「boo」さんのページ
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「闇夜に遊ぶな子供たち」の続きも読みたいけど、出ても同人になりそういうのは実に残念な話。
ホラーMがなくなったのはやっぱり痛い。
10点、9点…個人的なバイブル、名作。
8点、7点…お気に入りの作品。
6点、5点…十分楽しめた作品。
4点以下…うーんって感じの作品。わりと適当。

バットマンの一年目を描いたミラーの有名作。
クライシス後に仕切りなおしたバットマンの再出発を飾ったのがこのイヤーワン。DKRの流れを引き継いで、その後のバットマンの方向性を決定付けた傑作に星三つとは何ぞや?と怪訝に思われる方もいそうで戦々恐々ですが、これにはいくつか理由がありまして。
実は私が読んだのはこのヴィレッジのイヤーワン/イヤーツーではなくて、さらに言うとジャイブのイヤーワンでもなくて、以前小プロから刊行されていたスーパーマン/バットマン。普通に買うよりこっちが安いし、スーパーマンのオリジンであるマン・オブ・スティールが読めるのはこれしかないし、こっちがお得じゃね?と思ったら一つだけ落とし穴があったのですよ。
というのもジャイブ以降のものは今のアメコミの主流であるシックな色合いでリカラーリングされているのだけど、S/Bに収録されているものは昔のアメコミのイメージそのままのような原色の派手派手しいカラーリングになっちゃってる。00年代のアメコミ読みである自分にとっては、この良く言えば“味のある”カラーリングは正直辛いものがあって…。てか同年代のマーヴルクロスと比べてもこれのイヤーワンのカラーはかなり粗雑だと思う。
じゃあ新しいのを買えばいいじゃん?と思われるかもしれないけれど、新しいのは絶版かつひどいプレ値になっているのだよ、アメコミ読みは周知の通り。しかしバットマン入門書として一番に勧められるであろうこの作品が絶版というのは不味いと思うんだ、うん。ヴィレッジが小プロに比べて規模が小さいのは分かった上で、これはアメコミの一つの入り口だからなぁ、頑張って欲しい。再販希望も多いだろうに。
どうしても読みたい、でもあの値段は無理、という方はカラーリングが昔風というのは覚悟した上でスーパーマン/バットマンを買うと比較的安い。もしくはイヤーワンの原書か。ただ来年ダークナイト・ライジズが公開なので再販の可能性も高いとも思われるわけで…。保証はないので各自でご判断くださいな。
作品自体とはちょった離れた話になってしまったので、話を戻す。
名前の通り、イヤーワンはバットマンの一年目のお話。冒頭で述べたように、DKRの路線を引き継いだバットマンの作風となっている。シリアスで重厚な雰囲気とミラーお得意のハードボイルドなストーリー展開が格好良い。
バットマンも各地で修行してきたとはいえ、まだまだ犯罪者と戦うのには慣れていない。手ひどいミスを犯し、大怪我を負うこともある。一方後の盟友、ゴードンもゴッサムの警察署に配属されたものの困難は多い。腐敗した警察署に戸惑い、立ち向かうものの孤立するゴードン。二人ともまだまだ若く青いが、それがまた妙に人間くさく、好感が持てるのはミラーの手腕ゆえ。ゴードンなんて浮気もしちゃうし。
そう、これはバットマンの一年目だけではなくて、ゴードンの一年目でもある。バットマンが立ち上がる話でもあり、ゴードンが立ち上がる話でもある。そして彼らに少しだけではあるが、確かな絆が生まれるまでが描かれた作品なのだ。
私はミラーのハードボイルドは大好物なのだけれども、イヤーワンに関してはどうしてもボーン・アゲインと比べてしまう部分がある。基本プロットが似てて、ボーン・アゲインの方があまりに素晴らしすぎる、となるとイヤーワンの感動が薄れてしまうのもしょうがないかなと思うわけで。
ただ前述したように、カラーリングがあまり合わなかった部分もあるから一概には言えない。いつか復刊して改めてリカラー版を読み直したら、もう一度何かしら感想は書こうかなとは思ってる。
しかし個人の好みは置いておいても、バットマンを読んでいく上で最重要級な作品であるのは間違いないのでつくづく絶版なのは残念だなぁ。「The Man Who Laughs」から、「ロングハロウィーン」のような忘れられたマフィアを拾ってきたものまで初期作品群につながる伏線はいくつもあるし、何といってもオリジン読まないと始まらないというのはあるわけで。
しかしやはりそういう意味では、続編を作るのに広く幅を持たせた上で違和感なく物語を作り上げたミラーはすごいな。バットマン始まりの作品としては単体の質としても、その後の可能性を無数に示したという意味でもこれ以上が望めない傑作であることは間違いない。
スーパーマン/バットマンの刊行が中途でストップしたため、イヤーツーは私も中途半端なところまでしか読んでいないから何とも言えない。どうやらイヤーワンに比べると小品というのが一般的な認識のようだけど。
イヤーツーは現在なかったことにされてるっぽいしまあいいさ、っと書いてみて一応英語wikiで確認すると…おいおいゼロアワーでなかったことになってインフィニットクライシスでまた微妙にあったことになったらしい。呪われよ!
現実世界でも何とかクライシスが起こって絶版とかS/Bの刊行ストップとか色々なかったことにならないかな、ついでに「A Death in the Family」につながるイヤースリーまで含まれた完全版が出ないかな、とかどうしようもないことを言ってオワル。
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[投稿:2011-12-09 02:30:32] [修正:2011-12-09 08:13:05] [このレビューのURL]
グリーンランタンは1940年代に生み出されたDC古参のヒーローの一人。なので当たり前だが、そのオリジナルのオリジンを知ろうと思えばかなーり初期の作品を読む必要がある。しかしあまりに絵も話も古すぎるのでなかなか手が伸びにくいよねぇ。
ということで、今の人向けにグリーンランタン(ハル・ジョーダン)の誕生を分かりやすく説明するための作品がこのシークレット・オリジン。スーパーマンやらジョーカーやらは複数回オリジンが語り直されているけれど、グリーンランタンは多分これだけかと。
シークレット・オリジンでは地球最初のグリーンランタン、ハル・ジョーダンがグリーンランタンになるまでの経緯と彼がランタンとなった理由が描かれている。
また後のブラッケストナイトへ至る伏線もふんだんに盛り込まれており、まさにジェフ・ジョーンズが手がけるグリーンランタンシリーズに相応しい序章と言えるだろう。
現在のグリーンランタンというのはDCでも非常に人気のあるキャラクターで、DCの代名詞であるバットマンやスーパーマンと肩を並べるくらいの勢いがあるらしい。読めばその理由は何となく理解できる。
というのも、非常に分かりやすくてポジティブなヒーローなのだ、このグリーンランタンは。
DKRやウォッチメン以降、ヒーローものには小難しい話や暗い話が増えてきた。それがメインストリームになってきたと言ってもいい。でも本来私がヒーローものに求めていたのって、爽快感や痛快さだったはずなんだよなぁとも思うわけで。
スーパーマンみたいに初めから力を持っているわけでも、バットマンみたいに強迫観念に取りつかれているわけでもない。ハルは私達と同じような一般人で、力をふっとわいたように与えられる。
そこにグリーンランタンのおもしろさがある。要はハルは私達のような普通の人に非常に近い。彼には当初ヒーローとしての自覚はない。だから軽率な行動はとるしあまりに無鉄砲だったりする。
でもそれって当たり前じゃないか?ハルは普通の人なのだから。急に世界に責任を持てるわけもない。
無鉄砲でありでも軽率な行動もとる、だからこそ読んでいて彼に親しみを、共感を覚える。一般人出身のヒーローとしても、人間としても。
オリジンで最重要であろう、ハルがグリーンランタンになる理由も非常にシンプルなもの。ただ自分の力で“飛びたい”、というシンプルで、でも非常に強い願望。
そして、その意志の力がグリーンランタンの力となる。何気にこの“意志”が力になるというのも巧いなと思うわけで。
というのも日本の漫画でも土壇場で覚醒みたいなのって嫌がられるよね。でもグリーンランタンというヒーローは気合で勝つというのを自然に出来ちゃう。少年漫画的なノリを大人の人間ドラマの中で違和感なく実現できるのだ。そりゃ熱いさ!そりゃ人気出るさ!
もちろんグリーンランタンをここまでの人気シリーズにしたのはライターのジェフ・ジョーンズの手腕があってこそ。よくもここまでシンプルに練り上げたもんだ。
オリジンとしては過不足無しの良作。
今邦訳で読めるものだと、シークレットオリジン→GR/GA→リバースと読んでいくとわりかし分かりやすい。リバースが色々ふっ飛ばしすぎなのでそれでも面食らうけど。
グリーンランタンに関しては、日本の漫画読みでも楽しく読めると思うのでおすすめ。良質な大人向けの少年漫画といった感じの痛快なシリーズなのでまずはぜひここから!
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[投稿:2011-09-20 01:41:08] [修正:2011-12-04 23:08:02] [このレビューのURL]
沙村広明の大迷作(もちろん褒め言葉)ハルシオン・ランチを読んでから、作中の台詞がすごく気になっていた。
「じじいのアップが絵になるのはオノナツメの漫画だけ・・・」
そうなのか、やたら最近名前を聞くオノナツメはそんなにいい感じにじじいを描ける人なんだ、そりゃ読まんとなぁなんて思っていたわけ。
で、読んだ。…沙村広明の言うとおり、じじいを描くスキルがやばい。
リストランテ・パラディーゾ(天国)はその名の通り、天国のようなレストランなのだけれど、誰にとって天国かというと間違いなく女性。女性が紳士に酔うレストラン。この漫画のターゲットも多分女性、でも男性でも十分楽しめる。
というのもここで言う天国は二種類あるから。
一つは既に述べたように紳士に酔うレストランということ。1巻という短い中で、オノナツメは容姿から中身まで多種多様の紳士を魅力的に描いている。しかしまじで名人芸だな。森薫なんかと同様に自らのフェティシズムを表現するのが巧みだからこその技。実際そうとは感じさせないけど上品なホストクラブみたいなもんだよねここ。
これだけだと女性限定になってしまうかもしれない。しかしここにはもう一つの天国がある。それは自分をみんなが見てくれているということ。自分が頑張っている部分を周りのみんなが見て、認めて、裏表なく応援してくれる。自分のすることで世界は少しでも動いていく。
こんな世界最高でしょ?、まあありえないから天国なのだけれども。
紳士に酔うという点では「娚の一生」もなかなかのものなのだけど、あれは現実を一緒に受け止めてくれる紳士への欲望漫画(と勝手に断定)だからまた色が異なる。そもそも娚の一生に関しては、その現実の書き方が好みではなかったわけで。
対してリストランテ・パラディーゾは現実を見つめていない。でも天国だからいいんだよ。
この漫画に救われる人はいないかもしれない、でもたまーに逃げ出したくなるときに読むとちょっとだけ心が癒される。
うん、これは良いじじい達と天国みたいなレストラン。沙村さん、紹介どもです。
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[投稿:2011-11-28 01:39:25] [修正:2011-11-28 01:39:25] [このレビューのURL]
6点 消えたタワーの影のなかで
「マウス」で著名なアート・スピーゲルマンが描く9.11。
スピーゲルマンは9.11の時、世界貿易センタービルの近くにいたそうだ。
「マウス」で見せた人を動物として描く手法、寓意に満ちた物語、そして付録にもなっている黎明期のコミックストリップから引用した多彩な絵柄、これらの様々な技法が駆使されて、彼の見た当時のニューヨークとその後のアメリカの姿が描かれる。
最初はマウスのように客観性を突き詰める作品なのかと思っていた。もしかすると最初はそのつもりだったのかもしれない。しかしページが進むごとに筆者の心の傷と“置き換え”に代表されるような政府(特にブッシュ)への怒りが内からほとばしってきて、読んでいてどうにもくらくらした。
それでも最低限の客観性が保たれていたのはやはり上で挙げた技法ゆえだろうか。明らかに本物ではないものを使って事件を描くことで、真実が捻じ曲げられることは防がれる。
正直に言うと私には9.11についてはニュースで知っている以上の知識はあまりなくて、でもだからこそ読んで良かった。スピーゲルマンがアメリカ国民を代表しているとは思わない。しかし少なくとも一人の生の声を聞き、日本メディアの画一的な視点以外から9.11を見ることも出来た。
そして事件を体験した人の万分の一かそれ以下であろうとも、これは本当に起こったことなのだという実感があった。
今さら…と思われる人もいるかもしれないけれど、読むのに遅すぎる時はないと思う。上で述べたことに少しでも価値があると感じた人はぜひ。
ただ厚い紙でフルカラーとはいえ値段があれなので、お金に余裕がない人は図書館など覗いてみるといいかもしれない。この作品を出した出版社は素晴らしいと思うが、40ページで4000円はちょっとなぁ…。
点数をつけれる作品ではないので仮に6点で。
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[投稿:2011-11-18 00:22:06] [修正:2011-11-18 00:22:06] [このレビューのURL]
6点 グラゼニ
このような邪道と形容されそうな野球漫画というと、思いつくのはやはりワンナウツだろうか。
しかしグラゼニに関して言えば、実は一番地に足がついている気がする。エースでも一流の打者でもないプロ野球選手としてぎりぎりの位置にいる選手を主人公とする発想…確かに野球漫画としては王道ではないかもしれない。ただプロにいる選手の多くはそういう立場であって、業界漫画としては至極まっとうだ。
「グラウンドには銭が埋まっている」
スパイダースに所属する凡田夏之介は、希少な左サイドスローという特殊性とコントロールの良さを武器とする八年目の中継ぎ投手。地味な立場である彼の年俸は1800万円という26歳という全盛期の選手としては微妙な金額で、プロを引退してからのことを考えると不安もよぎる。一軍で与えられた仕事をこなし、年俸を少しでも上げるために夏之介は必死で投げる。
とにかく話の角度がおもしろい。こんな方向から見た野球をあったのね、という。
主人公が絶対的な選手ではないからか、その視点だって自然と小市民的になる。よってライバルに勝つとか絶対優勝するとかそういう話になるはずもない。年俸、外国人選手、中継ぎ投手と先発投手の違い、グラゼニはプロ野球という現実の職場に身を置く者の話だ。全てが何というか見に染みる。選手の価値で年俸が決まるプロ野球の厳しさ、これは紛うことなき仕事なんだよなぁ。当然ながら食うためにプレイしているわけで。
特にセカンドキャリアの話なんてJリーグではようやく話題になり始めたものの、プロ野球でさえこれなんだから夢も希望もあったものじゃない。例えあったとしてもピラミッドの頂点の人間だけのものなのだろう。
しかし熱さがないかというと、そんなこともなくて、日々プロとして生き抜くために知恵と体を振り絞って投げる夏之介は全力で応援したくなる。
ただやっぱりプロ野球を見て興奮する熱さとは少し異なる。英雄を見て興奮するのではなく、自分と同じように何とか現実を生きているものとして憧れるとでも言えばいいか。
私としては夏之介の印象がほぼそのまんまこの作品の印象だったりする。大物にはなれそうにはないけれど、良い仕事をしている漫画。1番手ではないにしても、4番手5番手としてしっかり楽しませてくれる。
将来的にもモーニングの看板にはなれないかもしれないが、まずまずの位置は確保しているような、そんな漫画。
小粒ながら良品であることは保証します。夏之介が、そして作品自体も願わくば大投手にならんことを。まあ間違いなくそうはならないんだろうな笑。
ネタが切れた時が少し心配な作風ではあるものの、引き際は心得てんだろうなという信頼はある。
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[投稿:2011-11-15 01:56:26] [修正:2011-11-15 11:02:11] [このレビューのURL]
6点 信長協奏曲
もはや足の踏み場のないほど荒らされちゃったんじゃないかと思っていた織田信長というキャラクター、まだまだ色んな見せ方があるもんだと驚いた。やはり作者の腕次第ということで、いい仕事してます。
現代から戦国時代へ高校生がタイムスリップして信長になるというありがちなお話なのだけど、何だろうな、もはやタイムパラドックスお構いなしな感じが開き直ってて潔い。資料とつき合わせて矛盾なく作者オリジナルの史実を作るのでも一つの平行世界とするのでもなく、おもしろければいいさとかなりアバウトな姿勢に思える。
それでいて歴史にはすごく精通しているみたいで不思議だなと。歴史の解釈は独自にかなり吟味されているようなのに、タイムパラドックスにはほとんど配慮されてないのよ。というかタイムスリップさせる絶対的理由も今のところ感じられなくて、やはり本能寺の変まで待たされるのかね。
基本的に史実どおりに物語は進む。高校日本史までの知識しかないからあまり自信はないが、多分。
だから先はある程度読める。でも読めることが全く話の興味を削いでいなくて、というのも結果ではなくて過程が気になるのだ。信長自身はもちろん、臣下の人物造形もかなり目新しいものばかりで今まで考えていたのとかなり異なった道のりを辿って同じ所に行き着くのがおもしろい。特に猿は秀逸。
それにしてもこの人のテンポの良さは異常。信長が入れ替わる所なんて本当に一瞬。戦闘描写も最低限切り詰められていて、いや確かにこの漫画の見せたいものはそこではなくて必要かそうでないかというと多分要らないのは分かる。でもここまで徹底できるのも一つの才能。
ただあまりにさくさく進むので、年月の経過が実感しにくかったりもする。これには恐らく作者の絵もついていけてなくて、家康なんかはともかくとして信長はほぼ顔が変わってないわけで。
絵は独特の泥臭さがよく戦国時代とマッチしている。女性的であるようなそうでないような、微妙さがおもしろい。洗練された小山ゆう、というと少し違うか。
今の所烈火のような感情は見せず、常に飄々としている信長さん、今後どのような道のりを進めば比叡山を焼いたり、何より本能寺の変が起こったりするのだろうか。
どういう結末を迎えるかすごく気になる。とりあえず夢オチだけは勘弁してよということで、まったりと興味深く読ませていただきます。
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[投稿:2011-11-08 00:00:47] [修正:2011-11-08 00:00:47] [このレビューのURL]
6点 海の天辺
くらもちふさこが描く教師と教え子の恋愛もの。
最近少女漫画もそこそこ読むようになったとはいえ、この手のまっとう恋愛ものを読む気にはなかなかなれない。好きな作家であるくらもちふさこだからこそ手にとってみた。
今のくらもちふさこからは想像できないくらい甘ったるい設定、物語。教師と教え子のラブストーリーなんてそりゃそうなるわけだけど。
天コケ以降のくらもち作品の特徴である重層的な構成の妙は特に見られなくて、本当に王道な作品に仕上がっている。そして私は漫画に限らず、そんな王道恋愛ものは途中で読むのをやめてしまうことが多い。気恥ずかしくて耐えられないのだ。でもこの海の天辺に関してはどうにかこうにか楽しんで読むことが出来た。
それはやはりくらもち作品のリアリティ。
何の気もなしにたちの悪いことを仕出かすやつがいたり、授業やクラスの雰囲気だったり、ちょっと他の漫画とは違う現実味のある空気が流れている。結局私が見れない恋愛ものというのはファンタジー的な感じが駄目だったのかなとは海の天辺を見て思ったこと。
先生と教え子の恋愛もの、まるでフィクションのような設定にリアリティを与えるのはくらもちふさこの手腕だろう。ありきたり、ではなくそういうドラマなのだ。
しかし現実味という点で、教師達の駄目さが本当にいそうで困った。まともなのは山崎先生くらいかな?と思ったが人間的にはともかく、教師としては山崎先生もどうなんだろうね。
人魚姫がモチーフとされていることからも分かるように初恋をひたすら追い続ける少女の物語となっている。
正直王子さま役であろう先生をあまり好きになれず。だってねぇ、作中でも再三言われるけどさ、どう考えても軽い女たらしだもん。気遣いなりから気持ちは分かるけれども、男目線だと遠藤君の方が…。
そんなこんなわくわくしながら何だかんだと楽しんだ。起承転結がお上手。最後の展開に驚かされ、何より締めがすごく巧い。
これでいいのか?との疑問がラストの台詞で氷解してすっきりと読み終えた。この疑問はくらもちふさこの疑問でもあったのかもしれない。
これが純粋に甘ったるい最後のくらもち作品かな。そういう意味では海の天辺が読者の一つの転換点ともなりうる。
ただ作中のリアリティだったり、キョーチの存在あたりは後の作品につながりを感じるので興味深い部分も多かった。
わりかし王道な恋愛ものが苦手な人でも試しに読んでみると新たな発見があるかも。意外にいけるもんだね、と思ったり。
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[投稿:2011-11-04 22:51:27] [修正:2011-11-04 22:55:58] [このレビューのURL]
6点 岸辺露伴 ルーヴルへ行く
カラーのジョジョ。いつも通りの荒木ワールド。
ルーヴル企画のバンド・デシネプロジェクト第五弾。
初めて読んだ時、実を言うとタンタンなんかを除いてはBDを読んだことがなかった。なのでこの「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」もBDとして、というより普通に荒木作品として読んだのだった。
その後エンキ・ビラルや国書刊行会のBDコレクションを皮切りにBDの魅力に目覚めたのが比較的最近だったりする。
最初読んだ時思ったのは、やっぱりいつもの荒木飛呂彦だな、ってこと。“この世で最も黒く、最も邪悪な絵”を追うサスペンスということで、岸部露伴は動かないシリーズをルーヴル用にカラーで仕立て上げたのだなという印象。
私にとってジョジョはかつてほど熱狂的ではないとはいえ、お気に入りの作品ではあるのでもちろん楽しく読ませてもらった。何といっても一番好きな第四部、しかも岸部露伴だからジョジョ好きには外さない。逆に言うと想像の範囲内ではあったのだけど。
最近にわかBD好きになった上で読み直してみた。うん、やっぱり荒木作品だわこれ。
漫画やアメコミがわりかし定型化されている一方、バンド・デシネというのは絵も話も作家性が強いものとして知られる。特にルーヴルのBDコレクションなんて絵に吸い込まれるような凄みを感じるものが揃っている。しかしこの作品に関しては読みやすいもののそこまでのものは感じない。
もっとも荒木先生は巻末で読みやすさを重視して彩色したと仰っていたので狙い通りではあるのだろう。でも今にして思えばBDだからこそもっとこれまでにない魅力を前面に押し出したものが見たかったなと残念に思う。良くも悪くも今まで通りの荒木作品に留まってしまっているのだ。
ちなみに設定に今までと食い違いが見られるが、これはルーヴルの企画なので話を円滑に進めるためにあえて邪魔な設定は無視したということ。
微妙に違和感を感じる四部の面々(何で28歳なのに学ラン着てんのよ笑)もちらっと顔を見せます。
ジョジョ好きならば後悔はしないだろうから、普通におすすめ。後は値段と応相談。
これがBDだ!とは間違っても言えないけれど、「岸部露伴 ルーヴルへ行く」で多少はこのルーヴル美術館のBDプロジェクトに注目が集まった、かな? ということで他のシリーズも刊行を期待してます。
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[投稿:2011-06-25 23:18:20] [修正:2011-11-01 01:40:02] [このレビューのURL]
6点 ヒャッコ
何となく見始めたヤフーコミックの中で数少ない当たりの作品だった。
普段こういうの読まないんだけど、キャラがひたすらどたばたしてたり、ちょっと抜けてたりするところが微笑ましくてすごく楽しく読める。登場人物も何気に個性豊かで、この人数の多さでそれぞれキャラが立ってるのはすごい。こんな学校おれも通いたいなーって思わせてくれる。
基本一話か二話で終了する短編形式をとっていて、基本学園コメディーで、合間合間にちょっとずつそれぞれのキャラの背景を描いていく感じ。
一話と最新話はヤフーで見れるのでぜひ読んでみて欲しい。
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[投稿:2007-12-09 11:43:03] [修正:2011-10-27 17:57:52] [このレビューのURL]
6点 トリコ
まさに王道という感じでおもしろい。
小学生の頃たけしのシリアスなバトルが好きだった私は毎週楽しんで読んでます。モービー編は設定も近くてこんな感じだった気がする。
ちなみにラブ成分が足りないと言われがちなトリコだけど、ヒロインは小松なので問題ありませんw。リン?誰それ?
最初はまるで小松がヒロインみたい、くらいで読んでたのが現在サニーまでが小松に惚れてしまった様でヒロインということは確定しました。これからは三角、四角関係の泥沼な恋愛ドラマが期待されますね(違)。
心配なのはやはりインフレですかね。このままでは最終回では100連釘パンチになってそうで怖い。
ただ会長や次郎などのレベルが高すぎるのでまだ安心かな?ってか最初のトリコが弱すぎる気が。25歳まで何をやってたんだろう。
王道バトルが好きな人は間違いないと思います。
ファンタジーとしてはオリジナリティ・画力など世界観に足りない部分もありつつもわくわく楽しめる良作です。
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[投稿:2011-07-24 21:05:45] [修正:2011-10-27 17:57:06] [このレビューのURL]
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