「勾玉」さんのページ

総レビュー数: 160レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月21日

じわじわと日常が非日常に蝕まれていく様子にリアリティがあり、
日本を舞台にしたゾンビ物という、本来は不釣合いな舞台設定にも違和感はない。

刻々と変わっていく状況は没入感があり、巻を追うごとにますます目が離せなくなっていくが、
主人公の気持ち悪さだけは最後まで慣れることはなかった、ヘタレで優柔不断、
ストーリーを通してさしたる成長もなく、女に対してもだらしない、と良いとこ無し。

主人公の英雄(ひでお)が出てこないパートも充分面白かったので、
別人を主役に据えてればもっと評価出来る漫画になっていたかもしれない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-04-24 21:45:00] [修正:2020-04-24 21:45:18] [このレビューのURL]

7点 惡の華

[ネタバレあり]

第二次成長が始まり心身ともに変化の訪れる思春期、不安定なバランスの中で
鬱屈した感情が衝動的な行動に走らせる、というのはよく聞く話だ。

この漫画の主人公もそんな思春期の真っ只中にあり、
そこに中村さんという存在がトリガーになって暴走を始める。
だが特別不幸な生い立ちにあった訳でもないのに、
あそこまで自暴自棄な行いを繰り返したことは実のところあまり共感できていない。
周囲を巻き込みながら罪を重ねていく様子も
現実から必死に逃避しようともがいているようで痛々しく、
ページをめくる手も重くなっていった。

自分がこの漫画を楽しんで読めるようになったのは、
高校生になった彼が過去を背負いつつも前へ踏み出そうとし始めた後半の物語の方だ、
同級生の常盤さんとの恋愛模様も加わり前半とはうってかわってスラスラと読むことが出来た。
後半の展開は割と普通の青春漫画のようでもあるが、
前半の後ろ暗い過去がバックボーンとなり思春期の浮き沈みをより引き立たせている。
終わり方もまた良い、女子の体操着を盗んだところから始まり破滅の道を突き進んでいた物語が、
まさかこんな晴れやかな結末見せてくれるとは、予想外の嬉しい誤算だった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-12-15 09:56:30] [修正:2020-03-23 02:31:41] [このレビューのURL]

キャラの表情が大袈裟だったり、シーンに不釣合いに感じたりなど、
細かい部分で引っ掛かりを感じることが多い漫画。

とりわけ不可解なのは、鬼の親玉の名前が独自文字で表記され、
なんと読めばいいのか終始分からないこと、
そのくせ人間含め登場人物達は普通にその名前を作中で口にしているため、
その名前が会話に出る度に発音できる名詞ならカタカナで表記してくれよ、
と苛立たしく思ってしまう。

あとはレイが「とりま」というSNSの流行り言葉を使っているとこもイラっとさせられたし、
ノーマンが無意味な角度から吊るしたロープ片手に垂直壁登りを披露するシーンなんかは
現実離れしすぎていて、足の裏にチャクラでも練ってんのかと失笑してしまった。

世界観は斬新で設定も凝っているが、上記含め様々な要因が邪魔をして
気持ちよく読み進めることが出来ない作品になっている。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-03-12 21:02:21] [修正:2020-03-12 21:02:21] [このレビューのURL]

チンチロ編の濃密な面白さが素晴らしい、個人的にはカイジで一番面白いのがこのエピソードだと思う、
前作の限定ジャンケンも良かったが、相手をやり込める痛快さでこのチンチロ編に軍配が上がる。
続く沼編が長すぎるのは玉にキズだが、全てが結実するラストで全部吹っ飛ばしてくれた、
これ以上無いくらいのエンディングだけに、ここで終わっておけばなあという思いは拭えない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-03-07 19:59:33] [修正:2020-03-08 16:26:10] [このレビューのURL]

限定ジャンケンを初めとする独自且つ命がけのゲーム、
悪党共の妙に説得力のある弁舌、「ざわざわ」という描き文字、
そして刺さりそうなアゴ。
他の漫画とは一線を画す、オリジナリティに溢れたセンスの塊のような漫画。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-03-07 18:54:33] [修正:2020-03-07 18:54:33] [このレビューのURL]

1巻は未来予知ロボット(ピッピ)の自我の目覚めと
その危うさを焦点にして話が進む。
率直に言えば、もうこの時点で面白いし
後はこれを突き詰めていくだけで、充分名作に成り得ると思うのだが
そんな予想とは裏腹に、多くの謎と奇怪な現象をはらみながら
2巻はさらにストーリーがステップアップしていく。
すでに自分の想像の域を越えた展開に期待が膨らむ反面、
風呂敷を広げすぎて着地点がおぼつかなくなりそうな不安も大きい‥。

全てを収束させて傑作となるか、風呂敷をたためず凡作で終わるか、
完結しないことには、真の評価は下せないけど
いずれにせよ話の魅せ方が卓越しているので、一気に読ませる面白さがあります。

(2020.1.31追記)2巻発売から早や8年、完結どころか続巻の刊行も無さそうなので1点減点しておきます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-01-02 18:52:37] [修正:2020-01-31 06:11:43] [このレビューのURL]

今まで読んだ漫画の中で一番ハラハラドキドキさせられたのが、この漫画。
物語の大筋は主人公がヒロインを救いに行くというラブストーリーだが、
そこに至るまでの道中には、様々な出会いとエピソードがあり
狂気の社会に翻弄される美醜交えた人間模様の数々が描かれている。

おぞましい世界で展開する物語は、常にどう転がっていくか予想のつかない怖さがあり、
反吐が出そうなほど救いの無い結末で終わるエピソードもあれば、
胸を撫で下ろし心底ホッとするハッピーエンドな話もありと、
初めて読んだ時は、ひどく感情を揺さぶれた。

下ネタの頻度や強烈さで確実に人を選ぶ作品だが、
それでも一度は読んでみてほしい快作となっている。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-10-24 15:12:52] [修正:2020-01-20 06:47:34] [このレビューのURL]

忍術は派手で女性キャラは艶やか、スピーディーな展開で繰り広げられる
一進一退の攻防も目が離せず、一気に読ませる良作。
個人的にはNARUTOと共に忍者の地味で古臭いイメージを打破した作品と評価してます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-01-04 22:23:03] [修正:2020-01-04 22:23:03] [このレビューのURL]

鬱系じゃない方の阿部共実作品。
相変わらず表現力の卓越した作者だと思う、背景の一つ一つにすら趣があり
そのまま文芸誌の表紙でも飾れそうなコマが溢れている。
主人公の台詞とモノローグも思わず朗読したくなるほど詩的で、
物憂げな思春期の心の揺らぎを情感たっぷりに描いていた。
ファンタジー要素も入っているが、良作青春物だ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-12-24 07:20:34] [修正:2019-12-24 07:21:33] [このレビューのURL]

8点 寄生獣

大抵の場合、哲学なんて語られても堅苦しくて説教臭く感じてしまい
「ご高説ありがとうございました」と言いつつ、半分以上は右から左に垂れ流しだ。
堅苦しいで終わればまだいいが、下手に手を出せば
作品全体を安っぽく見せてしまうことだってある。
そんな扱いの難しい哲学要素がこの漫画にもガッツリと盛り込まれているが、
話の流れを遮ることなく自然と物語の中に溶け込んでいるので堅苦しさは感じない、
それ以前にストーリー自体が「生命とは何か」を考えるプロセスのようになっており、
一貫したテーマとメッセージ性はむしろ心地よくすらあった。

とはいえ、そういったメッセージが映えるのはアクションサスペンスとしての
面白さが土台としてあったからだろう、
常にスリリングな展開を維持し日常が脅かされていく物語は哲学要素など無くても充分に面白い。
そしてそこに軸となる生命のテーマを置くことで、多重構造的な面白さをも実現している、
サラッと読んでもジックリ読んでも楽しめる懐の深い作品だ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-12-20 11:13:31] [修正:2019-12-20 11:48:27] [このレビューのURL]