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総レビュー数: 258レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月29日

4点 ツール!

少年サンデーで連載していたが、人気が上がらずクラサン行きとなった自転車漫画。

デスノのパクリ疑惑で話題になったあの方の新作です。絵に関しては十分上手で最近のサンデーに少ないタイプの個性的な絵柄がわりと好みでした。
とはいえクラサン送りになってしまったのもしょうがないかなぁ。ストーリーが終始淡々としていたのと何よりも主人公の魅力が全く伝わってこないのが痛かった。風を読む能力とかなかなか活かされる機会がなくてほぼ空気だしね。

現在もクラサンで連載中です。佳境に入っているようですが相変らずの盛り上がらなさ。絵は良いと思うので原作つけるなりしたら化けるかもしれないですね。

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[投稿:2011-08-20 15:16:36] [修正:2011-08-20 15:16:36] [このレビューのURL]

4点 DCD

クラブサンデーで連載中のSFサスペンス…の皮を被った姉萌え漫画らしいです。

エスパー少年少女が活躍するTV番組、「エスパー少年」。大人気を誇ったこの番組であったが収録中の事故が原因で打ち切りになってしまう。その7年後、番組の出演者の1人が殺される。主人公の黒須繁介とその元共演者で姉的存在の執行夕闇は超能力者の中にいるであろう殺人犯、アンチを探すことになって…。

エスパーたちの能力バトルやアンチを追うサスペンスドラマが主な内容。と見せかけておいて実は作者によると「『DCD』の8割は彼女(執行夕闇)のための物語……それ以外は刺身のツマみたいなもの」らしい。
どちらかというとその刺身のツマのほうがおもしろいです。あまりこの手のサスペンスは映画や小説に比べると漫画ではあまり見ない(気がする)のでけっこう新鮮でした。クオリティはあまり高くないですが、新人ということを考えると中々有望じゃないかと思ったり。
姉萌えのほうは全くといっていいほど魅力を感じませんでした。夕闇があまり可愛く思えないのと、画力が微妙。巨乳好きというのは分かりますが胸に西瓜を2つくっつけられてもね。

連載中のクラブサンデーではようやくアンチの正体が分かった所まで話が進んでます。アンチが悪役として魅力がなさすぎるので1点減で4点。
1話と最新話は公開されているので試しにどうでしょう。

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[投稿:2011-08-19 23:09:51] [修正:2011-08-20 01:29:32] [このレビューのURL]

「駅から5分」の登場人物、生徒会長こと圓城陽大を花乃の視点から描く駅から5分のスピンオフ作品。

駅5はオムニバス形式の作品ながらも陽大が明らかに一際違う存在感を放っていることが気になっていた読者も多いでしょう。駅5で雛が言っていた「彼は史上最悪の良い子ですから」の意味や陽大の雛に対する微妙な関係性、神社で倒れた男性の「決まった人がいると思ったんだだけどな」という雛に対する台詞など色んな伏線の意味、陽大と雛の過去が花に染むでは語られていきます。

相も変わらずくらもち先生の進化は止まりません。元々行間を読ませて心情の機微を表現するのが得意な方ですが、こんなにミステリアスなおもしろさのある作品を書けるとは。陽大の真意、雛の思惑はどこにあるのか。何気ないような台詞、表情まで見逃せず、とことん考えないと分からない。タイプは全く違いますが、BLAME!と並んで知的好奇心をびんびんに煽ってくる作品です。
恐らく最初読んだ時は陽大と誰がくっつくのか気になるかと思います。しかし読み込んでいくと花に染むの真のおもしろさはそこにはないことを気づくはず。別にくっつかなくてもいいし。
絵も駅5から少し変化しました。弓道の場面は必見。弓をひく時のそこだけ切り取られたかのような静謐さ、そして矢が空気を切り裂いて勢いよく的に突き刺さる。見入ってしまうほど美しい。

この人ほど作品ごと、時代ごとに作風が異なる人を私は松本大洋くらいしか知りません。それほど完成という言葉から遠く、常に実験的な姿勢を維持し続けている人です。だからこそこれだけ長い間評価され続け、最先端に立ち続けているのでしょう。

これ単体でも十分読めますが、駅から5分と併せて読むと120%楽しめます。ローラはもちろん、ちょこちょこ駅5のキャラが登場しますし、また視点が違って興味深いです。雛なんてもう別人ですよ。
作中で説明されるのではなく、自分で作品から読み取って考えるからこそピースがはまっていくこの感じ、中毒性のあるおもしろさがあります。スピンオフの上にその独特の作風から敷居は高いかもしれませんが読まないでいるのはもったいないです。ぜひぜひどうぞ。

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[投稿:2011-08-18 00:34:43] [修正:2011-08-18 01:43:17] [このレビューのURL]

「天然コケッコー」などで知られるくらもちふさこのピアノ漫画。くらもち先生の出世作です。

幼馴染の麻子と季晋(きしんちゃん)。彼らは同じピアノ教室に通い、いつも一緒に遊ぶ仲良しだった。しかしきしんちゃんはピアノ留学のために中学校からドイツに行くことに。その2ヵ月後、麻子が新聞の中にドイツで事故があったという記事を見つける。きしんちゃんのお母さんは死亡し、きしんちゃんは失明の恐れありということだった。その後きしんちゃんの消息はつかめず麻子は高校生となるが…。

天コケでくらもち作品に触れた私にとってはこの作品は相当意外でした。それだけ今と作風が違いすぎます。天コケ以降のくらもち作品はリアルさを追及している印象ですが、いつもポケットにショパンは話といい絵柄といい少女漫画色が強いです。また、30年ほど前の作品なのでしょうがないことですが古さを感じる場面がちらほら。悪い女が不良に金を払ってヒロインを怪我させようとするなんて実際見たのはこれが初かもw

ストーリーは本編以外に脱線しがちで全体的に弛緩しているように感じましたが要所要所で非常に印象的なシーンがいくつかあります。実際に読んで欲しいのでネタバレは避けますが、退屈な話も多いんだけど爆発力は半端じゃないという感じ。ラストも良いですけど、愛子の麻子に対する愛情をたった一言で表した場面は個人的漫画史に残る名シーンです。くらもちふさこすげぇーよ。

演奏シーンは迫力があり、ドラマ性の高い演出で盛り上げます。麻子のきしんちゃんや愛子に対する気持ちがびんびんに表現されていて鳥肌ものです。まさにありえないほど劇的。
スポーツ漫画とかだとトラウマとかその競技以外の話を持ち込むことが純度を損なうとかで嫌う人もいますがピアノ漫画はまた別ですね。感情表現に直でつながるので見応えがありますし、カタルシスがものすごいです。

これ以降くらもち作品はどんどん絵も話もソリッドになっていきます。しかし初期の作品ではあるもののいつもポケットにショパンは未だに1番人気で、少女漫画好きの中ではこの作品の評判は非常に高いそうです。とはいえくらもち先生は「最初と最後だけ良くて、中盤がどかっとだめ」という風に仰っておりあまり気に入っていないというのも分かるような気がします。私はリアル志向の現在の作風の方が好みですが、違った味わいのあるこの頃の作品も良いです。
欠点は多いもののそれを補う爆発力と魅力がこの作品にはあります。私が一つピアノもので選ぶとしたらこれです。おすすめ。

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[投稿:2011-08-16 01:56:03] [修正:2011-08-18 00:49:53] [このレビューのURL]

その名の通り、中央アジアの「若い嫁さん」、「美しい嫁さん」についての話。

1巻と2巻では12歳のカルルクに20歳のアミルが嫁ぎ、絆を深め合っていく話が主に描かれている。年の差や実家とのトラブルなど多少の弊害はありつつも順調に他人から夫婦へとなっていくのは派手じゃないですがほのぼのして良いですね。エマみたいに世間の常識や身分の差を乗り越えて良くも悪くも周りを巻き込む激しい恋愛とは真逆で、あくまでも当時の中央アジアの常識に則した恋愛を意識しているような感じ。
前作と同様恋愛に主軸が置かれてはいますが、エマを読んで疲れた人にはこちらの方をすすめときます。

また中央アジアの文化・風習を紹介してくれる漫画でもあって、皆さんが仰るように森先生の愛に満ち溢れた絵を楽しむことが出来る。刺繍・彫刻・民族料理と、好き好き好きと言うようなもはや引いちゃうくらいのクオリティは見る価値ありです。異なる風習・考えを正確に調べて描くのは難しいと思うのだが、風俗描写は丁寧に調べられており興味深い。説明臭くならないようスミスさんを通しての解説もうまいし、何気に細かい目線や表情まで意図してるところが多いようで何度も読み返せる。

また森さんの、現在の私達の常識で善悪を判断せずに一歩引いて物語を書く姿勢がかなり好印象。父権制度が分かりやすい例だと思いますが、今の私達からすると悪い印象のことでも当時の中央アジアでは当然あります。しかし森薫はそれを自分の、今の価値観で勝手に裁くようなことはしません。作中では当たり前のこととして描かれています。とはいえ私達からするとおかしいだろ、と思ってしまうのは致し方ないのでそこの緩衝材に私達と考えが近い外部の人間であるスミスがなっているのも巧いです。
要するに恋愛の形にしろ、風習や考え方にしろ文化や時代で異なっていても良い悪いの問題ではなくてただ違いがあるだけということなんでしょう。絵だけでなく、このように構成は細部まで驚くほどによく練られているし森さんの愛ゆえかの気遣いがみてとれます。

三巻で気づいた方も多いでしょうが、副題を良く見るとThe Bride’s Storiesとなっています。そう、これはアミル達を中心としつつも様々な乙嫁たちの話になるのだろう。

最後に…パリヤさんが結婚できるのを祈っています。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-25 22:59:30] [修正:2011-08-13 23:53:57] [このレビューのURL]

少し懐かしいような温かさを持つ街、宝町に生きる孤児「シロ」と「クロ」のお話。純真無垢なシロと喧嘩に強くたくましいクロが共に生きる姿を描く。

この作品の魅力の殆どは松本ワールドとも言うべき宝町の雰囲気や独特なキャラクターの魅力にあります。
宝町は古き良き時代のまだ義理や人情が生きていた個性的な街でした。そこに外部の企業やヤクザが手を伸ばしていき、宝町は少しずつ変容していきます。1巻最初の見開きで見られるような開放的でぶっ飛んだ町並みは話が進むごとに変化し、退廃的で無個性な灰色の町並みへ。その変化に抵抗するシロとクロ、ヤクザの木村の話が主に描かれます。

町が変化し、彼らが傷ついていくのを見ているのは本当に辛い。そんな中、シロに接することで人間味のある優しい人間になった沢田には感動させてもらいました。また木村の話はもうね…。そして怒涛の勢いで描かれるクライマックス。

好きな作品ではあるものの、少し消化不良に感じられたのが残念。宝町は明らかに近代化されつつあった時代の日本のメタファーだろうし、そこここに作者の主張を感じるものの結局何が言いたいのか分かりにくい。恐らく連載当時あまり人気がなくて打ち切り(有り得ないだろ…)になったことで最後の方が急ぎ足になったことが影響しているのかもしれませんが惜しいですね。
世界観の魅力は松本作品の中でも随一でしょう。特に宝町の描写は大好きでした。言葉選びもこの頃からセンス抜群です。
街に浸り、その住人に酔える作品。まさにかっちぶー。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-13 01:27:17] [修正:2011-08-13 07:12:53] [このレビューのURL]

ひたすらシャーリーかわいいと思わせるための漫画。
黒髪、おかっぱ、メイド、13歳…負けました、かわいいです。
シャーリーの仕草や感情の揺れ動きに森先生のメイド愛を感じます。魅力的にするツボを分かってるというか玄人好みというか何というか。

他2編含めてさらっとしているので軽く読めます。
内容的には薄いので5点ですが、相変らずの巻末漫画のおもしろさで+1点。

シャーリーは完結となってますが、ビームかfellows!あたりで2話ほど新作が掲載されてます。いつか2巻が出るのか短編集にまとめられるのかは分かりませんが、森先生がメイドに飢えた時の息抜きとしてライフワークになってくれたらいいなと思います。

ジゼルも黒髪、おかっぱというポイントを抑えてますね。彼女らにとっては王道なのだろうかw? もちろんかわいいですけど。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-10 19:14:28] [修正:2011-08-10 19:14:28] [このレビューのURL]

「トライガン」の内藤泰弘が描くSFアクション。

一晩で崩壊、再構築されたかつてニューヨークだった場所。そこは異界と現世が交わる魔都、ヘルサレムズ・ロットという都市に変貌していた。この人智を超えた都市で、秘密結社「ライブラ」の面々が世界の均衡を守るために奮闘するお話。

前作トライガンは様々な街を旅するロードムービーだった。今作血界戦線はバットマンにおけるゴッサムシティのように、一つの都市HLの中で起こる事件を描いている。
内藤先生の好きなものを詰め込んだ箱庭的な作品らしい。内藤先生の「かっこいい」は私の中の「かっこいい」と言っていいくらい好みの世界観。アクションだったり人物の造形だったり技を叫んで殴る所だったり色んな部分が最高にシビれます。
トライガンでシリアスになりすぎたからなのか「軽さ」を選んだそうだが、そのやり方は狂ってます。何といっても1巻から「征け! まず手始めに世界を救うのだ!」ですから。毎回のように人が大量に死に、世界が危険にさらされていくうちに無くなっていく緊張感。そして生まれる「軽さ」。何このぶっ壊れたスプラッタコメディ? 凄く楽しいよ(笑)。
ライブラの面々も揃って魅力的。リーダーのクラウスは可愛くもありずば抜けてかっこよくもあるという奇跡的な存在だし、レオとザップのでこぼこコンビは笑えるくらいくだらないし、メンバーが多くて語りきれないのが残念です。ちなみに私はチェインに惚れました。モデルの真木よう子が好きってのもあるけどビジュアルから性格まで好みすぎて困る。私だったら手を踏みにじられてもいいですw。

多分好みがあう人ならだだはまりする作品。とりあえずトライガンが好きだった人は絶対読みましょう。トライガンとは色々と毛色が違う作品ですが、私は大好きです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-08 01:11:35] [修正:2011-08-10 00:52:43] [このレビューのURL]

8点 NOiSE

BLAME世界の数千年前と「災厄」の発端が描かれる。BLAMEの前日譚。

これを読めばBLAMEの世界観に対する理解がかなり進む。しかしそれだけじゃない。単体としてもすさまじい。
スピード感にあふれるストーリー展開。ほらほら分かるやつだけ見ろよ、分からないなら見んなと言わんばかりの硬派なSFです。SF好きにしか絶対薦められないけど好きなやつは絶対好き。
相変わらずの巨大建造物のド迫力と退廃的な世界は健在。知らない世界に連れて行かれるような酩酊感に浸れます。
意味が分からないと思われる部分が多いかもしれませんが、大方のストーリーは必死に考えれば分かります。無論分からない所も多いですが。

知的好奇心をびんびんに煽るこの作品、たまりません。もはやSF好きにはBLAMEとセットで聖書です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-08-08 16:56:20] [修正:2011-08-08 16:58:24] [このレビューのURL]

孤高のSF漫画家弐瓶勉のちょっとラブコメ風味のロボットSF。

ブラム学園で開眼した?萌えを十八番のSFに取り入れるという恐らく他にない取り組みをしている作品です。
SF部分は相変わらずおもしろい。予想できないハードな展開、巨大ロボット「衛人」と奇居子の戦闘シーンは今までにない見応えがある。また主人公谷風の出生や奇居子の謎など伏線の散りばめ方も巧い。
ラブコメ部分は…うーん。

BLAMEの頃の硬派なSFが大分様変わりしてしまった。作品世界はきちんと説明される代わりにその広大さはなりを潜め、絵は洗練されたものの読者を圧倒する力は下がったように思う。若い頃の勢いはずっとは続かないということだろうか。
恐らく私は弐瓶勉の話や絵などの荒削りさに惹かれていた部分がすごくあって、そういう意味では全体的に洗練された感のある今作はあまり気に入ってはいません。そっちの方向性に行って欲しくなかったなというか。
また今作の特色である学園もの的な部分が全く楽しくない。三角関係的な恋愛要素は話の邪魔にしか感じないし、ちょいちょい挟まれる微エロはそもそも需要あるのかな?

今までの弐瓶ファンとするとちょっとなと思う部分もありつつも良SFではあります。次作以降もこの路線で行くならちょっと心配です。 

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-08 16:23:26] [修正:2011-08-08 16:29:10] [このレビューのURL]