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総レビュー数: 258レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月29日

少しSFチックな短編集。話の展開や趣向に良くも悪くも鬼頭莫宏らしさ全開である。鬼頭先生以外でも描けそうな残暑よりこちらの方が私は好きだった。

恐らく作品全体のテーマは「愛の形」だと思う。
ただしそこはこの作者ということで、大概の愛はとんでもなく歪んでしまっている。一話目はその典型だろう。どんな思考回路でこんな愛し方になるんだよ!って発想が興味深かった。でも愛する気持ち自体はまっすぐなので登場人物を憎めないのがまたおもしろい。そしてひどく切ない。
純愛の話もあるにはあるが、鬼頭莫宏というフィルターを通しちゃうとこういうふうになっちゃうのか…

愛を描く漫画ってのは色々ある。良質なラブコメは本当にたくさんある。哲学的な愛の伝道師、幸村誠の作品もいい。
でも殻都市の夢は鬼頭莫宏にしか描けない愛の話だろう。気に入るかは分からないが、ぜひ一度目を通して欲しい。こんなのばかりあっても困るんだけどね。

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[投稿:2011-07-17 00:31:44] [修正:2012-01-22 22:24:38] [このレビューのURL]

以前のレビューでは現実的なサッカー漫画と書いていたけど、今考えると全く現実的ではないなw

この漫画は監督がまだ試合があるにも関わらず「おれの仕事は終わった」なんて言っちゃう位精神力勝負とめちゃくちゃな戦術の熱いサッカーが特徴なのでそういう意味では完成度は低い。
最終的には主人公以外がその引き立て役になってしまったのも残念だったしね。
10人+特別な1人のサッカーはあまり楽しいとはいえない。
ただ個性的なキャラと熱い展開は魅力的。
しかし、何よりもすばらしかったのはW杯編でのその空気感の描写。
監督の「弱き国、日本は金の力でワールドカップに初出場した。世界中からそう言われることになるんだぞ!」このセリフが全て。痺れた。

色々突っ込みたいことはあるんだけど、素直に熱い展開を楽しめる人ならおすすめ。
特にW編は恐らくその当時でしか出せない雰囲気が最高だったのでこれのために読んでみるのもありです。

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[投稿:2007-09-13 23:34:02] [修正:2012-01-22 22:23:45] [このレビューのURL]

6点 谷仮面

もう最高!!!としか言いようがないくらい大好き。
思春期の男の子の愛は最強なんですね、分かります。

あまりにも粗は多すぎるけれどもそんなことはどうでもいいんですよ。
そんな作品。
欠点といえば、やはり絵ですね。
この頃から勢いのある濃い絵は健在だけど、あまりにもスピード感がなさすぎるのが問題。
ただ、完全版での新たに追加された島さんの絵があまりかわいくなかったので良かったのかもしれない。

ハチワンが盛り下がってきたように思えるけど、ヨクサルさんはやはり谷仮面やエアマスターのような何にも考えずに読める物語が向いてる気がする。
将棋が好きなのは分かりますが、次はスポーツものとか青春ものでお願いしたいな。

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[投稿:2011-07-09 17:22:09] [修正:2012-01-22 22:22:59] [このレビューのURL]

ドラマがヒットしたのでほどんどの人が読んだことはなくても何となく設定くらいは知っているでしょう。

恐らく作者の作品の中でも一番登場人物が多い。主人公のヤンクミと白金学園の生徒と教師達、黒田一家の面々、その他もろもろ…。
そんなたくさんのキャラがいるにも関わらずごくせんにはモブキャラや記号的なキャラクターが殆どいない。それだけでも森本梢子の人物描写の細やかさが分かるし、何よりもこいつらが揃って魅力的なんだ!

そんな好感度の高いキャラが織り成すどこか気の抜けたコメディ。おもしろくないわけがない。
基本的には何にも考えずに笑わせてくれる作品。しかしたまにあるシリアスな問題や恋愛、青春ものなどのアクセントがうまく効いているから15巻と比較的長い話がだれずに続いたのだろう。
基本的にワンパなわけだが、ドラエモンとかその手の類型であって、安定感のあるおもしろさがあると思う。

森本梢子の長編は全てドラマ化されてるし、それなりに売れてるはずなのに何故か漫画読みの間ではあまり話を聞かない印象。ドラマが微妙だからかな?
間違いなく力のある作家さんだと思うのだけど。興味はあるけど何となく読んでないなんて人がいたらもったいないのでぜひおすすめします。

*ちなみにいわゆる仁義あるヤクザが登場する作品なので、そんな不謹慎な漫画は認めないなんてまじめな人は読まないように。

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[投稿:2011-08-31 01:52:37] [修正:2012-01-22 22:20:58] [このレビューのURL]

「ごくせん」で有名な森本梢子の警察コメディ。

警察犬並みの嗅覚を持つ新人刑事、花森一子(通称わんこ)がその能力を活かして捜査1課の仲間と共に事件を解決していくというのが大まかなストーリー。

笑える。これに尽きる。
警察、それも殺人事件を扱う捜査1課でコメディやっちゃうなんて不謹慎かもしれないけど笑っちゃうよ。だっておもしろいんだもん。
わんこのあまりの天然っぷりとか刑事らしくないゴスロリファッションはもちろん特筆すべき所だけど、その真価は捜査1課の個性的な面々との絡み。何人もの登場人物が絡み合って笑いをとっていくさまはまさに喜劇のよう。これほど良質な喜劇を読んだのはぶっせん以来な気がする。

もはや森本梢子は西森博之や佐々木倫子に並びうるコメディ作家になったのかもしれない。それほど独自のスタイルは完成しているし、何よりおもしろい。

何にも考えずに読みましょう。こんな作品も読まないと疲れちゃうよね。ちょっとした時間にパラパラめくって楽しめる作品です。

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[投稿:2011-08-31 01:26:30] [修正:2012-01-22 22:20:02] [このレビューのURL]

まさかマルドゥック・スクランブルが今さらコミカライズされるとは! それもうら若い新人女性作家に描かせるとは!…まあ間違いなく別マガ編集部は変態の集まりということで笑。

精神的にも肉体的にも虐げられ、文字通り殻の中にこもり続けていた少女バロット。
バロットは万能型ネズミのウフコックに出会うことで初めて殻を破り、感じ、傷つき、恋をし、戦い、進化する。
マルドゥック・スクランブルはバロットの成長譚だ。

原作小説は日本SF大賞を受賞しており、00年代を代表するSF小説の一つ。
ジャンルとしてはサイバーパンクSFに分類されるのかな。コミカライズということで、攻殻機動隊やBLAME!と比べてしまう人も多いでしょうがご安心を。おもしろい部分が全く違うので。
「レオン」をモデルにしただけあって、保護者に守られつつ成長する少女とその保護者との微妙な関係性が楽しめる作品。ボイルドの「徘徊者」もやはりレオンが着想の元だろうな。

原作はそのハードボイルドさが大きな魅力だったのに対し、大今良時はうまく少女の成長譚に的を絞ってコミカライズしている。
原作の改変もうまい。大筋は残しつつも畜産業者やフェイスマン辺りの説明はスパっとまとめ、独自の変更を加えていく。カジノ編に至った今となってはもはや原作と別物の大今良時版スクランブルとも言えるかもしれない。
バロットの才能やボイルドについてはもうちょい説明した方が分かりやすいとは思う。全てを知覚するバロットとウフコックへの執着以外の感覚を喪失したボイルドの対比なんかも。
絵は独自の色がありつつも、まだまだ粗い。伸びしろは大いに感じるし、オリジナリティと工夫が随所に見られて楽しめます。

畜産業者編までの出来は非常に良かった。しかし原作で傑作と名高いカジノ編はかなり見劣りするのが否めない。ここは漫画化が難しいだろうし、そもそも漫画で見る必要性を感じない話なので…と言えばそれまでだけど。

ベル・ウィングは私のお気に入りなのにこちらは微妙だったなぁ。これじゃルーレットはただのゲームに過ぎないし、ベルは何となくかっこいいだけのおばさんではないか。
原作でのルーレットはまさに”運命の輪”。バロットの「右に、回してください」という台詞は、今まで周りに流されっぱなしだった彼女が運命を自らの手で掴みとると決意したことを示し、その台詞はベルをも「右回りの人生」に回帰させる。だからこそベルは右に回し、バロットは「あの人みたいになりたい」と言うのだ。大今良時は最後だけ抜き出したわけだけど、それでは全く意味が通らないのでどうせなら全面的に作り直した方が良かったと思う。
「左回り」「右回り」と彼女の女としてのあり方を示したバロットとのやり取りは原作屈指の名シーンです。ここだけでも原作を見る価値はあるはず。てか”運命をねじ伏せる”はマルドゥック全体のテーマで、ボイルドとフェイスマンの問答を見る感じでは漫画版でもそれは同様だと感じていたんだけど違うのか?

現在はアシュレイと対決している所。持ち直しを期待します。序盤でのあの虚無的なバロットが最終回でどんな女性になっているのか、楽しみですね。

原作未読の方はもちろん、既読でもまた違った方向性で楽しめる大今良時版マルドゥック・スクランブル、おすすめです。かなり読みやすくなってるので敷居は確実に下がりました。
興味を持ったら原作の方も併せてどうぞ。こちらは傑作。

どちらかと言えばマルドゥック・ヴェロシティの方のコミカライズを見てみたいので、続いてこちらも期待。ついでにイースターのカオス理論に基づいたまだら染めのカラー絵も期待。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-09-08 01:20:49] [修正:2012-01-22 22:18:48] [このレビューのURL]

6点 泡日

 かなり作者がギリギリの位置に立っている短編集に思える。とは言っても「泡日」という作品集自体は高浜寛の他作品と比べてもかなり可笑しくて、ユーモラス。
 
 高浜寛は漫画家として決して楽な道のりを辿ってきた方ではないし、精神状態がかなり落ち込んでいた時期があるというのは色んな所で自身が語っている。泡日では高浜寛本人をモデルとした短編も描かれているが、やっぱりそこにおいても高浜寛は情緒不安定。
 でも現実においてどうかは知らないけれど、漫画において彼女は辛いことや馬鹿らしいことを笑い飛ばすことができる。それはやっぱり今までと変わらず“滑稽”で、生きていることを強く感じさせる。泡日は高浜寛作品の中でもとても可笑しい。しかし読んで笑いながらも、その裏に潜むものは決して明るいものではないことに気付いた時、何とも言えない気持ちになる。

 表題作「泡日」は中編ではあるものの、決して長くはないページ数の中でえっちゃんという人間はしっかりと浮かび上がっている。院長先生などの脇役だってそう。彼らは私達と同様に面倒くさい人生を生きている。だからこそ面倒くさいけれど、面倒くさいことを笑ってやろう、こちらまでそんな気分になるのだ。
 高浜寛の転落する一歩手前の瀬戸際で、それでも自分を笑い飛ばせる強かさ。それは決して悲壮な笑いではなくて、とっても前向きなものだ。すごい人。

 作品の多くは大まかにはラブストーリーになるだろう。でも高浜寛はもはや変わらない愛なんて、純愛なんて幻想を信じてはいない。現実にはごたごたが付いてくるわけで、ずっと高校生ではいられない。
 それでも高浜寛は愛という言葉を口にするんだよなぁ。何か恥ずかしそうに、手が届かないものであるかのように。“こんな時代に愛のある話じゃないか?”…本当にそうなのだ。やっぱりこれは大人のラブストーリー。しっかり地に足ついた人間の物語。

 やっぱり高浜寛の作品は良い。決して読みにくくはないのにしっかり現実とつながっているから読むのにエネルギーを使う。そしてそのエネルギーの分だけ良い物語を読んだ充実感を与えてくれる。一番地味な印象があるけれど、他の高浜寛作品を読んで気に入った方はこちらもおすすめ。

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[投稿:2012-01-18 23:24:31] [修正:2012-01-18 23:24:31] [このレビューのURL]

 DCスーパーヒーローズはアレックス・ロスとポール・ディニに手がけられた作品が一つに集められたもの。スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン、キャプテン・マーベルの4人のヒーローそれぞれの中編に加え、DCの主だったヒーローのオリジンを描く「JLA:シークレット・オリジンズ」、JLAの未知のウイルスへの奮闘を描く「JLA:リバティ・アンド・ジャスティス」が収録されている。

 日本で初邦訳のものはワンダーウーマンとキャプテン・マーベルのものだけで、他はJIVEなどで個別に作品が刊行済み。しかし絶版によってとんでもないプレ値になっていたので、それらを持っていない私にとってはこの値段でさらに合本となると、まあありがたいことです。
 この調子で小プロにはバットマン:ブラック&ホワイトやマーヴルズあたりを再刊してもらえると、小プロのアメコミ邦訳中断期前の作品は大体揃うはず。ぜひぜひお願いしたい所。

 まず目を惹くのはやはりアレックス・ロスのアート。キングダム・カムをまだ読んでいない私はこれがロス初体験だったのだけれど、アメコミ界最高のペイント絵師の名に違わずすごい。特に力を入れている絵なんて本当に映画かと見紛うほど。巻末で解説されているように、わざわざモデルを使って描いているそうでとんでもないです。
 ただ写実という点で頂点に立つ絵師だろうなと思った一方、ロスの絵を見ると漫画的な絵が恋しくなっちゃうのも正直な所。実はあまり好みではなかったりするんですが、すごさは認めるしかないよなぁ。

 内容面では何というか、味わいがすごく似ている作品が多い。どのヒーローも勝ち得ないものに立ち向かい、苦悩する。そして彼らはみんなあくまで“人間”なのだ。特にスーパーマンやワンダーウーマンの話は古いワインを新しい皮袋にじゃないけれど、やっていることは結局GL/GAと変わらない。
 似たテーマを扱っているからこその作品集なのだろうけど、正直色んな意味で相互が似ているし、新鮮味はあまりない気がする。キャプテン・マーベルやバットマンの話はわりと好きです。

 JLA:リバティ・アンド・ジャスティスに関しては、これまでJLA自体を見たことがなかったので、かなり新鮮に楽しんだ。特にジョン・ジョンズとか、DKRの時なんて特に謎に思っていたので助かります。
 でも特筆してこれ!っというのがあるかというとあまりなくて、単純にヒーロー同士の共演を楽しむ部分が強かったりする。これも“人間”を強く意識しているのは同様だけれども。

 テイストの近いDC作品やシークレット・オリジンズが収録されているというのもあって、DCを知るにはわりと良いんじゃないかと。これが典型かというと、多分そんなことはないけれど、どのヒーローがどんな感じかというのはそれなりに理解できる。
 そういう意味ですごい傑作というわけではないけれど、やはりDC好きなら必読の作品。DCキャラクター大辞典と併せてDC入門におすすめです。

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[投稿:2012-01-15 12:21:26] [修正:2012-01-15 12:21:26] [このレビューのURL]

 ショーン・タンのある少女の一日を描いた絵本。一コマ漫画。

 誰しも何となく憂鬱な日というのはあるだろう。誰も自分のことを考えてなくて、何にも素敵なことは起こらなくて、つまらないことばっかりが訪れる。そう、まるで世界に見放されたような…。ショーン・タンがそんな暗い何かに囚われてしまった少女を描いたのがこのレッドツリーだ。

 以前レッドツリーは同出版社から“希望まで360秒”という副題をつけられたものが刊行されていた。昨年日本でのショーン・タン人気の高まりを受けてか、あまり評判のよろしくなかった副題を取り除き、一回り大きなサイズの新装版が再び刊行されている。
 やっぱりショーン・タンの素敵な絵と魅力的なカラーリングは新装版の方がより際立って楽しめる。高いなと感じる方は英語はちょろっと絵に挟まれるくらいなので、洋書の方も選択旨に考えるとよいかもしれない。

 誰にも自分を分かってもらえない。窓の外を見ると、自分以外のみんなは楽しそうだ。そんな孤独感と寂しさをショーン・タンは奇抜だけれど、本当に私達の心の中を覗いているかのような想像力で絵に仕立て上げる。心の中には迷宮があり、怪物が巣くう。
 もちろん一枚の絵だけを見ても、素晴らしい。ただこれ程までに心に迫って、少女に深く共感してしまうのはやっぱり私にもこんな一日が訪れることはあるからだ。

 もちろん落ちることもあれば上がることもあるわけで、いつまでも沈んでばかりではいられない。最後には素敵な出会いが少女を、私達を待っている。

「時には、何も楽しみなことのない一日が始まることもある」

 そんな日にはレッドツリーを読むとちょっとだけ希望を分けてもらえるかもしれない。そして寝る前に読めば、明日はきっと何か良いことがあるはずだ、そんな気持ちにさせてくれる。

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[投稿:2012-01-15 11:49:12] [修正:2012-01-15 11:49:12] [このレビューのURL]

 これはすごい。ケンタウロスなのに、気付けば彼らに笑い涙しそうなのがすごい。ケンタウロスなのに…。

 ま、ケンタウロスって時点で大体の人はまともな漫画は期待してないじゃないかと思うわけで。だってケンタウロスですよ。これ以上ないクラスの色物ですよ。半人半馬ですよ。
 実際最初の話はそんな期待にしっかりと応えてくれる。会社員として働くケンタウロス、健太郎。もはやだって名前があれでしょ、笑わざるをえないでしょ。そんなこんなで良くこれだけ尽きないなと感心するような質の高いケンタウロスネタが続いて最高に盛り上がる。

 でもこれだけだったらこの漫画ってないようで、実はけっこうある一発ネタの漫画の範疇にすぎないのだけれども。いわゆるテルマエ・ロマエや聖おにいさんのような斜め上の発想とその鮮度をどれだけ保てるのか、という話になってくる。
 そう考えているとまた全然勘違いしていたことに気付かされてしまうわけで。要はえすとえむは本当にケンタウロスを現代社会に放り込みたかったのだ。現代社会に生きるケンタウロスを描きたかったのだ。健太郎の話から生まれる笑いというのは多分、それらの副次的な要素にすぎなかった。

 前半の健太郎シリーズが終了した後、笑いは控えめになる。読者が慣れてしまったということもあるのだけれど、多分慣れさせられてしまったのだ。もはやここはケンタウロスが実際に人間と共に働いている社会。
 異物ではなくて、異分子となったケンタウロスは急にピエロではなくて社会のマイノリティの様相を帯びてくる。ギャグではもうありえない。「Papa told me」のように、都会で寂しく生きる人々の気持ちを繊細に描いていく。彼らの生き様に、友情に魅せられ、涙する。

 でも読み終わってはっと気付く。ケンタウロスだよ!?半人半馬だよ!?…いや、なかなかない経験ですよこれは。ケンタウロス漫画と聞いて想像していたものがいつの間にか変質し、違うものになっていく。すごい才能のような、でも才能を全力でどぶに投げ捨てているような。でもとんでもない漫画であることは間違いない。

 ちなみにBL部分は時に“友情”部分が気になることもあるけれど、表立ってはいないので別に気にならないレベル。苦手な人でも大丈夫だと思います。
 色物なのか、そうではないのか、でも結局やっぱり色物だよなと思いつつ。これは一読をおすすめしたい漫画。ケンタウロスのとりこになるやもしれない。一応1巻完結のようだけれど、また別に描いてるようで、続きも出そうではあるのかな?出オチでは確実にないので、続刊がいつかでることを期待してます。

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[投稿:2011-12-11 00:48:52] [修正:2011-12-11 00:48:52] [このレビューのURL]