「アルゲマイネ原野」さんのページ

総レビュー数: 131レビュー(全て表示) 最終投稿: 2008年01月18日

名作「寄生獣」の次回作ということもあり、よく比較されがちだが
民俗学+SFと個人的な趣向からこっちの方が好き。

とにかくこの作品、起承転結が非常にハッキリしており、洗練された物語構成が一番の特徴である。
特に物語の随所に散りばめられた丸神の里の謎が、ラストの巻で一気に集結していく様子は
非常に鮮やかで見事というしかない。
主人公が観測者的な立場にいる点や、物語の肉付けを極力省いている点も加わって
全体的に非常に計算尽くされたスマートな印象を受ける。

ただしこの展開全体からみたまとまりの良さは短所ともとれ、物語の盛り上がりに欠けるとも言える。
特に作品の最大の山場であるヒロインが主人公に説得されるラストシーンは
ここら辺の歪みが出ており少々違和感があった。そこが惜しいと言えば惜しいかな。
(ただ、ここで主人公の主張している内容こそ非常に共感できた部分だったりもするが)
もしこの作品が丸神頼之の今までの経緯や東丸兄妹の関係など掘り下げたストーリーであれば
また違った評価を受けていたのかも知れないがこの作品の魅力である謎解きと展開のスマートさが
失われるとすれば…うーん…迷うところ

ほの暗く、淡々と静かでありながらも作品の底に力強さを感じる、
岩明均の真骨頂と言えるお勧めの作品。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-08-19 22:38:25] [修正:2008-08-19 22:38:25] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

もはや原作が参考程度になってしまっている大胆すぎるアレンジ、
独特のファンタジー感あふれるキャラデザインや世界観、
重くなりがちなストーリーを調整する適度なコミカル描写など作者のセンスが爆発している作品。
ゆえにそのセンスをしっかりキャッチしてしまった人は本当にハマるし
合わない人はとことん合わないでしょう。

太公望と妲己、善悪二人のトリックスターを柱に物語を進めており、
周囲の脇キャラだけでなく読者も適度にはぐらかしながら物語の結末を簡単に読ませてくれない。
であるから終盤の女禍の存在を明かすシーンではそう持ってきたかーと驚かされた。
更にそれが最終回のラスト1コマの鮮やかなシメに活きてくるのだから、
これが連載当初からの構想であるとするなら相当なもんである。
(途中からの軌道修正だとしてもここまで辻褄合わせたのはそれはそれで凄いが)

物語の進展により二人は他よりひとつ次元の違う存在として映えているのであるが
特に妲己の扱い方が凄い。
この作品、コレといったメインヒロインがいないのを良いことに好き勝手やりまくった挙句、
最後には勝ち逃げまでやっちゃう始末。
作者はホント妲己ちゃん好きなんだなーwそれでいて読んでいても何故かムカつかないのは
キングメーカー的な立場にまで突き抜け、昇華させてしまってるところが大きいのかも。
昨今の少年漫画でもここまでインパクトに残るラスボスはそうそういないでしょう。

個人的には大満足な作品だが、短所としては序盤に比べると後半以降
トーンをバリバリ活用した絵柄がちょっと見づらく感じられるかな?
また上で挙げたように、太公望の魅力がむしろストーリー全体の展開にかかるもので、
本来目立つべき頭脳戦のシーンがむしろショボく見えてしまうのは悲しいとこである。
まあ毎回毎回ジョジョみたいな知略戦を繰り出す漫画などそうそう出来るものでもないので…

なお、他のレビュアーの方も言われてるようにコミック版、新装版とも
表紙のデザインが非常に素晴らしい。シンプルかつ洗練されたコミック、
豪華カラーの新装版どちらも集める過程が楽しめちゃうファンサービスが嬉しい所。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-07-28 01:05:42] [修正:2008-07-28 01:05:42] [このレビューのURL]

登場人物をほぼ女性キャラで固めてその日常を描くという
形式を確固たるものとし、その後の萌え漫画に多大な影響を与えた
記念碑的作品。

どのキャラも非常に魅力的で、特に従来の「しゃべくり・うるさい」
な関西弁キャラのイメージを変えた大阪が秀逸。

内容は爆笑というより和み系のギャグが中心で4コマを上手く
使った間の取り方が絶妙。ただギャグの独特のボケかたが
合わない人には合わないかなあとは思う。

3年間であっさり連載を終了しているがそれがより
「高校生活の日常」を際立たせており鮮やか。
連載をリアルタイムで読んでたら一層印象に残っただろうなあ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-20 21:35:15] [修正:2008-01-20 21:35:15] [このレビューのURL]

話は2部仕立てで前半は久保田藩で実際起こったお家騒動
後半は戦国末期あたりの剣豪のフィクションもの。

作者は「寄生獣」で有名だが
静かだけどしっかり読ませるような作品も多く作っており
自分としてはそちらの作品群のほうが好きだったりする。
地味な題材だけにその魅力が存分に味わえる作品。
細かな事もよく調べてあるのが伝わってくる。
ただ寄生獣好きな人にはやっぱり物足りなく感じるだろうな…

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-18 23:35:58] [修正:2008-01-18 23:35:58] [このレビューのURL]

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