「ジブリ好き!」さんのページ

総レビュー数: 343レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年12月10日

少し寂れかけた商店街の、乾物店
姉は狭い世界で生きたくない、弟は楽しみつつ悩みつつ
ひねた子供が爽やかにキラキラと厳しい現実に立ち向かう人情物語。

おじいちゃん死んじゃえ!とか言ったり
おばあちゃんバイクでぶいぶい言わせたり

イシデ作品の傑作は志村先生ネタの4コマだけじゃない

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-12-15 14:30:09] [修正:2011-12-15 14:30:09] [このレビューのURL]

専門家批評家が少女漫画を語る時、十人いれば十人とも取り上げるであろう名作「トーマの心臓」
緻密で繊細な心理描写、美しい画、構成や展開の巧さ…
ギムナジウムで過ごす少年達の複雑な人間関係と心情を見事に描き切った傑作です。

しかしどうだろう、完成度の高さは間違いなく折り紙付きだけれど、多くの男性読者にとって少年愛というテーマをあまりにストレートに表しすぎたこの作品はとっつきにくいものではないだろうか。
自分は男子高出身なので、ギムナジウムでなくともこの男子生徒同士の生活の中で生まれうる怪しい関係、といったものを少しばかり理解できる気がするけど、そこに共感できても、面白いかどうかと聞かれると難しいところである。

この作品はフランス映画「寄宿舎(悲しみの天使)」の続きを妄想して作られたもの。
少年の自殺…それにより取り残された少年(ユーリ)の心を救いたい、そう思ってこの作品を描いたんだとか。
救いと再生の物語としては非の打ちどころがない。今日人気を誇るBL系作品とは似ても似つかないと思う。

時代を超えた普遍性、この短さで深く重く、それでいて優しい救いの物語に仕上げた萩尾望都は天才だと言える。あとは、BL的雰囲気をどこまで受け入れられるかです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-01 00:06:08] [修正:2011-09-04 00:20:26] [このレビューのURL]

美しく壮大な画を楽しむ本であって、ストーリーを楽しむものでもないだろうな。SF設定の面白そうな話だが蓋を開けてみるとやっぱり画がすべて。
ただ設定は凝っているので、作品世界は十二分に楽しめる。

ワニマガジン社の「GELATIN」みたいな雰囲気なんだよなぁ、関係ないのだけれど。
この画にお金を払ってもいいかどうかが全て、自分は損したとは思っていません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-30 19:48:42] [修正:2011-05-30 19:48:42] [このレビューのURL]

原作のネームバリューを借りながらも、原作の設定やら雰囲気やら結構無視して作られてる…イイです、そのスタンス。
ビッグネームに見合う作品となるかはまだ分からないけれど、ここまではっちゃけた感じなのは意欲作とも取れるので期待大。伏線はもちろん、本編原作とどう絡んでいくのかも見所です。

ちなみに作画は、プロとしては新人だけどアマでの経験豊富な方。イラスト屋さんかと思いきや漫画もうまいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-30 19:29:05] [修正:2011-05-30 19:29:05] [このレビューのURL]

6点 HER

女心全開なこの作品、高く評価されたとのことですが、どこまで合うかはきっと十人十色
短編でありながら群像劇のように各話の人物が繋がっていく手法は上手、各エピソードの題材も新鮮、評価されて然るべき。けれど心理描写はどうなのかなぁ、こういう女性もいるんだよって考えれば問題ないけれど。
一番気になったのは、毎回必ずオチをつける必要もないんじゃないってとこ。ちょっとイイ話にするのがやだったのかな、作者の漫画観の問題だろうけど、わざわざいらないんじゃないかなって。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-30 19:11:11] [修正:2011-05-30 19:11:11] [このレビューのURL]

アニメの売上数が史上最高になるなど、当初の予測をはるかに超えた人気を誇るこの作品。緻密なプロットと無駄のない展開、納得の人気です。
しかしアニメ版のシャフト&ニトロプラスのそれぞれクセの強い独特な表現・演出が物語の魅力に拍車をかけていたのに比べて漫画版はどうしても見劣りしてしまうのも事実。アニメのコミカライズではなく脚本を参考にして描いたとのことでところどころ工夫も見られるけれど、ただでさえテンポがよく無駄のないストーリーを更に圧縮してしまっているので、掘り下げの甘さや唐突さを感じるかも。

奇跡だろうが魔法だろうが、科学同様、便利なものには対価を伴ってしかるべき。都合良く進行する現実なんて、ないんだよ。
そんな思想が、濃い絶望色と残酷な展開が、鬼頭莫広に似すぎてるんだよなぁ、虚淵玄。昔マンガ・エロティスク・エフで彼の特集をした時、彼の魔法に対する考え方が全く同じ。
話もどことなく「なるたる」「ぼくらの」に似ています。
元よりニトロプラスは好きですが、虚淵信者ではないので。。しかしプロットも要素も非常に上手、これは認めざるを得ない。

きわどいSF設定やセカイ系展開もありますが話全体の中では大して重要ではありません、伏線からまとめ方までの素晴らしいがすべて。
締め方もアニメと漫画で少し違ってて、どちらも作り手のらしさが出ています。
あとは作画やキャラデザで好きな方を選べばいいと思いますが、どちらかならアニメ版をオススメしちゃう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-30 19:02:09] [修正:2011-05-30 19:02:09] [このレビューのURL]

6点 not simple

イアンの想い。simpleな願い。
「家族だから、側にいたい」
イアンの人生。not simpleな一生。
「お前の人生はすごい。お前の事を小説にする。」


人の人生は誰でもnot simpleなものだけど
人の幸せは誰だってsimpleなもの
残酷な運命に翻弄されながらも、イアンの人柄は常にひたむきで、真っ白で。
「純真って云うのかしら
でも子供のそれとは違って、
どこかつかみ所がない感じ

ただ単純なだけじゃないんだわ。」

家族がなくなって、リックやジムとこれからを過ごそうって思って、そしてプロローグの出来事が起きるんだけど、
イアンがいたら、アイリーンのママは、イアンにとられちゃってて、
でも今は、アイリーンとママはうまくいってて。
自分の家族は無理だったけど、ジムやアイリーンの家族は救えた。そして小説になったイアンが、もっともっと家族を救い続けていくのなら、彼も少しは報われたことになるのかな。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-05-08 23:37:21] [修正:2011-05-08 23:37:21] [このレビューのURL]

狂気と厨二な感じが見事に融和した世界観。
次から次へと抜群のスピード感で展開していくストーリーは非常によくできていて面白いです。

作者はホラーを得意とする漫画家ですが、ホラーだけではなくSF要素やセカイ系要素が強い作品。前作「美女で野獣」が全くホラー要素がなかった分意気込み過ぎたのか、ホラーというよりグロいです。摩訶不思議生物さんのおっしゃる通り、演出が狂気染みてる。

ストーリーはセカイ系に近いけれど、他のセカイ系より説明付けがわかりやすくはっきりしているのが特徴的。それ故の物足りなさもありますが、テンポが良いので飽きずに読めます。
ただ、(連載用の?)前回のあらすじがちょっとくどい。

そして何といっても、表紙のインパクトが好きですね。(「ぼくらの」(販促用イラスト)や萩尾望都の「11人いる!」とかを思い出す)

大人が感じる子供の怖さ、強さ、無邪気さ…
無垢ゆえに支配力の強い子供たち。自分が子どもだったころも、確かにグループやリーダー格がいて、力でまとめてましたね。それが魔王なんでしょう。(子供の世界はうまく描かれているのに対し、大人の世界の描写がないのが残念)


(2011年4月、追記)
最近セカイ系に類する作品が多く出回り、主人公が神(あるいはそれと同等の存在)となる結末のものも増えましたが、そういった作品が好きな方はこの作品も読んでみてはいかがでしょうか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-20 02:26:57] [修正:2011-04-29 03:38:39] [このレビューのURL]

現代版姥捨て山

残酷で奇抜な設定の勝利。オチは予想できるかもしれませんが、ベテランの技で読まされます。

70歳以上はクジに当選しない限り生きられない世界。
不条理でありながら、どこか合理的でもあるセカイ。
おばあちゃん子な少年の精一杯の努力と車に乗ったおばあちゃんの穏やかな笑顔、守りたいという気持ちが互いに交錯してしまいすれ違った想い。

無情な結末なのに、家や日常のノスタルジックな雰囲気のためだろうか、後味が悪いというよりも物寂しさが残ります…。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-27 03:39:26] [修正:2011-04-27 03:39:26] [このレビューのURL]

6点 背の眼

霊を「探求」する話。
いると信じて「研究」するのではなく、いるかどうかを「探求」するのだ。
そこに隠された物悲しい目的。
簡単に「いる」とは結論付けない、でも「いる」と信じなければやりきれない。
そんな、切ないお話…

ストーリー自体はミステリーです。伏線もわかりやすくテンポも良い。霊的な要素も含まりながら、現実とオカルトの境界をいく結末です。

真備のすごさに比べて主人公が空気。

ミステリーに関する伏線は全て回収されますが、霊的な部分の伏線は回収されません。それがこの作品の秀逸なところ。事件自体は理路整然と解決させながらも、話のある意味最大の肝であり、真備の希望でもある「霊」については一切伏線回収しません。伏線を回収しないことが、この作品の良さに繋がっているのです。
少し物足りないのだけれどね。


背の眼こそが真備の最後の希望。
けれど事件そのものに背の眼は関係なかった。
結局霊がいるのかいないのかは最後まで断定されない。
断定されないからこそ、真備はまた希望を持ち続けていられる。
そして亮平の最後の言葉は、なんとも心地よい結末で良かったです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-27 02:35:27] [修正:2011-04-19 02:41:28] [このレビューのURL]