「boo」さんのページ

総レビュー数: 258レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月29日

カラーのジョジョ。いつも通りの荒木ワールド。

ルーヴル企画のバンド・デシネプロジェクト第五弾。
初めて読んだ時、実を言うとタンタンなんかを除いてはBDを読んだことがなかった。なのでこの「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」もBDとして、というより普通に荒木作品として読んだのだった。
その後エンキ・ビラルや国書刊行会のBDコレクションを皮切りにBDの魅力に目覚めたのが比較的最近だったりする。

最初読んだ時思ったのは、やっぱりいつもの荒木飛呂彦だな、ってこと。“この世で最も黒く、最も邪悪な絵”を追うサスペンスということで、岸部露伴は動かないシリーズをルーヴル用にカラーで仕立て上げたのだなという印象。
私にとってジョジョはかつてほど熱狂的ではないとはいえ、お気に入りの作品ではあるのでもちろん楽しく読ませてもらった。何といっても一番好きな第四部、しかも岸部露伴だからジョジョ好きには外さない。逆に言うと想像の範囲内ではあったのだけど。

最近にわかBD好きになった上で読み直してみた。うん、やっぱり荒木作品だわこれ。
漫画やアメコミがわりかし定型化されている一方、バンド・デシネというのは絵も話も作家性が強いものとして知られる。特にルーヴルのBDコレクションなんて絵に吸い込まれるような凄みを感じるものが揃っている。しかしこの作品に関しては読みやすいもののそこまでのものは感じない。

もっとも荒木先生は巻末で読みやすさを重視して彩色したと仰っていたので狙い通りではあるのだろう。でも今にして思えばBDだからこそもっとこれまでにない魅力を前面に押し出したものが見たかったなと残念に思う。良くも悪くも今まで通りの荒木作品に留まってしまっているのだ。

ちなみに設定に今までと食い違いが見られるが、これはルーヴルの企画なので話を円滑に進めるためにあえて邪魔な設定は無視したということ。
微妙に違和感を感じる四部の面々(何で28歳なのに学ラン着てんのよ笑)もちらっと顔を見せます。

ジョジョ好きならば後悔はしないだろうから、普通におすすめ。後は値段と応相談。
これがBDだ!とは間違っても言えないけれど、「岸部露伴 ルーヴルへ行く」で多少はこのルーヴル美術館のBDプロジェクトに注目が集まった、かな? ということで他のシリーズも刊行を期待してます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-25 23:18:20] [修正:2011-11-01 01:40:02] [このレビューのURL]

鶴田謙二、3年ぶりの新作!

さすらいエマノンどうなってんのとかForget-Me-notはやっぱりもう投げたのかなんて疑問はいっぱいあるんだけど、とりあえずは鶴田謙二の単行本が出たことを素直に喜ぼう。

祖父と共に飛行機での運送業を営むみくらだったが、その祖父が亡くなってしまう。祖父の遺品からエレキテ島という謎の島を知ったみくらは自らもまたその島を追い求めることになって…。

いやー、堪能しました。素晴らしい。
漫画というのは絵と話が合わさったものだけど、鶴田謙二の場合絵の方に9割以上偏っている作家さんだと思う。逆に言うとほぼ絵の魅力だけで食ってきてるというすごい人なのだ。
Spirit of Wonderみたいなのもいいけど、この人の作品だと絵の方に目が行ってストーリーに集中できないのよ。だから私はこのくらいベタでシンプルな話の方が良かったりする。

で、この冒険エレキテ島、時間かけたんだろうなー(皮肉じゃないよ笑)。絵はさらに精緻になって、飛行機で切り裂かれた空気、太陽の光、透き通る水が色彩豊かに見えてくる。そう、モノクロなのに何でこんなに色彩豊かで瑞々しいのか。本当にこの人の絵は魅力的だ。
しかしだからこそ冒頭のカラーページが白黒なのが許せん!Forget-Me-notなんかさー、一話ごとにカラー入ってたじゃん。そこまでしろとは言わないけど最初だけでもカラーにしてよ。ちょっとくらい値段上げてもいいし、そのくらいの価値が鶴田謙二のカラーにはあるだろうに…。残念すぎる。

また鶴田謙二といえば絵はもちろん、伸び伸びとしたヒロインも魅力の一つ。その点今作のみくらは鶴田謙二に珍しいスレンダー美少女でちょっと驚いた。もちろん可愛い。ただエロさがもうちょい欲しい。
最後の方病んでる感じもあったから、ツルケン特有の健康美少女的魅力がなかったのがね。いや、逆にあれに惹かれる人もいるのかな。でも喪服には鶴田謙二の愛を感じた笑。不謹慎だけど、エロいです。

この一巻、すごく良い所で終わっている。しかし二巻はいつになるのか。とりあえずは2012年に続きがアフタに掲載予定ということで期待せずに待つとしますか。今回は頼むので予定を守って下さいツルケンさん…。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-30 12:16:16] [修正:2011-10-30 12:16:16] [このレビューのURL]

9点 ペット

他人の記憶の中に入ってそれを書き換えたり消したりすることの出来るPETと呼ばれる能力者達の話。

人間の記憶の中には自身を支え続ける記憶であるヤマと自身を傷め続ける記憶であるタニが存在する。PETは他人の記憶に干渉できるが、このヤマとタニに手を加えるとその人間は潰れて廃人になってしまう。裏社会のある組織はこのPETを利用した仕事を生業としていた…

こういう記憶に干渉できる能力っていうのはわりと漫画に限らずメジャーな能力だ。映画だとインセプションだったり、最近ではブリーチにまで記憶を挟める能力者が登場した。
そんな手垢のついた設定と思われるかもしれないが、そこはさすが三宅乱丈ということで細かい設定が抜群に上手く、かつその設定を完璧に使いこなしたストーリーはすばらしい。
PETがそれぞれのイメージ(どこでもドアや水とか)を利用して他人の記憶の中に入り込み干渉するシーンやPET同士の能力バトルは大きな見所となっている。三宅さんは絵はとっつきにくいんだけど実は表現力が非常に高くて上手。
しかし本当に興味深いのはこの全く記憶があてにならない世界観。実際に覗いた記憶はもちろん、自分の記憶だって書き換えられた可能性だってあるのだ。すごく恐ろしい世界。
残酷な運命に翻弄されるPET達は果たしてどうなっていくのか、一度読むと最後まで怒涛の勢いで最後まで夢中で読み終えた。1巻は設定等がややこしいので慣れるまではきついかもしれないけどそこは耐えて欲しい。

現在は大幅に加筆されたリマスターエディションが刊行されている。多少値は上がるけれど、物語の密度は上がっているのでこちらをおすすめする。
実はこのペットは3部作の第2部にあたるそうだ。果たして第3部が描かれるのかは未定だが、機会があれば描きたいそうなのですごく楽しみにしている。イムリがまだまだ終わりそうにないので当分先になりそうなのが辛い…

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-12 23:50:38] [修正:2011-10-27 18:04:22] [このレビューのURL]

これが初連載とは思えない程の完成度の高さと、初連載の青臭い勢いが同居しているすごい作品。この作品のテーマも普遍的で、ありふれたものなのだけど、結論に至るまでの過程がとてもよく、納得できるものだった。3巻でそれまでのテーマにある程度の決着がつき、四巻はフィーを中心とした話となるが、それも良かったことはよかったのだけど、ちょっと作品の軸がぶれたようにも思える。

どの巻でもいえることだけど、特に四巻で顕著だったのが最後の締めがすごく良い。最後でしっかり決めているから読後、とてもすっきりした気分になれる。

ヴィンランド・サガではこの作者独特の勢いみたいなものがなくなってしまっていてとても残念なんだけど、この作品でそれを体感して欲しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-07-09 21:13:54] [修正:2011-10-27 18:03:03] [このレビューのURL]

至る所にジョジョの匂いがする能力バトル漫画。それに少しミステリーを加えたところが少し新鮮。

三巻くらいまでは頭脳戦の要素が強かったのだがどんどんただのバトルになっていった。個人的には三巻くらいまでが好きだったかな。主人公は熱血漢で、一部では友達を助けるために旅をし、戦っていくというまさに少年漫画な展開なのだがそこに適度な絶望と謎をちりばめることで奥行きを出している。二部からは舞台が世界に広がっており、まだ結末は見えてこない。

原作者がついている漫画なのだが、それが短所ともなっている。構成が今のところとても上手くまとまっていて良いのだが、盛り上がりとか勢いがいまひとつ感じられない。安心して楽しめる漫画だが、何か突き抜けるものをこのあとに期待している。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-07-17 22:44:57] [修正:2011-10-27 18:00:48] [このレビューのURL]

この作者は将棋でも格闘やっちゃうのか、
て思うんだけどそれでおもしろいのが
すごい。今のやってるところとかほんとに
殺し合いしてるし・・・

個人的にはエアマスターは格闘漫画だったから
一緒に熱くなれたんだけど、ぶっちゃけ
将棋でここまでやられるとちょっと引くときが
あって、そこが自分にはちょっとあわない漫画
なのかもしれない。

熱い漫画家といえば藤田さん、曽田さん、村枝さん
とかいるけど、この人は、悪い意味でなく、すごい
泥臭い熱さがあると思う。

とりあえずとこまでも力押しなのにそれを納得させる
豪腕は感心するしかないなー。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-05-05 19:33:07] [修正:2011-10-27 18:00:15] [このレビューのURL]

この漫画が楽しめるかどうかは作者がテツである横見さんにつっこむ場面や独り言を言う場面で自分もそう思えるなら楽しいだろうと思う。自分はけっこう感情移入できたので中々おもしろかった。なので、ほかのひとも言っているけど実際の鉄道マニアの人が読んだらまったく面白くないんじゃないかと思う。画風もルポ漫画の形式にあった感じの絵でよいと思う。関係ないけど月館の殺人でもテツ出てきたし、どうやらIKKI編集部にはテツが多いらしい・・・

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-30 12:18:47] [修正:2011-10-27 17:58:17] [このレビューのURL]

何となく見始めたヤフーコミックの中で数少ない当たりの作品だった。

普段こういうの読まないんだけど、キャラがひたすらどたばたしてたり、ちょっと抜けてたりするところが微笑ましくてすごく楽しく読める。登場人物も何気に個性豊かで、この人数の多さでそれぞれキャラが立ってるのはすごい。こんな学校おれも通いたいなーって思わせてくれる。

基本一話か二話で終了する短編形式をとっていて、基本学園コメディーで、合間合間にちょっとずつそれぞれのキャラの背景を描いていく感じ。

一話と最新話はヤフーで見れるのでぜひ読んでみて欲しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-09 11:43:03] [修正:2011-10-27 17:57:52] [このレビューのURL]

6点 トリコ

まさに王道という感じでおもしろい。
小学生の頃たけしのシリアスなバトルが好きだった私は毎週楽しんで読んでます。モービー編は設定も近くてこんな感じだった気がする。

ちなみにラブ成分が足りないと言われがちなトリコだけど、ヒロインは小松なので問題ありませんw。リン?誰それ?
最初はまるで小松がヒロインみたい、くらいで読んでたのが現在サニーまでが小松に惚れてしまった様でヒロインということは確定しました。これからは三角、四角関係の泥沼な恋愛ドラマが期待されますね(違)。

心配なのはやはりインフレですかね。このままでは最終回では100連釘パンチになってそうで怖い。
ただ会長や次郎などのレベルが高すぎるのでまだ安心かな?ってか最初のトリコが弱すぎる気が。25歳まで何をやってたんだろう。

王道バトルが好きな人は間違いないと思います。
ファンタジーとしてはオリジナリティ・画力など世界観に足りない部分もありつつもわくわく楽しめる良作です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-24 21:05:45] [修正:2011-10-27 17:57:06] [このレビューのURL]

あらすじを見れば分かると思うが、あまりにも少女漫画っぽい設定なので手を出さずにいた作品。良い意味で裏切られた。
まずは美形のイケメン兄弟が人間でまずは安心。女性の理想像というか王子様ではないかと恐れていたのですよ。次郎はまだ謎だけど、一郎の頑なさと不器用な優しさが魅力的だった。物語への関わり具合もちょうどいい。

冬味と春味は可もなく不可もない話。普通におもしろい。
夏味と秋味は私の心の琴線に触れるものがあった。特にパートのおばちゃんの鬱屈とした感情を描いた夏味は引き込まれる。秋味のほうも少年の年上の女性への憧憬と純粋な必死さが上手く表現できていてほろっときた。

ハルコイよりは心に残った話があったのでこちらの方が印象的ではあるものの、物語としてはハートフルだが傑出してはいない辺りがやはり長編向きだなと感じる。演出と締めがうまいから短編もかなり読めはするのだけどもったいない。
話も人物もきれいすぎて隙が無さすぎるのが末次由紀の欠点。要はあまり深みが感じられない。ちはやふるは単純な少年漫画みたいなものなので問題ないが、うまく心情を描いて短いページでキャラを掘り下げることが求められる短編ではそこがどうしても目立ってしまう。
とはいえ今後楽しみな作品であることは確かです。男性にもおすすめ。

夏味の回想での客はまさか原田先生w?巻末漫画もそうだけど、こういうファンサービスはうまいなあ。クーベルチュールのチョコが、ちはやふるに登場することを期待。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-24 23:55:08] [修正:2011-10-27 17:56:39] [このレビューのURL]