「ジブリ好き!」さんのページ

総レビュー数: 343レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年12月10日

なんともSFらしい世界観。
SF好きなら映画や小説で見慣れた世界観でしょう。漫画なら士郎正宗なんかが既に同様のイメージを持っていますね。設定も「ガンスリンガー・ガール」なんかを思い出します。
しかし、そうした既視感が減点要素になどなっていません。むしろ世界観・設定・展開、そしてアクション、全てがSFらしい王道+味のついた高いクオリティでまとまっていて、作品世界にのめり込んでしまいます。
特に3巻のバロットとウフコックの心理描写なんかは凄かった。
恐るべし冲方丁。。

さて、コミカライズということで画にも注目が集まると思いますが、、
なんと、大今良時は(連載開始時)10代の女の子なのです。驚き!
骨格や見せ方の角度なんかに未熟さを感じたりしましたが、画力の高さ・緻密さは目を見張るものがあります。
そして、原作者から自由に描かせてもらっていること、つまり情報の取捨選択や見せ方、少年漫画らしくするための細かい変更などもほとんど彼女がやっていること、これもまた驚きです。
恐るべし大今良時。。


物語もどんどん面白くなっていき、画力もますます磨かれていく、非常に前途有望な作品。
少年漫画で成功した女性漫画家は高橋留美子や荒川弘、他に星野桂などのジャンプ作家が少々と数えるほどだけれど、そこに大今良時が加わる日も近い!と密かに期待していたり。。

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[投稿:2011-04-11 01:19:34] [修正:2011-04-11 01:19:34] [このレビューのURL]

「しんどいよ?」
この鉄男の言葉が印象的。
Gペンひとつで漫画界という戦場を生き抜く者たちの、辛く、悲しく、しかし最後にはそれぞれ自分自身の漫画道への扉を開いた、熱い青春譚!

リアル志向でサクセス・ストーリーの「バクマン。」とは違う土俵です。
全3巻、無駄がなかったとは言いきれませんが、完成度の高さは折り紙付き。

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[投稿:2010-07-03 22:27:02] [修正:2011-04-01 00:24:26] [このレビューのURL]

「午後の恐竜」(白井裕子)、やられました…
恐縮ですが、原作未読です。
凄い。志村作品が目的で買ったはずが、この話だけで満足してしまいました。

基本的にブラックユーモア全開ですが、「空への門」の方が、救いある柔らかい作品が多いです。
志村先生の担当した「生活維持省」、普段の志村作品とはまったく異なる残酷系の話ということで、貴重な一作だと思います。

「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」は既読。
でもこの短編集自体、星新一を知らない人の方が、先入観もなくオチも知らないのでより楽しめそう。(そして読後には、ぜひ原作のショートショートも読んでほしい)

「コミック星新一 空への門」でもそうですが、得点は星新一さんに対するところが大きいです。しかし、鬼頭さんや志村先生のファンとしては、少ないページ数でも描いてくれて、星新一に関係なく嬉しいかな。

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[投稿:2011-03-09 01:49:24] [修正:2011-03-24 21:22:31] [このレビューのURL]

大好きな作品です。

ライオンさんが良いです。

ライオンさんのいないふたスピなんてふたスピじゃねぇ!ってNHKの実写ドラマをけなしていましたが、いざ見てみたら感動しちゃいました。
ライオンさんがいなくても面白い。
つまりこれ、宇宙飛行士を目指す若者たちの青春ものだったんですね。感動に媚びた感じが拭えませんが、それでもこの作品の世界に浸っていたいと思えます。

ドラマでは熱さが目立ちましたが、原作はほんのりと暖かい雰囲気。その源は優しいタッチの画で、淡くもの寂しくもふわふわとして温かい、独特の魅力がこもった画です。
こんな優しい画から想像もできないほどシリアスな内容ですが、その本質は青春ドラマ。そう気付いて読み直すと、幾多の葛藤と苦難の末に夢を掴み取ったあすみの姿に感動してしまう。秋やマリカのエピソード自体じゃなく、それを乗り越えたあすみの姿に…

印象的な場面が数多くあるけど、やっぱり一番は、最後あすみが選ばれた時のシーン。
あのあすみの表情…その後の教室の空気感や差し込む光の効果なども良い!
嬉しさと寂しさと、そこにいる他者を蹴落として勝ち取った栄光と周囲への申し訳なさ、そしてそれまでの苦難の数々。全てが詰まってます。

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[投稿:2009-12-11 02:17:51] [修正:2011-02-13 16:10:59] [このレビューのURL]

アニメ版の第一話無料配信を見たときは、あまりのつまらなさに絶句してしまったが、蓋を開けてみれば原作はこんなにも魅力的で練られた作品だったのかとまたしても絶句。

巫女ものに恥じず、日常パートのほんわかさを萌え画やデフォルメで描き、ひとたびストーリーパートに入れば墨で描いた劇画のような迫力ある画に変化。それがまた、妖怪のおどろおどろしさを際立たせ、シリアス調にも合っていて素晴らしい。
「ぬらりひょんの孫」もこんな感じの変化に富んだ画で妖怪ものをやっているけれど、画や雰囲気の変幻自在さはこちらが遥かに勝っていると思う。(ちなみに両者では妖怪の定義が異なっていて、「ぬらりひょんの孫」は目に見えた実体的なものだが、「朝霧の巫女」では実体ある「気」として扱われている)

キャラも決して多すぎず、各キャラがしっかり立っていて、見ていて楽しい。「巫女萌え!」と読み始めた人には凝り過ぎた内容だが、シリアスとの緩急もあいまって、萌え漫画として読んでもクオリティが高いと思う。パンチラは少なくエロシーンもないので、純粋にストーリー勝負してきているのもわかる。

さて、肝心のストーリーなんだけども、ごまあぶらさんの言うように間違いなくEVAを意識している。特に5巻の後半の演出法なんかは顕著。
EVAがキリスト教や聖書をモチーフにした洋の作品だとすれば、こちらは日本神話をベースとした和の作品。そのため日本の神話の知識がないと理解が厳しいが、加筆された6巻の冒頭で説明が入るので、めげずに読んでみてほしい。
6巻以降の忠尋は鬼太郎と目玉おやじ化してしまうが、そうなっても日常やギャグのノリは変わらない。

ストーリー・画ともに目を惹くものがあり、遠近感・見せ方・構図など表現法も素晴らしく非の打ちどころがないのだが、展開自体は巻き込まれ型やセカイ系に良く見られるものなので、食傷気味の方も多いと思う。
だけど5巻が余りにも素晴らしいので是非そこまでは読んでみてもらいたい。カラーページの素晴らしさもさることながら、幽世の世界観があまりに完成されていて凄すぎる。

短編集「妖の寄る家」での補完もお忘れなく。

(追記 7巻まで)

さて、7巻。残すもあと2巻ですが、皆様ついてこれましたでしょうか?
雑誌連載が終了し、収入安定のため単行本は守りに入るかとも思いましたが、杞憂でしたね。それどころか、結構な人数がここで脱落するのでは?
自分は古文に明るくないので、回想での会話はほとんど理解できませんでしたが、とにかく大局だけはと必死に読みました。アヤタチとククリの絆の深さ…これだけ理解できればとりあえず読めます。
ストーリー、知識、構図、そして画力…この作者、間違いなく、本物の天才。
ともすれば作者の陶酔と評されそうですが、話の大きな展開自体は見慣れた感じなのが救いですね。
脱落しないよう、どうにか喰らいつきながら、最後まで見届けたい。怪作。

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[投稿:2010-11-03 15:41:02] [修正:2011-02-10 00:43:21] [このレビューのURL]

歴史において、善悪って単純に勝敗で決まっちゃう。
だから歴史が動いたとき、それまで善だった新撰組も、悪って括りの中へ入ってしまうのかもしれない。
でも、関係ない。善悪なんて、関係ない。
人殺しだの、壬生浪だの、なんと罵られようが、彼らは京の町のために戦う。ただ、彼らはそれだけのために戦うのだ。

幕末の時代を駆け抜けた史上最強にして最後の剣客集団、新選組。
ガンガンにて連載されていた「新撰組異聞PEACE MAKER」の続編、池田屋事変以降の、終わりへ向かう物語。


前作前半のほんわかムードが一転して崩れ、前作後半からの流れをそのままに激動の展開、さながら鬱展開が続きます。
史実では存在しない、オリジナルキャラクター:スズが壊れてしまい、かつての友情関係が崩れてしまった悩める主人公。新撰組にも危機が迫り、主人公にも決断が迫られ…
登場する全てのキャラクターが人間らしく、かっこよく、彼らの生き様には学ぶことやエネルギーを感じます。

(2010年11月、5年間の充電を経て再開)

物語も一気に加速、さすがに新撰組は強い。
鈴を狂わせたまま終わらせず、決着の時が近付く…今後が非常に楽しみ。

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[投稿:2009-12-11 01:39:21] [修正:2011-02-08 15:16:09] [このレビューのURL]

8点 方舟

降り止まない雨なんかない
物理的にも精神論でも、確かにそうなのだろう
でも、その雨が一体いつ降り止むのかは、誰にもわからない


何日も降りしきる雨に、すぐやむさ、必ずやむさと、明日も明後日も当たり前のように考えて、また明日が来る
止まない雨は、やがて全てを飲み込み始める
それでも思う、雨は止むと
だけど、10階のマンションのベランダから目の前に広がる光景を見て、初めて絶望を認識し始める

絶望の中にいて愛や未来への希望にすがって諦めない方舟の人達
そんな彼らに、「おまえらみんなバカか!!」と叫ぶ若者
終焉を受け入れ故郷に戻り、家族で最後の時を過ごす者達

そして雨は止んだ
想像力の欠如した者たち全てを飲み込んで
太陽の光を浴びることができた、いかだの上のカップル
でも、いかだは方舟なんかじゃなかった
終焉のビジョンをもっていた二人もまた、終焉の中に取り込まれゆく…


降り止まない雨なんかない
その雨が降り止んだのは、人も街も全て飲み込んだ後だった
あまりにも静かな終末の形
こんなにも救いがないのに、なんて美しいラストなのだろう

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-18 14:27:41] [修正:2011-02-08 15:01:13] [このレビューのURL]

どことなくH×Hの雰囲気を感じるなぁと思えば、げこ先生自身ファンのようで。なるほど、やっぱりげこ先生は少年漫画が大好きで、とても好きで、でもそれ故に少年漫画の欠点も熟知しているのだろうな。
少年漫画とともに成長してきたのに、大人になると「あれ、少年漫画が楽しめない…?」。そんな漫画好き大人たちがたくさんいることを、知っているのだと思う。
そんな彼らのためにも、そして自分自身の想いのためにも、青年漫画という土俵で「大人のための少年漫画」を描いてくれたげこ先生。
「ご都合主義」「バトルばかりで普段の生活が描かれない」「無駄に長期化」「ラスボス倒したヒーロー達のその後は?」、こうした少年漫画の欠点を誰よりも嘆いてきたのは他ならぬ水上悟志自身なんだろう。
「大人になれば楽しいことがある」
この作品のテーマの一つに、太陽(きっと夕日や三日月も含む)のような子供が大人へなっていくことがあるけど、水上先生はこの作品をもって僕ら少年漫画を読んで成長してきた大人へ楽しみを与えてくれたわけで。

読んでると本当に何か熱いものが込み上げてくるでしょう(6巻なんか特に)。
自分にとっての最大の魅力は、騎士たちは一見どこにでもいそうな人たちなのに実は皆頭のネジがぶっ飛んだ部分を持ってるところ!…それも次第に落ち着いていっちゃったけれど。成長悲しス。
でもゆーくんとさみの関係は、最後まで変だったけど美しかったよ!

…え?この漫画、厨二臭いって?
そりゃ誉め言葉でしょう。
少年時代の感性はもう取り戻せないかもしれないけれど、思い出すことはできる。だから大人は楽しいんだ!ラストの子供みたいに殴り合う夕日と三日月の楽しそうな顔とそれを眺める太陽の大人への想いで、気付かせてもらったことです。


(余談。アワーズ本誌のドラマCD等の応募者サービスが意外と良くて、特に完結記念小冊子は他の漫画家からのイラストや茜のエピソードなど楽しめました。割高だったけど。)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-12 02:34:19] [修正:2011-01-09 12:46:00] [このレビューのURL]

痛みを伴わない教訓には意義がない。
人は何かの犠牲なしには、何も得る事などできないのだから。
しかし、その痛みに耐え、乗り越えたとき、
人は何物にも負けない、強靭な心を手に入れる。
そう

鋼のような心を


女性作家でありながら少年漫画でここまでヒットさせたのは、高橋留美子以来だと思う。
ダークファンタジーってジャンル分けが本当に似合う漫画だけど、ギャグや番外編の4コマのセンスも抜群。戦争経験者との対話を何度も行って描いた戦いにおける感情描写も素晴らしい!
「痛みを伴わない教訓には意義はない」、ホントその通りっす。。

1巻読んだ時は作者も言ってる通りB級映画っぽい流れであまり面白く感じなかったんス。けど2巻読んでみるともう大変、当時発売中の6巻まで一気読み!
中盤はテンポが遅く感じるけど、1.5倍に濃縮してラストへ加速する終盤は見逃せません!

アニメ化は2度され、1期はグリード編以降オリジナルになります。映画版で完結しますが、面白かったです。(2期は原作に忠実)

(完結追記)
ガンガン7月号にて無事完結!3日足らずで全国で売り切れるもの凄い状況になりましたね。お詫びに9月号で再掲載するとか、ガンガン始まって以来の快挙なのでは?(そして今後が不安…)

初連載作品とは思えないほど綺麗にまとまって本当にすごい!
出産でも休まず、一度も休載することなく、本当にここまでお疲れ様でした!
ただ、「何かが足りない」という人の気持ちもわかります。
思うに、ちょっと綺麗にまとめることを意識しすぎたのでは?
元よりバトルを楽しむ作品でもないからそこはいいとしても、例えばエルリック兄弟は「国の命令があれば戦う」と言いながらも、直接手を汚すことがなかったり。若干周りが汚れ役を買い過ぎた気もします。

ちなみにお気に入りシーンは最後の告白の場面。ハガレンならではの告白ですよね、他にもこの作品の世界観や設定だからこそなセリフや言い回しが多く、こういうセンスも大好き♪

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-11 01:45:30] [修正:2011-01-08 02:00:57] [このレビューのURL]

8点 秘身譚

『秘身譚』
その身に秘めたもの…

両性具有、月(ルナ)の満ち欠け、半陰陽(アンドロギュヌス)、女神(ヘカテー)の力

その少年(少女)の名はエラ。
彼(彼女)は戦士であり、暗殺者であり、諜報員であり、そして神の子である…


ローマに対する憧れや興味がない人にはお薦めできません。カラカラ帝以降の古代末期の話ですが、知識はあってもあまり役に立たないでしょうからいりません。まだ1巻ということもありますが、はっきり言って全く話の筋が見えてきません。
謎多き少年帝・ヘリオガバルスの物語と聞きましたが、自分は話を追いきれてません。

主役(?)のポリオはものすごい悪党だし、彼に仕えるエラも血しぶきドバドバたてながらばんばん人殺していくし、巻末の膨大な参考文献を使って真面目に歴史漫画やってくのかと思ってたらめっちゃダークファンタジー入ってるし…(注.×ファンタジー ○ダークファンタジー)

もう大好きなんです、この作品。
とことん考証されたローマの世界観も良いですが、なんたってヤバいのが作画。
馬鹿みたいな描き込み量、膨大な資料の下描かれた古代ローマの街並み、作者が最も力を入れているというキャラ造形…
「王ドロボウJING」や「思い出エマノン」を芸術と称するのもわかるけれど、個人的にはこういう方が芸術性を感じてしまうのですよ。

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[投稿:2010-12-30 22:03:20] [修正:2010-12-30 22:03:20] [このレビューのURL]