「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

人間と喰種の争いをベースにその中で生きていく「人」を描く。
キャラクターはみな争いを虚しく感じながら生存のために争い続ける。
虚しさと怒りが極端に強く現れて、物語をスピーディに展開する。

ぶっちゃけ人間も喰種も違いはない。
外見も同じ、言葉も通じる。文化も共有してるし、生殖も不可能ではない。
だが、喰種は人間を食べなければ生きられない。これが争いの源。

ありふれた設定で読者にはわかりやすい。
それでいて主人公の数奇な運命や、そこまでやるかと思わせる過剰さにページをめくってしまう。
絵ヅラはグロいがよくできた娯楽漫画。

生きるためには争いに勝たなくてはいけない。
勝つためには力が必要、という身も蓋もないメッセージを端的につきつけてくるのが潔い。

その絶対的なルールの中で唯一の特別である主人公がどのような結末に至るのかが楽しみ。

この作品巻で完結し、東京喰種:re(トウキョウグール:アールイー)として直接の続編が連載中。
内容的には一連のものなので、新章開始に際してタイトルを改めたと言うべきか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-09-26 15:13:43] [修正:2015-09-26 15:13:43] [このレビューのURL]

良いか悪いかはともかく、自分に描けるものを精一杯で描き切ろうとする漫画。
ちょっとした台詞回しや絵ヅラの作り方、キャラの立て方にマニアックな拘りが盛りだくさん。

とにかく目前の敵をノリと勢いに任せてガンガン潰していくことが全て。
製作に尋常でない手間がかかるので長期連載は避けられないだろうが、
その勢いを作者、読者ともにどれだけ維持できるかがポイントになるだろう。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-11-26 18:44:56] [修正:2015-03-01 02:59:53] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

平凡な少年が魔王ダンテに食われて合体。
はるか昔から続く神と悪魔の戦いに巻き込まれる漫画。

演出がやたら劇画調でサスペンスが強く読者は続きが気になる。
期待をもりあげて登場する魔王ダンテは単純ながら非常にすぐれたデザインで、まさに悪魔そのもの。
おそろしさと滑稽さをあわせもつ魅力的な姿で大暴れしてくれる。

華々しく登場したダンテは神の軍団との壮絶な怪獣バトルを繰り広げる・・・
はずだったが、雑誌の休刊にともない決戦の直前で連載終了。

「神」がエイリアンの侵略者というのが戦いのネタ。
古代の地球にすぐれた文明を築いていた原地球人がおり、
そこに精神体の「神」が宇宙から飛来して原地球人と激しく争う。
「神」は猿に乗り移り進化を促して「人」の軍団を増強。
劣勢となった原地球人は機械や動物と自らを融合させて「悪魔」になっていくという話。
こうして「神」+「人」vs「悪魔」の生存競争を描いているのだが、
ぶっちゃけ設定はどうでもいい。
若者の破壊衝動や大きく強いモノへの憧れ、周囲から逸脱してしまう事の孤独感を娯楽マンガに表現しようとした作品。

点数の7点は説明が必要。魔王ダンテはよくできたマンガではない。
ハッタリは効いているが中身はスカスカだ。それでもテーマが普遍的で
しかも物語冒頭からストレートにぶつけてくるので、すごく続きが読みたくなる。
また物語らしい物語になっていないので妄想の余地が大いにある。
馬脚があらわれる前に手仕舞いしたのが結果としてプラスになり7点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-02-20 18:34:29] [修正:2015-02-20 18:34:29] [このレビューのURL]

高校生バスケを題材にしたスポーツ漫画。
アメリカNBAのプロバスケットボールのように、スターを散りばめて
華やかな必殺技の応酬と勝負の緊張感が楽しい。

ページをめくると何かが起きて楽しい漫画。
ただし、展開が少年漫画的すぎてもはやほとんどバスケットの枠をはみ出しそう。

運動能力で負ける→気合で対抗→隠し技→覚醒→こっちも覚醒、といった
暑苦しい応酬が延々続く。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-07-11 14:33:16] [修正:2013-07-12 11:15:40] [このレビューのURL]

ヤクザ組織に潜入捜査する警察官の話。
泥臭い絵柄でオシャレさは欠片もないが、それすらも作品の魅力にとりこんでしまっている。

面白さで言うと海外ドラマ24の初期シリーズに近い。
次々に危険がせまり追い詰められた主人公がどうやって危険を乗り越えるかがポイント。
単行本10巻まで読んだところでは、このサスペンス要素は非常に成功している。
絶体絶命の状況を演出し、打つ手なしに見える場面で主人公が何とかする。
この繰り返しはやはり気持ちいい。

ストーリー本筋の語り方も巧み。
ヤクザにはヤクザの事情がある。凶暴だが人間的に魅力を感じる。
警察には警察の事情がある。一般市民を蝕む麻薬犯罪を抑制しなければならない。
読者はヤクザと警察の狭間でややもすれば揺れる。
だが主人公は迷わない。最終目標であるヤクザの大ボス逮捕へ向けてひたすら突き進む。これも気持ちいい。

まとめて読むとえづきそうなほど濃い漫画なので、ちょっとずつ読むのがよろしかろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-07-01 09:41:05] [修正:2013-07-01 09:41:05] [このレビューのURL]

2030年の社会を舞台に狂四郎とユリカが結ばれるまでを描くエログロバトル漫画。

作品全体のテーマは、恋人のためならどんな辛いことも乗り越える、ということ。
2030年はとても過酷な世界で狂四郎とユリカは次々と苦難に遭遇する。
2013年の私から見ると、とても耐えられないような試練を2人は
知恵・力・勇気・意志で受け止めていくのが感動的。

作品の工夫は舞台の設定にある。とにかく過酷。
作中の2030年は道徳やイデオロギーなどの建前が無効で、
誰しもが自分の欲望のために行動するのが当たり前の社会になっている。
そこには善悪はなく、切羽詰った事情が露骨に表れている。
狂四郎とユリカの愛も欲望のひとつでしかなく、2人は互いのために罪を犯し続ける。

生きることが苦しく、生きる意味である愛も苦しい。
苦しさを紛らわすために下ネタとエロシーンが頻繁に挿入される。
これで笑うこともエッチな気分になることもないが、ともかく息苦しさの緩和には役立っている。

この作品は徳弘正也の個性が良い形で現れている。
エログロナンセンス、愛、シビアな人間観。
よくぞここまで掘り下げて描ききってくれたと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-06-08 14:27:12] [修正:2013-06-08 14:27:12] [このレビューのURL]

7点 ARIA

ベネチアみたいに船で街を観光するのって優雅でいいよねーという漫画。
話らしい話はなく水の惑星での心地よい生活を短編形式で描いた漫画。

街のあちこちにこんな面白いところがある。
今日はこんなお客さんが船に乗った。
季節のお祭り。同僚や先輩との交流などなど。
平和な暮らしに安らぎを見出すエブリディマジックの系譜に連なる作品。

その安らぎや優等生ぶりは非現実的でうっとうしいほどではあるが、
舞台を別の惑星にしたことで、どうにか折り合いをつけた。

毎話ごとにキレイな風景が決めゴマとして登場する。
そこに説得力を感じるならば、高く評価できるだろう。
1巻から12巻までテーマを外すことなく高いクオリティで描ききった良い作品だと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-21 00:09:28] [修正:2013-05-21 00:09:28] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ラブコメサスペンス漫画。
離島の中学校に少年西神くんが転入する。
突然ヒロイン若苗さんが死亡。そして蘇生。
蘇生には、島の蛇神ハハネ様が関係しているらしい。
次から次にやってくる災難トラブルその他諸々。
西神くんと若苗さんは数奇な運命を乗り越えてハッピーなカップルになれるか?というお話。

ラブコメ部分は、西神くんと若苗さんが互いに少しずつ心を開いていくところがいい。
サスペンス部分はツジツマの会う推理モノになっている。
ラブコメの緩い感じとサスペンスの緊張感が上手くあわさって読んでいて気持ち良い。

残念ながら原作者急病により物語の中盤で中断。再開が待ち遠しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-11 13:16:00] [修正:2013-05-11 13:16:00] [このレビューのURL]

桜庭一樹の同名小説のコミカライズ。
少女が世界の残酷さと向き合っていく話。


 山田なぎさは、家庭に問題があり早く自立したい。
収入、職業、資格、そういったものを「実弾」と
彼女は呼んでおり、生きていくための「実弾」を欲しがっている。
 転入生、海野藻屑(もくず)は虚言癖の美少女で、
自分を人魚の姫だという。
藻屑はクラスに受け入れられない。
なぎさは藻屑に反感を抱きながらも、懐いてくる藻屑を拒否できない。
 なぎさの兄は、そのような藻屑の言動を、何も打ち抜けない砂糖菓子の弾丸のようだと評する。


田舎町の穏やかで心地よい閉塞感、少年少女の頼りなさや純粋さなどが
よく描けている。
周囲で見守っているつもりで子供を救えない大人たちとの距離感もいい。
かなり重たいテーマなので、気軽に読める漫画ではないが、
好きな人にはたまらないだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-12 14:29:03] [修正:2011-07-12 14:30:19] [このレビューのURL]

前作ナツノクモと比べて判りやすい事に力を入れている。
次から次に何かが起こり飽きさせない。
が、一方で明示した為にメッセージ生の弱まりも感じる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-11 14:50:56] [修正:2009-07-11 14:50:56] [このレビューのURL]

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