「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

8点 洗礼

発想、構成、全体の雰囲気、絵の美麗さ。
個人的には作者の最高傑作の1つだと思います。

気味の悪い絵柄や、勢いで迫ってくるような怖さではなく、
読者の本能に訴えかけるような恐ろしさ、気持ち悪さ。
狂気と言うべきか、誰もが持ちうる人間の普遍的な欲望だと言うべきか。

楳図作品にはSFや心霊現象などを絡めた恐怖マンガも多いのですが、
こういう人の心の闇を描かせたら、やはり楳図氏は抜群に上手いです。

随分と昔の作品ですが、今でも色褪せないです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-28 21:33:06] [修正:2010-01-28 21:35:50] [このレビューのURL]

川原作品は個人的には短編集の方が好きなのですが。
独特のテンポ、ほのぼのとした展開、類まれな言葉選びのセンスとボキャブラリー、
川原節としか形容できないような凄さが、この作品でも申し分なく発揮されています。

本編となる前半部分も面白いですが、後半の短編3つの出来はもう素晴らしいの一言。

読み終わってほんのり良い気分になれる作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-24 21:34:51] [修正:2010-01-24 21:34:51] [このレビューのURL]

8点 石の花

第二次大戦時のユーゴスラビアを描いた作品です。
日本人にはあまり馴染みのない国かもしれません。サッカーぐらい。
世界史の教科書にも「ナチスドイツに対し、チトー率いるパルチザンがゲリラ戦で抵抗した」
程度の記載しかないですが、このほんの数行の裏に隠れているのは、こんなに凄惨な物語。

この作品では、どんどん人が死んでいきます。
生命を軽んじるわけでもなく、特別視するでもなく。
まるでそれが当たり前のように。

やらないとやられるから殺すのではなく、
自分の信念を守るために、生活や家族を守るために、殺す、
それが戦争。

理想と現実との間で苦しむ主人公にスポットを当て、ナチス対パルチザンの単純な善悪二元論では
なく、もっと根本的な人間のあり方、生き様を徹底的に描写しています。

特筆すべきは、驚異的な絵の巧さ。現代風の絵ではないですが。
収容所の描写は圧巻です。

面白いとか面白くないとかをある意味超越している作品かと思います。
点数を付けるのが非常に難しいですが、紛れもない名作ということを考慮して、この点数。
ただ、このサイトの点数基準で8点は「何度も読み返してしまうような名作作品」とのことですが、
あまり何度も読み返したくなるような作品ではありません。念のため。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-12-23 14:51:07] [修正:2009-12-23 14:52:05] [このレビューのURL]

昔のことになりますが、大学入試にとても役立ちました。
「あさきゆめみし」などもそうですが、高2のときにクラスで回し読みしたのを思い出します。
ありがとうロベスピエール。

ほぼ史実どおりながら圧倒的な面白さ、構成力。
フランス革命を体感してみてください。

だれでもその名前ぐらいは知っているレジェンドな作品です。
その面白さもいつまでも変わりません。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-12-11 01:09:24] [修正:2009-12-11 20:46:32] [このレビューのURL]

原作小説やドラマは見ていません。漫画のみのレビューで。

日常生活の中で起こるちょっとした不思議な事件を、幽霊である夫の力を借りて
解決していく短編連作。
とても柔らかくて優しいファンタジーです。ミステリーとしては物足りないかも。

世間知らずでぼんやりしててお人好しで泣き虫で、原作者にも見放されそうな新米お母さんのサヤ。
最初の頃のダメっぷりは甚だしいです。夫が安心して成仏できないのも納得。
漫画の登場人物を本気で心配するなんてこと、めったにありません。
しかし、魅力的なご近所仲間たちに暖かく見守られて、泣きながら、迷いながら、
でも少しずつ成長していく様が丁寧に描かれています。
ほほえましくて、心暖かくて、切なくて。
最終話での涙には、こっちももらい泣きです。

読んだ後に思います。やっぱり、母は強し。素直に感謝。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-03 22:14:46] [修正:2009-12-03 22:14:46] [このレビューのURL]

8点 YAWARA!

とっても強くてかわいい普通の女の子が主人公のスポーツラブコメ。

浦沢作品には魅力的な脇役が数多く登場しますが、この作品の脇役たちは
他作品にも増して個性的で、身勝手で、生き生きとしています。
この作品の面白さは、これらの素晴らしい脇役たちがあってこそ。

柔が柔道をやりたくない理由付けが少し弱い気がしますが、単なるミラクルガールでない
等身大の女の子が描かれていて、好感が持てます。

こんな子が一本背負いをバッタバッタと繰り広げていたら、
そりゃ日本中大フィーバーになりますよね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-29 02:20:51] [修正:2009-11-29 02:20:51] [このレビューのURL]

ミステリー系将棋漫画と言うよりは、将棋系ミステリー漫画と言うべきでしょうか。
メインはミステリーであり、心理サスペンスです。
作中に解説が頻繁に登場するので、将棋を知らなくても楽しめるようになっています。

健気で芯の強い子役・紫音ちゃんの周りを、豪華で個性的な脇役陣が固める、という
ドラマ仕立てのような構成になっており、安定感があって読みやすいです。
何より、作品から終始伝わってくる圧倒的な緊張感、雰囲気が素晴らしいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-03 15:47:50] [修正:2009-11-03 15:47:50] [このレビューのURL]

作品の世界の真相を100だとすると、作中で明らかになっているのは10〜20程度でしょう。
当然、読者にとって「なんじゃこりゃ」って感じです。
なので、その不条理さを「それはそれで置いといて」読める方でないと、受け入れ難い作品だと思います。

とにかく強烈なインパクトを読む人に与えます。
それをどう判断するかで、人によって全く印象は異なるでしょう。賛否両論があるのは当然だと思います。

「世界中がどうなっても、2人で過ごしたい」
自分は残念ながら今までこのような気持ちになったことはないし、今後もないと思います。
やっぱり現実的に考えれば不可能でしょうから。
だからこそ、このような気持ちを持つことができ、それを素直に表現できることが羨ましいです。
そんな漫画です。

読み終わったらすごくグッタリするので、少なくとも当分は(否定派の人はもう二度と?)読み返したくなくなると思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-10-17 20:10:31] [修正:2009-10-17 20:10:31] [このレビューのURL]

とても心温まる作品です。
昔の悪ガキってあんな感じだったんでしょうね。
絵は好き嫌いがあると思いますが、作風にはとても合っています。
若干下品なところもありますが、ドタバタなところも含め、当時の良質なホームドラマのようです。

番外編が個人的にはお薦めです。本当に泣きます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-10-12 16:11:43] [修正:2009-10-12 16:11:43] [このレビューのURL]

特に読み手を選ばない、とっても普通の恋愛漫画です。
この漫画より面白い漫画は他にもいろいろあると思います。

と言いつつ、この漫画かなり好きなんですよね。
テンポは非常にゆったりとしていますが、そのグダグダ感がたまらなくなってしまいます。
主人公の性格とも相まって、非常にもどかしいというか。
そんな中で全体に溢れる優しい感じがとても気持ちいいです。

未決終了にならず、最後まで描ききってくれることを切に祈ります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-10-10 01:34:36] [修正:2009-10-10 01:34:36] [このレビューのURL]