「パンダマン」さんのページ

総レビュー数: 134レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年11月22日

7点 座敷女

唯一ホラー漫画で怖えーって感じた漫画

オレは幽霊とか化け物って全然平気だ
子供の時に、
「幽霊は人を殺してないけど、人間は毎日人を殺してるのよ」
って母親に教えられたからだ
超リアリズムを知らされた少年の苦い1ページがあったのだ
その時、怖いのは結局人間なのかぁーって子供ながらに思った

だから、これは怖い
狂気入ってる謎の女って、オイ 勘弁してくれよ、イヤ、だめだって、オイオイオイオイ、お、おっかないよ、うわ〜ん、おっかちゃーん

 都心は近所の人の繋がりが薄い
30メートル先の家の人の生活を知っていますか?
20メートル先の家の人では?
隣の家の住人が何をしているか知っていますか?
あなたの目の前の人間がどんな人なのか知っていますか?

そういうイヤーな盲点をついていくる都市伝説のような漫画

ナイスレビュー: 2

[投稿:2006-12-04 18:58:53] [修正:2006-12-04 18:58:53] [このレビューのURL]

1点 D.Gray-man

 絵がうまいというところのみに1点
 設定自体が暗い上に、内容も暗い
 ガス抜きシーンも構成があまく失敗しているのは、キャラクターの作り込みが甘いせいだからだろう。感情移入が全然できないのです
 あれだけ重く暗い経験をしてる割に、主人公は成長らしい成長もみせず、見ている側をガッカリさせます

 元々悪魔は、宗教の世界の存在で、何かを乗り越える為の障害として存在し、その障害を乗り越えた時、人々は大きく成長させる為の導き手(だから元々は神であった堕天使という考えが後で生まれたけど、そのうちこの作品のようにただの悪の象徴になっちゃったわけですが・・・)なのですが、主人公達の成長をみてると全然その役目は果たしていないとも言えます。

 色々応用がきく設定だし、魅せる絵もあるだけにもったいないといえばもったいない作品

ナイスレビュー: 2

[投稿:2006-11-25 01:05:22] [修正:2006-11-25 01:05:22] [このレビューのURL]

 正直、これのレビューは難しい
 初めてこれを読んだときは、あまり面白くなかった
しばらくして読み返したら、すごく面白かった
レビュー書くにあたり、また読んでみたら、もっと面白く感じた
また、この先読み返したらもっともっと面白く感じるんだろう
 間違いなく自分の中では、このマンガは「本物」だからだろう

 しかし、うーん、どこが面白いというとちょっと説明しにくい
 4巻途中くらいまでは、規則正しい教授の生活をユーモアに描いている
 化け始めるのは、この後だ

 段々とヒューマンドラマとして色濃くなってくる
 柳沢教授が、人の心の中に発見したビューティーというのかな
 美だとちょっと堅いし、美しいだと詩的すぎる。まとめたビューティーがなんか一番近い気がする
 これを魅せられた時、ものすごい感動があるのだ

 でも、人によっては美しく感じないかもしれない
 最初読んだ時のオレのように
 美は難しく、感じとれればすごい熱狂できるが、ダメな人はダメなのだ
 バトル漫画のようにわかりやすい燃えるような展開があるわけでもない
 感じ取れた人だけ熱狂できるのだ
 たぶん、これが自分の感じた柳沢教授の面白さだと思う

 はっきりしてるのは、これを読んだとき、自分はものすごく幸せな気分になれたという事だ

ナイスレビュー: 2

[投稿:2006-11-22 22:57:52] [修正:2006-11-22 22:57:52] [このレビューのURL]

 「そこ行く兄さん観てらっしゃい!」と気軽にお勧めできるほど読みやすい王道中国歴史漫画。ここまで出来がいいのは久々
 ハッタリが効いた武将と、ハッタリで終わらせない深みのある作り込みで読者を引きつけ、そんな武将同士のガチンコぶつかり合いで燃えないわけがない。
 知力を生かした知略戦から、暗躍しまくる政治バトルまで見所満載。ミーハーな戦国好きから、戦術大好き君まで大抵の人を満足させる出来映えだ

 もう一つ鉄板理由として加えるなら、主人公の信の存在だろう。単純バカ、真っ直ぐで絶対ぶれない精神、絶対に仲間を裏切らない心と主人公属性をばっちり備えている。他の漫画で言うならONE PIECEのルフィ、ダイヤのAの沢田、ちはやふるの千早なんかがこういう主人公属性持ちの代表例。でもこれらのキャラクターは核の部分は一緒だが、みんなそれぞれちゃんと個性を出している。信は信以外の何者でもないのだ。
 こういった主人公属性をもったキャラに命を吹き込める作者は例外なく力がある。なによりこういった主人公が真ん中にいると、ムードメーカーでもあり話をかきまぜてくれるので話が盛り上がるし、一番重要なのが読んでる側を前向きな気持ちにさせてくれる事だ。そういった意味でこの漫画は信を作り出せた事でほぼ鉄板の面白さを持っている

 加えてこの作品に向ける作者の熱量が半端じゃない。大群同士のぶつかり合いを週刊連載でやってる時点で気合いが違う。
 そんな訳で大抵の人に勧めやすい見所満載な中国戦国時代のお話。この面白さは鉄板っといっていいんじゃないかな

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-26 00:29:05] [修正:2011-06-26 23:23:51] [このレビューのURL]

 最近読み直して評価が変わりました
最初は襲ってくる敵を撃退するだけの妖怪バトルものだったんだけど2巻の終わり辺りで密室殺人みたいな話の後からミステリー要素が加わって話が安定してきます
 売りは色々あると思いますが、一番引かれたのはやっぱり前編に漂う不気味さ。あの闇の先にはなにがあるんだろう。危険だけど覗いてみたい心理を味わえる。それに加えて怪奇で不可解の状況におかれたりでの謎解きなどのミステリー要素が好奇心をくすぐります
 大抵一話完結の短編ものなのも読みやすくていい。
 たまーに出てくる探検隊シリーズもののノリが馬鹿げてて大好き。村人Aのポジションに半魚人を持ってくる辺り作者のユーモアを感じられる

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-09-24 08:52:27] [修正:2011-06-26 00:48:40] [このレビューのURL]

10点 暁星記

 未来の金星が舞台のお話で、非常に練られた金星の環境と生態、そこに生きる人々の生活は本当に存在してそうな存在感。

 非常に高い完成度の世界設定。ドラマチックに展開される話。深いテーマ。これほどのハイファンタジーを作者が暖めていたのは正直驚いた
 連載中もあまり知られておらず、連載も休載気味。最後は雑誌に掲載されずに2巻ほど丸々描き上げた作者の熱意は素晴らしい。これだけのものを最後までくじけずに描き上げてくれた作者には感謝の言葉しかない。
 傑作です

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-28 21:09:49] [修正:2010-03-28 21:12:28] [このレビューのURL]

 3月のライオンってタイトルがいかにも少女漫画家っぽいなぁーっと思ったけど、読んでたらぴったりだった
 暖かくなりそうで肌寒く、強くあろうとするほど孤独になる

 プロ棋士の少年の目で見る世界は、どこか寂しく孤独で少し痛いが少し暖かい。
微妙な空気を表現するのは本当にうまい
 まぁそれが面白いかどうかは別問題かもしれないが悪くないなぁ、こういうのも
 
 毎回の話の表紙が秀逸で、風の強い川の側を散歩してる絵が、肌寒さが出てもどこか暖かい感じが非常によく出てて好きです

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-04-15 01:58:36] [修正:2009-04-15 01:58:36] [このレビューのURL]

 しょっぱなから既に99人も人殺していたり、課外授業で悪党殺しをしていたり、説明もなく人が武器に変身したりと、ツッコミ魂に火をつけてくれる漫画

 年中ハロウィンのような世界観はなかなかいいし、話のテンポも悪くないが、全体的に底が浅い

 「考えるな、感じるんだ」というブルース・リー先生の教えを忠実に実行するとこんな感じになるのかもしれない
 うん、考えることも必要だな、やっぱり

 漫画とは関係ないけど「マカチョーップッ」って叫びながらスローモーションでブロックぶっ壊すCMが一時期頭から離れなかったのはいい思い出

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-04-11 07:34:58] [修正:2009-04-11 07:34:58] [このレビューのURL]

 読んだ感想は面白いという以上に怖かったです。この怖さを正確に表現できるかわかりませんが、この作品が架空の世界、架空の話でありながら戦争の闇の部分を的確に捉えている作品なので長くなりますが書いてみます

 「殺人マシン」という言葉に疑問を思ったことはないでしょうか。殺人者ではなく殺人マシン。この「マシン」という部分に戦争の暗闇の一部があるとは日本人ではあまり想像できない事かもしれません。
 第一次、第二次世界大戦で戦闘の長期化が起きると、兵士は人を殺す罪悪感と命を奪われる緊張感から、精神を蝕まれ銃を持っていても発砲しなくなったそうです。その割合は7割強。これは軍隊としてはかなり深刻な状況でした。
 事態を深刻にとらえた軍上層部は、徹底的な訓練を行います。徹底的な訓練というと聞こえがいいですが、実際は心の底から殺人できるように洗脳していきます。人の形をした銃を撃つターゲットを見たことがあると思います。あれも人をみたら躊躇なく殺せるようにする方法の一つで、これは非常に効果がありました。厳しい訓練を受けたものほど、より冷酷に効率よく人を殺せるようになっていきました。訓練は大成功でした。兵士達は敵兵だけではなく民間人でも平気で殺せるようになっていました。それこそマシンのように。
 しかしここで問題が起きました。戦争が終わり帰ってきた兵士は、元の生活に戻れなくなっていました。心から人を殺す事を「訓練」されてしまった為に。
常識的な行動、すべき事はわかっているのですが戦場から心が戻れないのです。そして自分たちが知らずに人間以外のものになっていた事に、背負いきれない十字架を背負ってしまっていた事に気がつきます。多くの者が殺人者となったり、人を殺した罪悪感から自殺者が多数の出ました。これは現代の戦争を経験した多くの国で問題になっています

 この作品の主人公も普段は温厚ですが、一度戦闘になると非情な殺人マシンへとスイッチが入ります。「スイッチ」を読者にもわかりやすく表現された青く灯るランタンがとても印象的です。そして殺した後に自分の凶暴さと罪悪感で絶望します。これはとても現実的でよく描かれていると思いました。
 作中では、一見非現実的非人道的な特殊部隊が色々出てきます。しかし、戦争という空間はやってしまってはいけないというリミットが外れやすい所。想像したことをやりたい、やってしまう事が許される世界。非現実的と思われる行いが現実になる世界。その異常さがこの漫画ではエンターテイメントの範囲で表現されています。正直怖くて寒気が止まりませんでした。
現実の世界でも厳しい訓練を行い洗脳するよりも、攻殻機動隊のように脳を直接いじって一流の兵士を作る研究が行われています

 この作品は戦争が起こす狂気の世界とそれが残した爪痕を少しでも実感できるかもしれません。ただ架空の世界で書かれているからかろうじて読めますが、この漫画で表現された狂気の世界が虚構ではなく「リアル」だという事を本当に感じた時怖くなります
 この暗闇を本当に照らすことなど出来ない事かもしれない。でも、それでも考え模索するこの作品には意味があり、それだけの価値がある

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-04-10 01:13:07] [修正:2009-04-10 01:13:07] [このレビューのURL]

8点 MONSTER

 この漫画は浦沢直樹以外では極少数の作者にしか描けない作品だと思う
 ちょっと変わった話の流れで、まぁ普通の一本道のストーリー漫画なら、きれいに起承転結という流れが普通です。しかし、これは起起起と続いたり起承起承たまに転でまた起承といった、まぁ非常にテンポが悪くなりそうな作りになっている。だけど、グイグイ読者を引き込む謎が謎を呼ぶ展開や、ちゃんとその謎を解いた時に納得のいく答えを持ってきてくれるので、テンションは下がらず逆にテンポは上がる一方で一気に読んでしまう力を持っている。

 まぁ手法としてはホラーで使われいるのをサスペンスに持ってきているだけなんだけど、問題は謎解き部分に持ってくるコマの絵。
ホラーのように気持ち悪い絵や非日常的な絵でインパクトのある絵をバーンッ!っと持ってこれるならまだしも、サスペンスなので現実の世界でキャラクターなり背景なりに納得のいく絵をバーンッ!とかける人っていうのはそうそういない。
画力とか表現力、想像力とかがトップレベルでその力をフルに出さないと読者が納得いくレベルのものは出せないだろうし、そもそもそこまで期待させるような話作りや組み立てだけで非常に難しい。そういう芸当ができる漫画は、そう何人もいるわけじゃない。手法がわかってもマネできる人が非常に少ないと思う

 そんな意味でもこのモンスターは意欲的だったし、緊張感のある良い絵が一杯ある。まぁ、この後にこの手法で味をしめて20世紀少年、PLUTOへと続き、今では「浦沢節」とかいわれてるけど、他にマネできないから「浦沢節」なんて言葉もあるんだろうね。非常に高度な漫画なんだなぁーと改めて読んで思いました

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-02-17 11:02:56] [修正:2009-02-17 11:02:56] [このレビューのURL]