「鹿太郎」さんのページ

ちばてつや作品といえば『あしたのジョー』だけが圧倒的にメジャーで、他の作品はあまりにも知られていませんが実は傑作ぞろい。
その中でもこの『あした天気になあれ』は最上級の一品だと思います。

実は個人的にこの作品のキャラクター陣に惹かれるところは少ないんです。
それでもキャラクターを通して作者のゴルフへの敬意や愛が伝わってくるし、そういう作品は読んでいて気持ちが良い。
とにかく引き込まれる展開の連続で長尺の作品であっても全く飽きません。
作画でも挑戦的でダイナミックな魅せ方も多用され、人物だけではなくボールや旗、緑の木々、そういった静物までもが生き生きとした躍動感に満ちている。
画面見開きでキャラクター目線の難コースの全容を見せるシーンでは精緻に描き込まれた背景の数々に、飲み込まれるほどの物凄い臨場感を味わえました。

ゴルフ漫画の方法論はこの作品で確立されて、ほとんどのパターンはやりつくされてしまったのではないかとすら思う大傑作。
この作品を読むまでは退屈なだけだった昼間のゴルフ中継が、少しは興味を持って見られる程度には影響力があると思いますよ。

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[投稿:2007-08-15 01:18:28] [修正:2007-08-15 01:18:28]