ているのはとても楽しい。それは運動の後の飯をはおいしいといった些細なことだったりするのだが…19世紀ヨーロッパお嬢様版よつばとというと分かりやすいかもしれない。

絵は新人にしては破格の上手さ。その画風とエマと同様のヨーロッパという舞台なのでよく森薫と比べられて、時にバッシングまで受けてるのは気の毒に感じます。短編集ではそんなに似ているように感じないのでなおさらね。たまにバランスがおかしかったりトーンが気になったりする部分はありますが、精密で美しい絵を描ける作者だしまだ伸びしろはあると思うのでこれからも楽しみですね。
2巻では絵はさらに良くなって、ストーリーにも深みが出てきた。今後の課題はじいさんの描き方(笑)。短編でも感じたことですが、ばあさんに比べると下手に感じるので頑張って欲しい。

よつばと!の四葉やそれ町の歩鳥と同様ジゼルという人物を好きになれないと恐らく楽しめないであろう作品。その性格上仕方ないとはいえ、依頼と真逆のことをしたり自分の思うよう勝手なことをしてしまうキャラを微笑ましいと見るか苛立たしく思ってしまうか…
私は純粋で好奇心たっぷりなジゼルが大好きだけど、こればっかりは好み次第だと思う。話の途中で脈絡なく突然「子どもの前で煙草を吸うのはやめろ!」と怒鳴った所などいくつか違和感のあるシーンは私でさえあったので。
ただ、作者もここは分かっているようで2巻ではジゼルが仕事へのプロ意識のなさを指摘される場面が出てきます。へこみながらも彼女なりに何でも屋として努力する所は愛らしいです。とはいえあまり固い人間になってもあれなので魅力が損なわれないようなジゼルの成長を気長に見守っていけたらいいなと思います。

多少の欠点はあってもそれを十分に補う美しい絵と個性豊かな人物が登場する愉快な話は魅力的です。本屋で見たときに表紙とタイトルに惹かれるのは必至なのでぜひジャケ買いしちゃってください。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-13 18:20:59] [修正:2011-08-01 19:29:04] [このレビューのURL]

あまりにも反響が大きすぎて本編には収録できなかったそう。
どんな反響だよ?w
学園編前期は主に性的倒錯について扱っている。しかしあまりにも度が過ぎた2作品がディスコミ学園編としてまとめられたというわけ。

幼女プレイ・ショタあたりがかなり露骨に描かれるので恐らく嫌いな人はアウト。本編に収録された作品が真面目に、真摯にテーマに向き合って書かれたのに対し、こちらの作品は作者の趣味があからさまに出過ぎて結果はちゃめちゃなギャグ色の強いキワモノに仕上がっている。
正直嫌いじゃないです。けっこう笑わせてもらったのでこの点数で。
ディスコミ読者でも植芝理一の変態っぷりを楽しめる自信がある人はどうぞ。

学園編読んで思ったこと。性行為が生殖を目的とするものだったら人間のほとんどは変態ということになる。でも大概はコミュニケーションの手段や快楽のために行われるわけで、なら他人に迷惑かけなければ何をやっても別に構わないんじゃないかな。異性愛だろうが同性愛だろうが変態プレイだろうが子が出来るということを除けば大して変わらない気がしてくるのが怖い。
こんなしょーもないことを書いてしまう辺りやはり植芝理一に毒されているのかな…。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-20 02:29:27] [修正:2011-08-01 08:12:46] [このレビューのURL]

主人公、椿明のクラスに謎の転校生卜部美琴がやってきた。彼女は仲良くしようとするクラスメートを拒絶し、全く馴染もうとしない上に授業中に急に笑い出すなどの奇行もあってクラスから変人のレッテルを貼られていた。ある日放課後に居眠りしていた卜部を起こした椿は机に残された卜部のよだれをなめてしまう。その後原因不明の高熱を発して寝込んだ椿の家に訪ねてきた卜部は自分のよだれが原因の禁断症状であると説明し、自分のよだれをなめさせる。するとすぐに具合は良くなったものの動揺する椿に卜部は言い放った、「ただの、恋の病よ」。付き合うことになった2人はこれからどうなっていくのか…。

正直最初見たとき植芝理一は日和ったなと思った。 最大の特徴だった変態さは影をひそめ(一般的には十分変態的ではあるけど)、偏執的な書き込みも少ない。でもすいません、やっぱりおもしろいです。
よだれで感情が伝わるというのはディスコミの涙を飲む行為やよだれを交換する話が元ネタだろうか。そういうフェティシズムを感じさせる要素を散りばめつつもやってるのは純粋なラブコメ。うん、意外です。今までの色んな意味でごちゃごちゃしていた作風(褒め言葉ね)をあえてシンプルに、分かりやすくした作品に挑戦しているのかもしれない。絵も意識的にか夢使いの頃より素朴で野暮ったくなっている。
中学生の頃に誰しもが感じるように、女の子は男の子にとっていろんな意味で謎の存在だ。初めてお付き合いした女の子なんて宇宙人のように感じたのを覚えている。その気持ちをすごく拡大していったら卜部みたいな女の子になるのだろう。巻が進むにつれ少しずつ卜部の素顔は明らかになっていくが、どこまでいっても謎は残る。女の子だから。
この人のラブコメはやはり自分にはぴったりだ。今まで名作と呼ばれるラブコメですら大抵は気恥ずかしくて読めなかった私でも、謎の彼女Xはにやにやしながら楽しく読んでいる。だって猫耳つけてベーコン食べる女の子なんて可愛すぎるじゃないですか!!

ディスコミや夢使いに比べると私のお気に入り度は低いけどそれでも十分に楽しめる作品。読み手を激しく選ぶ他作品に比べて謎の彼女Xはまだ一般向けで薦めやすいし、植芝作品の入門書としては良いだろう。それでも限られた人しか好まなさそうではあるが、意外と定番のラブコメが苦手な人が読んでみるといいかもしれない。
何だかんだで植芝理一はおもしろいなぁ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-19 01:22:39] [修正:2011-08-01 02:02:28] [このレビューのURL]

8点 レベルE

富樫の好きなことを詰め込んだような濃密な話が揃っている。まさに予想の斜め上の展開。
ハンターハンターのグリードアイランド編やキメラアント編の原型ともいえる話もあるので気になる方は見てみるといい。
この作品のおもしろさは語りつくされてると思うが、興味深かったので文庫版後書きより少し抜粋。

「最初の連載からこの頃(カラーレンジャー編)までは、作品と自分の生活がほぼイコールで同調していたので、読むと古い日記を読み返す様なむずがゆい感じになる。
でも他の作品に比べて居心地はそんな悪くない。
比較的好き勝手に描けたからだと思う。
比較的、だが。あくまで。そりゃいろいろあったけど。」

これで比較的っすかw
いっそ次作はアフタあたりで本当に自由に書いてみたらいいんじゃないかな。もちろん暴走してひどいことになる可能性もあるだろうけど、一度制限無しの富樫を見てみたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-23 21:36:45] [修正:2011-07-24 19:34:42] [このレビューのURL]

まず特筆すべきはこのサイバーパンクな世界観。
ナノマシン、スカラー波、ダマスカス鋼などこういうの好きな人にはたまらないですよね。

ガリィは冒頭でスクラップ畑から掘り出され、全ての記憶を失っている。その名前すらサイバネ医師のイドに与えられたもので彼女には、格闘術以外の全てがない。
SF要素や華麗なアクションにだまされがちだけど本質的には、これはガリィがアイデンティティを求めて戦う物語。作者の説教くささが気になるというのは分からないでもないけれど、内省的な話なんで仕方がない。

こんなに主人公を取り巻く状況がめまぐるしく変わっていって且つおもしろくあり続けるっていうのは稀有だと思う。
クズ鉄町→モーターボール→ザレム、と大きく世界が広がっていく過程は見事の一言。上記のように世界が広がるとともに明かされるこの作品の世界の成り立ち、ガリィの過去にはわくわくするしかない。
非常に画力が高いので、アクションシーンやクズ鉄町などの造形も見応えがある。
バリエーションに富んだ話ではあるが、ガリィの精神的な成長にうまく絡めてくれるので、話としては一貫しており読んでいて気持ちがいい。
LOで作者に無かった事にされた無印ラストだけど、間違えなく傑作。LOでこれを越えられたらすごいと思う。

最後に銃夢を見て心に残った言葉(LOだけど)。
不屈というのは決して折れないということではなく、何度折れても立ち上がるもののことを言うのだ。
SFとか自己の探求が好きな人に、おすすめです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-05 14:49:44] [修正:2011-07-24 00:30:41] [このレビューのURL]

魔力を分解し再構築することで様々なものに変換するマテリアルパズルという魔法がこの漫画での戦闘手段になる。要は能力漫画だけど、このパズルという設定をわりかし上手く使っている。

シリアスな戦闘シーンの中にこれでもか、とギャグを入れてくるのがこの漫画の特徴。元々ギャグ漫画家なのでかなりおもしろいが、TPOを無視して挟んでくるので苛々する人もいるだろう。ここは人を選ぶ。

基本的には世界滅亡の際に主人公3人に起こった謎を解いていく物語に能力バトルやギャグ、ミカドの成長を絡めた少年漫画。
無駄なストーリーがなく、伏線の張り方、回収の仕方が上手。このストーリー展開は構成力に長けているからこそだろう。
ハンターハンターの影響も感じるが、この作者には本格的な頭脳戦を書ける才能はないようで惜しい。キャラの強さも相性次第で勝敗が読みにくいので戦闘はおもしろいのは確か。しかしどうしても故意にずらした感が出てて、そういう所でもやはり戦闘ではなくて物語を楽しめる人向けと言える。

絵は致命的に下手なのだが、そこで敬遠するのはもったいない作品。漫画書くのはうまい作者だと思うので。

現在0章としての位置づけのゼロクロイツが連載中。しかしやっぱり本編が早く読みたいな。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-10-06 20:31:25] [修正:2011-07-23 19:48:37] [このレビューのURL]

ひょんなことで幽霊が見えて話が出来るようになってしまった一路の元に未練のために成仏できない幽霊達がやってくるようになる。一路は面倒がりながらも渋々、でも懸命に幽霊のお願いを叶えてやろうとするストーリー。

多くの方が仰るように泣かせにくるのはあからさま。でも何でこんなに気持ちよく泣けるのだろう。
やはり一色まことのキャラが魅力的であることに尽きると思う。一路の家族に代表されるような下品で、ちゃらんぽらんで、口は悪くて、でもしたたかで優しい愛すべき登場人物たち。この人ほど等身大の人間を描ける人を私は知らない。特に子どもの描き方は随一だろう。ただかわいいだけの子どもではなくて、この人の汚くて苛つかせるような、でも根っこの所はまっすぐで純真な子ども達は愛おしい。

それぞれの話が非常にきれいにまとまっているのも好印象。
最終回は号泣した。赤僕に感じたような反則くささを感じないでもなかったけどこれだけ泣けたら文句は言えないなあ。
気持ちよく笑って泣きたい時はぜひ、おすすめです。

どうでもいい話だけど、おっぱい織田の話がディスコミ学園編のげに尊きは彼女のふくらみと同じようなストーリーだったのには驚いた。やっぱり男って馬鹿なんだな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-18 14:06:14] [修正:2011-07-19 00:27:22] [このレビューのURL]

いやあ、笑えますねこの漫画。
毛色としては一番今日から俺は!に近いんじゃ
ないかと思うけど、あれほどくだらなく(いい意味で)
はないです。

きょうから俺は!は高校生活はいつまでも終わらないし
俺らはいつまでも変わらないぜというある意味高校生のとき夢だったような雰囲気だけど、
お茶にごす。の場合はいつかは終わるものであって、だからまーくんも成長するし、部長への恋も何らかの決着がつくんでしょう。
ちょっと切ない。

やっぱ作者も年取って経験つんだんだなあって感じです。
画力は上がってるし、ギャグは及ばないにしても総合的にはきょうから俺は!に匹敵するんじゃないかと。

ギャグオンリーじゃないからこそおもしろさが下がる可能性
もあるけど上がる期待も大きい。
連載中だしとりあえず8点。

「おまえのあごは青かった」には腹が痙攣しました。

追記
良い最終回でした。
見事にお茶にごしてくれましたね。
最後までテーマがぶれなかったのが良かったなあ。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-01-07 10:23:09] [修正:2011-07-11 00:17:22] [このレビューのURL]

8点 BECK

漫画という媒体において表現が難しい音楽を表すのにある程度成功している。クラシックならともかく、ROCK漫画でここまで雰囲気を出せた作品って個人的には思いつかない(少ないし)。

絵柄は万人受けするタイプし、CDのジャケやPVのパロディである表紙にはセンスを感じる。インディーズシーンの描写もリアル。ライブの回では見てると鳥肌が立つときもあるし、低迷してもかならず盛り返してくる安定しておもしろい漫画。ただ、あまりのめりこむということが個人的にはなかった。

気になったこととしては、20巻くらいから引っ張りすぎているということや、レッチリはいいとしても作中のメンバーの音楽の趣味がふるすぎるということ。作者の趣味を反映してのもかもしれないが、多少不自然。バンドTなどで、RANCIDやNOFX、GREEN DAYなど現代のバンドも出てきてるのでそういうのをメインに持ってきて欲しかった。

アバロンで終わりかと思ったけど、どうやらもうしばらく続くよう。終わりどころを間違えないことを祈る。

追記
最近ギターの勉強のためにオールドロックやソウルばかり聞いてたら見事にはまってしまって、以前書いた批判は的はずれだったのすいません。それでもバンドスタイル自体は古すぎるかな。

終わり方はきれいで良かったと思う。今まで何かにさえぎられて届かなかったベックの音楽がやっと届いた瞬間という事で、ぞくぞくさせられた。今まで日の目を見なかったバンド漫画で成功した事に敬意の念もこめて一点プラスです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-09-23 19:28:14] [修正:2008-07-22 22:38:58] [このレビューのURL]

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