「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

お父さん、お母さん、お兄ちゃん、妹の四人家族が主な登場人物。
彼らは魔法使いで、ケーキをありったけ出す。空を飛び回るといった
楽しい魔法がとびかう。

漫画としては大変に上手。全てのコマで誰がどこで何をしているのかが明快で、
迷いが無い。
華やかさ、繊細さ、力強さを併せ持つ絵柄も好印象。

ただし、この漫画が何を意図しているのかがよくわからない。
未熟な魔法で騒ぎを起す妹を周囲が見守る、のが基本のストーリーで、
離れて暮らす母恋しさに暴走するのを父と兄が連れ戻す、というのが当初の基本。
そのうちに母が家に戻ると、今度は魔法で外見だけ大人になった乱に恋をする男たちの話になり、
やがて、恐ろしい魔物の封印がやぶれてなんだかエライことに?という話になる。

伏線を回収する一連の物語というよりは主人公一家の出来事を時系列に追いかけている印象で明確な意図やメッセージは4巻時点で読み取れない。
家族史は家族史でいいのかもしれないが、この一家をずっと見守りたいと読者に思わせる動機付けが弱い。

登場人物を所狭しと並べているが、結局のところ、好きな人とくっつくor離れる、家族を守る/敵と戦う、のような動機で動いているキャラクターが多い。

家族関係のあるあるネタでもなく、子供の成長物語でもなく、
魔法で人を助ける人情話でもなく、超能力バトル漫画でもない。
作者が考えた面白いキャラクターの発表会か?

かなり厳しく点数をつけたが、作者の才能が素晴らしいことは疑いようが無い。
よりテーマを絞り込んだ作品を期待する。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-01-31 01:07:07] [修正:2013-01-31 01:07:07] [このレビューのURL]

面白さ以前に、致命的に読みにくい。
設定が複雑、話が複雑、絵柄が複雑、情報の提示の仕方が複雑。
今、どこで誰が何を何のためにどうしようとしているのかがさっぱりわからない。
それを理解するために、細かい絵をじっくり読み解く読者は多くないだろう。

大河漫画は難しい。連載という制作形式に馴染まないからだ。
情報をより整理していれば、良い作品だったと思うのだが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-29 18:51:43] [修正:2012-07-29 18:51:43] [このレビューのURL]

まず、これはアメリカ大陸横断のホースレースなのだけど、
途中からレースの順位よりもバトルに勝つことが主眼になってしまった。

当たり前のことだが、暴力による対決で勝負を決めるのなら、
レースという形式が無意味になりはしないだろうか?
俺は俺の目的のために勝ちたい。お前もお前の目的のために勝ちたい。
その2つが相容れないから、勝負するしかない。
暴力で対決すると俺もお前も傷ついて、誰の目的も果たせない。
それは野蛮すぎるからレースで勝負しよう、というのが人類がレースを発明した理由だと思う。
(本当かよと言われると確証はないが)

SBRでも冒頭は、レースに勝つことが目的で順位を上げるために駆け引きをしている。
バトルは行われるが、選手同士は原則的に戦わない。
つまり日中はレースで他の選手と戦い、夜はバトルで敵と戦うマンガだ。

中盤で、そのようなスポーツによる勝敗の決定を断念するエピソードが挿入される。
相手の息の根を止めるのが男の戦いであるという話で、それを境に開き直るかのようにバトルが増えた印象。

で、これを、スポーツの勝負→殺し合いの勝負という意味の転向と読むと誉めすぎであろう。
レースとバトルを両立するマンガが作れなくなり、馴染みのバトル路線に戻したが、
スタート時の設定と整合を取るのに失敗し、適当な価値観を並べて読者を煙に巻いてどうにか最後までいった、というのがおそらくは正しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-08-04 14:01:35] [修正:2012-06-01 20:40:27] [このレビューのURL]

他人のために体を張ることを躊躇わない主人公が、
「クガイ」の力を手に入れて、妖怪と戦うお話。

漫画としての面白さは、実に単純。
恐ろしい妖怪が主人公に近い人を襲い、あわや死にそうになるところで、
主人公が登場し、ボロボロになりながら勝利。めでたし!以上。

設定や物語はありきたりながら可もなく不可もなく。
だが漫画表現に稚拙さが目立つ。
勢いは良いが、紙面全体が雑で見づらい印象。

今後は、漫画としての密度を上げながら、現在の力強さをキープできるかどうかが課題になるだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-05-21 17:23:39] [修正:2012-05-21 17:23:39] [このレビューのURL]

中世ファンタジー世界での小国イズァローン。
2人の王子、ティオキアとルキシュの数奇な運命を描く。

祖国を出て世界を放浪しながら魔族の世界に近づくティオキアと
国を継ぎ王として成長するルキシュ。

序盤の出来は抜群。
ティオキアなら国を出て旅がスタートするあたりまで。
ルキシュなら若輩の王として国をまとめていくあたりまで。

物語の最重要人物ティオキアは、男女同性体かつ半人半魔。
常に両極端に引き裂かれる彼の描写はどうしてもどっちつかずになる。
中盤以降は場当たり的に派手な魔法が紙面を埋めることになり、
ティオキアに関わる人物は全て彼に振り回されるだけになってしまう。

ルキシュは王であり男性として素性が定まっているため、話は整理されている。
しかしながら、こちらは独自の工夫がなくありきたりな印象。
(発表当時と現在の環境の違いは考慮すべきだが)

ラストは成長したティオキアとルキシュが出会い、
世界の秘密に到達する。これもオチとしては強引な感があり弱い。

ティオキアとルキシュがどうなってしまうの?という視点で見れば宝石箱のような作品。
2人が何者なのか、あるいは何者になろうとしているのかで見ればガラクタ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-09-22 16:43:11] [修正:2011-09-22 16:43:11] [このレビューのURL]

美しさのせいで人間関係が上手く行かない美女を巡るドタバタギャグ漫画。
だが、笑いにくい。
厄介な美人とその周りで愚かに振舞う人たちが現実に存在することは賛成できるけど、
漫画としての楽しさがよく解らない。

主人公は美しい事以外は凡人でキャラが立ってない。
毎回のトラブルを解決するでなくただ逃げるだけ。
嫉妬に狂った女にパイをぶつけられる、2階から突き落とされるなど
毎回のオチがギャグになってない。

主人公は不倫の恋人や数少ない友人への依存度が高く、
明らかに未熟な人格で危うい。
依存される側の恋人や友人たちもおよそまともな人間ではない。
彼らが美しさ、歪さ、愚かさをどうやって乗り越えるかという話になるといいのだが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-03 10:59:25] [修正:2011-05-03 10:59:25] [このレビューのURL]

漫画というより可愛い女の子イラストの連作。
物語が陳腐で背景が白いので、女の子以外に何もない。
絵柄が好きかどうかだけで評価が決まる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-11 11:33:00] [修正:2009-07-11 11:33:00] [このレビューのURL]

孤島の児童施設を舞台にしたホラーサスペンス。
大人に殺されそうになり島の脱出を決意する子供たちの話。
前半は怖くて面白いが、後半はイマイチ。
大人の人となりを描く番外編は完全に蛇足。
絵柄が好きならプラス2点。

*備考
作者の他の作品(バトル漫画、お色気コメディ)に比べてずっと良い。
次回作に期待する。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-11 10:56:16] [修正:2009-07-11 10:56:16] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

BANANA FISH → YASHA →イヴの眠りと連なるシリーズ。
イヴの眠りはYASHAと登場人物が被っていて、直接の続編になっている。
3作目のイヴで女主人公になったが、半ばで前作YASHAの主人公がメインキャラになり、物語が右往左往する。
シリーズを通してボンクラに足を引っ張られながら孤軍奮闘する天才美少年の活躍以外に面白さがない。
人類が人為的に進化すべきかというマジなテーマをうっかり入れてしまい収集がつかなくなったのだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-10 19:45:01] [修正:2009-07-10 19:45:01] [このレビューのURL]

仲良し女子高生の日常とゾンビサバイバルを足した漫画。
ゾンビ作品においては、ゾンビを何のメタファーとして描くかがテーマになる。

本作品ではゾンビは現実社会の過酷さの象徴。
主人公たちは友達と仲良く楽しく暮らしている。
学校はいつでも楽しい場所だ。だが、いつまでもそこにはいられない。
やがては学校を出て自分の力で社会を生きていかなくてはいけない。
だからこそ友達同士の限られた時間や小さな幸せを大事にしたい、といった事が本作品のテーマ。
ゾンビを導入することでテーマがより切実に読者に伝わっている。

漫画としては作画が丁寧なのがまずグッド。
活動的だったりしっかり者といったキャラの性格や、場面ごとの喜怒哀楽をちゃんと絵で見せてくれる。

また、ストーリーがよく練られているのも高評価。
主人公たちそれぞれの内面がテーマにうまく絡まっているし、
読者をハラハラさせるサスペンス要素も巧みで続きが気になる。

単行本12巻で完結したのでレビューを追記。

物語の途中で主人公たちが学校を離れることになる。
現実(ゾンビサバイバル)からの逃避を断念し学校を卒業する。
力を合わせて過酷な世界を生き残り、新しい仲間と出会い、
人の死に触れて成長する主人公。人類は生き残る。

前半は6点、後半は3点。
後半も丁寧な作り込みだが構成が平凡。
キャラに感情移入したファン以外にはアピールする部分がない。
がっこうで暮らさないがっこうぐらし、の違和感を乗り越えられなかった。
物語、作画とも素晴らしい実力だったので残念に感じた。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-05-19 13:28:27] [修正:2020-01-11 13:57:09] [このレビューのURL]