「十歩神拳」さんのページ

総レビュー数: 76レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年11月30日

1話完結の日常系ギャグ漫画であることに加え、主人公や準主人公級のキャラクターが女子高生であること(老婆は黙殺)、ジョセフィーヌの存在などで、泥臭いヤングキングアワーズの中では貴重なオアシス的な作品となっています。

作品の随所に散りばめられた小ネタや、読み返すと気づくプチ複線の数々から作者の高度な遊び心が伺えます。真田やモリアーキーも良い味を出していると思います。
ギャグ漫画としては完成度はかなり高いのではないでしょうか。

とは言え、私個人としてはあくまで普通のギャグ漫画の域に留まっているという印象を持っていたので、レビューの多くが8点以上という現状には正直驚いてしまいました。
一介のギャグ漫画がこのサイトのランキングでいくつもの大作を押さえている光景には、なんとなく違和感を感じてしまいます。
点数基準の「何度も読み返してしまう」には該当するとは思うのですが。

正直、歩鳥の持つ例の「市松人形的可愛さ」が全体的に評価を少しだけ甘くしているのではないかと思わなくもないです。
もちろん、登場人物の魅力も作品の魅力の内なのですが、私はあえてキャラクター補正を省いた点数でレビューさせていただきます。

2016年10月追記
今月号のアワーズで遂に終了です。
後半は明らかに終わりに向かっているノリでしたが、日常系でそれが見て取れるというのは、存外に寂しいものですね。
こんな気持ちになるほどの漫画は、この年になると今後は出会えないかもしれないので、1点プラスします。

昔は「ただのギャグ漫画」と評していましたが、数年ぶりにレビューを投稿するくらいに愛着の湧く、名残惜しい作品にいつの間にかなっていました。
やはりキャラクターの魅力は、理屈抜きに作品の魅力ですね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-08 11:19:22] [修正:2016-10-28 17:39:43] [このレビューのURL]

この作品以上に面白い漫画や、凄みのある漫画はたくさんありますが、これ以上に「良い漫画」を私は読んだことがありません。

直球の王道的展開にして、努力・友情・愛・勝利・冒険などの少年漫画の重要要素をほとんど兼ね備えて、しかも全く押しつけがましくないという、少年漫画の教科書の様な作品。
個人的には小学生の内に読むべき漫画第1位と言っても過言ではないと思っています。

特にポップを通して描写された「勇気」は本当に奥深く描かれていて、今読み直しても感動できます。
まさに勇気をくれる漫画でした。


欠点を挙げるとすれば、作中での時間経過が余りにも短いことはが少し気になりました。
マァムの修行期間がたったの2週間だったり、ヒュンケルは5日間しか山にこもってなかったり、デルムリン島を旅立ってから最終決戦までの日数が3ヶ月足らずだったりする事を考えると萎えてしまうのが残念なところ。

それを差し引いても、まさしく名作といえる漫画でしょう。


余談ですが、「閃光のように」の陰に隠れがちであまり話題に挙がりませんが、個人的に「その瞬間、世界が輝いた」がこの漫画の最大の盛り上がりだと思っています。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-11-28 12:41:26] [修正:2011-06-15 04:30:19] [このレビューのURL]

世界観やキャラ、セリフに至るまで全てにどす黒い印象を受けました。
とにかくエグくて泥臭く、混沌とした得体の知れない世界なのに登場人物は皆嬉々としてその世界を生きているため、読者も読んでいて妙に楽しくなるのではないでしょうか。一種の雰囲気漫画としても読めると思います。

とはいえ、物語の進行に伴いじわじわと謎が解けていく構成はよく練られていて、決して雰囲気だけの漫画ではありません。

ただ、物語が修羅場を迎えているせいだとは思いますが、最近は登場人物が軒並みネガティブになってきている印象を受けるので、読んでいて若干息苦しく感じます。
個人的には前半の飄々としたキャラクターたちが好きです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-08 12:07:04] [修正:2011-06-15 04:03:20] [このレビューのURL]

ヘルシングの時にも言えたことですが、ヒラコー作品はそのジャンルに対して作者の持つ圧倒的な知識が作品の礎となっているので、この人の漫画を骨の髄まで楽しむには読み手にも相応の知識が求められます。

そのジャンルに対して知識があるか否かで、同じ作品に対してでも見えている次元が大きく異なってしまうはずです。
そして本作は「異界で歴史上の人物たちが繰り広げるトンデモ大戦」なので、最大限に楽しめる読者は「そこでそいつを使うか」とか、「やっぱこの流れならこうなるよな」などという楽しみ方も出来ます。
私は歴史は苦手なので、そういう点では歴史好きの読者と比べたらどうしても楽しみきれない部分があると思います。

とは言え、さすがは平野耕太。
まだ始ったばかり(1年以上連載してるけど)にも関わらず、歴史に関して知識が浅い私が読んでも普通に面白い漫画です。

この人の漫画の魅力として、相変わらずのヒラコー節の利いた台詞もさることながら、登場人物の「表情」もあると私は思います。

この人の描くキャラクターは言葉じゃ表わせないような複雑で奥深い感情まで、何とも言えない表情で表わします。
「目は口ほどにものを云う」と言いますが、平野作品の登場人物の表情は、ヒラコー節の利いた台詞以上に心境を伝えるほど進化した表現方法なのです。
つまり、知識がなくとも感性だけで充分に楽しめる漫画だと思います。

ただ欲を言えば、載せるからには30ページ前後は描いて欲しいです。(休載の時はおまけ漫画が代載されることがあるので個人的にはOKですが)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-16 11:12:36] [修正:2011-01-27 09:54:54] [このレビューのURL]

5点 犬夜叉

確かに皆さんのおっしゃる通り無駄に長い。
しかし個人的には、前半は少年漫画としては傑作の部類に入るものだったと思います。

それまでの高橋留美子の少年誌における代表作はドタバタラブコメ系統のものが多く、一般的にはそういった作品しか創れないという印象が強かったのだろうと思います。
しかし、るーみっくワールドには「うる星」や「らんま」等の陰に隠れて一般的に知られていないたくさんのタイトルがあります。それらの作品の中には、高橋留美子の才能がドタバタラブコメに対してだけのものではないと証明するに十分な珠玉の名作が多数存在するのです。

そして「犬夜叉」は高橋留美子がこれまで紡ぎあげてきた数多くの名作を抽出して、一つの少年漫画として調和させた最強の集大成であるはずなのです。
現代と戦国時代の双方を舞台とし、冒険、アクション、恋愛、コメディ、不気味さ、心理描写などの、るーみっく諸作品のあらゆる持ち味を詰め込んだ作風には隙がありません。

少なくとも爆流破を会得するまでは。
その後の引き延ばしによる失速感が酷い。

七人隊編あたりは引き延ばしなりにも、敵キャラが立っていたので読めましたが、白童子や魍魎丸がどうしようもなかった。
ただでさえ奈落の不死身と逃走ぶりに読者がうんざりしかけていたのに、同じようなのをさらに二体も作るなんて。
名前が違うだけで、ポジション的には結局「奈落(大)」、「奈落(中)」、「奈落(小)」ですから。
彼らが出ずっぱりの話(コミックスにして29から44巻あたり)と中盤以降の変わり映えのない構図がこの作品に「ループ漫画」のレッテルを張り、著しく評価を下げたきっかけだと思います。

ただ、45巻以降は緊張感があり、意外な展開も割とあったことに加え、他の少年漫画が全体的に不作だったこともあり、相対的に面白く感じました。

全体を評価すれば、中盤を差し引いても駄作と言いきるのはあんまりかなと私は思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-28 17:30:06] [修正:2010-10-27 14:41:28] [このレビューのURL]

8点 咎狩 白

いろいろな意味で、今もっとも人に薦めたい漫画。

2000年から1年半程の間サンデーで連載していた、あの知る人ぞ知る秀作「トガリ」が約10年を経て奇跡の復活です。


本作の背景となるストーリーは前作のあらすじやレビューを見ていただければわかるかと思いますが、主人公である統兵衛は現世で108日の間に108の罪を狩らなければなりません。

そして大胆にも、「咎狩 白」は「107日が過ぎ107個の罪を集めた」シチュエーションからスタートすることにより、あえて退路を断ち、無駄な引き延ばしを出来ないようにしてしまいました。
そのため、1話目から完全にクライマックスとなっており、物凄い勢いと密度で話が進んでいきます。

また、夏目先生は本作ではあえて先の展開を決めず、読者の生の声を聴きながら流動的に執筆しているらしいので、ベテランらしい手堅くスマートな展開ではなく、良い意味で荒く物語が進行します。
そのスタンスは「トガリ」の作風に物凄くマッチしていて、非常に面白いと思いました。

このスタンスで最後まで描かれるのであれば、本作は誰もが(作者すらも)予想できない名作になり得るかもしれません。
本作が名作か凡作か、あるいは駄作となるかの鍵はある意味私たち読者が握っているとも言えるでしょう。

とりあえず、機会があれば是非読んでみてください。
最初の数ページの強烈なインパクトで、当時の読者はもちろん、初見の方でも一気に引き込まれることでしょう。

また、夏目先生の漫画家としてのブランクが長かったせいか始めのうちは作画やテンポに若干のぎこちなさを感じましたが、話数を重なるごとに覚醒している感があるので、毎月どんどん面白くなっていくことも期待できます。

10年前と同じ轍を踏まず、今度こそは最後まで描ききられるように、少しでも多くの読者に本作を支持して頂きたいと願います。


まだ1巻しか出ていないのに高得点にするのは尚早かもしれませんが、期待と応援と宣伝の意味も込めて、8点です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-28 16:56:54] [修正:2010-07-09 11:24:06] [このレビューのURL]

1巻を読んだときは「漂流教室」的なサバイバルホラーなのかと思いましたが、全体を通してみるとむしろアクションアドベンチャーでした。
テンポが良く、キレのある展開で巻数も手頃なため最後まで飽きることなく読めましたし、面白い漫画だと思います。

しかし、先ほど述べたように前半では割とホラー的な展開が前面に押し出されていたため、私が勝手にその方向で物語が進むだろうと気構えていたせいか後半の展開に若干置いていかれてしまいました。

もっとも、作品冒頭から異形のモンスターが登場している点や、作品の背景を考えれば後半の流れになってもなんら不自然ではないし、最初から物語の流れは方向づけられていたのでしょうが。

でもやっぱり、主人公サイドにはできれば最後まで武器や兵器と知恵を駆使して、人間らしく小賢しい戦い方で化物と渡り合ってほしかったと個人的には思いました。


とはいえ、作品を通して少しずつ謎を明かしていく過程や、手堅く構成されたプロットはかなりの完成度だと思います。

個人的嗜好に基づいた点数が5点、作品としての評価が7点で、間を取って6点です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-24 10:23:01] [修正:2010-05-24 10:29:38] [このレビューのURL]

1年に10週程度、それもネームのような状態で掲載しても許される、なんともわがままな作品。

もちろんその態度は多くの読者から批判のタネにされているのですが、それでも決して打ち切られることはなく、新刊が出ればジャンプコミックスの中でも最高クラスの売上をたたき出す規格外タイトル。

このような状況が持続している理由はもちろん「とにかく面白いから」の一言に尽きるのでしょう。


私の好きな漫画家さんが以前、「ネームだけ見ても面白い漫画だってある」というようなことを言っていましたが、ハンターハンターにおいて作画が云々という問題は、少なくとも作品を楽しむ上ではそれほど大きなことではないのです。
たとえそれが誠意の感じない、手を抜いて乱雑に描かれたもののように見えても、その演出や構図は他の漫画家が頭をひねってようやく創り上げたものより遥かに洗練されているのです。
ストーリーに関しても同様のことが言えると思います。


これでは毎週真面目に全力で連載している漫画家が馬鹿みたいに見えてしまいますが、残念ながら並の作者が1年かけて紡いだ物語より、富樫先生が数週掲載したぶつ切りのハンターハンターの方が読者たちの心を掴んでしまっているのです。

ジャンプにおいてこのスタンスが許される程圧倒的な能力を持つ富樫先生は、正しく「天才」と呼べる漫画家でしょう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-04-26 11:24:25] [修正:2010-04-26 11:24:25] [このレビューのURL]

通常、アニメと漫画の2メディアで同時期に展開される作品(特にロボットアニメに多い)は、ダイナミックシリーズ等の例外はあるものの基本的にはあくまでアニメ版が原作であり、漫画版は適当な漫画家に執筆させる場合が多いです。

そのため、漫画版はアニメ版と比べ絵が全く違ったり、ストーリーや登場人物も大きく異なってしまう事が多くなるため、熱心なファンからは稀にオリジナルであるアニメ版と比較され、同人誌と大差ないような扱いを受けてしまうことさえありました。

しかし本作の作者である貞本義行は、自身がアニメ版「エヴァンゲリオン」制作群の中核としてキャラクターデザインを手がけているため、漫画版もアニメ版と同格の一つの「オリジナル」としての地位を確立しています。



本作は他のメディアミックス作品と異なり、アニメ版のイメージとかけ離れないように基本的にはアニメ版と同じプロットで物語は進行します。
しかしアニメ版と大きく異なる点は、シンジの視点を多く取り入れている点です。また、他のキャラクターの内面の描写もアニメ版と比較して随分多くなっている点が漫画版の特徴と言えるでしょう。

そのためアニメ版よりは戦闘シーンの比重が少なくなり、淡々とした印象は受けるものの、逆にアニメ版で妙なところばかりくどく強調された割には細かいところまでフォローされなかった心理描写は充実し、キャラクターの言動、行動が理解しやすく違和感が少なくなっています。


多分貞本先生は、ゆっくり時間をかけられる分アニメ版で少し乱暴だった部分を丁寧に補完しているのではないでしょうか。

「エヴァンゲリオン」はアニメ版と漫画版が相互に足りない部分を補完し合って初めて完成する物語だと思います。



ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-04-09 12:09:45] [修正:2010-04-09 12:11:48] [このレビューのURL]

4点 BLEACH

確かに他のレビュアーの方々が仰るとおり、中盤以降の展開は果てなきパワーインフレと大ゴマのオンパレードで、マンガとしてのクオリティは低いと思います。
しかし20巻位までは、そのスピード感ある戦闘描写や危機的な展開の煽り方等は少年漫画としてはそれなりに秀逸だったと思うし斬新にも感じました。
それらの点と現在の巻数を考慮したら、とりあえず今のところは4点くらいが妥当かと。もちろん、現在の作風で無駄に巻数を重ねていけば評価が下がる恐れはありますが。


ただ、作品単体の評価としてはこの程度に収まりましたが、ジャンプ誌面における本作の存在意義はもう少し評価できるものだと思います。

現在のジャンプにおける看板漫画はワンピースや銀魂など、文字数や話の密度などが濃ゆくて、読了にかなりのエネルギーを消費するものが多いように感じます。やはり看板級の作品がヘビーなものばかりだと読者側としても疲れてしまうのではないでしょうか。
そんなときに本作のような、密度が薄めのあっさり読める箸休め的な作品を間に挟んで読むことで、読者はスムーズに雑誌を読み進められると思います。

少なくとも、良質な漫画誌はギャグ作品とアクション作品をそれぞれ最低1作づつはこのタイプのタイトルを備えることが望ましいと個人的には考えているので、本作はその役割を担うジャンプ全体のバランサー的な作品として真価を発揮すると私は考えます。
言わば本作はポスト「テニプリ」なのです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-12 10:38:54] [修正:2010-03-12 10:38:54] [このレビューのURL]