「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

休戦中の帝国を舞台にした軍人たちの漫画。
いかに敵を倒すかでなく、戦争で傷ついた人と社会に対して何ができるのかを模索するのがテーマ。
ぶっちゃければ答えは正解なし。
国家システムの欺瞞や有力者の都合の狭間をうまい事どうにかしつつ人々に寄り添いあがくだけ。

主人公はパンプキンシザーズ小隊の面々。庶民として、貴族として、ベテラン軍人として、
様々な立場から頑張るという話。
骨太かつオリジナリティのあるテーマでとても魅力的。
作者のどうあってもこれを描くのだという決意と情熱がすごい。

だが、この作品を特徴づけるのは漫画としての下手さ加減。
上手い部分がない。
設定、キャラクターデザイン、構図、セリフ回し、話の展開。
あらゆる部分がダサく野暮ったい。

見た目を洗練させる事をすっぱり諦めて、ただひたすらテーマを掘り下げている。
それを作者の傲慢と取るか、読者に媚びない姿勢と取るかが評価を分けるだろう。

物語の冒頭は意味不明で、他の方のレビューやアニメを見て、
いろいろと想像で補ったうえでどうにか辻褄の合う物語性を見出すことができた。
漫画を読むだけなのに手間をかけさせられたという思いで2点。

ただ、世界観にすっと入り込めた人や、
コマとコマの間を読みほどく作業が苦にならない人なら、
高評価もあるだろう。

作者の魂をノミで削り出して作品化しているような物語だが、
結局どのような結末に着地するのかが、気になるところ。





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[投稿:2016-06-07 02:06:07] [修正:2016-06-07 02:06:48] [このレビューのURL]

良いエイリアンと合体して悪いエイリアンをやっつける小学生の女の子3人組の話。
なのだけど、物語るつもりが全くない漫画。

説明や意味づけを放棄して読者の感情移入を意図的に拒んでいる。
つまり登場人物が怒ったり悲しんだりしているのはわかる。
(怒鳴ったり泣いたりしてるから)
だが、なぜ怒っているのか、なぜ泣いているのかが読者には不明。

画面が緊迫していれば今戦っているんだろうとは思うが、
味方と敵のどちらが有利なのかはわからない。
ぶっちゃけ味方と敵の区別すらつかない。
かといってデタラメではなく、秩序を保って出来事が展開していく。

この作品においてエイリアンとは読者のこと。
登場人物を観察はできる。しかし理解も感情移入もできない。
絵ヅラを見て可愛いな、気持ち悪いなぐらいの単純な感想でページをめくるか、
描かれていない事を想像して読者が物語を完成させてくださいという事らしい。

凝った作品を読者に媚びずに描き切った事に感心はするが、
その労力は漫画を上手になる事に使ったほうがいいと思う。

意味不明を開き直った本作でも単行本3冊分を読み続けてもらうためには
何らかの物語構造が必要。
本作の場合は友達のために敵と戦うというショボすぎる動機づけがなされている。
読者として怒りそうになったところで、小学生の女の子の話だった事を思い出すまでが連続している。

娯楽性が低くロクでもない作品だが他の作品も読んでみたくなる。

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[投稿:2016-05-31 14:33:44] [修正:2016-05-31 14:38:36] [このレビューのURL]

スーパー不思議ちゃんでクラスから浮きまくりの女の子に恋をする男の子の話。

魔法だの世界の運命だの必要ない。年頃の男の子には同級生の女の子がいちばんの謎である。
といった主旨のことを1巻に書いてあったと思う。それは全く正しい。

しかし、物語に進展がないまま新しい女の子が繰り返し登場するので、
結局エッチな目で女子中学生を眺め続けるだけの漫画になっている。

物語として読み解けば、不思議ちゃんの正体は自意識過剰のイタイ子供でしかないし、
男の子は、女の子に性的興味があるから女の子の設定に付き合っているに過ぎない。
それをキチンと踏まえたうえで2人で大人になっていく、
という話になったらいいんじゃないかな、でもならないんだろうな、と思う。

完結したのでレビューを見直し。
連載が長くにわたったためか娯楽性やフェティッシュさを諦めて
主人公カップルとその周囲の人たちの性の物語になった。、

異性を好きになることで、自身の性を確立し成熟していく話。
そこに謎も何もない。若者の自意識過剰な妄想や高すぎる期待を
ただただ凡庸でありふれた温かい人生に着地させていく。
ヒロインも可愛いといえば可愛いぐらいの10人並みの女の子として描きなおされる。
萌えやあざとさを避けることで、カップルの互いの愛情が際立つように配慮されている。
絵ヅラを平凡にしすぎると般ピーが浸っているだけになってしまうので、
結構むずかしかったろうが概ね成功している。

話しの進みが非常にゆっくりだったのを短所と見るか、長所と見るかが評価の分かれ目か。

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[投稿:2012-07-29 19:13:16] [修正:2016-05-28 15:53:31] [このレビューのURL]

なんというか、ヘンな漫画。
生きている死人の長男、生真面目な次男、動物と会話できる三男。
がおいしい洋菓子をつくりながら貧乏したり美少女とワイワイとする漫画。

ドタバタ、青春、ラブコメ、家族とネタが満載。
かつ手抜きなく濃密に描かれていて、お気に入りのところで楽しめばいいという感じ。

完結が楽しみ。

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[投稿:2016-05-24 21:04:07] [修正:2016-05-24 21:04:07] [このレビューのURL]

7点 陰陽師

夢枕獏の原作小説を忠実に漫画化した作品。
なのだが、陰陽師という作品のテーマに向けて夢枕獏は小説でアプローチし、
岡野玲子は漫画でアプローチしていると考えるほうがしっくり来る。

陰陽師のテーマを簡単にまとめると日常→怪異→万物の理はすべてリンクしているということ。
その意味を説明する小説に対して、漫画はそのあり様を示している。
知らせてくれる小説と見せてくれる漫画と役割を分担し一対の作品になっている。

物語の後半はそのように面倒くさいが、前半はわかりやすく漫画だけでも十分。
平安の都で陰陽師と貴族の青年が怪異とわたりあう冒険を描く。
相棒モノ、妖怪モノの娯楽作品としても面白いし、美青年同士の純粋な友情もいい。

最後までいってしまうコアな人にも、途中で見切る人にもオススメできる。

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[投稿:2016-05-18 11:32:50] [修正:2016-05-18 11:32:50] [このレビューのURL]

期待を抱きようのないタイトルだが、実は秀作。

ライジングの孔雀は子ども。
孔雀の法名を受ける前の少年、明からスタート。

孔雀王シリーズは孔雀が仏の超能力で魔物をやっつけるだけの話。
人の悪行が積み重なり魔物が生まれる。
魔物が暴れ回る。
孔雀が魔物と悪い心を滅する。
この流れは一貫して変わらない。

シリーズが長期にわたり終わりが見えないので、
ライジングは原点にたちかえってリセットする意味合いがあるのだろう。
設定、絵柄、物語の展開もシンプルに整理されて非常に読みやすい。

これ自体は悪くないと思うがファンが求めているのはシリーズの完結かもしれない。

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[投稿:2016-04-29 14:15:29] [修正:2016-04-29 14:15:29] [このレビューのURL]

昆虫に由来する超能力を持った殺し屋たちの異能バトル漫画。
タイトルのキャタピラーとは芋虫のこと。主人公は若い女性でコードネーム芋虫。
アラクニドという別の漫画の外伝になっているが、これだけ読んで大丈夫。

ありふれた漫画を丁寧につくりこんでいる。
設定、話の流れ、キャラクターデザインはごくごく平凡。
しかし力強く華やかな絵柄は魅力的で、画面構成も見やすい。
ただ、どことなくズレていて、マジメなのかふざけているのかわからない。
そのために親しみやすくもあり、緊迫感が薄れてしまってもいる。

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[投稿:2015-03-01 02:58:44] [修正:2016-02-24 17:07:17] [このレビューのURL]

美女が日本のあちこちで美味しいものを食べる漫画。
美味しいものを食べているときは、嫌なことを忘却できる至福の時間という意図のタイトル。

正直に言って漫画がヘタ。
深いショック→美食→忘却の仕組みが第二話以降ちゃんと機能しなくなり、
読者の感情移入を置いてきぼりにして、美女が美味い美味いと言ってるだけ。
絵は丁寧で美しいが読む楽しみがない。


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[投稿:2016-02-23 10:54:34] [修正:2016-02-23 10:54:34] [このレビューのURL]

劇場用アニメを漫画に落とし込んだような面白さ。
冒頭はどこまでも続く畳の迷宮をさすらい、
世界の壁をとび超えて黒幕を見つけ出し、知恵と勇気で戦い勝利する。
リズム良く絵ヅラが切り替わるテンポが心地よい。

物語に関しても秀逸。
登場人物の数を絞り、主人公(ヒーロー)と相棒(一般人)の関係に集約している。
読者にとって把握が容易で、主人公と相棒のそれぞれの決断に共感しやすい。

ワクワクしながら読み進めて最後はスッキリと終わる名作。

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[投稿:2016-01-24 11:26:40] [修正:2016-01-24 11:26:40] [このレビューのURL]

主人公が料理について独り言を言いながらしみじみする短編漫画。
物語らしい物語はなく、今日も美味しくご飯が食べられて幸せ、というだけの漫画。

シンプルだが説得力のある漫画。
ズボラ飯は(健康に悪いだろうが)たしかに旨そうだし、
主人公がニコニコしながら料理したり食べたりしているのも愛らしい。

単行本1、2冊まではこれで十分OKだが、連載が長くなると、やや辛い。
言動が個性的で面白い主人公も、長く続けば新鮮味が薄れる。
いい年の主婦が、たかが食事でハシャギ過ぎて痛い。
脇役キャラが増えたり描きこみが豪華になっても、面白さには繋がっていない。
ほんわかした温もりが冷めないうちに手仕舞いするべきだと思う。

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[投稿:2015-11-30 11:19:30] [修正:2015-11-30 11:19:30] [このレビューのURL]