「鹿太郎」さんのページ

10点 ORANGE

個人的にはサッカー漫画のベスト。
能田先生はもともと『ピース電器店』等でも分かるように藤子ライク・児童漫画的な画風なので必ずしもサッカー、というかスポーツ物向きの画風とは言えません。
そのため絵的には好みが分かれるのかな。
しかし、そんなことはどうでも良いと思わせるほどの魅力がこの作品にはあります。

とかくサッカー漫画といえば部活物が主流の中、Jリーグをモデルとしてプロサッカークラブを扱った作品自体が希少だと思うんですが、この作品ではけが人や代表召集・サブ組の葛藤など弱小クラブにおける雑多な障害についてリアリティを失わずに描写されています。
試合のシーンにおいてもマンガチックなスーパーシュートや人間離れしたハイジャンプなどは無く、現実で起こりうるプレイの中でエンターテインメントを表現できているのは素晴らしい。

主人公のチームはスタート時は弱小である上に、中盤以降強くなってきたかなと思うと前述したトラブルが重ね重ね起こり、なかなか上手くいきません。
そんなストレスがたまる展開もあいまって、ゴールシーンや勝利したシーンでのカタルシスは最高の一言。
画面の端々に細かく描かれる観客の一員になった気分で一喜一憂出来ます。

Jリーグ好き、いやサッカー好きな人には特にお勧めの傑作です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-03-11 02:00:51] [修正:2006-03-11 02:00:51]