「DEIMOS」さんのページ

総レビュー数: 126レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年01月14日

これぞ、異能バトル漫画の究極形だッ!

従前のバトル漫画といえば、根性や気合が勝った方が勝つという、いわゆる「バカ」漫画であったが、個性的能力による戦いにより戦略性が勝敗を左右するようになったのが「賢」系異能バトル漫画である。

異能バトルを確立したのは、言わずもがな「ジョジョ」であるが、その基本形を継承し、より「少年誌らしく」アレンジして完成形にまとめあげたのが、「幽白」であり、この「ハンターハンター」である。

ここで、重要なのは、冨樫の特徴は、「新規性」ではなく、「アレンジ力」と「緻密な設定構築力」 であるという点だ。H×Hには、なんら新しいところはない。冒頭などはDBそのものだし、メルエムの造形はセル×フリーザだ。しかし、ゲームやオークションといった自らの興味を上手く漫画に取り入れ、緻密な構成力によって話を破綻させずに連綿と物語を紡ぐ手法は圧巻だ。キャラクターにしても、ゴンやキルアのような少年誌キャラだけでなく、ナックルのような青年誌キャラ、シャウアプフのような美形キャラ、ピトーのような同人誌キャラ、など幅の広い分野をマージした世界観を構築していて本当に面白い。

また、近年のバトル漫画には珍しく、「修行」を描いているのも好感が持てる。「強さ」には理由がある、という徹底的な理由付けの世界観。
合理×辻褄×整合性。

その矛盾に頭を悩ませるのか、作者がつらくなるのも無理はない。
だが、いくらじらされても、読者は応援すべき。
このH×Hは、まごう事なき、歴史的名作なのだから。。。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2009-07-20 11:26:04] [修正:2009-07-20 11:26:04] [このレビューのURL]

8点 SUGAR

「The・天才」を描いたボクシング漫画。

天才への憧憬、一途な夢、誰しも持つであろうその感情を、いつ我々は失ってしまったのだろう。往々にして、それは、目の前に現れた「真の天才」に打ちのめされた時である。
そういった「天才」像を新井英樹が一癖も二癖もある表現で、面白おかしく描いている。

ボクシングの描画はむしろわかりにくい。攻撃なのか、防御なのか、スピード感をもって読むには記号性に欠く。
ただ、すさまじい速度をもって動いていることだけは確実に伝わる。

この「ひっかかりと圧倒的な感じ」こそ新井英樹の持分ではないか。
何か分からないが凄い。
気分悪いけど、続きが気になる。

したっけ、唯一残念なのは、挫折→再起の流れで突如として終る作品のたたみ方。
一貫した作品としてみると、ボクシング要素でもう少し魅せて欲しかった。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-12-26 22:17:52] [修正:2009-12-26 22:17:52] [このレビューのURL]

福本作品は、出鼻にハイスピードで飛ばして後半gdgdになるというのが定番であるが、この作品に限っては、その短さゆえか尻上がりに面白くなっていったと思う。

「孤立する主人公(少年)像」は、少年誌の王道とは反しているのだが、極稀に描かれることで、強烈な共感を残していくケースがある。
というのも、少年は誰でも、「みんな仲良く楽しく生きていけるわけもない」、ということを肌で感じているからである。

反抗期の少年には特に共感できる主人公像ではないだろうか。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-02-16 01:10:14] [修正:2008-02-16 01:10:14] [このレビューのURL]

第3次大戦後の2030年の荒廃した日本を舞台に、圧倒的戦闘力を誇る狂四郎と下級公務員ユリカの遠距離恋愛〜感動の対面を描いた、チンポエロSFバイオレンス漫画。

WJを舞台にきわどいエロ漫画を描いてきた徳弘正也氏が満を持して青(成)年誌に投入した、SFバイオレンス漫画であり、エロやチンポこそ間断なく出てくるのだが、全く違和感なくストーリーを楽しめる。シェイプアップ乱やターちゃんでは下ネタギャグが作者の「照れ」の表出として見受けられたが、本作ではバーチャルセックスを時代観に組み込んでいたためか、もはやライフワークの一部として溶け込んでいる印象を持った。バーチャル世界、遺伝子操作、選民思想、官僚腐敗、食糧不足等、SF設定自体は個々それ自身は手垢のついたテーマであるが、複合的に使うことで一つのオリジナリティある世界観を構築している。

なお、巨乳や筋肉への憧憬は宗教的でもあるので、好みが異なる人間は毛嫌いしてしまうかもしれない。だが、本作の本質はロミオとジュリエットなのであり、殺人鬼や淫売等という人間が背負った十字架の哀愁なのだ。エロやチンポがあっての愛、それを正面から描いた本作は結構偉大なのかもしれない。

絵については、決して上手くはないが、書き込みの多さと怪物の造形のユニークさには定評がある。真面目な性格が表れているのだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-04-07 00:13:17] [修正:2013-04-07 00:13:17] [このレビューのURL]

また異星人退治系SFか、とうんざりさせられる無難な作品。

書店で平積みにされていた1巻を見てなんとなく購入したのだが、ストーリーは寄生獣というかウルトラマンというか鉄腕バーディーというか、、、よくある異星人退治系のSF設定。
主人公が女性で、虚無感溢れる、というのは新しいが、いかんせん魅力あるキャラクターがいないのは致命的。特段技巧を凝らすこともなく、バーッと話を広げて、よくわからん形で終結させるのも、もはや見慣れた光景。

眺める分にはサラサラと読めて無難なSFとして楽しめるが、全く思い入れを抱けないので、直ぐに記憶から消失するだろう、と断言できる。事実、ブックオフの100円棚で本書は大量に溢れている。そんなに売れてないだろうに―。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-03-03 18:23:20] [修正:2013-03-03 18:23:20] [このレビューのURL]

リアル描写による学園バトルサバイバル系の元祖的作品。

一時期、小説や映画、漫画等メディアミックス展開によって有名となった作品であり、ひとまず漫画から入ってみたが、正直馴染めない。
というのも、登場人物は、中学生なのに、どうみてもオッサン&熟女で、かつ、筋肉ムキムキで知識レベルが高すぎる。なのに倫理観は皆無。学生の純朴さ・無垢さありきでの感動演出だと思うが、こんな頭のネジの抜けたおっさん達の殺戮ゲームに感情移入は出来ない。
また、ゲームの存在意義や社会の倫理観が無視されている無茶苦茶な設定は、マンガ読みからすれば大幅減点ポイント。読み流すジャンクフード以上でも以下でもない。「狩猟本能による生存競争」という人間の本能を充足するだけの「麻薬的快感」だけを提供するアダルトビデオみたいなものだろう。

さりとて、以後、閉鎖空間におけるサバイバルゲーム、という後続作品を次々と生み出す下地を築き上げた功績には疑う余地はないだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-02-23 16:54:12] [修正:2013-02-23 16:54:12] [このレビューのURL]

農業高校の「日常」描写漫画。

農業高校では当り前の「日常」を題材にしてここまで面白い漫画を作れるのは、この作者の漫画家としての力量を物語る。
実際、北海道に行くと、この漫画で描かれているようなエピソード(例えば、車ではねた鹿の肉を喰う等)をちらほら耳にする。

今、TPP問題も相まって、農産品輸出や6次産業化、規制緩和による大規模化等のテーマに関心が集まっているが、農業そのものの楽しさや有難味にも注目があって然るべき。農業を産業として見た場合の大いなる課題は、後継者問題だが、この漫画によって農業の担い手となる若者が多く出てくると、社会課題解決ツール、という未知なる「漫画の力」を我々は垣間見ることになるだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-02-12 01:49:42] [修正:2013-02-12 01:49:42] [このレビューのURL]

ギャンブル漫画を擬態した算数・とんち・なぞなぞ漫画。

カイジを少年漫画=少年マガジンに落とし込むとこうなるのか、と目から鱗が落ちた。
カイジではギャンブルの題材が「ポーカー」「麻雀」「パチンコ」「チンチロ」等のいわゆる「大人の遊び」であったが、これを少年漫画に落とし込むと、よりシンプルな「なぞ解き」になる。そして、その題材のヒント(解決ツール)は、算数に近くなり、より教育的になる。

主人公像は、カイジよりも天才肌のアカギに近い。よって、人情話よりも解決の爽快感重視。

カイジでは、中だるみがひどく、ここのところクレディビリティが著しく低下していたこともあり、テンポの良い展開は非常に好印象。

なお、ソフトバンク社長の後継者探しというリアルにも引っ掛けた設定は風刺的な趣すら感じさせる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-02-12 01:31:32] [修正:2013-02-12 01:31:32] [このレビューのURL]

水泳・恋愛・バイク・負けず嫌い・破天荒という相関しないキーワードで構築されたキャラを全面に押し出しただけの漫画。

結局、作者は何を描きたかったんだろう。読者は何を楽しめばいいんだろう。
たしかに破天荒な学生像は面白みがあるが、ストーリーはとっちらかっているし、訴えるメッセージはない。キャラは暑苦しいほどに負けず嫌いなのに、水泳勝負では全く燃えない展開。間を外してきている割には笑えない。集団になじめない主人公が成長して、恋愛を成就し、水泳で勝利を掴み、、、というありふれたカタルシスも提供しない。バイク好きとしては、バイクでの暴走は何か屈折した愛の表現だと思われてしまう。

このもやもやとした感覚、がこの漫画の読後感だ。
「青春の過ち」を懐古できるようになればもう少し楽しめるか?

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-24 19:38:20] [修正:2011-04-24 19:38:20] [このレビューのURL]

6点 餓狼伝

格闘技のエンターテイメント性を強烈に先鋭化し、抽出・風刺した作品。

原作の餓狼伝チックな話は冒頭だけで、トーナメント云々の前後から主人公は加速度的に影を薄めていく。それなのに表紙や扉絵では執拗に文七を描くという作者の拘り(笑。だが、トーナメントに主人公が入っていないという意味不明かつ誰が勝ち上がるかが本当にわからない描き方は極めて異様で面白い。そして、それをバックで支えるのは、巽や松尾という強烈なキャラクター。リアリティとフィクションの絶妙なコンパウンドとコントラスト。

そうした方法で、「格闘技ファンが見たいもの」をこれでもかと真正面から描出し、凝縮した漫画と言えるだろう。人は鍛えるとどこまで行き着くのか、人間の肉体が破壊される時はどのような現象が生じるのか、平場で戦うと最も強いのはどの競技種目か、丸腰の格闘家と武装した戦闘のプロが戦うとどうなるか、etc。。。。。
そういった意味では、トーナメントが終わった時点で、上記の目的を達成してこの漫画は終了した様な気もするので、休載云々は気にしないでおこう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-17 00:51:31] [修正:2011-04-17 00:51:31] [このレビューのURL]

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