「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

宇宙を舞台にした未来の青春サバイバル漫画。
惑星キャンプに来た高校生の一団が、事故で宇宙船に取り残されてしまう。
彼らが力をあわせて生き抜く様を描く。
星々で水や食料を補給しながらの旅。次から次に起こるトラブル。
高校生は一人も欠ける事なく帰れるか?
そして彼らはなぜこのような状況に追い込まれたのだろうか?

非常に上手な少年漫画。
シリアスとギャグのバランスがよくテンポよく話が進む。
宇宙空間に放り出されて船に戻れない、多数が毒で瀕死になるといった
絶望的な状況をどうにかこうにか切り抜けつつギャグを織り交ぜてくる。
しょうもない漫才が緊張をうまく緩和しているし、
トラブルの解決も、正攻法、奇策、ラッキーをうまく使い分けているし、
各キャラクターの立て方もいい。
彼らの冒険を見ていると自然に彼らが好きになる。
宇宙船をホームにしながら星をめぐる設定も旅の面白さがある。
アニメ向きの作品だと思う。

順調に話が進んでいるが、この類の作品は冒険が軌道に乗ると難しくなる。
水、食料、墜落などの物理トラブルを使いつくすと敵との勝負になって、
大抵はそこから詰まらなくなる。
予想を超えるアイディアを期待している。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-12-11 11:02:27] [修正:2016-12-11 11:02:39] [このレビューのURL]

舞台は未来社会。
人間、ヒューマノイド、ロボットが共存している。

社会的に3者は違った扱いになっており、
人間は人間。
ヒューマノイドは機械とコンピュータでできた人間。
ロボットは機械。

主人公はヒューマノイドを治療する医者。
漫画としては手塚治虫のブラックジャックに近い。
さまざまな患者が怪我や病気で重大な選択を迫られる。
医者の立場からそれを見守る短編形式の漫画。
それぞれの患者の選択は客観的に良い悪いを判断できるものではない。
身勝手であろうと、その決断こそが「人間の証明」だというような話。

ジャッジしない、導かない、選択を尊重する。
この距離感が新鮮で押しつけがましくならず、読者にも想像や解釈の余地を与えてくれる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-07-24 20:19:05] [修正:2016-07-24 20:19:05] [このレビューのURL]

おそらく作者はちょっと変わった兄妹コメディとして描き始めたはずが、
あちこちが上手くハマりすぎて手に負えなくなってしまったので、
早く手じまいした漫画。

1?2巻では説明的な日常コメディからよりシリアスなテーマへ進みそうな印象を受けていた。
互いに依存する兄と妹、周囲の人間関係、化け物と人間の共存、などなど。

だが、物語はシリアスへもコメディへも進まない。
どうにもページを埋めるのに苦労している印象になり、
無意味なキャラクターを出したりしながら結局は最終回までほぼ何も変わらなかった。

深読みせずに妹がカワイイ漫画として読めばまぁそこそこ。
というか妹のカワイさは本当にスゴくて点数のほとんどがソコ。

作者はほかにショートコメディ漫画を手掛けていて、
そちらはスムーズでキレが良い。
今後はそちらで才能を発揮していくのだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-07-24 17:42:11] [修正:2016-07-24 17:42:11] [このレビューのURL]

7点 イムリ

[ネタバレあり]

2006年時点では珍しい骨太のSF物語。
星の支配をめぐって争う人々の醜さを描く漫画。

設定は複雑だが物語の骨格はSFの王道的なものでわかりやすい。
カーマの賢者は抗体を持つイムリだから命令彩輪に対して無敵。
などの専門用語は読み飛ばしていい。賢者→無敵だけで十分。

記録もほとんどない大昔に大きな争いがあった。
争いを忘れた人はまた争いをはじめた。
人は同じ過ちを繰り返すのか、それとも次へ進めるのか。
といった事がおそらくは本作のテーマ。
結末はどのような形もありそうで続きが気になる。

良い作品だが欠点も多い。まず、やはり絵の癖が強い。
誰がどこで何をしているのかがパッと見でつかめず、
作者の意図を共有した上で絵を見ないと意味不明。
読み進めている間は気にならないが、一度とまると読み直す気にならない。

それと展開の繰り返しが多い。
逃げる。新たな仲間。先祖の言い伝え。裏切り。殺される。
ぶっちゃけこればっかり。

ショッキングな場面が続くが、単行本6巻で戦いが本格化してから
18巻までその繰り返し。
おそらくは読者にもうこんな酷い事は沢山だと思わせたうえで
一気に物語を収束させるつもりだろうが、さて上手くいくのか。

結末の良し悪しが作品全体の評価を決めるだろう。
良い結末なら数々の欠点は帳消し。悪い結末ならただの欠点。
ぜひ良い結末へ導いてほしい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-05-18 15:09:09] [修正:2016-05-18 15:09:09] [このレビューのURL]

地球侵略にやってきた宇宙人の少女と男子高校生のボーイミーツガール漫画。
すったもんだの経緯を踏まえて、少年は少女とともに地球を守るために戦う。

高校生の青春とバトルを足した漫画で、登場人物の心を描く暖かい日常パートと小気味よいアクションの繰り返し。

丁寧で明快な絵柄と活き活きしたキャラクターがすばらしく、コマ割りも適切。
思わず手にとりたくなる魅力がある。

だが、残念ながら漫画としては問題が多い。
主人公の家庭環境や、少女の宇宙人設定など、
盛りだくさんの要素を詰め込んだあげく、
きちんと優先順位がつけられていない。

あれこれの要素が断続的に描れて、紙面が賑やかなのは良いが、
もはやひとりぼっちじゃないし地球侵略もしていない。
物語の本筋がはっきりせず、何をどう描いていいのか作者にもわかっていない印象。
個人的な意見だが、絵の魅力を最大限に活かすためには、よりシンプルで短い物語が良いと思う。

今後の成長に期待。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-12-07 13:41:25] [修正:2015-12-07 13:41:25] [このレビューのURL]

厳しくて優しいおとぎ話のような漫画。
感情移入しやすく、続きが気になる。
だが、展開がトロい上に似たような事を繰り返す。
作者自身を主人公にした巻末のフラれ漫画も意味がわからない。
結局、星へ辿り着く人たちでなく地上から星へ手を伸ばす人たちの話なのだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-07-11 21:44:53] [修正:2015-11-01 02:24:44] [このレビューのURL]

高校生がある学園で、生徒会サイドと番長サイドにわかれて
血みどろの異能バトルを繰り広げる漫画。

冒頭から熱苦しいエログロナンセンスのオンパレードで、ちょっと面食らう。
決してマジメに受け取らない。笑いながら読み飛ばしてちょうどいい。

イカれたキャラクターが大量に登場し、次から次に死んでいくことで、
物語に加速度をつけていく。
山田風太郎の甲賀忍法帖や高見 広春のバトル・ロワイアルのようなイメージだろうか。

実はタイトルが世界観をそのまま表したものになっている。
戦闘します・破壊します・学園ものです・ダンゲロス!それはデンジャラスと読むんやがな!
と判ってみれば、ああそうですか、というところ。

元々は、多人数参加型のシェアワールドゲームが元ネタらしい。
漫画になったことで複雑な設定をシンプルかつスピーディに読めるのは好印象。
大勢のキャラクターは端役も含めてしっかりと描き分けられているし、
アクション部分は奇をてらわずに丁寧でキャラの動きがよく伝わる。

「中二病」の痛さを勢いと漫画の上手さで押し切る力強さがあるが、
やはり読者を選んでしまうタイプ。

これだけの実力を持つ作者なら、もうちょっと良いお話も読みたい気がする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-10-31 10:43:19] [修正:2015-10-31 12:38:16] [このレビューのURL]

新しい町で引っ越してきた若夫婦のおくさんを主人公にした生活マンガ。

絵ヅラやテーマは、よつばと!(あずまきよひこ)に近い。
新生活の驚きや見知らぬ人たちとの出会いをムチムチ主婦で描くとなんだかエッチになる、というマンガ。

洗濯しすぎて着る服が無い、朝のゴミ出しといった生活感を大事にしていた序盤を過ぎてネタに困り始めている。
とりあえず夫とセックスしていればページは埋まる的なヤケクソ話がチラホラ。

(おそらくは元ネタである)よつばと!と比較すると主人公の年齢差がネタの少なさに繋がっている印象がある。
よつばと!では子供を主人公にすることで日常の中の非日常を作り出しているが、
大人が主人公なのでなかなか突拍子もない行動はとらせにくい。
おくさんを天真爛漫な性格にすることで、多少フォローしているが、
やりすぎてただ頭の悪い人になっている節もある。
お気楽に見えて書くのが大変なマンガだと思うが、どうにか頑張って欲しい。

追記
連載が長くなるにつれ作中で新しいことが起こらなくなり、
ぐーたらな嫁とそれを甘やかす夫がいちゃつくだけの漫画になった。
読者の期待を過度に煽らないという意味では間違いではないのだろうが、
もう少し掘り下げてほしいところ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-08-01 10:42:45] [修正:2015-10-18 22:31:21] [このレビューのURL]

妙齢なのに恋愛に全く疎い女性を干物女と揶揄する言葉がかつてあった。
それを妹に適用して干物妹。ひもうとと読むらしい。

主人公タイヘーの妹はバリバリのオタク。
ゲーム漫画アニメジャンクフードに埋もれて生きる女子高生。
要はコアなオタクの痛い生活も、主体が美少女なら漫画にはなるという作品。

やってることは本当にダメな人だが描写の丁寧さが面白さの核になっている。
お菓子の旨さに感動したりゲームに夢中になっている干物妹の豊かな表情を兄視点で眺めていると確かに愛おしさを感じる。

オタクの日常行動からどれだけ魅力を引き出せるか。
シンプルで根気のいるテーマに挑んでいる。

後日追記

連載の中盤から、兄との関係をメインにしながらも風変わりで面白い友人と過ごす楽しい日常を描く漫画になった。
人気が出て奇をてらう必要がなくなったのか
ネタが苦しくなったのかはわからないが、
連載を長く続けようとすれば正しい路線変更だろう。
ただし、もはや干物妹ではない気がする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-07-16 11:29:16] [修正:2015-04-24 14:32:40] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

魔王ダンテの名前を冠するマンガは2015現在3つ。
魔王ダンテ(永井豪1971)→真・魔王ダンテ(風我明1994)→新魔王ダンテ(永井豪2002)
の順に発表されている。
風我明の真・魔王ダンテは設定や物語が大きく異なり、独立作品と考えたほうがいい。
ここでレビューする新魔王ダンテは1971の旧作を永井豪本人がセルフリメイクしたもの。

その新魔王ダンテだが全く楽しさがなくファンとしては残念。
だが、まがりなりにも完結しているので、作品のメッセージについて好意的な解釈も可能だろう。


ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-02-20 18:55:11] [修正:2015-02-20 18:55:11] [このレビューのURL]