「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

8点 OZ

わずか40分間で終了した第三次世界大戦によって世界人口は激減。
疑似氷河期を経て未だ戦乱と混迷の治まらない地球において、囁かれる一つの伝説。
それは、飢えも戦争も無いという伝説の都市、OZ…。

舞台は旧・アメリカ合衆国が大きく6つに分裂したうちの1つの共和国。
大戦によって植物は完全に枯死し、寸断された交通・通信網は容易に回復せず、各地で争乱が起こり
至る所で住民達により立国宣言が相次ぐ、という北斗の拳もビックリな世界観。
優秀な傭兵である主人公は、周囲の国々との戦争・交渉・謀略が続く中、雇い主の女性を守りながら
伝説の都・OZを目指す、樹なつみ氏お得意の近未来SFアクション。

少女漫画誌に掲載されてはいたものの、絵も内容も世界観も少女漫画の規格を遥かに凌駕した作品。
『オズの魔法使い』をモチーフにしたという本作は、とにかく骨太でスケールの大きさを感じさせます。
少女ドロシー、知恵がない案山子、心を持たないブリキ男、臆病なライオン、そして魔女や大魔法使い。
それぞれのキャラがどれに相当するのか楽しみながら読み進めてみるのも良いと思います。

主人公とヒロインとの恋愛模様もありますがそこまでメインとして描かれているわけでもなく、
むしろ少しずつ自我や感情を獲得していくヒューマノイド(=人造人間)との心の通わせ方
(と言うか疑似恋愛と言うか愛憎と言うか)が作品の核となっており、その描写が非常に秀逸。
ラストは綺麗にまとまっていて素晴らしいです。
同時に、アシモフの「ロボット工学三原則」に作者なりの解釈が加えられており、
考えさせられるような結末にもなっています。

作者の絵はこの頃が一番好きですね。
洗練されていながらも読みやすい絵柄に加え、骨太の近未来SFに相応しく、アクション映画を彷彿と
させるようなエンターテインメント性をも感じさせる構図。
まさに樹なつみという作家の持てる力を存分に凝縮した、個人的には作者の最高傑作だと思います。
が、一つだけ残念な点を挙げると、あまりにも凝縮させすぎて、内容のボリュームの割に
巻数(通常版4巻、完全収録版でも5巻)が少なく感じられること。
おかげで展開が速い速い。 もうちょっと巻数を増やしてじっくり描いても良かった気がします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-28 01:39:33] [修正:2011-10-28 01:42:25] [このレビューのURL]

ジャズを通して描かれる古き良き青春物語。

友情の見せ方、恋愛の描き方、雰囲気、絵柄、どれもが古臭く、常に新しさを追い求める漫画界では
古臭さは致命的なはずなのですが、この作品ではその古臭さを上手く長所に転じさせています。
もちろんただ古臭いだけではなく、現代の人にも読みやすいように1960年代を再構成して
田舎の素朴な空気と共に放つ手腕は見事。
至る所にマイナス(基本的に主人公が不幸になる系)の伏線が仕掛けてあるタイプの作り方で、
その点も昔のタイプというか、最近ではちょっと珍しい系統の作品かなと思います。

この作品の見せどころの一つが、他の方のレビューにもあるように、ジャズの演奏シーン。
これがまた本当に楽しそうで魅力的。
演奏シーン以外の展開が割と暗めな話なので、その対比が尚更に際立っています。
ジャズはもともと溢れ出るような感情のありったけを曲に込めて解き放つような印象。
どちらかというと人生の渋みを覚えた世代に適した音楽ジャンルだと思っていたのですが、
それが青春漫画での感情表現にも実によく似合うのかなと目からウロコでした。
などと語れるほど私も全然詳しくないですし、この作品でもジャズはあくまで話を彩る脇役であり、
メインは主人公たちの青春物語なので、そちらを静かに見守ることにします。
素朴な中に暖かみがあり、グイッと引き込まれるというよりは徐々に心に浸透していくような良作。

こういう音楽系の作品は好きなアーティストがどこまでフィーチャーされるかも楽しみの一つ。
この作品ではアート・ブレイキーやビル・エヴァンスの出番が多く、ファンの人にはたまらんでしょう。
ちなみに本当にどうでもいいんですが私はサッチモとサラ・ヴォーンが好きなんですけど、
サッチモは未だ出てこないし、サラは一応出てきたけど鳩っすか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-28 01:33:08] [修正:2011-10-28 01:33:38] [このレビューのURL]

声が出なくなるほど極度のあがり症。 やりたいことが見つからない。 自己主張ができない。
周囲に対して、友人に対して、自分自身に対して、どうしても一歩が踏み出せない。 前に進めない。
そんなもの凄く後ろ向きな主人公が強引な勧誘と不運な巡り合わせとで演劇に出会う話。

漫画をちょっとでも読み慣れた人なら、第一話を読んでその後のあらすじが何となく頭に浮かぶはず。
そしてその思い浮かんだ展開は恐らくながらあながち間違いではないはず。
そのぐらいに特段の捻りや意外性に欠けるような作品。
他の方のレビューにもあるように、数多くの漫画の中からこれを選ぶ必然性にも魅力にも乏しいです。
せっかく張った伏線を思いっきり無視したりするし、主人公は見ていてイライラするしで、
作者にとって初の連載ということもあってか最初の方は特に読みにくかったですね。

ただし、つまらないかと言えばそんなことはなく、特段の期待もせずに読んでみたら
思いのほか面白かった作品という印象です。
何だかんだでキャラの造形が上手くて皆それぞれ個性をはっきりと読み取ることができ、
作者がしっかりと話を作るというよりは各キャラが勝手に動いて話が出来ていくという感じ。
至極オーソドックスな展開なのに気が付けばどんどん話に引き込まれていきます。

成長物語かどうかはさて置き、「やってて良かったって思える」ものに出会えた彼女は実に幸せ。
ジャンルや主人公の性格などは違いますが、「宙のまにまに」なんかに近い空気を感じます。
自分はずっと運動部でしたけどこういうのを読むと文科系の部活が楽しそうに見えて仕方がないです。
綺麗にまとまりすぎていて、現役の学生の人が読んで共感を得られるかは正直わからないですが、
かつて学生だった人がノスタルジーに浸る作品としてはなかなか良いのでは。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-25 01:16:30] [修正:2011-10-25 01:16:30] [このレビューのURL]

他の方のレビューにもある通り、「魔王」と「グラスホッパー」を掛け合わせた感じの内容です。
少年漫画らしく主要登場人物を少年または青年ぐらいの年齢まで落としていて、
作品の勢いという点ではむしろ原作小説よりもこちらの方がずっと感じられます。
作者好きだけど原作小説はそうでもない私ですが、楽しめたことは確か。
連載されてた頃はちっとも読む気にならなかったですけど、これはコミックスで一気読みタイプの
作品だと思います。

物語はちょっと特殊な能力を持った二人の兄弟が主人公。
兄の「安藤」編だけならもっと高い点数を付けても良いかも。
途中かなり中だるみするものの、最初と最後がスリリングに上手く描けていて楽しめます。

弟の「潤也」編が、つまらなくはないもののちょっと路頭に迷った感じ。
潤也くんもかたき討ちをするはずだったのにいつのまにか敵が<令嬢>にすり替わってしまっていて、
打倒犬養はいつの間にかどこへやら、最後の殺し屋勢揃いも面白かったんだけど展開としては無意味。

全体的な感想としては、原作よりも壮大な感じを出そうと試みているのはわかりますが、
結果的にだいぶスケールが小さくなってしまったような気がします。
やっぱり終わり方が良くなかったのが残念だったかな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-25 01:13:43] [修正:2011-10-25 01:13:43] [このレビューのURL]

家族と離別して人間不信に陥った少女が、青年と次第に心を通わせ、真実の愛を見つける物語(笑)。
(ほぼ作中原文のまま)

読む前は全く期待してなかったので、個人的にすごく意外。 まさかこんな面白いとは思わなかった。
作者の代表作である「HER」とかはちっとも合わなかった(むしろ途中で挫折した)のですが、
これは一体どうしたもんか。 ずーっとニヤニヤしっぱなしでした。

男に免疫のない女子高生がとある事情で同居することになった31歳イケメンは、全裸だった。
話の内容としては本当にこれだけ。
基本的に全編下ネタのシチュエーションコメディと言えなくもないですが、この作者は
言葉選びのセンスが抜きん出ていて、それがいちいちツボにはまります。
奇想天外奇天烈なボケよりも、類稀なるボキャブラリーを駆使して心の底からほとばしる衝動を
力の限りにぶつけるたえ子ちゃんのツッコミが痛快でテンポ良くてもう素晴らしい。

そんなたえ子ちゃんもどんどん壊れてきて、後半はまさかのラブコメに突入します。
どうしてそこでそうなるかな、っていう展開なのに、これがまた上手い具合にアホすぎて。(褒め言葉)
最後の方は完全にたえ子ちゃんが主導権握ってますからね。 この辺の描き方も面白いです。
ちょっとだけ残念なのは、個人的にもうちょっと長く読んでみたかったこと。
めちゃくちゃなのに力技で大団円に持って行ってるあたり、個人的には終わるのが早すぎたかな、と。

もちろん笑いの好みは人それぞれなので、特にこういうクセのある作品は万人向けとは言い難いですが
少なくともタイトルと表紙の絵ではこの内容はさっぱりわかりませんね。
この作品、女性からよりも男性からの方がウケが良いような気がします。
と言うかそもそも少女漫画なのかこれ。


また、短編「3322」も同時収録されています。 こちらは一遍変わってシリアスな話。
個人的にはこういうのはあまり好みではなかったです。
タイトルの「3322」の意味がパッと分かる(解読できる)のってギリギリ自分らの世代ぐらいまでかも。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-10-21 00:54:56] [修正:2011-10-22 01:32:12] [このレビューのURL]

作者の青年誌掲載第3弾。
過去2作と違って妙なSF的設定も不幸的展開もなく、普通のラブコメ。
基本的に万人向けで絵も上手く、誰が見てもそれなりに読めるような出来に仕上がっているものの、
悪く言えばとても無難な作品となっています。
前作の読者からの反応がアレすぎて冒険しづらかったのかも。

この作品では両想いになってからが(もちろん当の本人たちはそんなこと知りませんが)とても長く、
しかも互いの気持ちを読者ははっきり知ってしまっているため、読んでいて全くドキドキしません。
「もうここまで来たんだから早くくっつけよー」という展開が、月イチ連載だったからなのか
随分長いものに感じられたような気がします。
相手の気持ちが分からないような構成ならまだしも、それで読者をじらそうとしているのなら
やり方を多少なりとも間違えたのでは。

ただそうは言ってもコミックスで読むとまあ普通な感じになるのかも。
内容も重くもなく暗くもなくなので、まとめ読みに向いているのではないでしょうか。
むしろなぜ月イチ連載なのかがよくわからない。 次作も月イチになるのかな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-21 00:49:26] [修正:2011-10-21 00:49:26] [このレビューのURL]

フィクションを交えた島本和彦の自伝的作品。

当然ながら私はこの時代に青春を謳歌していた訳ではないですが、出てくる漫画は概ね読んでますし、
社会風俗的なことも知識としてなら知っていますので(当時のアニメとかの話は全くわかりませんが)、
舞台背景は読んでいて理解できるという程度。
特に感慨深さや懐かしさを感じるということもないですし。

なのであくまで漫画作品として贔屓目なしに読むと、序盤はその熱さと濃さが上手く作用して
引き付けられるように読んでしまいますが、慣れてくるにつれて徐々に冷めてきてしまいます。
主人公が暴走と空回りばかりで全然前に進まないのが自分の中で冷めた大きな理由ですね。
作者は「青春とはそういうものだ」というスタンスで恐らく描いているのでしょうが、その辺りが
個人的にちょっと相容れないのかな。
これは自伝的作品だからまだ良いものの、本来ならこれだけ進展に乏しいと話がダレてしまいます。

あと、「吼えろペン」の前日談的な話なので仕方ないものの、他の登場人物(庵野秀明とか)が
実名なのに対し、主人公が焔 燃(ホノオ モユル)なのもちょっと違和感を感じてしまいました。
ってよく考えたら「まんが道」もそうでしたね。 失礼しました。

まあそんな感じで、現時点では「吼えろペン」ほどの熱さや魅力は自分の中で感じませんでした。
トンコさんとの距離感も訳わかんないですし。 なので現状はこの点数。
ただ、これから起こるであろうと予想できる話の展開如何によっては、これまでの作者の作品を
凌駕するほどの爆発力をも秘めていると思います。
今はまだ炎が燻っている状態。 そういう意味で「アオイホノオ」なのでしょうか。
そう考えるとなかなか深いタイトルですね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-18 01:29:08] [修正:2011-10-18 01:34:44] [このレビューのURL]

自分にとって初めてのいくえみ作品。
でもファンの人には申し訳ないですが、私の場合は以前1巻を読んだ時点で投げ出しました。
同作者の「潔く柔く」には10点を付けたんですが、この作品はそのぐらい合わなかったです。

ふときっかけがあって読み返してみましたが、うーんやっぱり合わなかったな、という感じ。
一応つながっている話などもあるものの、とりとめもないオムニバスな印象です。
読んでいて気付いたのが、いくえみ綾の作品を気に入るかどうかは即ち、独特の描写で定評がある
いくえみ男子を気に入るかどうかにかかっているのかも、ということ。
で、似た作りの「潔く柔く」では別に何とも思わなかったですが、この作品ではいくえみ男子を
しゃらくさいと思ってしまった。 ここが評価の分かれ目かと。

レビューを「好み」の一言で片づけるのは個人的にあまり好きではないですけど
残念ながら私の表現力では他にうまく説明できないです。
敢えて書いてみると、「潔く柔く」では一本ドンと作品にメインの筋が通っていて、それが上手い具合に
見え隠れするのがツボにはまったのですが、こちらは単なる話の寄せ集めにしか思えなかったこと。
評価というのは読んだ時期やその時の心情によっても大きく変わってくるので実に難しいです。
いくえみ作品では他にも面白く読めた作品はあるものの、全然ダメだった作品もあるので、
私にとって評価の難しい作者の一人と言えるかもしれません。

まあ他作品と比べてばかりでも何なのでこの作品についてちょっとだけ書いておくと、
日常を描いたオムニバス集。 たまに話がつながったりもします。
が、先ほど「とりとめもない」という表現を使ったのは、それそれの話の設定がバラバラなように
思えてしまったので。 作品全体としてのテーマにどうも一貫性がない感じ。
何か大きなテーマで括ってほしかった気がします。
短編の質はベテラン作家だけあってうまくまとまっていますが、自分の琴線に触れるような話は
一つも無かったなという印象です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-18 01:25:31] [修正:2011-10-18 01:25:31] [このレビューのURL]

31歳の小説家・内海真一はスランプ中。 そんな彼の家に1匹の猫と10歳の少女・森本遥がやってくる。
小説が書けなくなっていた真一に担当編集が提案したのは、遥をモデルにした恋愛小説だった…。
少女は思った。「そばにいたい」と。
男は感じた。「放っておけない」と。
そう…これは恋のはなし。

31歳男性と10歳少女のラブストーリー。
とんでもないシチュエーションに聞こえますが、ファンタジーっぽくならず、面白いです。

主人公の真一は、世間一般が作家に対して抱いているようなステレオタイプ的な性格そのままで、
厭世主義的なところがあって、中身は悪ガキで、立派な大人とは言い難いキャラ。
人との付き合い方も不器用で、子供嫌い。 そう、子供嫌い。 要するにロリコンではないんですね。
空き家だと思い込んで真一の家に入り込んだ遥に対しても邪魔臭いとしか感じておらず、
厳しい(というか結構キツい)言葉で追い返そうとします。
まあこれは大人としては当然の行動か。 変質者として通報されたらアウトですし。

その後、複雑な家庭環境のために行き場のない遥を出入り自由にしてあげることになっても、
あくまで真一の遥に対する感情は、自分と似た境遇による同情、そして保護者のような気持ち。
一方の遥はおとなしいながらも芯の強い子で、自分の気持ちに真っ直ぐ向き合います。
と言うか10歳だから駆け引きとかのしようもないんですけどね。
真一に対する「好き」の気持ちも、恋愛感情なのかどうかよくわからない。

遥は初恋を自覚していくものの、少なくとも真一の遥に対する気持ちはほぼ同情一択で変わらず、
そういう意味ではラブストーリーとはなっていないのが現状です。
そう考えてみると、映画「レオン」のような関係に近いかもしれません。

ただしここで秀逸なのがこの作品のタイトル。 そうなんですよね。 「これは恋のはなし」。
ぶっきらぼうながらも端々で優しさを見せる真一と、その優しさに気付いてさらに惹かれていく遥。
その二人の関係がどこでどう変化していくのか。 そこがこの作品の見どころだと思います。

もともと連載当初は3巻程度で終了予定だったそうですが、思わぬ人気が出たためか、
現在(3巻まで刊行)のところはまだまだ終わりそうにありません。
その代わりに新キャラが出てきましたが、これがまたグダグダ気味で。
中途半端にトラブルを起こして中途半端に解決して中途半端にレギュラーキャラになった感じ。
少なくとも2巻までの展開とはちょっと違ってしまったように思えるので、立て直しに期待。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-11 00:59:59] [修正:2011-10-11 00:59:59] [このレビューのURL]

連載当初は各所で話題になっていたらしい、新感覚サスペンス。
ダム反対派として町長選に立候補した夫を不慮の事故で亡くした桃肢が、選挙勝利のための
偽装工作に巻き込まれ、各々の陰謀が渦巻く中を戦い抜いていく話。
そして桃肢は誰もが見とれるような美人かつ魅力的な超絶スタイルの持ち主。
関係者の誰もが彼女に本能的に肉欲を抱き、桃肢はそれとも戦っていかなければなりません。
途中からはミステリー要素も色濃くなってきて先が読めない展開になってきます。

桃肢の魅力をねちっこく描きながら、それでいてミステリー部分も同時並行で動かしていく構成は
よく出来ていて、特に導入部分の1巻あたりは秀逸。
読者層のほとんどが年配のオジサンな雑誌なので、うまく感情移入できるように描かれています。

が、中盤以降、謎が徐々に明らかになっていきますが、この謎の明かし方が良くないです。
桃肢が自力で謎に辿り着くわけでもなく勝手に話が進んでいく感じ。
桃肢を筆頭に登場人物の多くが不確定要素や裏付けのない証言に踊らされすぎですね。
タイトルにもあるように、途中で桃肢はその魅力的なヒップを用いて色仕掛けを行うものの、
(その色仕掛け自体はもちろん効果てきめんでしたが)話の展開上意味のないものですし。

あと熊が強すぎます。 いろいろな意味で。
ミステリーで熊が強いってどんなだよって思うかもしれないですが、本当に強いから困りもの。
推理的な要素を全てぶち壊すぐらいに強いため、話が破綻してしまっています。
結局は打ち切り気味。 最初の頃はいい意味でおバカな本格サスペンスだと期待したのですが、
かなり残念な作品になってしまったように思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-11 00:51:40] [修正:2011-10-11 00:51:40] [このレビューのURL]