「十歩神拳」さんのページ

総レビュー数: 76レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年11月30日

おおむね評判の宜しくない本作ですが、要は読んだタイミングが評価に大きく影響すると思われます。

初見の時に10代後半以上であれば、既に多くの漫画を知り、感性も出来上がっているでしょうから、ストーリー的に特出した部分のない本作には面白みが感じられないかも知れません。

しかし連載当時に小・中学生であり、リアルタイムで読んでいた読者の中では結構な人気があったのではないでしょうか。
当時の少年漫画としては既に希少種であったシンプルでド派手な王道バトル漫画、しかもエログロの過激要素まで備えていたのだから。

少なくとも私の本棚では、「るろ剣」と「烈火」が、同級生への人気貸し出しタイトルの2トップでした。

また、パクリの点に関しては、裏武闘殺陣編なんて子供の目から見ても明らかに幽白のトレースでしたが、中途半端にコマの構図やキャラデザや台詞等をマイナー誌の作品から拝借するようなセコい作品と違い、まんま「幽白のような作品を描くんだ」というような目的が見えていたので、個人的にはあまり嫌悪感はありませんでした。

後半の画力の高さ、迫力は少年漫画として特出していると思うし、当時のイメージと現在の評価の均衡を考えれば、少し甘いけど6点くらいは付けたい作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-25 10:30:09] [修正:2010-07-25 10:41:44] [このレビューのURL]

8点 咎狩 白

いろいろな意味で、今もっとも人に薦めたい漫画。

2000年から1年半程の間サンデーで連載していた、あの知る人ぞ知る秀作「トガリ」が約10年を経て奇跡の復活です。


本作の背景となるストーリーは前作のあらすじやレビューを見ていただければわかるかと思いますが、主人公である統兵衛は現世で108日の間に108の罪を狩らなければなりません。

そして大胆にも、「咎狩 白」は「107日が過ぎ107個の罪を集めた」シチュエーションからスタートすることにより、あえて退路を断ち、無駄な引き延ばしを出来ないようにしてしまいました。
そのため、1話目から完全にクライマックスとなっており、物凄い勢いと密度で話が進んでいきます。

また、夏目先生は本作ではあえて先の展開を決めず、読者の生の声を聴きながら流動的に執筆しているらしいので、ベテランらしい手堅くスマートな展開ではなく、良い意味で荒く物語が進行します。
そのスタンスは「トガリ」の作風に物凄くマッチしていて、非常に面白いと思いました。

このスタンスで最後まで描かれるのであれば、本作は誰もが(作者すらも)予想できない名作になり得るかもしれません。
本作が名作か凡作か、あるいは駄作となるかの鍵はある意味私たち読者が握っているとも言えるでしょう。

とりあえず、機会があれば是非読んでみてください。
最初の数ページの強烈なインパクトで、当時の読者はもちろん、初見の方でも一気に引き込まれることでしょう。

また、夏目先生の漫画家としてのブランクが長かったせいか始めのうちは作画やテンポに若干のぎこちなさを感じましたが、話数を重なるごとに覚醒している感があるので、毎月どんどん面白くなっていくことも期待できます。

10年前と同じ轍を踏まず、今度こそは最後まで描ききられるように、少しでも多くの読者に本作を支持して頂きたいと願います。


まだ1巻しか出ていないのに高得点にするのは尚早かもしれませんが、期待と応援と宣伝の意味も込めて、8点です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-28 16:56:54] [修正:2010-07-09 11:24:06] [このレビューのURL]

5点 YAIBA

私が小学校低学年の頃に、初めて自力で全巻集めた長編少年漫画。

はっきり言って今読むとくだらないものに見えるし、大人が読むのには少し幼稚すぎるかもしれませんが、少なくとも小さい頃の私にとっては傑作でした。
現在のコナンといい、青山先生の作品には多くの子供の心を掴む魅力があると思いますし、少年が漫画という媒体に触れる上での入門書のような役割を果たしていると思います。


近年の少年漫画はもはやターゲットとなる層が「少年」ではなくなりつつあるためか、絵柄や内容にこだわりすぎて、本来のターゲットであるべき層には取っ付き辛いものが多くなっているように思えます。
このような傾向が、近年の少年少女の漫画離れの一因になっているのではないでしょうか。

私を含めた多くの漫画好きの人にとっては、今更ベタベタで大雑把な漫画をやられてもあまり嬉しくはないかもしれませんが、「YAIBA」のような純粋に少年のために描かれた少年漫画も必要なはずです。

大人にとって5点でも子供にとっては満点。
「YAIBA」は少年漫画として名作だと思います。


ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-07-09 11:16:52] [修正:2010-07-09 11:16:52] [このレビューのURL]

8点 HELLSING

この漫画に勝手にキャッチコピーを付けるなら「狂気とロマンの地獄紙芝居」。

言うまでもなく本作最大の魅力は、登場人物から世界観まで余すところなく満ち溢れている「狂気」ですが、同時に作品全体にある種の「ロマン」もあるはずです。
それは登場人物の生き様やマニアックな兵器の数々、戦場の情景や奇怪な特殊能力だったりしますが、大概は狂気を感じる場面と表裏一体で混在します。
そのため、本作において「ロマン」と「狂気」は甲乙つけがたい2大要素であると私は考えます。


また、この作品のアクションシーンはあえて躍動感に重点を置かず、重厚でインパクトのある地獄絵図のような1枚絵を紙芝居のように積み上げることで構成されていることが特徴だと思います。
キャラクターの表情やポーズが強烈に記憶に焼きつくのはそのためでしょう。
この、他のアクション漫画とは一線を画する特異な作風を表すために「地獄紙芝居」と称しました。


しかし終盤は狂気もインパクトも若干控え目になり、ロマンだけが突き抜けてしまった印象があります。
切なさや儚さ等の黄昏感を出そうと、意図的にそう仕向けたのかもしれませんが、正直若干物足りなかったかもしれません。
最終話はヘルシングらしい素敵な終わり方だったと思います。

〈2010年6月修正〉

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-28 15:16:09] [修正:2010-06-30 15:55:10] [このレビューのURL]

ジャンプスクエア系列の雑誌にて読み切りや短期集中連載で神出鬼没に掲載され、妙なポジションを確立した作品。

うろ覚えですが内藤先生が自身のブログで「箱庭的な舞台を造り、そこに自分の好きなものをつっこみまくった」という旨の発言をしていたように、作風も世界観も内藤先生の趣味をストレートに反映したような、非常にカオスなものとなっております。

ただ、雑誌の購読層を考慮したのか、前作「トライガンマキシマム」と比べると戦闘シーンが良くも悪くもずいぶん見やすくなっているように感じました。

大層なネーミングの必殺技や特殊能力など近年希に見る良い意味での厨二成分濃厚な作品なので、るろ剣やジョジョが好きな方にはおすすめです。

ノリとしてはトライガンよりはむしろ、内藤先生が原案、キャラデザを手掛けたゲーム、「ガングレイヴOD」に近い感じだと思います。

コミックス1巻ではなぜか最初に掲載されたエピソードが未収録のためクラウスのキャラがいまいち掴みづらいかもしれないので、スクエア公式ページで一読すると良いかもしれません。
〈2010年6月修正〉

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-08 11:25:27] [修正:2010-06-30 15:54:21] [このレビューのURL]

キャラもストーリーも設定もなんか見たことのあるものばかりで既読感を感じます。逆に言うと安心して読める作品とも言えますが。
2巻の後からは盛り上がるだろうと期待したらそうでもなく未だにあまり盛り上がっていません。

決してつまらなくはないのですが、良くも悪くも毒が足りず、おそらく中綴じ時代のアワーズだったら看板漫画にはなれなかっただろうと思います。

絵が綺麗なのは魅力です。
〈2010年6月修正〉

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-04 14:24:20] [修正:2010-06-30 15:51:12] [このレビューのURL]

SF漫画の名作。
専門用語が多く、脚注がやたら多いのがいかにもSFっぽくて格好良いです。スケールも大きく読み応えがあり、完成度も高いと思います。

ただ、作者の小難しい哲学的な思想を作品の随所で主張しまくっているのが少し鬱陶しいです。読んでいる間、終始作者に見下されている感じがして不快でした。

〈2010年6月修正〉
先述の不快感から評価を低めにしてしまいましたが、このクオリティで7点は私の評価基準から考えると過小評価な気がするので+1点したいと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-01 12:37:36] [修正:2010-06-30 15:05:27] [このレビューのURL]

1巻を読んだときは「漂流教室」的なサバイバルホラーなのかと思いましたが、全体を通してみるとむしろアクションアドベンチャーでした。
テンポが良く、キレのある展開で巻数も手頃なため最後まで飽きることなく読めましたし、面白い漫画だと思います。

しかし、先ほど述べたように前半では割とホラー的な展開が前面に押し出されていたため、私が勝手にその方向で物語が進むだろうと気構えていたせいか後半の展開に若干置いていかれてしまいました。

もっとも、作品冒頭から異形のモンスターが登場している点や、作品の背景を考えれば後半の流れになってもなんら不自然ではないし、最初から物語の流れは方向づけられていたのでしょうが。

でもやっぱり、主人公サイドにはできれば最後まで武器や兵器と知恵を駆使して、人間らしく小賢しい戦い方で化物と渡り合ってほしかったと個人的には思いました。


とはいえ、作品を通して少しずつ謎を明かしていく過程や、手堅く構成されたプロットはかなりの完成度だと思います。

個人的嗜好に基づいた点数が5点、作品としての評価が7点で、間を取って6点です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-24 10:23:01] [修正:2010-05-24 10:29:38] [このレビューのURL]

漫画家、雷句誠の原点にして、この人の個性が凝縮されたタイトル。

表現は稚拙だし、絵もお世辞にも上手とは言えません。キャラクターの表情には柔軟さが無く、極端に喜怒哀楽を表しただけの数パターンしかありません(ババーンに至っては全部同じ顔です)。

しかし熱さはジュビロ先生に匹敵します。
魂がこもっています。
ギャグセンスも飛びぬけています(主にババーン)。

これらの面はこの頃から一級品だったし、それだけで本作には一読(特にババーンは必読)の価値があるでしょう。


例のガッシュ事件で雷句先生のこれらの持ち味まで消されてしまったことが残念でなりません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-11 13:27:17] [修正:2010-05-12 14:29:26] [このレビューのURL]

キュラソ星人とかが出てきて喜ぶ子供がいたのだろうか。
ネタが「爆弾」って・・・(笑)

最後の方でグレートが出てきたのが嬉しかったような覚えがあります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-11 14:02:21] [修正:2010-05-11 14:03:04] [このレビューのURL]