「鹿太郎」さんのページ

総レビュー数: 407レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年07月13日

総勢9人のほのぼのファミリー物。
個人的には4コママンガのベストです。

主要人物は多いものの、それぞれにキャラクターが立っているので、特色が掴みやすい。
日常的な題材・作品でありながら、どこか楽園的な雰囲気を感じてしまう。
大家族物にありがちな、しみったれた生活感というか野暮ったさが一切無くて、ただただ幸せそうな団欒感というか温かい作風がたまらなく心地良いんですよね。

毎回のクオリティも高く、ラストも感動的に仕上げてくれるのが今から見えている、そんな安定感すら感じます。

うーん、THE・良作。
10点献上。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-08-11 00:50:41] [修正:2008-08-11 00:50:41] [このレビューのURL]

ちばてつや作品といえば『あしたのジョー』だけが圧倒的にメジャーで、他の作品はあまりにも知られていませんが実は傑作ぞろい。
その中でもこの『あした天気になあれ』は最上級の一品だと思います。

実は個人的にこの作品のキャラクター陣に惹かれるところは少ないんです。
それでもキャラクターを通して作者のゴルフへの敬意や愛が伝わってくるし、そういう作品は読んでいて気持ちが良い。
とにかく引き込まれる展開の連続で長尺の作品であっても全く飽きません。
作画でも挑戦的でダイナミックな魅せ方も多用され、人物だけではなくボールや旗、緑の木々、そういった静物までもが生き生きとした躍動感に満ちている。
画面見開きでキャラクター目線の難コースの全容を見せるシーンでは精緻に描き込まれた背景の数々に、飲み込まれるほどの物凄い臨場感を味わえました。

ゴルフ漫画の方法論はこの作品で確立されて、ほとんどのパターンはやりつくされてしまったのではないかとすら思う大傑作。
この作品を読むまでは退屈なだけだった昼間のゴルフ中継が、少しは興味を持って見られる程度には影響力があると思いますよ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-08-15 01:18:28] [修正:2007-08-15 01:18:28] [このレビューのURL]

努力系野球漫画の完成形。
努力してその成果を発揮するという緊張と弛緩の使い方、バランスが絶妙で読んでいて非常に気持ちが良い。
その上、初代キャプテンである谷口君のキャラクターも好感が持てるし、純粋に応援したくなります。
導入でガッチリつかまれて、次ぐ歴代のキャプテンたち、丸井・イガラシ・近藤もそれぞれ一癖ありながらどこか憎めない、泥臭く人間らしいキャラクターなので感情移入しつつグイグイ読んでいけます。

と、このようにキャプテンである主人公が最上学年の引退によってころころ変わるという、現在のキャラ重視の少年漫画ではまず考えられない趣向。
これも面白い。

どのキャプテンにもそれぞれリーダーとして別の悩みがあり、それを解決しようとそれぞれに奔走しますが、当然その方法もそれぞれに違う。
野球漫画として傑作なのは言うまでもないですが、いかにリーダーシップを発揮するか、リーダーシップの教本としての価値すらあると思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-03-21 22:37:40] [修正:2007-03-21 22:37:40] [このレビューのURL]

うーん・・・面白いなあ。

ある意味有名な『劇画オバQ』などを筆頭に、まさに異色な短編集。
主に「ビッグコミック」や「SFマガジン」に掲載されたものなので、バリバリのSFだったりカニバリズムだったりでかなり好き勝手やっています。
『ドラえもん』や『キテレツ』だけでは伝わりきらないF先生の黒さがおしげもなく感じられるのがイイです。

それにしてもよくこれだけ多種多様なアイデアが思いつくなあ。
個人的には『気楽に殺ろうよ』と『カンビュセスの籤』が特にお気に入り。
どちらもあまりの展開にラストで鳥肌が立つほど感心し、読後妙に落ち着かず無意味に部屋を歩き回ってしまいましたよ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-11-08 08:51:26] [修正:2006-11-08 08:51:26] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

名作『まんが道』の続編。
描かれているのは『まんが道』のその後。
主人公満賀道雄をはじめとし、一部キャラクターがビジュアル面でリファインされていますがさほど違和感は感じませんでした。

『まんが道』と比較すると年齢を重ねたためかエピソード自体が大人になっていますね(呑み屋をはしごしたり)。
青臭さが減ったというか青春から一歩抜け出た感じ。
また、より満賀(A先生)からの視点が多くなり、才野(F先生)の登場回数が減っています。

しかし、作品全体に流れる雰囲気は『まんが道』のまま。
その根底にあるのは創作家としての嫉妬やあせり、そして葛藤。
どうにも人間くさい感じ。イイですね〜。大好きです。

巻末おまけのA先生のスクラッチブックや自主映画撮影の様子などは当時を知る貴重な資料です。
2巻収録のA先生からF先生への追悼漫画はなんだかしんみりしてしまい、胸がしくしく痛みました…。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-07-30 02:41:17] [修正:2006-07-30 02:41:17] [このレビューのURL]

10点 ORANGE

個人的にはサッカー漫画のベスト。
能田先生はもともと『ピース電器店』等でも分かるように藤子ライク・児童漫画的な画風なので必ずしもサッカー、というかスポーツ物向きの画風とは言えません。
そのため絵的には好みが分かれるのかな。
しかし、そんなことはどうでも良いと思わせるほどの魅力がこの作品にはあります。

とかくサッカー漫画といえば部活物が主流の中、Jリーグをモデルとしてプロサッカークラブを扱った作品自体が希少だと思うんですが、この作品ではけが人や代表召集・サブ組の葛藤など弱小クラブにおける雑多な障害についてリアリティを失わずに描写されています。
試合のシーンにおいてもマンガチックなスーパーシュートや人間離れしたハイジャンプなどは無く、現実で起こりうるプレイの中でエンターテインメントを表現できているのは素晴らしい。

主人公のチームはスタート時は弱小である上に、中盤以降強くなってきたかなと思うと前述したトラブルが重ね重ね起こり、なかなか上手くいきません。
そんなストレスがたまる展開もあいまって、ゴールシーンや勝利したシーンでのカタルシスは最高の一言。
画面の端々に細かく描かれる観客の一員になった気分で一喜一憂出来ます。

Jリーグ好き、いやサッカー好きな人には特にお勧めの傑作です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-03-11 02:00:51] [修正:2006-03-11 02:00:51] [このレビューのURL]

10点 まんが道

[ネタバレあり]

富山での藤子両先生の出会いから、上京、そしてトキワ荘でのマンガ家生活までを描いた大河的自伝漫画。
この作品についてはいくら語っても語りきれないだろうと思います。
なにしろ自分がこれほどまでに漫画を読むきっかけとなった作品だから。

まだ漫画が現在のようにメジャーでない時代に、漫画というものに対して真剣かつ真っ向から取り組んでいた青年たちの奮闘記です。
主人公の満賀道雄をはじめ、才野茂ことF先生はもちろん手塚先生や石ノ森先生、赤塚先生など実在の漫画家たちが登場し、彼らの示す漫画哲学・漫画道には心を打たれます。

これを読むとすごく漫画が描きたくなるんですよねぇ(いや、そんな技術も頭も無いけど・・・)
現在も多くの漫画家達に慕われるバイブル的名著。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-10-20 04:38:53] [修正:2005-10-20 04:38:53] [このレビューのURL]