「とろっち」さんのページ
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書評、というか未読の方への紹介のようなレビューが多いです。
批評とか評論的なものはうまく書けません。
テレビアニメは全くと言ってもいいほど見ないのでアニメとの比較論も無理です。
なるべくレビュー数が少なめの作品を中心に。
点数はだいたいこんな感じ。全体的にかなり甘めに付けてます。
6点 とりあえず個人的には面白いと思ったもの。概ね合格点。でも特にお薦めはしない。
7点 「何か面白い漫画ない?」と聞かれたとき、「こんなのもあるんだけど」
8点 「何か面白い漫画ない?」と聞かれたとき、「お薦めなので読むべし」
9点 8点よりも個人的にずっと好きな作品。自分の中での「漫画の殿堂」入り。
10点 9点よりも個人的にずっと好きな作品。自分の中での「漫画の殿堂」入り。
<備忘録的追記>
毎年恒例(?)、未読作品で2016年ぜひ読んでみたい作品リスト。だいたい読みたい順。
空の色ににている、ヒカルの碁、4D、かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦、こいいじ、
ディザインズ、マイディア、ヴァニタスの手記、虚構推理、冬目景作品集 空中庭園の人々、
バツコイ、春の呪い、ぐらんば、ダンス・ダンス・ダンスール、帰ってきたサチコさん、
シンギュラー、ふしぎの国のバード、ノー・ガンズ・ライフ、ReLIFE、花とアリス殺人事件
未読作品で2016年初めて読んでみたら面白かった作品リスト。だいたい読んだ順。
町田くんの世界、百万畳ラビリンス、プラチナエンド、山と食欲と私、マダム・プティ、
HaHa、13月のゆうれい、花井沢町公民館便り、惑わない星、高台家の人々、
かくかくしかじか

8点 大東京トイボックス
自分の中の「面白い」という感覚が、世間が欲している「面白い」と一致するならば、
その才能は天才と呼ばれてもおかしくないでしょう。
頭の中にあるその才能を世に広めるには、「面白い」という漠然としたものを明確にし、
アウトプット(プロット、仕様書等)して具体化していく作業が必要になります。
しかし、話はそんなに簡単なものではないです。
今やゲームは日本を代表する一大産業。
大勢の大人が、何ヶ月、何年という長い時間をかけて作る、「商品」としてのゲーム。
他人との、他社との駆け引き、政治力、予算、締切、規制、流行、さまざまな要因が行く手を阻みます。
そしてそれらに振り回されているうちに、何が「面白い」のかわからなくなってしまう…。
「なぜ 作りたいものが作れない 作りたいから作る ただそれだけなのに」
「自分が感動してないモンを売って 他人の気持ちを動かせるほど オレは自信家じゃない」
いや、正直、前作「東京トイボックス」のときよりずっと面白くなっています。
やっていることは同じなんですが、全体の大きな流れ、うねりの中でストーリーが展開され、
世界観が広がり、より一層深みを増した心理描写。
この作品はどちらかというと、「生みの苦しみ」 をクローズアップしているように感じられます。
それぞれが弱さをさらけ出しているからこその、こんなにも人間臭くて魅力的なドラマ。
実際のゲーム業界の裏側という「現実」を描いているのかは正直わかりませんが、
個人的にはそこはどうでもいいと思っています。
読む人に説得力を与え、作品世界に引き込んでくれるような設定描写が巧みだからこそ、
「作品としてのリアリティ」が感じられる、熱い作品です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-10-22 00:36:39] [修正:2010-10-22 00:37:54] [このレビューのURL]
7点 夏のあらし!
夏休み。 とある喫茶店で起こるファンタジー。 夏の間の思い出か、それとも夢か幻か。
暑さと、儚さと、どこか懐かしいノスタルジックさが同居した作品。
登場人物の多くが戦中の淑女だからでしょうか、会話が全般的に落ち着いた雰囲気でなされ、
そのために作品自体もどこか落ち着いた印象を受けます。
やっていることはドタバタなんですけどね。
現在と過去とを行き来する話なのですが、この手の話には必ずついてまわるタイムパラドックスに
関しても、工夫してうまく折り合いをつけていると思います。
現在から過去に行った時、あるいは過去から現在に戻って来た時、読者も一緒に時代のギャップを
感じてしまうような、絵柄の差異、感覚の差異、雰囲気の差異の付け方が秀逸です。
差異を意識しすぎているのか、最近は過去の描写がちょっとオーバーな気もしますが。
作中のところどころで「死」という漢字の使用を敢えて避けている場面があります。
その使い方は、読んでいて違和感を感じてしまうほど。
死が遠いところにあると思っている現代人たち。 既に死を経験してしまった彼女たち。
「死ぬ」 ではなく 「しぬ」 と柔らかい表現を使うことで示されるのは、「死」への実感の無さか、
「死」をもう二度と思い出したくない深層心理の表れか。
主人公の少年たちがひと夏の間にどんどん成長していくのも好感が持てます。
対して、彼女たちの人生は止まってしまった。 人生を謳歌する前に幽霊になってしまった。
「実は私 恋愛を経験する前に 空襲で死んじゃったのよ」
「私達が生きられるのは 夏の間だけなんだもの ……そんなの切ないじゃん」
「命短し 恋せよ乙女」 ですか…。
これほどこの言葉が似合う作品もないのかな。
「だから 生きてるあなたは 恋をしなよ!」
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-09-15 01:34:07] [修正:2010-09-15 01:37:00] [このレビューのURL]
8点 花園メリーゴーランド
現代でも世界各国でそれぞれ言葉、法律、慣習、常識、ありとあらゆるものが違います。
日本だって「日本全国」なんていう言葉が今でも残っているぐらいなので、
昔はいろいろな国の集合体だったんですよね。
東北の人と九州の人とでは会話すらもままならなかったらしいので、
そのぐらいに言葉や文化が各地域で異なっていたということなのでしょう。
それぞれの国、それぞれのムラで行われていた独自の風習。
そこで浮き彫りになるのは、皆でやれば怖くない、というのと、皆と同じことをしなければならない、
という二つの考えに支配された、排他的な発想。 集団意識の恐ろしさ。
掟を破ったものに対する「村八分」がそこに暮らす者にとってどれほど致命的か。
ただその風習も、そこで生活する人たちが必要に迫られたから始めたわけであって、
それを外部の人が見て「正しくない」なんて言っても余計なお世話なんですよね。
そもそも、正しい、正しくない、っていうのも、見た人の風習に則って判断しているわけですし。
「大切なのは そこに住んでる者が それで幸せかどーかだっぺ」
この作品に話を戻しますと、そんな日本の伝統を軸に、古来からの風習の恐ろしさを感じさせながら、
同時にしっかりジュブナイルもやっています。
漫画的な面白さを追求しながらも、作品としてのリアリティを崩さず、すっきり読みやすく、
展開の速いサスペンスとして読者を引き付ける構成の上手さ。
仲間として認められたとき、禁忌に触れたときの、村人の手のひらを返したような態度が印象的です。
まぁ小難しく考えなくても、町に生きる相浦とムラに生きる澄子との純愛物語として読むのもありです。
ラストがすごく良いですね。
一方で、こうやってまた日本からムラが無くなっていくんだな、なんてしみじみ考えてしまいました。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-09-15 01:26:32] [修正:2010-09-15 01:27:07] [このレビューのURL]
4点 螺旋島
離島+パニック+サスペンス+ホラー。 もはや目新しい設定ではなくなってしまった感のある世界観。
確かに彼岸島ですね。あるいはEX少年漂流。
ただし主人公の強さが半端じゃないです。講談社の兄弟誌である週刊少年マガジンで例えるならば、
鬼塚英吉の体力に、ファルコンの頭脳と判断力を合わせたような高校生。 そりゃ最強です。
主人公の判断力や洞察力が際立っているような描かれ方をしていますが、そうは読めなかったですね。
論理的思考でリスクを極力排除していくような描写はなく、むしろ多数の可能性の中から
1つの可能性だけを決め付け、思い込みで行動しているようにしか見えないです。
結果的に主人公の取った行動はすべて正しいことになっていますが、どうにも説得力に欠けます。
その度ごとに周りの登場人物に「まぁ何てすごい判断力なの!?」なんてフォローさせてますが、
そんなこと言われても、ふーんって感じで全然ピンときません。
そういう感じで構成力にはかなり疑問符が付きますが、ストーリーの大筋には興味をそそられます。
まだ新人作家とのことなので、もっと見せ方が上手くなれば、面白くなってくるんじゃないかなー。
……と思ったら連載終了しちゃいましたね。
もうちょっと深みのある設定とか、裏をかかれるような伏線とか、そういうのを期待していたのですが、
ひねりのないままに終わってしまいました。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-08-24 10:09:27] [修正:2010-08-24 10:11:10] [このレビューのURL]
10点 おもいでエマノン
ストーリーの付いた画集というような印象。
だがそれはストーリーが二次的なものだという意味では決してなく、絵があまりにも凄すぎるから。
無駄なコマが1つもなく、全てのコマに生命が宿った作品。
出会いと別れ。
後ろ髪を引かれるような読後感がたまらなく切ない。
そうして美しい思い出を胸に秘め、人は力強く生きていくのだ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-08-14 01:26:35] [修正:2010-08-14 01:26:35] [このレビューのURL]
8点 神々の山嶺
エベレスト初登頂に挑んだ登山家マロリーの残した謎をめぐるミステリーを絡ませながら、
一人の不器用な男の生きる様を力強く描いた作品です。
夢枕獏氏の原作小説が秀逸なのは言うまでもないですが、
この作品が漫画として素晴らしいのは、やはり谷口ジロー氏の圧倒的な描写力。
言葉が拙くて申し訳ないですが、何と言うか、「山が凄まじい」。
圧倒的な山の量感と、それに挑む人間という存在の小ささ。
周囲には他の動物はおろか、鳥や虫の姿もなく、草すら生えない、生物が生存し得ない場所。
岩と雪の世界。 押し潰されそうなほどの孤独感。
山に挑むとは、すなわち 「地上から神々の世界へ足を踏み入れる」 ことなのだと。
グランドジョラスでの鬼気迫るような描写が圧巻です。
落下するときのコマ送りの感覚。
寒さと眠さで意識が朦朧となる感覚。
襲い掛かる幻覚、幻聴。 聞こえるのは風の音と自分の呼吸音のみ。
死にたくない。
そして生きてもいいという権利を自分の手で掴み取る瞬間。
生と死とを分ける瞬間。
「神がとか幸運がとは言わない。 このおれがその権利を手に入れたのだ」
読んだ後に知ったのですが、グランドジョラスの話がほぼノンフィクションであることに驚愕。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-08-09 21:48:02] [修正:2010-08-09 21:48:02] [このレビューのURL]
10点 まんが道
熱い。二人の真っ直ぐな気持ちが、とにかく熱い。
作り物の熱さではなく、作者の人生を表現した熱さ。 漫画に賭けた熱さ。 二人の友情の熱さ。
当時には珍しく漫画に理解があり、女手一つで育ててくれた母親。 応援してくれた級友。
温かい職場の同僚。 下宿先のおじさん。 トキワ荘の友でありライバルたち。
二人が学生の頃からずっと目をかけてくれた手塚治虫。
そして、作者(A先生)が 「尊敬する漫画家」 であり 「生涯の友」 と呼んで憚らないF先生。
きれいごとではなく、こういう1つ1つの出会いが、幸運が、努力があって、その積み重ねがあって、
励まされ、けなされ、悩み、喜び、迷い、切磋琢磨しながら、まんが道を突き進む。
その感謝の気持ちが、情熱が、作品から溢れんばかりに伝わってきます。
戦後間もない時代、漫画家になる方法もわからずに、がむしゃらに漫画を描いていた頃。
お互い進む道が分かれながらも、夢を諦めないで歩き続けた社会人時代。
上京し、狭い部屋の中で語り合った下宿時代。
仕事の厳しさを知り、仲間の大切さを知ったトキワ荘での生活。
こうやって現在の漫画界が形成されていったのかと思うと、感慨深いものがあります。
自分も他のレビュワーの方と同様、A先生の作品の中でこれだけは別格です。 本当に面白いです。
漫画史に残り続けるであろう傑作。
A先生から亡きF先生への思いが温かいです。
「あいつは……彼は、ホントに天才でね。 僕はずっと「負けた!」って思っててね……。
マンガ家っていうのは、歳を取るとだんだん子供から離れていくわけじゃないですか。
それを50歳になっても、ずーっと「ドラえもん」を書き続けて……。
「ドラえもん」は日本だけでなく、世界中の子供が読んで共感を得ているわけじゃないですか。
あれは彼にしか描けない。 これは凄いことだと思うね。 やっぱり彼は本当の天才ですよ……。
彼と何十年も一緒に活動したということは僕の誇りです。
彼がいなかったら僕は絶対マンガ家になっていないしね。 現在もなかったと思うんですよね。」
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-07-27 00:22:05] [修正:2010-07-27 22:51:11] [このレビューのURL]
7点 ベイビーステップ
ド素人だった主人公が少しずつ着実に上手くなっていく様が共感でき、
わかりやすく、テンポが良く、熱さを秘め、コメディ要素もあり、女の子はカワイイ。
正に少年漫画の王道まっしぐらな作品。
週刊少年マガジンというメジャー誌で、本来なら主役を張れるほどの面白さ。
……なのに地味すぎ。ちっとも目立たないです。
読んでもらえればこの作品の面白さがわかるんですけどね。
ただ、ここが問題。
じっくり「読んでもらう」ことが前提にあって、自分から「読者を引き付ける」ような作品ではないです。
敢えて悪い言い方をすれば、華なし、毒なし、個性なし。優等生すぎる作品。
話の展開は、現実に裏打ちされたリアルテイストなテニス漫画。
テニスに詳しい人も、そうでない人も、それぞれの目線に合わせて楽しく読めます。
「ファンタジスタ」のテニス版と言ったところでしょうか(だいぶ違うかもしれませんが)。
メジャースポーツの中で最も旬の年齢が若い部類のテニスにおいて、
高校から始めてプロを目指す、なんていう超無謀な展開にはちょっとビックリしましたけどね。
とは言え、プロを意識してからの展開の方が、漫画としてかなり面白くなっているように思います。
まだまださらに面白くなるのか。この作品が日の目を見ることはあるのか。
いろんな意味で今後に期待です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-07-16 22:47:04] [修正:2010-07-18 11:41:40] [このレビューのURL]
グリム童話を諸星流に大胆アレンジした短編集。
戦戦慄慄のサスペンス、練りに練ったミステリー、設定を実に上手くアレンジした現代劇、等々。
有名どころの話を題材にしながら、この人の手にかかると全く別の話に見事に生まれ変わります。
グリム童話の本領である不条理さ、残虐さ、不気味さ。
そういったものが作者の手によってさらに強められ、あるいは捻じ曲げられ、消化されて、
作者独特の世界観として再構築されています。
諸星作品とグリム童話との相性がよほど良いんでしょうね。
先の展開が全く予測できないストーリー、読者を引きずり込むような構成力の凄さも健在です。
元ネタの都合上、話の面白さにかなりばらつきがあるので総合的にはこの点数ですが、
赤ずきん、ラプンツェル、Gの日記は特に良かったです。
作者のグリム童話アレンジ集は、他にも姉妹版に当たる「スノウホワイト」があります。
個人的には全体的にこっちの方がちょっと面白かったかなと思いますが、
気になる方はどちらも手に取ってお気に入りを探してみてください。
特にラプンツェルは「スノウホワイト」でも全くの別アレンジとして収録されているので、
読み比べてみるのもまたご一興かと。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-06-23 20:12:37] [修正:2010-06-23 20:12:37] [このレビューのURL]
8点 ラヴァーズ・キス
結ばれた恋、重なる想い。 片道の恋、届かぬ想い。
キスに込められた、それぞれの想い。
キスに彩られた、それぞれの想い。
1つの時系列を、3組それぞれの視点で異なった角度から3回描いた、3通りのストーリー。
同じ場面でも、自分がどの視点に立っているかで、印象が全く違います。
何度も同じ場面を見させられるのではなく、違った角度からそれぞれの心情を深く味わう感覚。
登場人物の気持ちが交錯する濃厚な心理描写と、淡白なようで鮮やかな情景描写が、何とも秀逸。
1回読むよりも2回目の方が、2回目よりも3回目の方が、ずっと心に届く作品です。
その時のBGMはもちろん「Je te veux」と「Tempest」。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-06-23 20:01:33] [修正:2010-06-23 20:01:33] [このレビューのURL]
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