「鹿太郎」さんのページ

知る人ぞ知る。
90年代初頭のJリーグバブル期において、硬派にセリエAを取り扱ったサッカー漫画。

単身イタリアに渡った主人公が当時は弱小だったフィオレンティーナを優勝に導くという分かりやすいストーリー。
まあ現実ではまずありえないシナリオですが、それでもフィクションとしてのリアリティは抜群。
ディティールに凝った試合展開、作画面での選手の体つきや身のこなしなど写実的かつ躍動感ある描写で魅せてくれます。
主人公たちの華々しい活躍も良いんですが自分が特に気に入ったのは、勝っている時の時間稼ぎや悪辣なメディアへの対応など細かいサッカー文化も描写されているところ。
連載当時、やっとメジャーになり始めた「フットボール」を読者に教えてくれているかのようでした。

往年の名選手たちが実名で登場するのもこの作品ならでは。
似顔絵をキャラクターとして動かすのって想像以上に難しいことだと思うのですが、よくもまあ卒なくこなしています。

知名度がいま一つ低いのがもったいない、文句なしの名作。

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[投稿:2007-04-01 00:24:38] [修正:2007-04-01 00:24:38]