「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

式神バトル漫画。
主人公の少年カガミが式神ハクと合体して怪物と戦う。

非常に間が悪い。
ありきたりなキャラと設定を大量に並べているが、読者に何を楽しませたいのかがわからない。
ハイスピードで物語が進むが全体としては退屈。
連載の途中、不人気でストーリー進行がチグハグになったのではない。
第1話からすでに怪しい。むしろよく5巻までもったものだ。

改善すべき点は明らかで、漫画の内容と構成力がつりあっていない。
盛り沢山の要素をギュウギュウに押し込みすぎている。
あるいは大量の情報を滑らかにまとめる構成力が不足している。

設定、キャラクターデザイン、物語はどれも地味だが悪くはない。
単行本20巻分ぐらいのペースで描いたなら、良い作品だったかもしれない。
おそらくは作者自身も欠点がわかっていたはずだが、
それでも最後まで描き切ったのは誠実さを感じる。
力のある作家と思うので次回作に期待。

ただ、「全開クライマックス!」という主人公の決め台詞はいくらなんでも寒すぎる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-01-15 13:32:05] [修正:2017-01-15 13:32:05] [このレビューのURL]

架空の王国を舞台に貴族や庶民、人々の暮らしを描く短編シリーズ。
個性的なキャラクターがケンカしたり仲よくしたり。
物語らしい物語はなく、登場人物の暮らしを観察して楽しむ感じ。

非常に風変わりな作品。
マンガとしての起承転結、キメ、オチ、キャラクターの役割分担などをほとんど無視している。
それでいて決して手抜きや雑味はない。
もし、こんな世界でこんな人たちが暮らしていたら、おそらくこうであろうという事を描いている。
少女漫画ではあるが、作中イヤな事は起きるし非倫理的な振る舞いも多い。
それでいて誰にも人間らしく憎めない部分があり、何となくページをめくってしまう。

情熱とセンスは抜群だが、技術は今一つだし物語展開は実のところ不自然。
波長があえば理屈抜きで楽しいが、嫌う人がいてもおかしくない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-12-28 01:57:30] [修正:2016-12-28 01:57:30] [このレビューのURL]

宇宙を舞台にした未来の青春サバイバル漫画。
惑星キャンプに来た高校生の一団が、事故で宇宙船に取り残されてしまう。
彼らが力をあわせて生き抜く様を描く。
星々で水や食料を補給しながらの旅。次から次に起こるトラブル。
高校生は一人も欠ける事なく帰れるか?
そして彼らはなぜこのような状況に追い込まれたのだろうか?

非常に上手な少年漫画。
シリアスとギャグのバランスがよくテンポよく話が進む。
宇宙空間に放り出されて船に戻れない、多数が毒で瀕死になるといった
絶望的な状況をどうにかこうにか切り抜けつつギャグを織り交ぜてくる。
しょうもない漫才が緊張をうまく緩和しているし、
トラブルの解決も、正攻法、奇策、ラッキーをうまく使い分けているし、
各キャラクターの立て方もいい。
彼らの冒険を見ていると自然に彼らが好きになる。
宇宙船をホームにしながら星をめぐる設定も旅の面白さがある。
アニメ向きの作品だと思う。

順調に話が進んでいるが、この類の作品は冒険が軌道に乗ると難しくなる。
水、食料、墜落などの物理トラブルを使いつくすと敵との勝負になって、
大抵はそこから詰まらなくなる。
予想を超えるアイディアを期待している。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-12-11 11:02:27] [修正:2016-12-11 11:02:39] [このレビューのURL]

4点 清々と

女子高が舞台で入学直後から卒業までを描く。
冒頭はテーマが定まっていなかったらしく、なんというかネタがショボい。
ゆるゆるふわふわと雰囲気は心地よいが些細な事でそんなに喜ばれても読者としては乗りにくい。

その後は主人公の周囲の人物に焦点を当ててみるも、やはりパッとしない。
ただ後半は少女漫画の王道的である少女の成長がテーマになる。

主人公が将来や進路についてマジメに考え、人間関係を整理したりなんとかかんとかして、最後はこれからも頑張っていくぞ的にまとめた。

やはり物語として行き当たりばったりにすぎる。
女子高を舞台にした少女漫画は、先輩と後輩、OGの女教師、男性教師、古い学校ならではの逸話など、面白いマンガになる要素が多いのに、残念ながらそれらをフォローできずに終わった。

谷川史子の絵が美しいだけに勿体なかったなという印象。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-21 20:05:35] [修正:2016-11-21 20:05:35] [このレビューのURL]

6点 ACMA:GAME

カッコイイ少年や少女が知恵比べゲームで戦う話。
絵ヅラや設定などはありきたりなものをそのまま使用し、
ゲームの独自性やプレイヤーの駆け引きに力を入れている。

あちこちのバランスが良い漫画という印象。
省力化できるところは思い切り省力化して、優先順位がはっきりしている。
その結果、展開がスピーディで読み進めやすい。

本編はゲーム描写がメインで各キャラクターの掘り下げやユーモラスな場面はほぼない。
その辺りは単行本のおまけ漫画でフォローされており、本編のシリアスさとのギャップで笑ってしまう。

良い意味での娯楽としてスッキリ読める。
さほど面白くないと思いながら読んでいるとすっかりハマるという感じ。
女の子がキレイなのもグッド。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-13 11:05:50] [修正:2016-11-13 11:19:29] [このレビューのURL]

少しふしぎな短編シリーズ。
毎回で異なる登場人物がおかしな出来事に遭遇する。
今でないいつか、ここでないどこか、人でない何者かに触れて、
大事な事に気づいたり思い出したりする。

よくこれだけ丁寧に作り上げるなと感心するが、さすがに似たような話が多い。
雑誌の中で1話なら十分に面白いだろうが、単行本でまとめて読むとさすがに飽きる。
密度が高く奥行きがない紙面は読みやすいとは言えないし、
結局同じようなテーマの作品ばかりなのに、毎回違う設定を把握するのが面倒。
また似たような話しは物語のリズムも似てしまっている。
ここでこうなって、次はこうきて、オチはこうだろうなぁという読者の予想を超えてくれない。

1つのテンプレを使い続けるならもっと突き詰める。
あるいはマンガとしてのバリエーションを増やすなどの工夫が欲しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-15 12:58:44] [修正:2016-10-15 12:58:44] [このレビューのURL]

12年ごとひつじ年のクリスマスに人が殺され臓器が奪われるサスペンス。
細かく設定を説明すると長くなるので省略。
要はツンデレ少年ユキムラが探偵で、トボけた大女フセギが助手になってひつじ殺しを追う漫画。

ストーリーの焦点はあくまでひつじ殺し。
なぜ12年ごとに人を殺すのか、何者か、そして次の事件は防げるのか。
間延びせず緊迫感を保っている。
それでいながら、ほがらかな日々の仕事や生活を丁寧に描いている。
ストーリーの前景と背景のバランスがよく、それ以外の不純物がない。

感心するのはオキナガの設定。
これも詳細はすっとばすが、要は不老長寿の特殊能力者。
オキナガは老いずに何百年も生きてしまう。
後悔や苦悩はいつまでも消えない。理解しあった人間とも死に別れる。
死なないからこそオキナガは強い執着を持つ。それがドラマの根源になっている。

単行本9巻現在、いよいよひつじ殺しの正体が見えてきた。
結末が気になる。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-01 11:09:35] [修正:2016-10-01 11:09:35] [このレビューのURL]

ヤクザ、超能力者といった社会からやや外れた人たちの日常をユーモラスに描いた漫画。

パッと見は地味だがやってる事は非常に高度。
作中の登場人物は誰しも実に人間らしい。
彼らには彼らの事情があり、仲間同士で配慮しつつもあくまで身勝手に振る舞っている。
当人たちは大まじめだし、何もおかしな事はしていないのに、
それを外から眺めると大爆笑になってしまう。

コマ割りやセリフの整理も行き届き漫画として無駄なところがない。

ストーリー的には良い話の裏側のクソ話が多い。
例えば、ずっと友達だよと言いながらしれっと裏切って
裏切りで得た余裕を使いその友達を助けるといったイメージ。
毎回で主人公を変えるショート形式で、どこから読んでも大丈夫。
だが気に入ったなら最初から読んでみるのがオススメ。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-07-25 08:58:02] [修正:2016-07-25 09:02:46] [このレビューのURL]

舞台は未来社会。
人間、ヒューマノイド、ロボットが共存している。

社会的に3者は違った扱いになっており、
人間は人間。
ヒューマノイドは機械とコンピュータでできた人間。
ロボットは機械。

主人公はヒューマノイドを治療する医者。
漫画としては手塚治虫のブラックジャックに近い。
さまざまな患者が怪我や病気で重大な選択を迫られる。
医者の立場からそれを見守る短編形式の漫画。
それぞれの患者の選択は客観的に良い悪いを判断できるものではない。
身勝手であろうと、その決断こそが「人間の証明」だというような話。

ジャッジしない、導かない、選択を尊重する。
この距離感が新鮮で押しつけがましくならず、読者にも想像や解釈の余地を与えてくれる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-07-24 20:19:05] [修正:2016-07-24 20:19:05] [このレビューのURL]

おそらく作者はちょっと変わった兄妹コメディとして描き始めたはずが、
あちこちが上手くハマりすぎて手に負えなくなってしまったので、
早く手じまいした漫画。

1?2巻では説明的な日常コメディからよりシリアスなテーマへ進みそうな印象を受けていた。
互いに依存する兄と妹、周囲の人間関係、化け物と人間の共存、などなど。

だが、物語はシリアスへもコメディへも進まない。
どうにもページを埋めるのに苦労している印象になり、
無意味なキャラクターを出したりしながら結局は最終回までほぼ何も変わらなかった。

深読みせずに妹がカワイイ漫画として読めばまぁそこそこ。
というか妹のカワイさは本当にスゴくて点数のほとんどがソコ。

作者はほかにショートコメディ漫画を手掛けていて、
そちらはスムーズでキレが良い。
今後はそちらで才能を発揮していくのだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-07-24 17:42:11] [修正:2016-07-24 17:42:11] [このレビューのURL]