「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

時代の空気をはっきりと色鮮やかに切り取った作風が印象的。
当時のエポックメイキング的な作品であり、80年代を代表する少女漫画の大ヒット作です。

少女漫画で男の主人公というのも珍しかったと思いますが、単なる白馬の王子様、という訳ではなく、
格好良いけど気さくで破天荒で、人間味があって、でも実はやっぱり某王家の嫡男で、
なんていう主人公像は、この作品のヒットを機に広まったとのこと(本当かどうかは知りません)。
まあそれはさておき、明るく楽しく元気よく、シリアスもギャグも良質で、心理描写にも長けた、
実にバランスの取れた作品であることは確かです。
これより以前の少女漫画にあるような重さ、堅苦しさ、ある意味「乙女の世界」の面影は微塵もなく、
男性にも読みやすい作品だと思います。

中東、イギリス、フランス、日本。
アメリカにとってのエイリアンである移民たちが、見知らぬ土地であるLAで出会います。
でも彼らは移民であり、いつかは本国へ帰郷しなければならない。
この楽しい時間は今だけ。このひと時はもう戻ってはこない。
最初から別れを前提とした出会いのため、あまり深く踏み込まないようにする…、のではなく、
限られた時間だからこそ、その時を大切にする。 その出会いを大切にする。
明るく楽しく元気よく、の裏に込められているのは、そんなシンプルなメッセージ。

何かこういう雰囲気の漫画って食傷気味だな、なんて思っていたのですが、
この作品に追随する多数のフォロワーのおかげで、既視感を感じてしまっていたのかも。
うまくまとまった良作であるとは思うのですが、個人的な思い入れが足りない分、
そこまで特別な作品には感じられませんでした。残念。

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[投稿:2010-07-13 23:37:13] [修正:2010-07-13 23:45:23] [このレビューのURL]

短編集です。
3編が入っていますが、表題作のインパクトが強く、表題作+その他2作、という感じです。
個別にレビューしてみました。

「女神が落ちた日」
こういうとにかくスケールの大きな作品を描くと、この人の才能は光り輝きます。
ただ、その才能を完全に発揮するには短編は短すぎました。
長編として読んでみたかった作品。
不完全燃焼。やっぱりこの人は長編向きなんだなぁ。

「こわいもの」
ホラーテイスト。
あまりインパクトなし、後に残るものもなし。

「きねづかん」
昔取った杵柄(きねづか)を繰り出して活躍する老人たちを描いた作品です。
ご都合主義なところはあるものの、爽快感があり、スカッとします。
読後感が良いですね。
肩の力を抜いて楽しみながら描いたような、読みやすい作品です。

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[投稿:2010-07-13 23:32:45] [修正:2010-07-13 23:32:45] [このレビューのURL]

みんな一人では生きられないから、誰かが誰かにとって特別な一人になる。
そういう誰かとめぐり会って結ばれて、幸せからまた幸せが生まれて、
愛しみあい、寄りそって、
遥かな道を歩いていく。

母と娘が奏でる、実に優しい成長物語。

現代のおとぎ話のような作品です。ファンタジーじみた、現実ではちょっとありえないような話。
作中でも厳しいこと、悲しいこと、辛いことはいろいろ起こりますが、
実際のシングルマザーの過酷さはこんなものじゃないでしょう。
でも、この作品の楽しさは、リアルな生活を追及することではないです。
そういうのは、それらをテーマにした山ほどある(かもしれない)他作品に任せておけばいい。

嬉しいこと、楽しいこと、日常でふと感じた些細な幸せ。
そういうものを抽出して作られたのがこの作品です。
心がちょっと病んだときに読むと効くんでしょうね。
親子での「ギュッ」、好きな人との「ギュッ」はどんなものにも勝るということ。
単に作品自体が優しいだけでなく、読む人を優しい気持ちにさせてくれる作品です。
こういう直球勝負の作品もいいですね。思いがまっすぐ胸に届きます。

これはもう全くもって大人の女性向けのお話。

作品を見事に表現したタイトルが実に秀逸です。その本当の意味はすぐに明らかになりますが。
あ、ちなみにこの作品は音楽漫画ではありません。念のため。

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[投稿:2010-07-08 21:20:21] [修正:2010-07-08 21:25:10] [このレビューのURL]

前半と後半とで評価が大きく異なる作品です。

前半では、一般人である営業マンが意に反して有名殺し屋の名を継ぐことになってしまい、
何とか生きのびていこうとする話がメインとなっています。
その根底にあるのが、殺し屋(ヒットマン)心得その1、「先に撃った方が勝ち」。
どんなに弱くても、どんなに素人でも、これなら相手を倒せます。
その心得を実践するために、ズル、不意打ち、心理戦、営業で培った口八丁など、
あらゆる手段を駆使するわけですが、そこまでの持っていき方が面白いです。
大人向け漫画なだけに、それなりに納得できるような説得力をも備えています。 良作。

対して後半は、当初の「営業マンの知識を殺し屋に応用して素人なりに戦う」から、
「営業マンと殺し屋との二重生活のギャップを楽しむ」ことに、作品がシフトしてしまっている気がします。
また、他の方も危惧しているように、「相手の弾は当たらないのに主人公の弾は当たる」ような
作品になってしまったことが何とも残念です。
主人公が(かなりの努力はしているようですが)たった1年で凄腕の殺し屋になってしまったことで、
前半の魅力がどこかに行ってしまいました。

とは言え、奥さんともう1人のヒロインとの三角関係とか、超一流の殺し屋との戦いとか、
戦略的な組織壊滅とか、前半には劣るかもしれませんが面白さは維持しています。
何より、この作品の良さは、愛着の持てるキャラクター達。
「B級アクション漫画ってこんな感じですよ」という教科書のような作品です。

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[投稿:2010-07-08 21:09:14] [修正:2010-07-08 21:16:22] [このレビューのURL]

何だか変ちくりんな話。どこまでシリアスなのか掴みづらいです。
「金髪少女+妖怪+ゴスロリ+チェーンソー」の設定を考えるのみで見切り発車してしまい、
ストーリーは後付けなのでは、なんて思えてしまう作品。

基本は1話完結のオムニバス形式。
すごく変なところから話が始まり、変なところで終わったりします。
急にそういう状況に陥ったことを表現しているのかもしれませんが、
画力不足なのか表現力不足なのか、いま一つ上手く伝わってこないのが正直な感想。
といっても言うほど悪い作品でもないですけどね。面白い話も結構ありますし。

あまりにも展開が遅すぎるのが難点。とりあえず本筋を早く進めましょう。

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[投稿:2010-06-30 20:50:57] [修正:2010-06-30 20:50:57] [このレビューのURL]

特筆すべき内容なんて無いです。
2組のカップルと、それを取り巻く人々の日常生活を描いた、ただそれだけの話。
でも、読むと恋愛がしたくなる。 この表現、実に絶妙です。
ゆるくて柔らかくて何より楽しい、そんな雰囲気、クセになります。 どっぷり浸ってみませんか。

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[投稿:2010-06-20 23:27:37] [修正:2010-06-20 23:30:45] [このレビューのURL]

妖怪版めぞん一刻。
何を言っているのかわからないかもしれないので、もう1回言いますと、
妖怪版のめぞん一刻(を目指したであろう作品)です。
つまり、美人で優しい管理人とボロアパート、管理人につられて入居した冴えない主人公、
そして妖怪のような迷惑住人たち。というか本当に妖怪の住人たち。

まあそんな感じのドタバタラブコメなのですが、本家と違って登場人物、
特に管理人に魅力が感じられず、肝心のラブコメ部分もやけに薄っぺらく感じます。
みんな表情が乏しいんですよね。
掲載雑誌の影響かもしれませんが、途中からラブコメというよりも
単なるエロ漫画としての様相を呈していき、最後にはバトル漫画になるという展開。
雑誌掲載時、途中まではそれなりに楽しく読めたのですが……。
描き様によってはもっと面白い作品になったと思うんですけどね。

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[投稿:2010-06-07 20:51:58] [修正:2010-06-07 20:52:49] [このレビューのURL]

歴史が動くとき、その裏側に常に陸奥圓明流あり。
陸奥圓明流の千年にわたる歴史を描いた、修羅の門の外伝的作品です。

源平合戦に始まり幕末・明治に至るまで、さらにはアメリカ西部劇にまで話は広がりますが、
史実に陸奥をうまく溶け込ませる手腕は素晴らしいです。
大きな歴史のうねりを体感でき、歴史上の有名な人物との絡みもこれでもかっていうくらいにあって、
臨場感、迫力、歴史の重み、それらを違和感なく存分に見せてくれます。
こういうのは正に漫画ならではの醍醐味。

修羅の門ではバトルを突き詰めていますが、こちらではバトルは作品に彩りを添える程度のもので、
非常に魅力的な登場人物と、彼らが織り成す熱い熱いドラマがとにかく秀逸。
自分の好きなように歴史の中で遊びたい、との作者の言葉どおりの作品です。
オムニバス形式なので話によって多少の差はあるものの、日本史に疎い自分でもとても楽しめました。
もっとも、疎いからこそ妙なあら探しなどせず、素直に楽しめたのかもしれないですが。
特にこだわりなくフィクションとして楽しめる人にはお薦めです。

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[投稿:2010-05-26 20:19:55] [修正:2010-05-26 23:57:14] [このレビューのURL]

確か松本人志だったと思いますが、
「『和』と『洋』とでは総合的にどっちの方が上とかはないが、少なくともトイレについてだけ考えれば
明らかに『洋』の方が優れている」と言っているのを聞いて、妙に納得したことがあります。
この観点で言うと、少なくとも風呂についてだけ考えれば、明らかに『和』の方が優れているでしょう。
そんな作品。

作者はポルトガル在住とのことですが、ポルトガルに住んでいても、
いやポルトガルに住んでいるからこそ入りたくなる日本の風呂。
日本人にとっての郷愁。世界に誇れる日本の風呂。

ただ、他の方のレビューにもあるように、日本の文化のみを褒め称えるのではなく、
ローマ文化にも尊敬の念を忘れていないのがこの作品の良いところ。
読んでいても誰も嫌な気分になることなく、好感が持てます。

まず着眼点がすごい。そしてその発想を昇華させ、ここまでの完成度に仕上げる構成力。
真面目な人が真面目にくだらないことをする作風だけに、その面白さも際立ちます。
元は一発ネタだったのかもしれませんが、どこまで引っ張るのか。上手くまとめれば名作かも。
読むと風呂に入りたくなる漫画。こんな作品、貴重です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-26 20:07:51] [修正:2010-05-26 23:54:39] [このレビューのURL]

時空を超えたラブロマンス。
過去から来た忍者が、自分の守るべき存在である姫君と瓜二つの女子高生に出会い…、というお話。

景虎の古風な素直さ、健気さ、献身的な愛情が、この作品の一つの特長。
現代では物珍しい感じですが、過去から来た人、と言われてしまうと妙に納得してしまいます。
うーん最近の男(もちろん自分含む)はそんなものを持ち合わせていないのかw
と身につまされる思いです。

単なる恋愛ものの枠を超え、途中からどんどんスケールが大きく拡がっていくこの作品。
タイムスリップものって、時間移動を連発すると収拾がつかなくなることが多いです。
この作品はその一歩手前の状態に見え、伏線張りまくりで上手く回収できるのか、とも思いますが、
ただ、ここ最近急激に面白くなってきました。終わってみたら点数が跳ね上がっているかも。
まだまだ続きそうですし、先の展開を楽しみにしつつ、ベテラン作家ならではの手腕で
きっちりまとめてくれることを期待します。

基本的には典型的な少女漫画なので、あまり男性向けではないかもしれませんね。
ちなみに、なんかヒロインが変わりすぎです。容姿も性格も。初めの頃とはまるで別人。

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[投稿:2010-05-23 07:35:30] [修正:2010-05-23 07:39:47] [このレビューのURL]