「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

この世に未練を残して死んだ人を成仏させてあげるというコメディ路線の話。

設定がありきたりで、話の展開も最初のうちはどこか既視感があって、要するにとてもベタな感じです。
絵柄もテンポも雰囲気もいかにもな少女漫画。
ただこういう系統の作品だとどうしても「いい話」系の話に偏りがちになってしまうところですが、
ギャグやドタバタも過剰すぎない程度に盛り込んで、恋愛要素も無いように見えて後半はそうでもなく、
少女漫画らしくない話をいかにもな少女漫画として上手くまとめ上げているようにも思えます。

そしてそういうのに油断していると不意にいい話があったりして。
千里ちゃんの花火の話なんかかなり良かった。
軽く読みやすい感じなのでそこまで深みはないですが、思っていたよりずっと楽しめた作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-16 16:06:22] [修正:2011-06-16 16:07:57] [このレビューのURL]

穏やかな世界と、マリィの優しい微笑み。

これは良質のファンタジー。
今までどちらかと言うとまず画力ありきという印象だった作者に、世界観とストーリーが追いついた感じ。
しっかりとした世界が、違和感なく、緻密に、丁寧に、作り上げられています。

ゆったりとした流れを感じさせる上巻と、怒涛の展開を見せる下巻との対比が面白いです。

ラストでの立て続けのどんでん返しは正直予想の範疇ではありましたし、どこまでが真実かも
意図的にある程度ぼやかされて描かれてはいますが、この作品はミステリーなどと違って
謎を解くのが目的ではなく、種明かしも作品を形成する1つの要素にすぎません。
何だか幸せの定義についてもいろいろと考えさせられてしまいます。
人類にとってどちらが幸せだったのか。 個人として何が幸せなのか。
その辺の構成が実に巧みな良作。

最後まで読み終わった後に上下巻の表紙を並べてみるとよくわかります。
作者が最も描きたかったのは、きっとこの光景だったのでしょうね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-12 16:34:19] [修正:2011-06-12 16:34:19] [このレビューのURL]

互いに言葉の通じる様々な野生動物がトーナメントで最強を決める漫画。

作者が相原コージ氏だけにギャグ要素が強いものの、ちゃんとした真剣勝負を描いていますし、
動物に関する薀蓄なんかも細かく挙げられていて興味深いです。
「この動物とこの動物が戦ったらどっちが強いんだろ」なんていう妄想を現実に描いてしまった作品。
作者これ凄く楽しみながら描いているだろうなー。

難点を挙げると、薀蓄を入れたいがために無茶な展開になってしまったり、そもそも勝敗自体
作者の勝たせたい動物を勝たせるために強引とも思える勝負の付け方になってしまっていること。
説得力のある展開と言うよりは作者のさじ加減一つという感じ。

まあそうは言ってもこのおバカな雰囲気がやっぱり楽しいのです。
こういうネタ的な漫画は楽しんだ者勝ちだと思うので。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-12 16:31:35] [修正:2011-06-12 16:31:35] [このレビューのURL]

4点 flat

確かに書店で「よつばと!、マイガール、うさぎドロップと来れば次はコレ!」みたいな感じで
プッシュされていたのをよく見かけましたね。
個人的に他の3つはかなり楽しめたのですが、これはダメでした。

自分の中で何がこの作品と合わなかったのか。 他との違いと言えば、他の3つは子供が女の子ですが
これは男の子だからダメなのか。 いやいやいや……。

この作品、主人公の平介がポーカーフェイス気味で抑揚の無い超マイペースキャラなので、
話作りで全体を盛り上げていければ良いのですが、
肝心のストーリー展開がのんびりまったりダラダラしてさらに抑揚も強弱も無く、読んでいて辛い感じ。
秋くんの表情やしぐさのかわいさが作品の唯一の長所になってしまっています。

半音下がったという意味のフラット(♭)ではなく、もはや平坦で起伏がないという意味のフラットにしか
読み取れなかったです。
ノンフィクションではなく漫画作品なのだから、やっぱり展開に山とか谷とかが欲しいところ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-08 16:39:33] [修正:2011-06-08 16:43:22] [このレビューのURL]

自分の中で史上最高のゲーム(の1つ)である同タイトルを見事にコミカライズした作品。

もともとゼルダの伝説というのは、どちらかと言うとストーリーを楽しむというよりは
プレイしている感覚を重視しているゲームではあるのですが、
この漫画はそのストーリー部分が全2巻に凝縮されていて、とても上手くまとまっています。
その分かなり展開が速いです。 まあ掲載誌(小学五年生、六年生)を考えれば、
このぐらいのテンポの方が子供たちも飽きずに読めて良いのかもしれません。

この作者はゼルダの伝説シリーズの漫画版を多く手掛けていて、後の方の作品だと
漫画オリジナルの設定やキャラなども結構(もちろんゲームの世界観を壊さない程度に)出てきますが、
この作品はコミカライズ第1弾ということもあってか、ゲームの内容に忠実に描かれています。
短いながらもゲームの世界観を十分に活かし、ドラマ性を存分に描いた作品。
ダンジョン等の冒険とか謎解きの描写がおざなりなのでそこが残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-06-08 16:36:53] [修正:2011-06-08 16:36:53] [このレビューのURL]

とにかく一言。 面白いです。

他の方のレビューにもありますが、史実と虚構とのバランスが絶妙です。
出自不詳の者や「史記」等であまり触れられていない者にもスポットを当てて魅力的な人物に仕立て、
数多くの登場人物を上手く動かしながら、壮大な歴史ドラマを紡ぎ上げていく手腕が抜群。
この作者はスケールの大きな人物を描くのが本当に上手いですね。
どちらかと言えば少年漫画的なノリで、熱量が半端じゃないです。 読んでいて熱くなれる作品。

最近は戦の場面が長すぎたりして、どうもテンポが悪くなっている気がします。
また、一部の超人的な武将が強すぎたりと、歴史ロマンではなく戦場バトルものになりつつあるので、
そこをうまく修正していければ今後比類なき名作になる可能性ありです。

井上雄彦を師匠とするだけあって、絵はかなり上手いと思うんですけどね。
特に戦場のシーンにおいて、あれだけ描き込みが細かいながらもゴチャゴチャせずに読みやすく、
迫力や緊迫感が存分に伝わってくるのは大したもの。
ただし人物の顔、特に目の描写が独特すぎて、そこがお気に召さない人も多いのかもしれません。

この作品の最大にして最強の敵、それは 「読まず嫌い」。
実際に手に取って読んだ人だけが体感できる、古代中国の大河ロマン。
熱い漫画を求めている人にお薦め。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-29 16:45:30] [修正:2011-05-29 16:51:20] [このレビューのURL]

すごく柔らかく、それでいて凛としている表題作。

意外性やどんでん返しなどとは無縁な作風で、そんな展開は起こるべくもないですが、
それでもこの終わり方は今まで読んできた漫画の中でもかなりの出来。

幸福、悲哀、充足、寂寥、出会い、別れ。
様々な感情、想いが入り交じりながら形成されたこの作品。
普通は色を重ねていくとどんどん濃く黒くなっていくものなのに、この人の漫画は違います。
そういう想いを重ねていくとどんどん透き通っていく。 実に不思議。

奥ゆかしいまでの、純然たる「積極」。
タイトルから何からすべてがほぼ完璧。 参った。
読み終えて読者の心に一片の光が射すような、そんな温かみのある作品です。


その他2作品収録。 その他扱いして申し訳ないですが、その他としか思えないぐらいに
表題作にインパクトがありました。
ただその中でも「スパイラル ホリディ」はテンポも構成もラストも良く、良質なドタバタコメディ。
「風の道」は普通の少女漫画かな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-29 16:40:51] [修正:2011-05-29 16:41:54] [このレビューのURL]

ミステリー要素が満載のダークファンタジー。

「不思議の国のアリス」をフィーチャーした(らしい)世界観。
謎が謎を呼び、読み進めていくごとに少しずつ全貌が明らかになっていく構成。
絵は綺麗だし、話もよく作り込まれていると思います。
また、良質なギャグ部分が世界観を上手く崩してくれるおかげでシリアス一辺倒にならず、
読みやすく親しみを持ちやすい作品となっています。

ただし、特に序盤は見せ方が上手くないです。 言い回しも妙に回りくどかったりして。
結果、最初の頃は非常にわかりづらく、何が起こっているのかさっぱりわからん。
種明かしのときぐらい正面から真っ向勝負でやってほしい気もしますが、
何事も斜に構えているのが最近の風潮なのか。
ストーリーも小ネタも面白いと思えるだけに、その辺りで好みとちょっと合わないのが個人的に残念。

それでも、作品世界に馴染んでくる頃には、いつの間にか全体像が何となくわかったようなつもりに
なっていて、どんどん先が読みたくなってくるから不思議。

登場人物も個性豊かで魅力的。 多すぎず少なすぎずで、キャラ達を作者が上手く制御できています。
でもみんな話せばわかるような理知的なキャラに見えてしまうのは、全体のバランスを重視した結果か、
それとも単に作者の実力の程なのか。
もっと狂い咲くようなキャラが主人公を喰うぐらいの魅力を発揮してくれても良いかも。

とグダグダ書いてきましたが、簡潔に言うと、話が進むごとに面白くなる作品。
コミックスでまとめて読みたい作品ですかね。 雑誌で読むと次号までに忘れそう。
どうでもいいけどこの手の話って本当にオッドアイとかアルビノとかの設定が好きですね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-24 00:46:38] [修正:2011-05-24 00:46:38] [このレビューのURL]

面白いと周囲で評判だったこの作品。
友人に借りて読んでみましたが…、当初はあまりに面白くなさすぎてビックリしました。
そもそも、女子の3分の2が恋に落ちるという矢野くんがちっとも魅力的に見えないから困ります。
自分は残り3分の1なのか、とか思いながら、借りた手前仕方なく読み進めることに。

作品の独特のテンポにもちょっとずつ慣れてきた頃、とある出来事をきっかけにして
矢野くんが七美ちゃんのために必死に行動し始めるようになり、急に人間臭くなって良いキャラへ変化。
そうなると不思議なもので、だんだん尻上がりに面白く感じてきました。
その頃には今度は七美ちゃんの弱さがクローズアップされてきて、本当に報われない竹内くんの
切なさともども、知らぬ間に作品世界へと少しずつ引き込まれてしまいます。

とは言え、登場人物の気持ちは全く理解できないし、ちっとも前に進まない関係にやきもきしたりで、
そこまではよくある普通の少女漫画の範疇。
しかし他の方のレビューにもあるように、途中から急激に面白くなり始め……。
何だこれ。 どえらいことになってきた。 これがみんなの言ってた超絶展開ですか。
だから「僕等がいる」ではなくて「僕等がいた」なのか、なんて考えてみたり。

確かにこれは続きが気になります。
でも、どうも人の不幸を食い物にしているような気もして、のめり込みづらかったりするんですよね。
あとしつこいようですが、話が進んでもやっぱり登場人物の気持ちが理解し難いです。

作中のとある登場人物の言葉が、この先の展開を何となく暗喩している気がしてなりません。
「……みんなが、幸せになるわけには、いかないのかなぁ」

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-19 00:34:22] [修正:2011-05-19 00:37:21] [このレビューのURL]

作者の変態的な自叙伝。
小学生のときに学校に一升瓶を持ち込んで日本酒を飲むとか滅茶苦茶すぎます。

「きのうのわたしはよっぱらいであって、わたしじゃないのよ」
「(昨日の記憶が無く、部屋の惨状を見て)きのうのわたしはきっと楽しく幸せだったにちがいない」
「これはウーロン茶よ。 ビールという名のウーロン茶なのよ」
「(二日酔いの朝、冷蔵庫にビールしか無く)しかたないから、むかえ酒にチャレンジー」
「あんまり期待されたりするとわたしはダメらしい。 ボルテージあがらない。 チン○と一緒だ」

作者とお友達になりたい。
 

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-19 00:30:33] [修正:2011-05-19 00:30:33] [このレビューのURL]