「アルゲマイネ原野」さんのページ

総レビュー数: 131レビュー(全て表示) 最終投稿: 2008年01月18日

エッチなことが苦手な超真面目女子高生委員長、三ノ宮かなで
ひょんな事から世界征服をたくらむ組織「ツクヨミ」に対抗する戦闘服"ドレス"を手にすることになる。
しかしその"ドレス"を身に着けるには条件があった。それは大衆の前で「生着替え」をする事…

連載当初、この漫画の個人的な評価は惨憺たるものでした。
お色気ギャグ?にしては絵(特に頭身)が不安定でお世辞にも魅力的とは言えないし、
セリフはコマに詰め込みすぎで読みづらいし、線が画一的で何やってんだかわかりづらい。
何よりお色気目的のモブの男衆が下衆すぎて非常に胸糞悪い…
当然のごとくチャンピオン誌内でも超不人気でこりゃ最悪単行本すら出ないまま打ち切りかな…と思ってました。


しかし!しかしですよ!

とりあえず騙されたと思って1巻終盤の第8話まで読んで欲しい!

そこからこの漫画は激変します!!


初めて読んだ時の印象を大事にしたいので詳しいネタバレは避けますが
この作品はズバリ熱血!そしてそれを引き出すストーリーの緻密な構成と台詞回しが大きな魅力。
前述した粗さがありながらもそれ吹き飛ばすほどの力を持つ原石のような印象を受けます。
仮面ライダーなどの特撮ヒーローや女児アニメを大人的視点で楽しむ方にはぜひおすすめです。
本作がデビューの松本先生ですが、回を追うごとに目に見えて漫画の技術も良くなっており、
久々に毎週読むのが楽しみな作品が出てきたなとチャンピオン一読者として非常にうれしく思います。


…と、ここまで異様なほど推しましたが前述の連載当初の不人気ぷりが響いて、今にも打ち切りされそうな掲載位置なんですよねー…
しかしこのまま中途半端に終わってしまうにはあまりにも惜しい。
チャンピオン編集部もこの漫画の魅力を理解してるのならば、ぜひその矜持をみせてくれと願わずにいられません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-01-16 22:46:28] [修正:2016-01-16 22:54:48] [このレビューのURL]

週刊少年チャンピオン40周年特別企画として短期連載された同名作品の単行本化。

ブラックジャック本編に関するお話も含まれていますが、
メインはBJ連載当時の手塚治虫先生の多方面での活躍ぶりを、
永井豪先生や寺沢武一先生など名だたる漫画家さんを初め、編集者・スタッフさんへの
インタビューを基にしたエピソードとして描かれています。

作画は青年誌を中心に描かれている吉本浩二先生。
泥臭くも味のあるタッチで描かれる手塚治虫先生は、どのページ開いても汚いオッサンですw
しかし無精ひげで汗だくになりながら必死こいて机に向かう姿は
言葉では言い表せない迫力と、きっと裏の現場ではこんな感じだったんだと納得させる力があります。
また、あるときは興味のある事に対しては子供のようなキラキラした目をしたり、
周囲に迷惑をかけてでも自分の作品には一切妥協を許さない徹底した姿勢を見せたり、
帯に紹介されているように、神様の人間臭さと温かみを存分に引き出してくれています。

そしてもうひとつ、この作品で焦点をスポットを当てているもの、
それは70年代後期?80年代初期にかけてチャンピオンを少年漫画誌のトップに押し上げた
編集長の壁村耐三氏をはじめ、ボロボロになりながら原稿のために奮闘する
当時のチャンピオン編集者の負けないくらい熱い情熱!!
職場的には明らかに問題だらけなんですがwこれら面々の情熱のぶつかりあいによって
今、自分達は名作が読めるんだという事に改めて感謝せざるを得ません。


『漫画家は漫画を描くのに必死
 編集者は原稿を取るのに必死
 必死な奴同士が一緒にいるんだから
 何が起こっても不思議じゃねぇ』
 by壁村耐三


うーん、名言だ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-08-24 22:28:13] [修正:2011-08-24 22:31:17] [このレビューのURL]

「孤独のグルメ」の久住昌之先生原作、そして作画はうさくn…
もとい期待の大型新人水沢悦子先生のコンビが描くグルメ漫画。
しかも連載はレディース誌「Eleganceイブ」。
…どういう経緯でこの作品が生まれたのか非常に気になるんですが、本作品では
鮭フレークマヨトースト、卵ご飯、3日目のカレー…などなど一人暮らし経験者なら
誰しもやったことがあろうズボラ飯を主人公の花ちゃん(30)が
手抜きまくり、食べまくります。

まあとにかく水沢先生の描く花ちゃんが非常にかわいいです。
作画はもちろん、一人きりなのにやたらコメント(ダジャレ多し)するわ、
部屋の中でやたら服脱ぎ捨てだすわ細かな生活描写も面白い。

また孤独のグルメよろしく料理への感想も名言連発しています。
「今ならアタシブタと呼ばれてもいいっ」
「このうまさには大森貝塚やむを得ず!!」
「ほぁああ」「ほぁああああああああ」
など最後なんか感想ですら無いんですが、花ちゃん(30)のリアクションとマッチして
決して極上ではない料理達が非常においしそうに見えるんだから不思議。

書籍扱いなので少々割高ではありますが、貴重なこのコンビのいつ終わるとも知れない
月8ページの連載なので一気読みすればお腹いっぱいの充実感が得られるはず。
もちろん男女ともおすすめです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-19 21:03:52] [修正:2010-12-19 21:12:55] [このレビューのURL]

ある日突然精神が6歳の子供に戻ってしまった女子高生、七華をめぐるハートフルストーリー。
デフォルメの効いたかわいい絵柄なので選り好みされそうですが
子供に戻った「ななか」の純粋無垢な感じがうまく表現されており
何よりこれが作品の温かな雰囲気作りに大きく貢献しています。

前半は精神が子供に戻った「ななか」と、彼女に振り回される
周囲のドタバタコメディが大部分を占めていますが
後半、話の核心に近づくにつれメインキャラの七華、稔二、雨宮を中心にしながら
徐々に重く、シリアスさが増していきます。
第二部冒頭の展開など最初戸惑いましたが、全体を通してみると
メインテーマである七華の大人としての成長が丁寧に描かれています。

作品の素晴らしいところは、この手のジャンルに必要不可欠な要素である
ストーリー構成と、テンションの強弱が非常にしっかりしている点。
だれず、ぶれず、読み手をどんどん引き込ませてくれます。
地味ながら隠れた名作。


ほら泣け!といわんばかりの感動モノとは一味違った
「心温まる」や「切ない」感情を伝えてくれる作品群って
最近の少年誌ではめっきり減ったなあ…と改めて読み返しながらしみじみ思いました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-08 01:32:35] [修正:2010-05-08 01:33:12] [このレビューのURL]

相撲という不人気ジャンル、これが本当に主人公か?と疑うような悪役面の三白眼等々
不安要素も何のその、連載の早い段階で既にチャンピオンの人気の柱になりつつあります。

一番の魅力は取り組み場面。
相撲の力と力のぶつかり合う一瞬の勝負をセリフを極力排し、大ゴマでみせています。
画力自体は特別上手いとまでは感じないんですが、何かそれを超えて怖さすら感じさせる
迫力は必見。
また非道な王虎をはじめとするライバル達の強さが上手く引き出されているのも○
立ち向かう→敵わない→挫折→努力→ステップアップの流れが非常にわかりやすくてよろしいです

月並みな言い方ですが熱い。最近流行りのネタ表現でなく正面から向かってくる
「必死な」熱さが感じられます

よくよく考えれば、多くの少年スポーツ漫画は、
学生生活の一部である部活という枠組みであるのに対して
相撲は角界入りして相撲部屋に入門して、既に己の人生かかってる訳ですから
少年スポーツ漫画の類で括る事自体失礼かもしれませんね
そこらへんからこの作品の必死さをみたのかも
ギャグも意外に?外さず笑えます(川口が)
まだまだのびしろが感じられ、これから連載と伴に力量も成長していけば相当な作品になると思います
今年の少年漫画連載陣でも特に注目してもらいたいオススメです

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-03-18 00:03:48] [修正:2010-03-18 00:22:36] [このレビューのURL]

「天」「天牌」等に並ぶ麻雀漫画の傑作。

最大の特徴として
麻雀における、それぞれの牌の打ち方を通した試合の流れ、いわゆる「闘牌」が
この漫画はとにかく素晴らしい

前半は破天荒な爆岡の活躍をコミカルに描いていますが、後半はいくぶんシリアスに、
努力の鉄壁が天才爆岡に何度も負けながらも諦めずに挑む様を王道ながら丁寧に作っています。
また八崎や茶柱など脇キャラも個性に従った麻雀がどれも生き生きとしています。
最終決戦は一巻以上費やし、何処を切っても見せ場の連続で非常に濃密。

ただあまりに凝りまくった麻雀描写なので爆牌など麻雀慣れていないと打ち手がどう凄いのか
うまく伝わらずやや敷居が高いかも。
また残念なのはこの作品が見切り発車でスタートした(作者談)ため、作品中での爆牌のメカニズムが
完全に説明できなかったことでしょうか。
ただどのシーンも、麻雀漫画のキモと言えるオカルティな要素を多分に含みながら
十二分に説得力があるのであまり気にはならなかったですが。
麻雀好きにはぜひお勧めの作品。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-06-19 00:21:03] [修正:2009-06-19 00:21:03] [このレビューのURL]

チャンピオンで久々に登場した自転車漫画。

作者特有のラフっぽくもポップな絵柄が
スポーツ漫画の熱い・濃い描写を描ききれるか?と思ったがいらぬ心配だった。
これまで作者が描いてきた作品のバックグラウンドを生かし
・オタクがスポーツすることの楽しさに目覚める
・スポーツをする仲間がいる嬉しさ
というちょっと異なる切り口でストーリーを展開しているのがいい。

現在連載している少年漫画の中でもなかなかの注目作だと思われます。
作風は大きく違うけど「P2」好きだった人にはおすすめかな?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-01-08 23:25:43] [修正:2009-01-08 23:25:43] [このレビューのURL]

90年代前半までは少年マガジンを中心に、「ファンタジー(冒険)」「スポーツ」
などと並んで人気ジャンルとして君臨してきたヤンキー漫画。
しかし時代が進むにつれ現実社会の気運に併せるように
単純な反社会的いわゆるネットスラングでいうDQNや暴走族=カッコ悪いのイメージが定着した。 
現在では当時の世代だった青年漫画読者層ぐらいしか既存のヤンキー路線は受け入れられず
高橋ヒロシやそれに伴った作品群に代表されるように
少年漫画ではそこそこのセンスを兼ね備えた不良漫画が主流になってしまった。
そんな中でこの「ナンバ〜」はあえてDQNの「かっこ悪さ」から発想をスタートさせた、
ヤンキー漫画としてはかなり変化球な作品。

作品は基本的にヤンキー生活に疲れ、一般的な学校生活をエンジョイしたい主人公の本音と
家族全員から立派なヤンキーとして期待される体裁のギャップに
あたふたするコメディをベースとしているので
ヤンキー漫画独特のメイン側に対する胸糞悪さが無く、作品に入り込みやすい。
なんといってもコメディ部分の主人公家族の典型的なヤンキー描写がベタだが面白い。
だがこれが過度に貶めるでもなく変に持ち上げているわけでもなく、
いい意味で明るいおバカ程度でまとめてあるので後腐れなく仕上がっている。
またシリアスパートに関しても、大丸登場の回やイジメの回にみられるように単純な勧善懲悪
ケンカで勝てば、はい解決!の様に安直な構造をとらず、それでありながら
グッと来る王道展開を作っているのでこちらも読み応えがあって良い。
メインヒロインの藤田さんが金に汚い+ちょっと性悪なところがあって
どうしても好きになれないためか、
主人公の妹のほうがDQNだけどなぜかかわいく見えてしまうのが不思議w

短所をあえて挙げるなら
登場人物の書き分けがちょっと厳しいかな?ってところと陣内の回が
ちょっとアッサリし過ぎて少し物足りなく感じた。
が、総じて見ると非常に安定感のあるおすすめの良作品だと思う。

連載はいよいよ新章がスタート。これから物語をどう終結させていくか注目される。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-12-01 21:35:28] [修正:2008-12-01 21:35:28] [このレビューのURL]

ベルセルク、ホーリーランドと共に長らくヤングアニマルの柱を担ってきた本作品。
作者の地力を感じさせる緻密かつ丁寧な描写が魅力的。
ただあまりキレイにまとまっているので格闘シーンの迫力を求める場面で
少々落ち着きすぎる点があるかなと感じた。
(ただ格闘シーン自体、インパクトで引っ張るでなく説明主体の理論的スタイルで
話を進めているためしょうがないかなと言う面はある。)

しかしこの作品の醍醐味はむしろ登場人物が織り成す人間関係にあり、
ローマ宮廷内で繰り広げられる、まるで昼メロのような愛憎劇(ルスカ編)が非常に面白い。
そういう意味では男性向けであるけれど、どことなく女性的な雰囲気も漂わせている。
また随所随所に挿し込まれる説明やコミックスの巻末の他、
目立たないとこだが細かい背景なんかも古代ローマの時代描写が上手く再現され
史実+フィクションストーリーのための地道な土台作りの努力に好感を覚える。

これから歴史に名高い皇帝ネロの暴虐さがいよいよ表面化されていくようなので
加速度的に面白くなることは確実。
遅筆だが今後の展開が最も待ち遠しい作品のひとつである。

しかしこの漫画、登場するイケメン男性陣が女性キャラよりずっとセクシーで何だか笑えますなw

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-12-01 21:35:17] [修正:2008-12-01 21:35:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

どのスポーツ漫画にもいえるが、一つのスポーツでも楽しみ方は様々あり、
それに応じて、題材を扱う漫画はいろいろな切り口からその魅力を引き出していく。
野球漫画はその性質上、特に最近の傾向として、戦略性や心理戦などの「静」の魅力に
ウェイトをおいたものが多く、逆に気合、熱闘、説明不要な迫力プレイなどの「動」の部分で
魅せる作品は少なくなってきたように思う。

「やったろうじゃん!」でも序盤は喜多条監督を主人公に据えて、選手の育成を中心に
ストーリーを進めていたがが、どうもパッとせず非常に地味な印象だった。
しかし新入生江崎が入部してから、方向性を変え、江崎のピッチング能力を伸ばす=江崎のピッチング
の凄さがクローズアップされるようになり、一球一球に力の入る、どの野球漫画よりも熱気のこもった
描写が描かれるようになった。
基本的に朝霧と対決する周辺が陰気というかドロドロとした高校球児達ばかり(笑)で、
朴訥な江崎がそれらをねじ伏せるように投げる対比が素晴らしい。朝霧VS成京戦でこの作品の
最高潮に達しており「あと一球!」コールが連呼されるシーンは漫画に引き込まれる圧巻の迫力。

が、
ここを過ぎた後の展開は正直評価が難しい。
この後江崎は苦難の道を進むことになり、むしろ野球外のドラマに主眼がおかれるが、
これがなんとなく重苦しく閉塞感があり前半のピークと比べてちょっと…といった感じ
そして終盤の「アレ」
確かに並々ならない江崎の完全復活→物語のシメを描ききってしまうために「アレ」は
理由付けにちょうど良い題材かもしれない。
けど必要不可欠なものでも無い。だからこそなんとか回避できなかったものかなあ…と思ってしまう。
読了後は感動もしたが少々の後味の悪さも残った。結局監督は空気になっちゃったし

野球のシンプルな面白さと青春群像劇としてどっぷりと漬かりたい場合にお勧めかな
ただし終盤は確実に欝入りますので(まあラストは救われるか?)それでもよいという人に

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-09-27 01:38:22] [修正:2008-09-27 01:38:22] [このレビューのURL]

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