「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

どんなテーマで描いていても、結局はいつもの川原漫画。
多すぎる文字、同じような登場人物、緊張感のなさ、ものすごくマイペースな作風。
合わない人は何を読んでもダメでしょうね。
でも好きな人にとってはどの作品でも外れがありません。
何の変哲もないようなストーリーに思えても、
作者の手にかかるとどうしてこんなに面白くなるんだろうと思えるぐらいに。

そんな川原作品の中で個人的に一番好きなのがこの表題作。

「夢見たものは 夢見たものは 銀のロマンティック …そしてまぶしくて まぶしくて もう何も見えない」

笑いあり、涙ありの内容が、いつも通りのほのぼのとした独特のテンポで展開されます。
コメディの中に綺麗に織り交ぜられた優しさ、爽快感、哀愁。
見事としか言いようがありませんです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-02-20 21:14:36] [修正:2010-02-20 21:16:44] [このレビューのURL]

ラブリー変換とは、自分の気持ちを伝える際、相手を尊重した柔らかい表現に変える、という処世術。
そのネーミングもいいですが、ラブリー変換の存在感が、この作品に華を添え、
色鮮やかなものにしています。

変換前のきつい言葉でしか話せず、周囲から孤立しているマリア。
ラブリー変換がうまく使いこなせないマリアは、口先だけの褒め言葉ではなく、
自分なりにラブリー変換を理解し、変化させ、マスターしていきます。

自分自身をラブリーに変換するために。

「誰かに好きと言えるように 自分が好きだと言えるように
 心から好きだと誰かに言ってもらえるように」

マリアは自分をいじめる者に対しても屈せず、拒絶せず、否定せず。
堂々と自分をさらけ出し、意志を伝え、同時に相手を理解しようとします。

マリアが人と交わることで周囲を変化させ、またマリアも周りの影響を受けて変わっていく、
そんな姿を見守っていきたい作品です。

ちなみに、こういう作品では悪役がいないと締まりが悪くなってしまうかもしれませんが、
それにしても担任には腹が立ちます。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-02-07 20:54:53] [修正:2010-02-07 20:57:00] [このレビューのURL]

10点 SF全短篇

天才の、天才による、大人のための短編集です。

不条理な設定、ブラックユーモア、鮮やかなドンデン返し、強烈な社会風刺。
もちろんハッピーエンドになる作品も多数。夢と希望と毒と皮肉に溢れた作品が満載です。

笑いあり、涙あり、驚きあり、怖さあり、下ネタまであり。もう言うことなし。
読むたびに衝撃が心にズシリと響きます。
凡庸な作品ではどれだけ長く描いても表現できないような衝撃が、
一話30ページ前後の中にたっぷり詰まっています。

短編集のレビューが「異色短編集」と「SF全短篇」の2つに分かれてしまっていますが、
少なくとも異色短編集にある話はすべてこちらにもあるようです(たぶん)。
なので、もしどちらも選べるなら、こちらを手に取ることをお薦めします。
PERFECT版も選べるなら、もちろんPERFECT版の方がいいですが。

個人的ベストは「カンビュセスの籤」です。
他に3つほど無理に挙げると、「箱舟はいっぱい」「流血鬼」「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」あたり。

異色短編集も含め他の方のレビューを見ると、お気に入り作品の何と多彩なことか。
読んだ人それぞれに思い入れのある作品にきっと出会える、極上の作品集です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-02-07 20:33:53] [修正:2010-02-07 20:33:53] [このレビューのURL]

基本的に一話完結で繰り広げられる、テンション高めのドタバタラブコメ。
タイトルはこんな感じですが、本編にあまりメイドは関係なく、あくまでも学校生活が中心です。
メイドは主人公のキャラを引き立たせるアクセントといったところです。

どんなことでも全力で頑張るツンデレ主人公と、全てにおいて完璧すぎるモテ男。
ありがちな設定ではありますが、話のテンポが良く、読みやすいです。

心に残る宝物のような作品にはなりづらいかもしれないですが、軽ーく読めて楽しめる作品です。
言葉を替えれば、「この作品じゃなきゃダメ!」という押しの強さ、強烈な個性が
あまり感じられないです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-02-02 21:18:04] [修正:2010-02-02 21:20:54] [このレビューのURL]

8点 洗礼

発想、構成、全体の雰囲気、絵の美麗さ。
個人的には作者の最高傑作の1つだと思います。

気味の悪い絵柄や、勢いで迫ってくるような怖さではなく、
読者の本能に訴えかけるような恐ろしさ、気持ち悪さ。
狂気と言うべきか、誰もが持ちうる人間の普遍的な欲望だと言うべきか。

楳図作品にはSFや心霊現象などを絡めた恐怖マンガも多いのですが、
こういう人の心の闇を描かせたら、やはり楳図氏は抜群に上手いです。

随分と昔の作品ですが、今でも色褪せないです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-28 21:33:06] [修正:2010-01-28 21:35:50] [このレビューのURL]

このサイトで高評価だったので気になっていた作品です。
一時期ネットで話題になっていたとか。

つまるところ、腹をすかせたオッサンが一人でブツブツ言いながら中途半端な時間に食事をする、
ただそれだけの漫画です。

が、読んでいて自然と笑いがこみ上げてきます。グルメ漫画なのに。
ギャグ漫画のようにゲラゲラ笑うのではなく、雰囲気にニヤニヤさせられっぱなし。
無駄にハードボイルドなのがツボにはまるのかも。

巻末の原作者コメント「入ったことのない店に一人で入るのは物怖じする」
が作中で再現されていないのが残念です。
初めての店に入る時のちょっとしたドキドキ感があまり感じられないので。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-23 14:31:20] [修正:2009-12-23 14:31:20] [このレビューのURL]

何となく楽しめるような短編がたっぷり詰まったオムニバス集です。

ゆるーいものもあり、青春ものもあり、スピード感溢れるものもあり、
効果的に伏線の張られたようなものもあり。
いろいろな短編が、素晴らしい世界観の中で展開されていきます。
短編同士が横(同一世界)や縦(時系列)でつながっているものもあるので、
それを見つけるのもこれまた楽しいです。

近未来、宇宙、水惑星。幻想的な雰囲気に浸れます。
気分だけでも小旅行ができますよ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-03 00:30:51] [修正:2009-12-03 00:31:30] [このレビューのURL]

非常に面白いです。
話の展開が正直マンガだなとツッコミたくなるところも多々ありますが、面白いのでそれもありかと。

この作品の面白さは主人公のキャラに尽きます。
キョーコちゃんはよく笑い、よく泣き、よく怒り、よくヘコみ、よく呪います。
天真爛漫でひたむきで、困難に懸命に立ち向かっていく様は、見ていてとても爽快です。
ただ明るいだけでなく、怨霊モードや過去のトラウマ等、心の闇の部分もあり、
そのギャップもうまく表現されています。
読んでいてとにかく応援したくなります。

明るく楽しい話でサクサク読めますが、締めるところはきっちり締めており、そのバランス感覚が絶妙です。
誰にでも安心してお薦めできる作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-10-12 16:50:20] [修正:2009-10-12 16:50:20] [このレビューのURL]

数あるサッカー漫画の中でも、最高傑作の1つだと思います。

現在はW杯に出るのが当たり前のようになっていますが、出場すること自体が挑戦だった頃。
当時の空気を存分に味わうことができます。

必殺シュートも、人間離れしたスーパープレイも、この漫画には出てきません。
リアルに描写された試合展開と、それを取り巻くプロならではの世界。
勝利の喜びも、敗戦の辛さも、世代交代の厳しさも、こんなに素晴らしく表現できるものなんですね。

傑作です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-10-11 15:03:12] [修正:2009-10-11 15:03:12] [このレビューのURL]

9点 痴漢男

ネットで読める無料漫画だからといって侮ってはいけません。
作者がアマチュアだからといって侮ってはいけません。
電車男の二番煎じだろ、と思って侮ってはいけません。
タイトルからエロ漫画を期待してはいけません。

非常に面白いです。
全体的にテンポが良く、サクサクと話が進みます。
すべて一人称で書かれていて、他の登場人物の感情や行動が読めないため、
なんとなく主人公の気持ちになって本当にドキドキしながら主観的に読み進めていくことになります。

ただ惜しいことに、作者のサイトがもう閉鎖されてしまっているんですよね…。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-10-10 01:59:05] [修正:2009-10-10 01:59:05] [このレビューのURL]