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総レビュー数: 258レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月29日

少し懐かしいような温かさを持つ街、宝町に生きる孤児「シロ」と「クロ」のお話。純真無垢なシロと喧嘩に強くたくましいクロが共に生きる姿を描く。

この作品の魅力の殆どは松本ワールドとも言うべき宝町の雰囲気や独特なキャラクターの魅力にあります。
宝町は古き良き時代のまだ義理や人情が生きていた個性的な街でした。そこに外部の企業やヤクザが手を伸ばしていき、宝町は少しずつ変容していきます。1巻最初の見開きで見られるような開放的でぶっ飛んだ町並みは話が進むごとに変化し、退廃的で無個性な灰色の町並みへ。その変化に抵抗するシロとクロ、ヤクザの木村の話が主に描かれます。

町が変化し、彼らが傷ついていくのを見ているのは本当に辛い。そんな中、シロに接することで人間味のある優しい人間になった沢田には感動させてもらいました。また木村の話はもうね…。そして怒涛の勢いで描かれるクライマックス。

好きな作品ではあるものの、少し消化不良に感じられたのが残念。宝町は明らかに近代化されつつあった時代の日本のメタファーだろうし、そこここに作者の主張を感じるものの結局何が言いたいのか分かりにくい。恐らく連載当時あまり人気がなくて打ち切り(有り得ないだろ…)になったことで最後の方が急ぎ足になったことが影響しているのかもしれませんが惜しいですね。
世界観の魅力は松本作品の中でも随一でしょう。特に宝町の描写は大好きでした。言葉選びもこの頃からセンス抜群です。
街に浸り、その住人に酔える作品。まさにかっちぶー。

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[投稿:2011-08-13 01:27:17] [修正:2011-08-13 07:12:53] [このレビューのURL]

ひたすらシャーリーかわいいと思わせるための漫画。
黒髪、おかっぱ、メイド、13歳…負けました、かわいいです。
シャーリーの仕草や感情の揺れ動きに森先生のメイド愛を感じます。魅力的にするツボを分かってるというか玄人好みというか何というか。

他2編含めてさらっとしているので軽く読めます。
内容的には薄いので5点ですが、相変らずの巻末漫画のおもしろさで+1点。

シャーリーは完結となってますが、ビームかfellows!あたりで2話ほど新作が掲載されてます。いつか2巻が出るのか短編集にまとめられるのかは分かりませんが、森先生がメイドに飢えた時の息抜きとしてライフワークになってくれたらいいなと思います。

ジゼルも黒髪、おかっぱというポイントを抑えてますね。彼女らにとっては王道なのだろうかw? もちろんかわいいですけど。

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[投稿:2011-08-10 19:14:28] [修正:2011-08-10 19:14:28] [このレビューのURL]

「トライガン」の内藤泰弘が描くSFアクション。

一晩で崩壊、再構築されたかつてニューヨークだった場所。そこは異界と現世が交わる魔都、ヘルサレムズ・ロットという都市に変貌していた。この人智を超えた都市で、秘密結社「ライブラ」の面々が世界の均衡を守るために奮闘するお話。

前作トライガンは様々な街を旅するロードムービーだった。今作血界戦線はバットマンにおけるゴッサムシティのように、一つの都市HLの中で起こる事件を描いている。
内藤先生の好きなものを詰め込んだ箱庭的な作品らしい。内藤先生の「かっこいい」は私の中の「かっこいい」と言っていいくらい好みの世界観。アクションだったり人物の造形だったり技を叫んで殴る所だったり色んな部分が最高にシビれます。
トライガンでシリアスになりすぎたからなのか「軽さ」を選んだそうだが、そのやり方は狂ってます。何といっても1巻から「征け! まず手始めに世界を救うのだ!」ですから。毎回のように人が大量に死に、世界が危険にさらされていくうちに無くなっていく緊張感。そして生まれる「軽さ」。何このぶっ壊れたスプラッタコメディ? 凄く楽しいよ(笑)。
ライブラの面々も揃って魅力的。リーダーのクラウスは可愛くもありずば抜けてかっこよくもあるという奇跡的な存在だし、レオとザップのでこぼこコンビは笑えるくらいくだらないし、メンバーが多くて語りきれないのが残念です。ちなみに私はチェインに惚れました。モデルの真木よう子が好きってのもあるけどビジュアルから性格まで好みすぎて困る。私だったら手を踏みにじられてもいいですw。

多分好みがあう人ならだだはまりする作品。とりあえずトライガンが好きだった人は絶対読みましょう。トライガンとは色々と毛色が違う作品ですが、私は大好きです。

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[投稿:2011-08-08 01:11:35] [修正:2011-08-10 00:52:43] [このレビューのURL]

孤高のSF漫画家弐瓶勉のちょっとラブコメ風味のロボットSF。

ブラム学園で開眼した?萌えを十八番のSFに取り入れるという恐らく他にない取り組みをしている作品です。
SF部分は相変わらずおもしろい。予想できないハードな展開、巨大ロボット「衛人」と奇居子の戦闘シーンは今までにない見応えがある。また主人公谷風の出生や奇居子の謎など伏線の散りばめ方も巧い。
ラブコメ部分は…うーん。

BLAMEの頃の硬派なSFが大分様変わりしてしまった。作品世界はきちんと説明される代わりにその広大さはなりを潜め、絵は洗練されたものの読者を圧倒する力は下がったように思う。若い頃の勢いはずっとは続かないということだろうか。
恐らく私は弐瓶勉の話や絵などの荒削りさに惹かれていた部分がすごくあって、そういう意味では全体的に洗練された感のある今作はあまり気に入ってはいません。そっちの方向性に行って欲しくなかったなというか。
また今作の特色である学園もの的な部分が全く楽しくない。三角関係的な恋愛要素は話の邪魔にしか感じないし、ちょいちょい挟まれる微エロはそもそも需要あるのかな?

今までの弐瓶ファンとするとちょっとなと思う部分もありつつも良SFではあります。次作以降もこの路線で行くならちょっと心配です。 

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[投稿:2011-08-08 16:23:26] [修正:2011-08-08 16:29:10] [このレビューのURL]

カイジシリーズで一番ひどいと言っても過言ではないと思います。
ただ好意的に解釈すれば実験的な意欲作とも考えられます。上手い方向にはいってないですが、今後の肥やしにしてくれることを願うばかりです。

以下余談です。零も再開したものの、最近の福本先生は調子悪いのかな。ゴルフ勝負で特別ルールを教えずに相手をハメた辺りに福本作品の根底に流れる公平性が失われてきたように思います。そこらへんは和也編でもちょいちょい見られるので心配ですね。

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[投稿:2011-08-07 21:43:48] [修正:2011-08-07 21:43:48] [このレビューのURL]

中世アルプス残酷物語。
舞台はハプスブルク家の圧政の中にあるスイス以前のアルプス地方。ヴォルフスムントとは関所の名前で、この関所によって民衆は内部に閉じ込められている。よって独立を目指すものたちなどはあの手この手を使って密行しようとするのだが…。
狼の口という名だけあってほとんどの密行者は代官ヴォルフラムに阻止され、残虐に殺される。とはいえ亀裂は広がり始めており、彼らは身を捧げて血路を開く。

歴史のうねりというか大きな流れが見えるようでおもしろい。狼の口はどのように決壊し、その時ヴォルフラムはどうなるのだろう。
ことごとく漫画のお約束というものを無視してくるし、暗い話なので読後感は悪い。絶望の中に少しだけ希望が残って、次につながりはするのでまだましなのかな。
あまり私は好きになれないのは好みの問題もあるでしょう。あまり趣味のよろしい話ではないです。
しかし一番気になったのは絵。独特の雰囲気はあるものの粗く、あまり魅力的に思えなかった。キャラがどんどん死んでいくからか一人一人の作りこみが甘いし、背景もいま一つに感じる。

最終回のカタルシス次第で点数は上げ下げしようと思います。これだけ溜め込んでるんだから相当なものじゃないと許せなかったり。

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[投稿:2011-08-06 03:02:18] [修正:2011-08-07 18:07:09] [このレビューのURL]

宮部みゆき原作の異世界漂流ファンタジー。
読んだのは大分前。原作既読ですが、別にファンではありません。正直宮部みゆきのファンタジー系列は全部黒歴史だと思っているのでこちらはどんなものかと思って読みました。

原作と比べるとすごくファンタジーしてるなぁという印象。原作は魔法や剣の戦闘ではなく内面描写を主軸に置いていたので、逆にファンタジーを押し出していくのは興味深い。
メッセージ性とかそういうのはほぼないです。単純にこの世界観とファンタジックな戦闘を楽しむのみ。あまり考えずに読める漫画はあまり嫌いじゃないですが、けれん味がなさすぎて後鳥肌が立つようなシーンもあとに残るものもなかった。
主人公の少年は普通すぎて最後まで人物がぼんやりしたままだった気がする。多数の脇役達は色があってけっこう好きでした。

絵も話も癖がなくて軽く読めるので暇つぶしにはいいでしょう。大きく改変されているので原作と比べてみるのも一興です。

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[投稿:2011-08-07 00:21:46] [修正:2011-08-07 16:31:34] [このレビューのURL]

「機動旅団八福神」などで一部に熱狂的なファンを持つ福島聡のSFコメディ。

捨てられた旧式の少年型ロボットは主人を求め歩き回るも電池切れを起こして倒れてしまった。そこに偶然謎の少女ニーナが通りかかり、助けられることになる。主人になって下さいと頼むロボットに主人は嫌だけどあなたの先生にならなってあげる、と言うニーナ。ロボットは星屑と名付けられ、ニーナの人生を伴に過ごしていくことになるが…。

アラレちゃんと星の王子様が混ざったような雰囲気というと分かってもらえるだろうか。自由奔放な少女ニーナと星屑が過ごす突拍子もない日常。宇宙からはたまに巨大な雷魚が落ちてくるし、その雷魚の口の中に入って宇宙に行けたり、スクーターは空飛んでたりと世界はキラキラな無秩序に満ちている。
作中での時がたつスピードが非常に速いのでニーナはどんどん年をとっていく。しかしロボットの星屑はもちろん年をとらない。そして主人がいなくなってもじっとその記憶を大切にして生きていく星屑。
心を持たない彼がただただ哀しく、そしてこんなに愛おしくなるのはなぜだろう。電池が切れると記憶がなくなってしまう星屑は否応無しに人間と関わり続ける事になる。そのクリクリとしたお目目でこれからも人間と楽しい記憶を刻み続けてくれたらいいな。

ポップでキラキラとした世界観、星屑とニーナのとびっきりのキュートさを感じるだけで読む価値はあります。これからの展開とラスト次第では名作となりうるでしょう。2巻以降が本番だと思うので7点にしておきますが、かなり期待の作品です。

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[投稿:2011-08-06 02:13:49] [修正:2011-08-06 04:39:16] [このレビューのURL]

BASARAや7SEEDSなどある意味えげつないストーリーが特徴の田村由美の冒険ファンタジー。
童話のような田村先生らしからぬ可愛らしい世界観がちょっとな…と思っていたので食わず嫌いしていた作品です。正直話が重過ぎる7SEEDSの息抜きで書いてるんじゃないかと思ってました。
田村先生、すいません。おもしろかったです。息抜きとして書いている部分もあるのかもしれませんが、いい具合に力が抜けていて気軽に楽しめる作品に仕上がっています。

魔法のねずみにさらわれてしまった息子をパイ・ヤンがとらじと共に追い求める物語です。パイ・ヤンはネズミとの戦争における英雄、しかし彼が人間的には未熟であったために彼の家族はばらばらになってしまいます。冒険やとらじとの交流を通して彼が夫として父として成長し、家族の絆を取り戻していくのがこの作品のテーマでしょうか。
本作品の魅力は読めば笑って、温かい気持ちになれること。田村先生の描くキャラクターは本当に魅力的ですね。
パイ・ヤンのあまりに融通のきかない生真面目さにはいつも笑わせてもらってます。猫の習性に毎回おおげさに驚くパイ・ヤン、あまりにも物を知らなくてハムスターにまで馬鹿にされるパイ・ヤン、かなり天然なパイ・ヤン…もう大好きです(笑)。決めるべき所は決めてくれるので一安心。
もう1人の主人公、とらじはめちゃくちゃ可愛いです。お馬鹿で、多少うざがりつつもパイ・ヤンが大好きなとらじは本当に彼の息子みたい。
教授や各種mixを代表とした脇役陣もくせがありすぎるくらいでよろしいです。個人的には教授と魚mixがお気に入り。笑いすぎて困る。

加速度的におもしろくなっていくので1巻だけでなくもう少し読んでみるといいかもしれません。どうせしょーもない内容だろ?っと馬鹿にしているみなさん、もったいないのでぜひどうぞ。
良質な大人向けのおとぎ話が楽しめます。

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[投稿:2011-08-02 21:21:20] [修正:2011-08-02 23:36:01] [このレビューのURL]

貧乏に喘いでいた仏物専寺の坊主雲心はある日思いついた。そうだ、お金がないなら学校を始めればいいんだ!
「50単位で悟りだ!」募集をかけて集まってきたのは個性豊かすぎる生徒達だった…

禅寺ぶっせんを舞台にしたとんでも仏教コメディ。何この色物すぎる設定?と思うかもしれません。だまされたと思って読んでみてください。するともうあなたはぶっせんの虜です。

これだけ笑わせてもらった漫画は久しぶりだった。
ぶっせんの面々を中心に出てくる人物の愛すべきアホさがもう大好き。現実にいそうでいない個性的なやつらばっかりで楽しくなります。少なくはない登場人物が幾重に絡んで笑いをとっていくさまは、まさに喜劇を見ているようです。
各話の終わりでしっかり落として笑わせてくれるのはまさにギャグ漫画のそれです。単体として見ても十分におもしろい。しかし実はジョーや三条の話に代表される青春を描いた物語でもあって、各話でみるとギャグ漫画、全体でみると青春漫画という二重構造になっているんですね。だからこそ少なくはない登場人物たちを多くはない巻数でより魅力的に描写できているし、それがまたコメディパートをおもしろくする好循環となっています。
最後は地味に脇で進めてきた話がぶっせんの卒業式に結実する。本当にコメディか?ってくらい泣いてしまった。どんなに楽しいこともいつかは終わってしまうこの寂しさは今日から俺は!を読んだ人は分かると思います。冷静に考えるとどちらかというとバッドエンドのはずなのにこの清清しさというか希望に満ちている感じは何故だろうw
レオなどコマの裏での小ネタも充実しているので探してみると楽しいです。

設定といい絵柄といいパッと見て買おうとはしないかもしれない。でも紛れもない名作なんです!読まなきゃ損!
このおもしろさを人に宣伝したい気持ちもあれば自分の中の宝物にしときたい気持ちもあるという…そんな漫画です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-15 23:56:04] [修正:2011-08-01 19:46:34] [このレビューのURL]