「勾玉」さんのページ

総レビュー数: 160レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月21日

8点 ヒミズ

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-08-24 00:31:13] [修正:2020-08-24 00:31:13] [このレビューのURL]

この漫画の最大の強みは個性的で多彩なキャラクター達、
出足こそ打ち切りを危惧されるほどスロースタートだった本作ですが、
キャラが増える度に加速度的に面白さが増していきました。
登場人物こそ多いものの、それぞれがパッと見で誰か分かる出で立ちをしており、
一人一人にスポットの当たる見せ場も用意されていて、全員がキャラ立ちしています。

正直言うと、主人公の炭治郎と妹の禰豆子(ねずこ)を除き大半のキャラは
第一印象が良くなかったのですが、その後の活躍で漏れなく印象が好転し、
さらに死闘に次ぐ死闘が、より一層キャラクターを引き立て
途中退場するキャラクターさえも、一瞬の閃光のように鮮烈な印象を残し散っていきます。

作品自体もアニメ化後に社会現象的な人気を得ましたが、安易な引き延ばしも無く
駆け抜けるように終焉を迎えました。
人気が出るとなかなか終わりが見ない少年漫画が多い中、20巻そこそこで綺麗に終わり、
面白さのピークを終盤に持ってこれる作品は貴重だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2019-06-17 23:48:44] [修正:2020-08-02 06:02:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

短編連作形式の物語が好きだ。
それぞれが独立した話でありながら
その実、全ての話が僅かな接点で地続きに繋がっている、
そんな交錯していく登場人物たちの人生にロマンを感じるからだ。

さて、この漫画だが全4編からなる短編連作である、
タイトルにもなっている最初の話「星守る犬」はとても物哀しく心をえぐるが、
2巻の最後まで読み終えた時、ほんの少し、本当にほんの少しだが
最初の話でえぐられた痛みが和らいだ。

すでにあの世へ旅立った彼、その彼と同じ姿をした犬が、
彼と同じ名前を持った犬と生きて邂逅する、それだけでなんだか少し救われた気がした。
ただただ悲しいだけの話で終わらず、因果を感じさせてくれるのも
短編連作の魅力の一つだ、この漫画はそれを十二分に活用している秀作だと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-03-12 20:38:12] [修正:2020-03-12 20:41:08] [このレビューのURL]

チンチロ編の濃密な面白さが素晴らしい、個人的にはカイジで一番面白いのがこのエピソードだと思う、
前作の限定ジャンケンも良かったが、相手をやり込める痛快さでこのチンチロ編に軍配が上がる。
続く沼編が長すぎるのは玉にキズだが、全てが結実するラストで全部吹っ飛ばしてくれた、
これ以上無いくらいのエンディングだけに、ここで終わっておけばなあという思いは拭えない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-03-07 19:59:33] [修正:2020-03-08 16:26:10] [このレビューのURL]

限定ジャンケンを初めとする独自且つ命がけのゲーム、
悪党共の妙に説得力のある弁舌、「ざわざわ」という描き文字、
そして刺さりそうなアゴ。
他の漫画とは一線を画す、オリジナリティに溢れたセンスの塊のような漫画。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-03-07 18:54:33] [修正:2020-03-07 18:54:33] [このレビューのURL]

8点 寄生獣

大抵の場合、哲学なんて語られても堅苦しくて説教臭く感じてしまい
「ご高説ありがとうございました」と言いつつ、半分以上は右から左に垂れ流しだ。
堅苦しいで終わればまだいいが、下手に手を出せば
作品全体を安っぽく見せてしまうことだってある。
そんな扱いの難しい哲学要素がこの漫画にもガッツリと盛り込まれているが、
話の流れを遮ることなく自然と物語の中に溶け込んでいるので堅苦しさは感じない、
それ以前にストーリー自体が「生命とは何か」を考えるプロセスのようになっており、
一貫したテーマとメッセージ性はむしろ心地よくすらあった。

とはいえ、そういったメッセージが映えるのはアクションサスペンスとしての
面白さが土台としてあったからだろう、
常にスリリングな展開を維持し日常が脅かされていく物語は哲学要素など無くても充分に面白い。
そしてそこに軸となる生命のテーマを置くことで、多重構造的な面白さをも実現している、
サラッと読んでもジックリ読んでも楽しめる懐の深い作品だ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-12-20 11:13:31] [修正:2019-12-20 11:48:27] [このレビューのURL]

主人公は1年休業を命じられた凄腕の殺し屋、
組織から休業中の殺しは厳禁と命じられ、穏便な暮らしを試みるが
元々の立場がそれを許さず、案の定トラブルに巻き込まれてしまう。

殺し屋とはいえ、アンニュイでマイペースな主人公は見た目よりずっと親しみ易く、
浮世離れした主人公が一般人の日常に溶け込もうとするギャップのおかしさと、
トラブルに巻き込まれた時の平然とした立ち振る舞いのカッコ良さ、
このコメディとシリアスのバランスが絶妙なので、飽きることなく読み続けられます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-12-06 13:01:52] [修正:2019-12-15 09:35:48] [このレビューのURL]

一目見ればすぐに分かる絵の拙さ、
でもこれがアニメ化、舞台化、ドラマ化までしているのである、
理由は簡単、ストーリーが面白いからだ。

作中屈指の力(超能力)を持つ主人公が敵を圧倒する直球の面白さに加えて、
ここぞという場面では良い意味で期待を裏切る変化球な展開も交えてくる、
それも小手先の変化ではなくキャラクターの芯を曲げることなく
自然な流れで成立させているのだから流石。
今作を読んで、改めてこの作者はストーリーテラーだなと確信させられた。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-10-29 09:01:51] [修正:2018-10-29 09:02:43] [このレビューのURL]

前置きもなく、冒頭からすでに不思議空間に迷い込んでいる主人公の2人
奇天烈な世界にいながら、落ち込むことも、不安がることもなく
むしろ、その状況を楽しみながら閃きとバイタイリティで
次々と突破口を開いていく様が読んでいて、とても小気味良い。

でもちょっと人間味に欠けるかな、と思い始めた頃に
回想などで、くどくない程度にキャラの掘り下げがあり、
終盤の礼香と庸子の行動(言動)がお互いに影響しあっていく一連の流れもまた絶妙で
キャラの浅さも感じさせない隙の無さ。

ともかくエピソードの一つ一つに無駄が無く、
パズルのピースをハメるが如く計算された物語の構成に感服させられました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-05-14 22:02:59] [修正:2018-10-29 09:00:25] [このレビューのURL]

後から考えると、タイムリープものの作品で、
時間遡行の条件が判然としていないというのは、結構致命的な気がする。
と言うのも、作者の裁量でいかなる展開もどうとでも出来てしまう訳で
ややもすると、ご都合主義的な作品として読者にそっぽを向かれる可能性があるからだ。

ところが、読んでいる最中はそんなことなど気にならなかった、
それは、純粋にサスペンスとしてのクオリティが高く、
常にスリリングな展開を維持できていたということが大きいように思う、
そういう面では、いつタイムリープが起こるか分からないその状況も
プラスに作用していたのかもしれない、
次はどうなるんだろう、という期待感が先立つことで、
理屈の部分を気に留めさせない没入感があった。

もちろん時間遡行の条件や、何故主人公だけがそんな能力を有していたのかなど、
その辺の謎が明らかになっていれば、さらに文句の付けようのない作品になっていただろうが、
それが無かったからと言って、この作品がつまらないという訳ではない、
初読なら、ページをめくる手が止まらないくらいの面白さは期待して良い。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-03-09 21:33:07] [修正:2018-03-25 13:53:35] [このレビューのURL]